2018年6月11日(月) 一般質問
青字は答弁
質問テーマ [消防団員対象年齢人口減少下における消防団活動確保の方策][公共施設白書の公共施設マネジメントへの活用]

消防団員対象年齢人口減少下における消防団活動確保の方策

【1回目】
 豊橋市内には各校区毎の分団と女性分団とを合わせて、53の分団があり、定員1,257人に対して実員1,244人の団員が所属し活動してくれている。その活動の内容は、水害・火災・地震等の災害予防のための啓発、これら災害の防御活動などであり、そのための防災施設や機械器具等の保守管理、消防機能維持のための訓練などとなっている。
 このように重要な役割を担う消防団であり、その活動を担っているのは18歳以上50歳未満の若い世代となっている。本市の人口ピラミッドを見てみると、既にピラミッドとは程遠い形になっており、いわゆるつぼ型ということになっている。
 多少の凸凹はあるものの、最も多いのは45歳から49歳の世代でその上も下も次第に少なくなります。45歳から49歳の男女合計人数は平成30年4月1日現在で、約29,000人であり、0歳から4歳は約16,000人と55%にまで下がっている。この傾向を見ると、今後の団員確保をはじめ消防団活動の確保に向けては、一層の対策を考えていく必要があると思われる。
 消防団は地域の防災力の要として大変重要な存在であるにも関わらず、現状既に、団員の確保には苦労している分団が多いと思われる。市としても「ほの国消防団・消防団応援事業」を行うなどの対策を行い一定の成果はあるものの、現場の声を聞く限り一層の団員確保の方策が必要だと感じる。
 今後の対応方策の方向性としては、消防団に参加しよういう意識の啓発、参加しやすい形づくり、そして活動しやすい消防団に向けての支援であり、これらについて市としてどのように対応していくことができるのかということについて、さらに検討していただくことを期待する。
 そこで、これらの視点に立ち、消防団が将来にわたって持続的に機能し得るために、以下の点について質問する。

  1. 団員確保の課題と対応について
    1. 分団・部の配置及び定員について
    2. 団員の在籍期間について
    3. 団員募集の取り組みについて
  2. 消防本部の支援のあり方について
    1. 活動資機材等の配備の課題と対応について
    2. 安全確保等指導の課題と対応について

【1.a 1回目答弁要旨】
 分団・部の配置については、女性分団を除く52の各小学校に1つの分団を配置しています。
 また、部の配置については、消防署所からの距離や集落の点在状況、林野や海岸を管轄するなど、地域の特殊性を踏まえ追加配置されています。
 次に、定員については、1分団17人を原則とし、1部増えるごとに10人を加算した人員編成となっています。
 これまでにも、消防団員確保の困難性については、様々な角度から議論される中、福利厚生面の充実や、広報活動など、様々な対策をとっているところです。
 また、部の数および配置についても、変化する地域の実情や地元などからの要望を受け、その内容について協議を重ね、効率的な部の統廃合についても対応しているところです。
 しかしながら、急速に展開する高齢化や人口減少など、今後の状況を見据えると、分団・部の編成等について再検討するなど、新たな対策が必要であると認識しています。

【1.a 2回目質問】
 まず、分団・部の配置については、地元などから要望を受け、効率的な部の統廃合についても対応していること、分団・部の編成等について再検討するなどの新たな対策が必要であるとの、大変前向きな認識を示していただいた。今後の対応に大いに期待する。
 次に定員については、1分団17人を原則とし、1部増えるごとに10人を加算した人員編成であるとのことだった。
 あらかじめ伺ったところでは、この定員に基づいた火災時の役割分担も作成されているとのことだった。しかし、実際の火災時に当該分団の団員全員が揃わないことも多いと思われる。また、情報通信関連をはじめ本体装備の充実などにより、本隊の急行能力や消火能力が高まったことで、消防団の役割は変わってきている部分もあると思われる。
 これらを考えると、まず、火災時等の団員の役割分担の見直しの必要があるのではないかと思われる。例えば、集まった人数に応じた、あるいは消火状況に応じた役割分担のモデルを示すなどの方法が考えられる。
 さらに、こういうモデルができれば、定員についても必ずしも17名でなくても、例えば、「定員は10名から17名とする」というように柔軟な形にすることも考えられるのではないのか?
 状況に応じた役割分担のモデルづくり、柔軟な定員の定め方について、認識を伺う。

