2018年10月16日(火) 総務委員会(建設消防委員会との合同審査)
青字は答弁
質問テーマ [新アリーナの提案募集結果について]

☆新アリーナの提案募集結果について
募集要項の提案審査の基準から審査項目をピックアップして質疑する。

  1. 事業実施の基本方針の中の「代表者の役割と責任」について
    【1回目質疑】
     今回決定した協議対象者の代表者の役割と責任はどのようなものなのかということについて、認識を伺う。

    【答弁要旨】
     設計・建築・運営の一体的な事業推進を行う上での責任と役割を、代表者であるクロススポーツマーケティング鰍ェ負うことと認識しています。

    【2回目質疑】
     代表者であるクロススポーツマーケティング鰍ェ負うということを言われた。
     そこで、責任と役割ということについて、さらに一点伺う。
     本市には平成27年12月に制定された公契約条例がある。「市及び公契約の相手方となる事業者の責務を明らかにすることにより、契約に係る業務に従事する労働者の適正な労働環境及び事業者の健全で安定した経営環境を確保するとともに、公契約に係る業務の質の向上を図り、もって地域経済の健全な発展及び市民の福祉の増進に寄与することを目的とする。」というものである。
     この新アリーナの建設と運営に関する契約については、協議対象者が行うものも含めてこの公契約条例の対象となるべきものと考えるのか、認識を伺う。

    【答弁要旨】
     今回の提案では、まず民間事業者が本体を建設し、市に寄付するというものになっています。さらに、民間事業者が運営し、その一部を市が借りる形になっています。これが仮に指定管理者の形で運営していく場合には公契約条例の対象になるものと思われますが、民間が運営する部分に関しては全てが公契約条例の対象になるかは、少し内容の検討をしてみる必要があると考えます。

    【3回目質疑】
     市が行う部分については対象となるが、民間が行う部分については検討の余地があるとのことだった。ただ、この事業は建設にしろ運営にしろ、豊橋市の施設として行われていくものであり、仮に条例上は対象とならない場合であってもその趣旨を守っていくという指導が必要なのではないかと考えるが、このことに関する認識を伺う。

    【答弁要旨】
     今回のアリーナに関しては、公益を担保していく必要があるので、議員ご指摘のとおり趣旨はしっかり守っていく必要があると考えています。

    【まとめ】
     その趣旨をしっかり守っていくということを確認させていただいた。

  2. 事業計画の中の建設事業費について
    【1回目質疑】
     「建設工事金額が適正であるか」について、応募者が1社しかない中で適正性をどのような方法で評価したのか、その方法について伺う。

    【答弁要旨】
     審査委員会にて、各委員の知見から建設事業費の平米単価を他の同様の施設と比較し、妥当性の評価を行いました。

    【2回目質疑】
     委員の知見から判断したとのことだった。
     本市における他の建設事業においては、最低制限価格を設定するなどにより、公契約条例で目指すところの労働者の適正な労働環境及び事業者の健全で安定した経営環境を確保するとともに、契約に係る業務の質の向上などを図ろうとしている。
     各委員の知見により建設事業費の平米単価を他の同様の施設との比較によるというのでは、あまりにあいまいなものと感じる。今後きちんと精査すべきではないのか。認識を伺う。

    【答弁要旨】
     建設される建物自体がしっかりした建設事業費により立てられるという確認は必要であると考えます。例えば、立てられる建物があまりに高すぎるのではないかとか、逆に安すぎて必要な設備が整っていないとか安全性が確保されてないということなどもあるので、しっかり建設事業費については今後の協議の中でその妥当性について確認していきたいと考えています。

    【まとめ】
     建設事業費が高すぎることがないように、適正な品質が確保できるように確認していただけるとのことだった。公契約条例の趣旨に則りしっかり取り組んでいただきたい。

  3. 事業計画の運営の長期収支計画について
    【1回目質疑】
     「長期的に安定性及び確実性が高い計画」であるかについて、長期的な安定性や確実性をどのような要素で評価したのかについて伺う。

