2017年6月12日(月) 一般質問
青字は答弁
質問テーマ [平成28年総務省人口移動報告の結果を踏まえた、持続可能なまちづくりの方策][新しい公会計制度の有効活用の方策]

平成28年総務省人口移動報告の結果を踏まえた、持続可能なまちづくりの方策

【1回目】
 まちの持続可能性ということについて人口の面から考えると、人口が減少し続ければいつかまちは消滅することになり持続可能とは言えなくなる。逆に人口が増加し続けた場合においても、地球上あるいは地域内の資源が有限であることを考えれば、いつまでも増加し続けることがあり得るとは考えられない。
 このことから、まちが持続可能であるためには、人口はある一定の水準の中で比較的小さな変動に収まっている状態が望ましいと考える。なぜなら、仮に一定水準を超える人口変動、例えば人口減少のトレンドが明らかになった場合には、サービス産業の衰退や撤退によりさらに人口減少は加速し、急激な人口減少を誘因することが容易に想像できるからである。消費者が減ればサービス産業の売り上げが減少し、サービス産業で働く人の中には職場を失う人が出てくるため、悪循環が加速する可能性が高いという意味だ。
 本年1月31日、総務省は、住民基本台帳人口移動報告の平成28年結果を公表した。それによれば、平成28年における豊橋市の日本人移動者の転出超過数が、前年より267人増え942人となり、日本の市町村の中で第18番目に多いという結果だったということだ。まちから出ていく人数と入ってくる人数の差が、日本で18番目に多いという意味。このことは大手サービス産業のマーケティングにも少なからず影響を与えるはずで、大変ショッキングな結果だと感じている。
 本市では平成27年10月に豊橋市人口ビジョンと豊橋市まち・ひと・しごと 創生総合戦略を策定している。まだ一年半が経過したばかりとは言え、人口ビジョンで想定する社会動態とは大きく異なる状態が生じている。先ほど申し上げた悪循環に陥らないためには、社会動態の改善方策について早急に対応を考える必要があるのではないか。
 持続可能なまちであるためには、豊橋で生まれ、様々なことを学びに市外へ出た子たちが帰って来ることができる条件を考えていくことが必要と考える。そこで、以下の点について質問する。

  1. 平成28年総務省人口移動報告の結果の認識について
  2. まちの持続可能性を高めるための社会動態改善の方策について
    1. シティ・プライド醸成の必要性と方策について(暮らしたいまちであるために)
    2. 次世代が望むまちづくりの方向性について
    3. 目指すべき産業構造の在り方について(暮らしていくことができるまちであるために)

【1. 1回目答弁要旨】
 本市では、平成21年に転出超過となり、以降その傾向が続いています。その内訳を年齢階級別で見てみますと、20代、30代が高い割合を占め、転出先として東京都や神奈川県など大都市圏のほか、県内では名古屋市のほか岡崎市、豊川市などが多い状況となっています。
 転出超過の主な要因として、大都市圏への進学や就労のほか、企業の雇用計画や周辺地域の宅地開発なども影響しているものと考えており、平成28年度の結果についても、近隣の大手製造業の期間従業員の削減や豊川市の宅地分譲の増加などが少なからず影響しているものと推測しています。
 いずれにしても、これら転出される世代の多くは、これから家庭を持ち子どもを育んでいく世代であることから、自然動態へのマイナス影響や地域コミュニティの衰退といった、様々な問題が深刻化する懸念をはらんでおり、今回の結果は看過することのできない状況を示しているものと認識しています。

【1. 2回目質問】
 転出が多かった原因としては、近隣の大手製造業の期間従業員削減、豊川市の宅地分譲の増加が推測されること、20代30代の転出割合が高く、今後の影響を考えると看過できないとの答弁だった。是非、看過することなく積極的なアクションを起こしていただくことを期待する。
 そこで、さらに二つのことについて順次お伺いする。 まず、大手製造業の期間従業員削減が転出増加原因の一つと推測するとのことだったが、自動車関連が多くを占める本市製造業に与える影響をどのように考えているか伺う。

【1. 2回目答弁要旨】
 大手製造業の期間従業員の削減は、生産量の縮小に伴うものが大きく、関連企業との取引も小さくなるため、本市製造業全体にも生産及び雇用の両面から縮小方向に影響を及ぼすものと考えられます。特に、自動車産業はすそ野が広いため、その影響は大きいものと推察します。
 従いまして、やむなく離職を余儀なくされたとしても、その人の持つ能力が、別のところで再び活かされるような、業種の多様性に富み、雇用力ある地域産業づくりが大切であると考えています。

【1. 3回目質問】
 昨年の転出超過が増加した原因である、近隣の大手製造業の期間従業員削減は、市内の雇用にマイナスの影響を及ぼす恐れがあるとのことであった。市内の、特に中小企業の動静については緊張感を持って見守っていただき、よくない傾向が見られた時には迅速に適切に対応していただくことを期待する。
 まずは、このような応急的対応もしっかり行っていただきたいと思う。次に、恒久的対応という面から伺う。
 平成28年の転出超過人数は942人だったわけだが、人口ビジョン作成における社会移動については、2000年から2005年の純移動率と2005年から2010年の純移動率の平均値を用いている。
 この純移動率を現在の人口に当てはめた場合、実数は何人の社会増あるいは社会減ということになるのか、ということについて伺う。