【1.a 2回目答弁要旨】
 火災時における消火活動では、活動の指揮、ポンプ操作、水利の確保、ホース延長及び筒先員など各団員がそれぞれの役割に基づいた行動が必要とされます。
 議員が言われたように通信機器の配備により、複数の団員に対して一斉に指示ができるようになるなど、装備の充実により、団員個々の活動負担も軽減されていることから、新たな役割分担のモデルづくりについて研究していく必要もあると考えられます。
 しかしながら、消防団活動は消火活動だけではなく、大規模地震や局地的な豪雨など、多様化する災害への対応も求められます。
 特に東日本大震災という未曽有の災害を経験した教訓から、消防団が地域の中核となり防災体制の強化を図ることが法律化され、本市においても、発生が危惧される南海トラフ地震に対して市及び地域が一丸となって対策を講じているところです。
 地域防災の中核となる消防団については、即時対応力や要員動員力を低下することなく、地域における防災体制の強化のため、引き続き現在の定員の保持に努め、団員確保について支援していきます。

【1.a まとめ】
 定員について伺ったところ、新たな役割分担のモデルづくりについては研究していく必要もあるという認識が示されたが、引き続き現在の定員を保持するとのことだった。
 1.aについては終わる。

【1.b 1回目答弁要旨】
 昨年度の退団者データを見ると、平均在籍期間は約5年となっており、この期間については、特に定めはなく、分団ごと、地域の実情や個人の都合等によるところであり、在籍期間に違いがあることは認識しています。
 私ども消防としては、消防団員は、入団後、規律節度及び消防団員としての倫理、各種マニュアルの確認や小型動力ポンプ等各種資機材の取り扱いなどの教育や訓練を行い、災害活動に従事するにあたり学ばなければならないことが数多くあります。それらを習熟し、活動に生かすためには一定の期間が必要であり、複数年の在籍が望ましいと考えています。

【1.b 2回目質問】
 平均在籍期間が約5年であること、技術習得等考えると複数年の在籍が望ましいこと、などを答えていただいた。
 最近、ある消防団関係の方のお話を聞かせていただく機会があった。その中で、「大災害時には消防団経験者が市内に多くいることが、地域での復旧活動の大きな力になることが期待できる。そういう意味では消防団経験者を増やすために、在籍一年で入団してもらうことも歓迎すべきことだと思う」ということを聞かせていただいた。
 そういうことであれば、普通団員とは別に一年限定団員という仕組みを作ることは意義があるのではないかと思う。さらに、一年限定団員経験から普通団員になる希望者が出ることも期待できる。
 今申し上げたような一年限定団員のような仕組みを考える余地はないのか、認識を伺う。

【1.b 2回目答弁要旨】
 災害活動に従事するため、様々な訓練や教育を受けた消防団経験者が増えることは、地域防災力の充実強化に繋がると考えられます。
 しかしながら、大規模災害時に活動する上では、一定水準以上の知識及び技術が必要であるとともに、指揮統制が取れる核となる消防団員が必要とされます。
 そこで、一年限定団員のような仕組みの考え方については、消防団員確保の困難性が高まる今後の状況を見据えると、消防団への加入を促進する上で、一つの方策として期待できるものと考えられます。
 今後も引き続き、消防団員の確保対策については、消防団員をはじめ、地域のほか、各関係機関からの意見を取り入れ、様々な方策について勉強していきます。

【1.b まとめ】
 一年限定団員という仕組みも期待できるかもしれないとのお答えだったので、実際、消防団で活動されている方の意見などもぜひ聞いていただいて、可能性について研究していただければと思う。今後に期待する。
 1.b については終わる。

【1.c 1回目答弁要旨】
 平成25年12月、「消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律」の施行を受け、自治会への依頼や消防団による従来の募集方法に加え、市ホームページへの掲載、募集リーフレットやポスターの作成、地元ラジオ局での放送など、募集方法の幅を広げています。
 また、団員募集を補う形で、消防団について、老若男女を問わず、幅広い年齢層に理解をしていただくために、女性分団によるワークショップの開催、小学生と協働しての器具庫へのシャッターアートの実施、また、昨今のスマートフォンの急激な普及からSNSの有効活用など、様々な手法により消防団PRを進めています。
 他にも、消防団応援事業所については、愛知県と連携することで東三河地域から県内へと拡大したことで福利厚生面についても充実を図っているところです。
 こうした取り組みは、団員はもちろん、家族への理解を得ること、そして一人でも多くの方に消防団を知っていただくことが重要であると考えています。