    【答弁要旨】
     審査委員会は、市や潟tェニックスへの固定的な利用枠の貸し出しや、収益性の高いスケート事業を通年実施することなどで収支を安定させる点を評価しています。

    【2回目質疑】
     長期的な安定性や確実性の評価要素を示していただいた。そこでさらに伺う。
     提案では長期収支計画が示されているはずだが、その計画の中でクロススポーツマーケティング社として、この事業による年間収益(売上)はどの程度を見込んでいるのか、そして、建設費の50億円と演出機器などの初期投資額は何年で回収する計画となっているのか、について教えていただきたい。

    【答弁要旨】
     クロススポーツマーケティングが想定している収入については、企業情報が含まれており、先方の確認ができていない現時点での、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

    【まとめ】
     この事業者が安定的に経営していけるかということは、この事業を実施すべきかどうかの重要な判断材料になると考える。是非議会にも示していただいて、議会として判断できるための情報提供をしっかり行っていただきたい。

  4. 施設の維持管理等について
    【1回目質疑】
     「維持管理等の計画が妥当であるか」ということについて、どのような点をどう評価したのかについて伺う。

    【答弁要旨】
     最新のエンターテインメント性を確保するため、内装、演出設備の更新について自己負担で行う点を評価しています。

    【2回目質疑】
     内装・演出設備の更新を自己負担で行う点を評価したことは理解した。
     そこで、資料の審査委員の意見の5番目に「施設の維持管理について、必要経費の積立を検討する」とあるが、これはどういう意味かについて伺う。

    【答弁要旨】
     今回ゼビオグループであるクロススポーツマーケティングが将来の維持管理をしていくにあたり、審査の中ではグループ自体の採算性について収益がしっかりしているものであると確認できています。しかし今後、事業者が30年管理していく中で、いつ何時本体事業がどういう傾向になっていくか予測しづらいところもあるので、必要な経費は今の預貯金に頼るのではなく、計画的な運用をしていくようにということを、審査委員会から事業者に対して求めていきたいという記載であります。

    【3回目質疑】
     事業者に積み立てるようにという意味であるというお答えだった。これに対する事業者の見解はどのようであるのかについて伺う。

    【答弁要旨】
     この点に関しては、審査委員会が事業実施に向け付した事項であり、まだ事業者に対してどう対応するかは確認していません。

    【まとめ】
     このことについては、情報が入ったら教えていただきたい。
     維持管理に関連して、先ほど長坂委員からも指摘があった豊橋市の利用枠分の利用料を支払うということについて、市民感覚から言って自分が所有する家の一部について、利用料を他人に払うということは、まことに理解しにくい話である。そういうことで、先ほどの質疑では法的に確認すべきことがあるというお答えだったと思う。もし、このことが法的に問題があるということになると、この枠組み自身が根底から揺るがされるということになりかねないものである。早急に対応していただくべきことであると思う。

  5. 施設の運営の施設の運営方針について
    【1回目質疑】
     「運営を確実に遂行できる体制等」について、どのようなものが示されていたのかについて伺う。

    【答弁要旨】
     クロススポーツマーケティング鰍ニ協力会社が連携した運営体制が示されています。また、協議対象者のグループ企業が運営に携わる計画も提案されています。

    【2回目質疑】
     協議対象者がその企業グループで取り組む体制を評価したことは理解した。
     施設の運営ということに関連して、さらに伺う。「新アリーナ」の建設・運用のp.3には「指定管理者制度などの運営方法について協議を行うこと」と記載されている。一方、募集要項には「本市説は指定管理者による管理運営を想定しています」という記載がある。審査委員からこのような指摘があったということは、現時点、どのような契約にするのかがまだ決まっていないということか。現状について伺う。

    【答弁要旨】
     募集要項では指定管理を想定しているとあるが、今回の提案では利用料を支払うという形の提案であったので、今後どういったスキームで運営していくか協議の必要があるという意見があったということです。

    【3回目質疑】
     今、利用料を払うということを言われたが、それは1年365日の内の185日の豊橋市利用枠に関する部分の話だと思われる。残りの180日の部分の管理契約のあり方を検討する必要があると思われるが、その契約にはどういう選択肢があるのか、考えを伺う。