【1. 3回目答弁要旨】
 人口ビジョンでは、社会増減の推計にあたり、年齢5歳階級別に流入傾向の強かった2000年から2005年の純移動率と、流出傾向の強かった2006年から2010年の純移動率の平均値を用いて算出しています。
 平成27年の国勢調査結果を元に同様の計算を行いますと、あくまでも仮定による推計値ですが、平成28年は312人の転入超過という結果となります。

【1. 4回目質問】
 人口ビジョンで想定した純移動率を当てはめると、平成28年の社会移動は312人の転入超過であったということだった。
 豊橋市のホームページで住民基本台帳における人口増減数の推移を見てみると、社会減があったのはここ1〜2年だけでのことではない。平成22年以降平成28年まで7年間ずっと社会減が続いている。
 この状態を改善しなければ、人口ビジョンの想定人口と実態が大きくかい離してしまいかねない。そこで4回目の質問として伺う。今、このことに対して選択肢は二つあると思う。
 一つは、実態に合うように人口ビジョンを変えていくということ、もう一つは、人口ビジョンの想定を実現できるように、社会動態改善に向けたアクションを行う新たな計画を立てていくということ。この二つのどちらの方策をとるか考え方を伺う。

【1. 4回目答弁要旨】
 今、どのような方策を取るのかという話だったと思いますが、人口ビジョンをつくったのが平成27年です。したがいまして、まだ策定したばかりということで、もちろん今かい離が始まっているわけですが、今一度、少しこの状況を見きわめたいと考えておりまして、現時点では人口ビジョンを見直すという考えは持っておりません。
 したがいまして、先ほど言いましたように、できるだけこの状況を注視しながら、社会動向に対応できるように新たな手を打っていくと。そのためには、毎年やっていますが、この総合戦略の検証を行い、総括を行い、それに従ってアクションプランを目指していくといったことで、対応をまずはしていきたいと思っているところでございます。

【1. 5回目質問】
 当面は人口ビジョンを変えるということは考えずに、しばらくは情勢を注視していきたいというお答えだった。
 先ほどのお答えでは看過できないとおっしゃったが、看過できないということと注視するということは矛盾するような気がするが、もう少し説明をしていただきたい。

【1. 5回目答弁要旨】
 もちろん看過できないということはそのように思っていますが、先ほど申し上げたように、今回の大きな転出超過というのは、近隣の製造業の雇用計画であるとか、あるいは周辺のこと、つまり外的な要因が多いわけです。したがいまして、そういったことは、言ってみれば想定外ではないですけれども、当初見込んでいたもの以外のことが要因となっております。ということは逆のこともあり得るわけでございまして、そういった意味で、しっかり注視をしていきたいと思っているところです。

【1. まとめ】
 もしかすると逆のことが起こるかもしれないので、注視していきたいということだが、その前のお話として、今回の大手製造業の期間従業員削減という話は、そこにとどまらず本市製造業にマイナスの影響を及ぼす恐れがあるかもしれないという産業部長の答弁もあった。そのことを考えると、しばらく様子を見るということではなくて、早急に何か考えていかなければいけないということだと思う。
 ここから先は水かけ論になりそうなのでこれ以上言わないが、次の2.c.のところでは、それに関連するので、そちらの方でもう一度やりたいと思。是非このことについては、看過することなくというのは本当に大事だと思う。注視するのではなくて、看過することなく、ぜひ対応を、それも応急対策だけでなくて恒久対策という意味で、真剣に考えていただきたい。

【2.a. 1回目答弁要旨】
 自分達の暮らすまちへの愛着や誇り、いわゆるシティ・プライドは、「ここにずっと住み続けたい」「進学や就労のために転出したとしてもまた戻ってきたい」といった思いを育み、ひいては自発的なまちづくり活動などへの参加にも繋がってくるものと考えています。したがってシティ・プライドの醸成は、人口流出に歯止めをかけるためにも大変重要な取り組みであると認識しています。
 そうしたことから、本市では、シティプロモーション活動の柱の一つとして「アイラブとよはし運動」を位置付け、様々な地域内向けの魅力発信事業を積極的に展開するなど、豊橋に対する愛着や誇りの醸成に取り組んでいるところです。