【1.c 2回目質問】
 答弁では、消防団活動のPRや団員募集について、SNSなど多様な手段を用いて充実拡大を図っているということが示された。福利厚生面での充実もお答えいただいた。それでもまだ、現実には団員募集に苦労している分団は多い。
 第5次豊橋市総合計画における「まちづくりの基本理念」は「ともに生き、ともにつくる」ということになっている。このことは市が掲げるばかりでなく、市民の理解が必要なことである。正に消防団活動も「ともに生き、ともにつくる」ということの象徴的な活動であると思う。
 市民の理解を促進する方法として、小中学校教育の中にこのことを取り込むことを考えるべきではないかと考える。既に、一部地域では消防団員が出前授業という形で、学校に出かけ活動の紹介をしているところもあると聞いている。
 そこで、「ともに生き、ともにつくる」ということと合わせて、消防団活動の重要性ということも小中学校教育の中に取り込んでいくことについて、当局の考え方を伺う。

【1.c 2回目答弁要旨】
 児童生徒に、防災安全教育として必要な知識や能力を身につけさせるために、発達段階に応じた指導を行っています。
 小学校社会科の授業では、副読本「かがやく豊橋」を用い、「安全なまち豊橋」について学習を深めています。その中では、まちを守る地域の協力として、消防団の活動を取り上げ、その活動の内容と重要性について知るとともに、消防団員の地域のために働く意義とやりがいについても考える授業を行っています。
 また、校区の防災訓練に積極的に参加し、校区と学校が連携を取りながら災害時の安全な対応について学んでいます。特に中学生においては、自分の安全を確保するだけではなく、幼児やお年寄りに対してどのような手助けができるか自分たちの役割について考え実践する機会としています。
 このような様々な取り組みを通して、義務教育の中でも防災への意識を高め、消防団活動の重要性を理解するとともに、地域の一員として自ら協力し、地域を守る活動に取り組む意識と態度を育んでいきたいと思います。

【1.c まとめ】
 既に取り組んでいるし、これからも進めていくとのことでした。団員の協力が得られる地域については、団員による出前授業も積極的に考えていただくことを期待する。
 1.については終わる。

【2.a 1回目答弁要旨】
 東日本大震災の教訓から、救命胴衣等の安全装備品の充実、情報収集など団員相互の連絡のための携帯用無線機等の配備、さらには、エンジンカッター、油圧ジャッキ等の救助活動用資機材についても配備することとされ、本市においても平成27年度から計画整備中です。
 こうした新たな資機材の配備での課題としては、機能の維持や現場での取り扱いに対し、事前の対策が必要となります。
 各種資機材の機能の維持については、従来の資機材と合わせ、適切に管理できるよう、画像入りの備品管理台帳を作成し、数量及び動作確認、不具合等について速やかに確認できるよう管理体制を整えています。
 また、取り扱いについては、メーカーからの説明や消防署所との合同訓練を実施するなど、一定の対策を講じているところです。

【2.a 2回目質問】
 大災害に備えて新たな資機材を配備することで、その適切な管理・取扱いが課題であること、管理台帳の充実、消防署所との合同訓練などの対策を行っているとの説明をしていただき理解した。多様な資機材を多くの団員が管理・取扱いできるように、一層の対策充実を期待する。
 そこでさらに1点、基本的な部分について伺いたい。様々な新たな資機材を導入することの財源の問題からかもしれないが、活動服や制服の支給が十分に行えないことになっているように感じる。活動服は一年に一分団一着のみの支給であり、制服については近年支給が行われていないと聞いている。活動服はどうしても汚れやすいものであるにも関わらず、団員数が17人であることから17年間着なければならないし、洗い替えもない状態にある。
 活動服については、支給数を増やすことを考えるべきではないのか? また、市内の消防団行事における制服の着用をしているものを、活動服による参加とするような規則の変更は考えられないのか?
 活動服の支給数や制服の必要性の認識など、当局の考え方を伺う。