    【答弁要旨】
     今後の協議の中で決めていくことになりますが、民間事業者が運営管理をしていき、その185日を市が借り受けるということです。一方、指定管理になると365日全てを指定管理者に管理を任せることになるので、その辺りを今後詳細協議をしていく中でどういう運営ができるのか、双方で協議をしていく必要があると考えています。

    【4回目質疑】
     私が伺ったのは、選択肢としてどういうものがあり得るのかということである。お話の中では、指定管理以外の言葉が出てこないが、それ以外の選択肢があるのかどうか、それを教えていただきたい。

    【答弁要旨】
     指定管理以外の方法があるのかは、協議の中で探っていきたいと考えています。

    【まとめ】
     まことにわかりにくい答弁だった。このことは市としての主体性が少ないのではないかと感じる。事業者がいろんなことを言われるかもしれないが、市としてイニシアティブを発揮していくことが大事であると考える。

  6. 施設の運営の利用料金について
    【1回目質疑】
     資料には利用料金の記載がないが、どのように評価したのかについて伺う。

    【答弁要旨】
     他の施設の利用料金等を勘案して協議対象者が提案した単価について審査委員会で評価をしています。

    【2回目質疑】
     他の施設の利用料金等を勘案して、と言われたが、市内の総合体育館やアクアリーナと同程度の利用料金と理解していいのか、認識を伺う。

    【答弁要旨】
     ただいま申し上げた他の施設とは、市内の施設ではなく全国の類似するアリーナ等での使用料金のことです。

    【3回目質疑】
     そしてもう一つ、豊橋市の利用枠の中で、施設を市民が使用した場合には、その使用料収入は年間でどの程度を見込んでいるのかについて、伺う。

    【答弁要旨】
     現行では算出しておりません。

    【まとめ】
     先ほど、年間2億円の利用料を払うということを言われたが、それは全額市の負担になるのではなく、市民の使用料を差し引いた額が市の実質的負担額となる。今後の判断材料として、市の実質的な負担額をさらにしっかり検討していただくことを期待する。

  7. 価格点について
    【1回目質疑】
     資料のp.2審査結果では価格点が40点満点としたとされている。提案者が1者しかない場合に、記載されている計算式は市の負担の適正性を測るということについて全く意味を持たないものである。それを満点にしたことにより、総得点83.35点の内の40点を与えるということになっている。なぜ満点にしたのか、考え方を伺う。

    【答弁要旨】
     価格点については、複数の提案者があった場合に市の負担額を比較し、各提案に優劣をつけるものです。今回の場合は1者であったことから、比較対象が無いため結果として満点となっています。

    【2回目質疑】
     相対評価ができなければ、正しく評価するために絶対評価を考えるべきではなかったのかとも考える。市の負担額が大きいかどうかを知るのは大変重要なことであり、考えるべきだったと思う。
     そして、今回は総得点が83.35点となり、唯一の応募者が協議対象者として決定している。念のため伺うが、総得点における合格最低ラインということについては考えられていたのか、教えていただきたい。

    【答弁要旨】
     今回の提案募集の中では最低点は設定していません。

    【3回目質疑】
     ということであると、失格基準に該当するもの以外は自動的に合格になる募集ということだったと思う。 答弁にあったように、今回は応募が1者しかないため、比較対象がなくクロススポーツマーケティングが協議対象者となった。他の手法との比較が全く行われていない。これで本当に市の負担が最小限になるということが言い切れるのか、大きな疑問が残る。どのように認識しているのか伺う。

    【答弁要旨】
     今回の提案募集については、1者のみだったので比較をした形にはなっていないが、今回の提案募集については、市の負担が極力抑えられた優れた提案であると評価をしています。

    【まとめ】
     そういう印象を持ったというのはわかるが、それだけでは市民への説明として不十分ではないかと思う。 今後、市民の理解を得ていくためには、少なくとも、国などの補助を受けながら、PFIや直営事業として行うケースなどとの比較はあるべきだと考える。