【2.a 2回目答弁要旨】
 活動服については、年間、各分団2着を基準に貸与し、概ね10年更新として計画しています。また、旧型の活動服も併用していることから、支障のない範囲で運用していることと認識しています。
 次に、制服については、現在、支給していない状況ですが、主な着用機会としては、決隊式、出初式、観閲式などの式典や、一部地域の行事等で、年間4~5回です。
 そこで、制服の必要性については、消防団長をはじめとする方面隊長などの幹部クラスには、他都市への式典や会議等への出席機会が多いことから、制服は必要であると考えられます。
 これに対し、一般団員については、式典等への参加も限られており、活動服での参加も特に問題はないと考えられますが、このことについては、消防団側の意見を尊重しつつ考えていきます。

【2.a まとめ】
 一般団員の式典等参加時の服装については、考えていただけるとのことだったので、期待したい。活動服については、4月には操法の練習が毎日あるが、洗い替えのない状況にあることは理解していただきたい。 2.a については終わる。

【2.b 1回目答弁要旨】
 課題としては、いずれの訓練も消防団全体または方面隊としての訓練であり、必ずしも、団員全員が訓練に参加できていない実情もあり、訓練規模や内容について、一人でも多くの団員が参加できるよう見直しや工夫が必要であると考えています。 あわせて、ベテラン団員が指導者となり新人団員に教える指導体制の確立や、消防署所との連携により、安全管理能力及び災害対応能力の向上に努める必要があると考えます。
 また、こうした課題への対応についてですが、年度初め、消防団幹部講習会として、関係法令、各種活動マニュアル、交通法規、各種資機材の取扱いと維持管理など、消防団活動における基礎的な内容について研修を行っています。他にも、消防団員研修として前期と後期で2回開催し、前期では、災害活動マニュアルを中心にした教養を行い、そして、後期では災害活動マニュアルに応じた行動について検証をしています。
 その他、実際の災害を想定した、水防訓練、防災訓練、津波避難訓練、林野火災防御訓練に参加するなど、災害対応能力の向上を図っているところです。

【2.b まとめ】
 安全確保等指導の取り組みについては理解した。分団内での先輩から新人への指導体制の確立が必要ということも言われていたが、分団組織内への技術の蓄積ということについても、さらに研究していただきたいと思う。
 今回、突飛と思われることも申し上げたかもしれないが、消防団員対象年齢の人口が減少していくことが明らかになっている中では、これまで以上に目的に対する方法の合理性の確認ということにも、積極的に取り組む必要があると考えたためだ。さらに、予算配分、教育の面からの支援も必要になっていると考える。
 今後の取り組みに期待して、消防団関係について終わる。

公共施設白書の公共施設マネジメントへの活用

【1回目】
 今年3月に豊橋市公共施設白書が公表され、施設の保有状況、施設ごとや施設分類単位での利用状況、行政コストなどが明らかにされた。資料編を含めれば約900ページにも及ぶものであり、大変多くの情報を含むものだ。多大な労力をかけて本白書の作成をされたことに敬意を表したい。
 この白書作成の目的については「本市が所有する様々な公共施設の現状を市民の皆さまに知っていただくこと」としているが、それにとどまることなく、貴重な資料であるだけに有効活用することを期待する。
 また、昨年3月には豊橋市公共施設等総合管理方針の策定も行われており、さらに、平成32年度までには、既存の施設保全計画を、廃止や複合化等を踏まえた個別施設計画に改訂していくという方針も示されている。
 公共施設白書から明らかになった課題を明確にし、的確に対応することで、将来世代の負担が過大にならないよう、合理的で持続可能な公共施設マネジメントを行っていくことが必要であると考える。
 そこで、以下の点について質問する。

  1. 公共施設の行政コストデータの今後の活用について
    1. 各施設の行政コストについて
    2. 建物系行政コストの総量について
  2. 個別施設の必要性の評価への活用について
  3. 施設分類ごとの収支比率の妥当性と運営形態の課題について

【1.a 1回目答弁要旨】
 各施設の行政コストについては、個々の施設ごとに行政コストを整理することで、今まで見えてなかった各施設の収支が見え、類似施設間での比較が可能となりました。
 このことにより、各施設の所管課が歳出減や歳入増に対する対策を考えるとともに、ムリ・ムラ・ムダを改善し行政コストの圧縮を考える材料として活用できるものと考えています。

【1.a 2回目質問】
 類似施設間の比較などにより、行政コストの圧縮を考える材料とすることができる、とのお答えだった。具体的には、行政コストの改善をしていくためには、経常費用の縮減と経常収益の増加を図るという、両面からの取組みが必要になる。
 「行政コストの圧縮を考える材料とする」ことについて、「活用できる」とのお答えだが、今申し上げた両面からの取組みを実践していくという意味であると理解していいのか、認識を伺う。

【1.a 2回目答弁要旨】
 施設ごとに様々な事情がありますが、基本的な考え方として費用の縮減と収益の増加に向けて取り組むことは必要であると考えています。

【1.a 3回目質問】
 取り組みは必要であるとのことだった。
 各施設の行政コストが示されたことは大きな意義を持つと考えられる。行政コスト改善には、是非、積極的に取り組んでいただきたい。
 そこで、各施設の行政コストについて、さらに伺う。
 現在の公共施設等総合管理方針の中では、建物系施設の適正化について「㋐施設保有量の適正化」「㋑施設の長寿命化」という方針が言われている。今回、各施設の経常費用やバリアフリー対応状況などが明確にされたことに関連して、この「施設の長寿命化」ということについて聞きたい。
 長寿命化というばかりでなく、新しい施設にすることによる光熱費・修繕費等の管理コスト、バリアフリーへの対応コストなどの低減効果を総合的に判断することで、合理的な更新時期を判断するということも可能なのではないかと考える。
 そこで、施設の更新ということについて、長寿命化という考えだけでなく、各施設の経常費用の推移予測を更新時期の判断に活用するということについて考え方を伺う。

【1.a 3回目答弁要旨】
 本市の公共施設は昭和40年代から50年代に建設されたものが約50%を占めており、多くの施設が一斉に更新時期を迎えるため、更新時期の見直しは更新費用の平準化に対して効果的と考えられます。
 このような中で長寿命化は建て替えと比較して工事費用が4割程度削減できると試算されており、さらに廃棄物量も減少することで環境負荷の低減に繋がるメリットもあります。
 また、今後、人口減少は避けて通れないため、複合化や統廃合など施設の保有量を見直す一方で、多様化する行政サービスの提供も必要であると考えています。
 こうしたことから、長寿命化を推進していますが、効率的、効果的な施設のあり方を総合的に考えていく中で、長寿命化や更新といった選択をする上で、経常費用の推移予測は、その判断材料の一つになるものと考えています。

【1.a まとめ】
 効率的、効果的な施設のあり方を総合的に考えていく中で、経常費用の推移予測は、その判断材料の一つになるものと考えているとのことだった。
 古い施設であることで、バリアフリー対応の問題なども含め、使い勝手という部分については、しっかり考慮していただくことを期待する。
 1.aについては以上で終わる。

【1.b 1回目答弁】
 各施設の行政コストを把握することで、建物系施設全体の行政コストの総量も見えてきました。このことにより、施設分類ごとの人口一人あたりの負担額や施設の老朽度合いが把握可能になったほか、個別施設データを毎年更新していくことにより、施設のあり方や有効活用等、将来計画を策定する上での参考になるものと考えています。
 いずれにしましても、各施設の行政コストは各所管課が行政コストの改善を図り、建物系行政コストの総量は、財政計画を勘案しながら、市として施設の方向性を判断していく一つの材料として幅広く活用をしていけるものと考えています。

【1.b 2回目質問】
 建物系行政コストの総量については、「市として施設の方向性を判断していく一つの材料として、幅広く活用していける」とのことだった。
 公共施設等総合管理方針では、長寿命化後の今後50年間の年平均維持・更新費用は約158億円となっている。今回の白書ではインフラ系は含まないものの、建物系については個別施設ごとに更新必要額が記載されている。個別施設の更新必要額が把握されたことで、今後50年間の年平均維持・更新費用の見通し約158億円に変化はあったのかどうか、ということについてまず確認したい。

【1.b 2回目答弁要旨】
 個別施設の更新必要額については、固定資産台帳お整備に伴い把握したものを使用しており、公共施設等総合管理方針と施設白書における金額に相違は生じてはいません。