  8. 全般について
    【1回目質疑】
     昨年3月、市長は安倍総理が議長を務める未来投資会議でプレゼンを行っている。その際に総理は、「自治体や地元企業を巻き込んだ地域ぐるみの取組を後押しします。そのため法律、予算や税制を総動員し、こうした拠点を2025年までに20ヵ所整備します。」というコメントを出されている。今回の提案では国等の補助金の活用について全く触れられていない。どのような考えによるものか伺う。

    【答弁要旨】
     今回の提案募集では、採択された提案を今後の詳細協議で確定させていくものであり、提案内容については事業スキームの概要を提案するものになることから、補助金、交付金等を活用した提案が困難であったと想定されます。今後、詳細協議を進め事業スキームが固まる中で、国等からの支援について検討する必要があると考えています。

    【2回目質疑】
     国等からの支援について検討する必要があるとのことだった。
     昨年の9月議会での補正予算で、多目的屋内施設検討調査事業費として1,300万円が議決されている。その後、財源として見込んでいた国の補助金が採択されなかったこともあり、この調査は行われなかったものと認識している。総理の積極的な発言があったにも関わらずこのような結果になっている。
     そこで、この新アリーナの建設事業は、国の未来投資戦略の対象となることができるのか、そして補助金を受けることができるのか、見通しを伺う。

    【答弁要旨】
     スポーツ庁など国の関係機関ともお話をさせていただきながら、スキームというか今後協議の中で決まっていく部分がかなり大きく、それと同時にいろんなところで確認をとって、利用できるものは利用するという形で対応していきたいと考えています。もちろん、未来投資会議等でいろいろ国で話題になった案件でもあるので、そういうお話をさせていただきながら進めていきたいと考えています。

    【3回目質疑】
     見通しはわからないけれども努力していくということであったと理解した。この枠組みが特殊であるだけに、ハードルは少し高くなっているのかという印象はある。
     今後、新アリーナの建設と運営に関して、クロススポーツマーケティングとの詳細協議が行われることになる。一方で、多目的屋内施設を核とするまちづくりの基本計画の策定も進んでいく。その中で、ある程度は波及効果も見えてくるのではないかと考える。
     そこで、新アリーナの建設を実施すべきかどうか、どこかで判断をしなければならない。どのような指標により最終判断を行うのか、また、必要とするその指標の水準をどの程度と考えるのかについて、考え方を伺う。

    【答弁要旨】
     指標ということについて、市としてこの施設を建設していくかという判断をしていく中で、今年の2月の委員会の中で豊田委員から総収入、総支出ということでお話があり、それを定量的な形で示してもらうのが一番いいのだが、ということでした。この問題は定量的なことだけでなく、例えば多くの人が経済的に豊かになる、精神的に豊かになるというような公益との関係が非常に大きいと考えています。
     数字で示すということがなかなか難しい問題であり、先ほどからいろんな方と意見を交わしながら今後詰めていきたいという答弁もさせていただいています。その議論の中で、こういうことだから是非ここに建てたいと言っていただけるようにしたいと考えています。もちろん、数字で表せたら表したいと思いますが、今後、その辺りも含めてお話しさせていただきたいと考えています。

    【まとめ】
     今後、できたら数字も示していきたいというお話しだった。ただ、これからの協議がどこを目指していくのかということが明確にされていない、というように聞こえた。どこかゴールを作っておいて、そのゴールが実現できるように協議を進め、その結果、ゴールに到達したどうかで建設するかどうかを判断すべきものだと考える。出発の段階でゴールが定まっていないというのは、ものごとの進め方としておかしいのだはないか。
     今回、説明を受けた限りでは、昨年9月議会での補正予算に際しての附帯決議における、「この多目的屋内施設が将来の豊橋市民の重荷になることがないように」ということに関して、まだまだ納得できる説明には至っていないと思われる。
     本市においては先日の決算委員会でも示されたように28年度29年度ともに純資産が大きく減少している。この純資産減少額をさらに大きくするものであってはならないと考える。しっかり検討していただきたい。


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