【1.b 3回目質問】
 公共施設等総合管理方針と施設白書の間で、更新必要額に差はないということについては理解した。
 今回、この白書の作成により、建物系施設全体の行政コストが把握できたわけで、市民の数で割れば、一人当たりが負担すべき行政コストが明確になったということが言える。白書で示された施設に関わる行政コストの総額は約100億円であり、今年4月の人口で割ると、一人当たり27,000円弱ということになる。
 公共施設等総合管理方針では、先ほど申し上げた通り今後50年間の年平均維持・更新費用の見通しが示されている。そして、その財源調達の必要があると同時に、維持・更新費用を縮減するために、公共施設の複合化や統合が必要であるということが言われている。
 高度経済成長期に作られた公共施設が一斉に更新時期を迎える中で、大きく二つのことを考えなくてはならないと考える。
 一つは、公共施設等総合管理方針の中で言われているような、更新を可能とするための、施設の総量を減らし、行財政改革で財源を捻出するということ。ただ、これについては、今言われている方法だけでなく、資産や負債の有効活用という方法によることで対応可能な部分もある。
 もう一つは、将来世代の公共施設保有の負担を過大にしないということである。これまでこのことについては、判断の目安がなかった。しかし、今回、公共施設白書の作成により、建物系公共施設保有に関する行政コストの総額及び一人当たり負担額が明確にされることになった。ここで言う行政コストとは、建物や工作物の減価償却費を含む経常費用から経常収益を引いたものである。
 公共施設の保有ということを持続可能にするためには、この一人当たり行政コストに注目することが重要であると考える。世代間負担の公平性という意味でも重要である。
 そこで、今後の公共施設マネジメントの目標値として、市民一人当たり公共施設保有のための行政コストを掲げていくべきであると考えるが、当局の認識を伺う。

【1.b 3回目答弁要旨】
 施設白書は、公共施設の現状を見える化したものであり、今後、市民の皆さまに知っていただき、意見をいただくなど、様々な場面で活用していきたいと考えています。
 また、白書から現れてきた数値は、見る視点を変えることにより、様々な活用方法があると考えています。
 こうしたことから、市民一人当たりの行政コストは、公共施設マネジメントを推進する上で、一つの目安とはなりますが、目標値として掲げるものではないと考えています。

【1.b 4回目質問】
 「市民一人当たりの行政コストは、公共施設マネジメントを推進する上で、一つの目安とはなるが、目標値として掲げるものではない」との答弁だった。
 公共施設等総合管理方針では「公共施設等の最適化について」の中で、具体的な目標として、平成47年度までの維持・更新費用となる「約45億円/年の確保」ということが掲げられている。しかし、この数値は世代間の負担の公平性を保証するものではないし、発生主義による純資産の変動額への影響額を明確にできるものでもない。
 公共施設マネジメントにおいて、世代間の負担の公平性や純資産変動額への影響額を明確にすることは重要なことだと考えるが、この目安となる目標を何により示すべきと考えているのか、認識を伺う。

【1.b 4回目答弁要旨】
 一人当たりの行政コストは、公共施設を利用する人も利用しない人も維持管理費を負担しているものとして計算します。
 また、公共施設マネジメントを推進する中で、公平性の観点の一つに受益者負担という考えもございます。
 一方で、サービスの拡大は、行政コストの増に繋がり、後世への負担増になる要因ともなり得ます。
 このようなことから、様々な要因や状況をとらえる中で、世代間の公平性や受益者負担の公平性などのバランスを取りながら、方向性を考えていく必要があると考えております。
 今回、白書を作成しましたが、これを毎年更新していくことにより、年度ごとに1人当たりの建物系行政コストが見えてきます。純資産をふやす、後世への負担を増加させないためには、税収の確保、あるいは交付税、国・県補助金の増とともに、建物行政コスト総量をふやさないことも大変需要なことであり、このことも一つの指標として考えられますので、今後、その推移を見ながら、何を目標にするのか、目標数値はどうするのかも含めて勉強していきたいと考えています。

【1.b まとめ】
 3回目の答弁「市民一人当たりの行政コストは、公共施設マネジメントを推進する上で、一つの目安とはなりますが、目標値として掲げるものではない」から、4回目では「何を目標にするか勉強する」というところまで、ちょっと挽回したと思う。質問した甲斐があった。個別施設の必要性の評価への活用については、資料編の個別票には行政コストデータだけでなく、利用状況として利用者数や開館日数なども掲載することで、単位コスト比較や施設の稼働率比較も可能としています。 こうしたことから、類似施設間でのベンチマークの設定やデータを散布図として比較分析などを行うことにより、校区や地域の施設利用状況や行政コストの関係などを評価に活かすことが可能になったと考えています。 個別施設計画の策定まで3年を切っている。間に合うように、急いで勉強していただくことを期待する。
 1.b については以上で終わる。

【2.1回目答弁要旨】
 個別施設の必要性の評価への活用については、資料編の個別票には行政コストデータだけでなく、利用状況として利用者数や開館日数なども掲載することで、単位コスト比較や施設の稼働率比較も可能としています。
 こうしたことから、類似施設間でのベンチマークの設定やデータを散布図として比較分析などを行うことにより、校区や地域の施設利用状況や行政コストの関係などを評価に活かすことが可能になったと考えています。

【2.2回目質問】
 資料編の個別票の内容に基づき、類似施設間の比較分析が可能になったとのことだった。
 公共施設等総合管理方針における「公共施設等の最適化に向けた方針」の「建物系施設の施策」では、「5つの柱」を掲げている。その中の一つに「市有資産の適正管理」ということがあり、その中で「市有資産の適正化と施設配置の集約化」など7つの方針が掲げられている。
 5つの柱の一つは「施設評価の実施」であり、今回、白書の作成により評価に向けて大きな一歩を踏み出したと考えられ、今後、「市有資産の適正管理」への活用が期待される。
 冒頭申し上げた通り、平成32年度までには従来の施設保全計画を、廃止や複合化等を踏まえた個別施設計画に改訂していくとのことである。市有資産の適正管理の具体的な方策の一つということになると思う。
 そこでまず、この個別施設計画の策定スケジュールについて伺う。

【2.2回目答弁要旨】
 個別施設計画は、平成32年度末の策定を予定しています。
 具体的なスケジュールとしては、平成30・31年度の2か年をかけ地域意見交換会を実施していく予定です。
 ここでは、公共施設等総合管理方針並びに施設白書を用いて、市民の皆さまに施設ごとの実情を理解していただくとともに、公共施設の現状や今後のあり方について、意見交換させていただく予定です。
 そして、その結果を踏まえながら、平成32年度中に施設の方向性について考え方をまとめていく予定です。

【2.3回目質問】
 市民の意見をしっかり聞いて行くことについては、理解した。
 しかし、そればかりでなく、各施設の設置者として、それぞれの施設の設置目的に対する効果や行政コストなどの検証評価を反映することが重要だと考える。
 そこで、施設評価反映の方法の考え方について伺う。

【2.3回目答弁要旨】
 今回まとめた施設白書データは、施設分類に応じた単位コスト比較や稼働率比較として評価に取り入れることで、施設の必要性の評価を実施し、複合化や用途変更、廃止など施設の方向性を示すための材料としていきます。
 また、施設評価結果が廃止となった施設については、改善指示を行うなど、公共施設等総合管理方針で述べています。「施設適正化フロー」を実施するとともに、施設所管課と連携する体制を築き、さらなる公共施設の質と量の最適化を図るなど、継続して取り組んでいきます。

【2.まとめ】
 単位コストや稼働率などを施設の必要性の評価に活用するということだった。
 施設の種類によっては、単位コストという支出面だけ見るのではなく、収益まで含んだ行政コストも評価基準として是非考慮していただきたい。特に民間でも提供し得るサービスを提供する施設については、このことが重要になると考える。
  2.については終わる。

【3.1回目答弁要旨】
 まず、施設分類ごとの収支比率の妥当性についてですが、この施設分類は公共施設等総合管理方針の策定段階において施設の用途ごとに分類したもので施設白書との整合性を図っています。
 収支比率を単純に収入÷支出にて計算した場合、施設分類ごとでは、市営住宅が99.9%と最も高く、次いで保育所等が20.9%、博物館等が12.0%となっており、残りは全て10%未満という状況です。
 一方、学校施設や保育所などは、個別法に基づき設置されている施設であること、また、文化施設やスポーツ施設は指定管理者制度にて利用料金制を採用しているなど、施設ごとに様々な要因があります。
 したがいまして、収支比率は施設の妥当性を判断する上で、一つの要因とはなりますが、それだけで妥当性を判断することは難しいと考えています。
 次に、運営形態の課題についてですが、個別法以外の「公の施設」は、「住民の福祉を増進する目的をもってその利用に供するための施設」であることから、収支比率などを考える中で、受益者負担の観点、時代のニーズの観点を踏まえつつ、行政が提供する必要があるサービスを見極め、民間活用や移行も含めた更なる公共サービスのスリム化が必要であると考えています。

【3.2回目質問】
 答弁では、施設の性格の違いがあり、収支比率を施設の妥当性の判断の根拠とすることは難しいということ、個別法以外の「公の施設」については、受益者負担の観点、民間活用や民間移行なども必要と考えているとのことだった。
 今回は収支比率ということで質問したので、市営住宅は99.9%となっているが、減価償却費まで含んだ経常費用を分母とし、収入を割ると市営住宅についても33.4%となる。市営住宅の設置が住宅困窮者の支援策であり、減価償却費分が支援になっているということができると思う。
 公共施設の性格をそのサービスの性質により分類する場合、二つの軸により傾向を見る見方がある。今年1月の総務委員会では、公共施設の使用料改定の検討方法として、この二つの軸により受益者負担割合を設定していくという考え方が示された。
 一つの軸は「民間による提供の可能性」の度合いを測るものであり、もう一つの軸は「生活上の必要性」の度合いを測るものである。それぞれの軸を高い、中くらい、低いの三つに分けることで、九つのゾーンを設定し、ゾーンごとに受益者負担の率を0%~100%に25%刻みで定めている。
 一方、白書の収支状況は28年度の実績を示すものであり、答弁にあったように施設分類全般的に収支比率は低かった。経常費用に対する受益者負担率は、1月総務委員会で示された負担率とは大きくかい離していることがわかる。
 30年度の施設使用料改定後受益者負担の比率は改善することが期待されるものの、受益者負担の激変を避ける必要があることから、依然として行政の負担は目指すところまで下がることはないと思われる。
 この状況を改善するためには、指定管理による民間活力をより一層発揮させることを考えなければならないのではないのか? そのためには、まず、指定管理事業における指定管理者の利益状況の把握をするべきではないのか? その上で、自主事業等の一層の充実を促し、使用料収入の増加や指定管理料の見直しなどを行うべきと考える。
 指定管理における、民間ノウハウ等の一層の発揮を促すための方策について、当局の考え方を伺う。

【3.2回目答弁要旨】
 文化施設やスポーツ施設、子育て支援系施設といった集客施設については、民間ノウハウがより発揮できる施設であると考えています。
 特に利用料金制を採用している施設については、指定管理者がノウハウを最大限発揮することで、経費の削減とともに収入の増加も期待できます。その結果、指定管理料の減が提案され、行政コストお軽減につながるものと考えています。
 こうしたことから、集客施設については、公の施設ということを念頭に置きながら、幅広い提案事業や自主事業の拡大など民間手法を一層発揮できるよう効率的・効果的な指定管理者制度の運用をしていきたいと考えています。

【3.まとめ】
 民間手法を一層発揮できるよう効率的・効果的な指定管理者制度の運用をしていくとのことだった。是非、その方向で進めていただきたい。
 民間事業者は、それぞれ得意な領域で限られた資源の中で、如何に世の中に役立つことができるかを追求している人たちと見るべきだと思う。ただ、利益を追求するだけでは存在しえないはず。
 そういう意味では、公共施設という資源を活用し、どのように公益に寄与しているのかをしっかり評価することが重要であると考える。より安価な指定管理料にするということも含まれる。それが民間事業者の力を発揮してもらうために必要なことなのではないか?
 そういった評価について、指定管理者に、まずはどういう公益を提供していただけるのか、その辺の目標を示すこと、あるいはその目標に対する意欲、そういったものを見て指定管理者を選択していくことなど、指定管理者のモチベーションをさらに向上させることが重要であると思う。指定管理ということが、ただ民間の安い労力を活用するというだけに終わってはいけないと思う。
 民間の人たちの、公益にどのように貢献していくのか、その気持ちをどうやって引き出していくか、その方法を考えること、そして、そのことをしっかり評価してあげること、そのことが指定管理者の能力を発揮してもらうために大変重要であろうかと思う。今後そのあたり、これからの指定管理の在り方ということについて、ぜひ御留意をいただきたい。 以上で、全ての質問を終わる。


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