【2.a. 2回目質問】
 暮らしたいまちであるために、自分達の暮らすまちへの愛着や誇りは大切であり、「アイラブとよはし運動」を行っているとの答弁だった。
 まちが持続可能であるためには、先ほど申し上げたように、このまちで産まれた子ども達の多くが、このまちで次の世代を産み育てるようになることが必要不可欠だ。多様な知識や技術を学ぶために他所のまちに行っても、働く場所としては豊橋を選択したくなる、そういうまちでなければならない。
 そのためには、働く場があるばかりでなく、ふるさと豊橋に誇りを持つことができ、自分もふるさとに貢献したいと思えることが大変重要であると思う。
 昭和61年に発刊された「郷土豊橋を築いた先覚者たち」には素晴らしい人たちが数多く紹介されている。そんな先人の努力のお蔭で今の豊橋はある。しかし、これらの人のことを知っている人は多いとは言えない。
 そして、この質問を考えていた先週金曜日、新聞に市のホームページ上に「豊橋偉人ウェブ」が作られたという記事が掲載された。大変有意義なことだと思う。
 ただ、ウェブ上の情報提供ではわざわざ見に行かなければならない。もっと人の目に触れる場所での情報提供を考える必要があるのではないか?駅のペデストリアンデッキとか豊橋公園へのパネル展示なども考えられる。
 さらに、内容的にもその人の功績が後の豊橋にどれほどの力となったのかなどを、もう少し詳しく説明が欲しいと感じる。今後の対応について考え方を伺う。

【2.a. 2回目答弁要旨】
 今回、「とよはし偉人ウェブ」でデータ化した偉人パネルは、昨年、110周年記念事業としてプラットで開催した「とよはし偉人カフェ」のために制作したもので、中央図書館や愛知大学でもパネル展示したものです。
 偉人の紹介については、小学校の副読本や教員用の参考書なども制作し利用していると伺っていますが、この偉人パネルについても、今後もホームページやイベント等、様々な方法で広く市民の方に周知する機会を増やす他、議員ご指摘の常設展示や功績内容の充実についても考えていきたいと思います。
 加えて、教育委員会を通し、小・中学校での郷土学習で活用してもらえるよう働きかけていきたいと考えています。

【2.a. まとめ】
 もっと内容の充実、あるいは展示方法についても検討いただけるということだったと思う。
 市役所を出てすぐ豊橋公園の中には、中村道太さんの石碑がある。通っても何かなと、あまり関心を持たずに通り過ぎてしまう人は多いと思われる。もっと目立たないところで、赤岩の山頂には近藤寿市郎さんの銅像がある。でも、今申し上げたように、そういうものがあるということすらご存じない方も多いし、あることは知っているが、では中村道太さんがどのようなことをした人なのか、あるいは近藤寿市郎さんがどのようなことをした人なのか、そのお蔭で今私たちはどれほどの恩恵を受けているのか、そのことをわかっている人というのは、非常に限られてくる。
 若い世代にふるさとのために貢献したい、そういうモチベーションを育てていかないといけないが、それはやはり、今まで先人が私たちのために残してくれたこの功績に対して、感謝の気持ちをしっかり表現していく、そのことというのが続く世代の人たちに、よし自分もまちのために頑張るぞという気持ちになる、そういうことになろうかと思う。そのようなモチベーションを育てるということに一層力を注いでいただくことを期待する。

【2.b. 1回目答弁要旨】
 若い世代が望むまちとは、やりがいのある仕事に恵まれ、結婚後も安心して生活できる、将来に希望が持てるまちであると考えています。
 そのためには、本市の強みを活かした地域産業の活性化などによる雇用の確保はもとより、若い世代が安心して子どもを産み育てることができる環境と、彼らを地域で見守り支えていくことができる仕組みをつくりあげていくことが重要であると認識しています。

【2.b. 2回目質問】
 若い世代が望むまちのあり方として、雇用の確保、子育て環境の整備などをあげていただいた。当局の皆さんで真剣に考えていただいたことであり、必要なことだと思う。
 しかし、肝心のご本人達の意向はもっとしっかり聞く必要があるのではないか? 暮らすことになるまちを豊橋にするのか、他所のまちにするのか、選択することになる人たちの希望を聞くという機会が乏しいと感じている。
 高校生や大学生の声を聴くということ、そしてその結果を尊重するということ、そのことが若い世代のこのまちへの愛着と関心を生むのではないか? 認識を伺う。

【2.b. 2回目答弁要旨】
 高校生や大学生の声を聴き、その意見を尊重することは、若者の地元への定着を図る上で非常に重要なことと認識しています。
 本市ではこれまでも「まちづくりカフェ」や「大学生定住意識調査」などを実施し、高校生や大学生のニーズ把握に努めているところです。
 また、例年行っている市民意識調査の対象年齢を昨年度よりこれまでの20歳から18歳に引き下げ、より若年層に拡大したほか、女性や子育て家庭などを対象に幅広く様々な形で意見を伺っており、いただいた意見を踏まえた様々な施策を行うことにより、「豊橋」に対する愛着と関心を深めることにつなげていきたいと考えています。

【2.b. まとめ】
 まちづくりカフェや大学生定住意識調査などで、高校生や大学生のニーズ把握をしているとのことだった。
 「まちづくりカフェ」では、大学生の中に若手職員も入ってワークショップを行っているとも聞いている。ただ参加人数がまだ少ないと思う。より多くの若者に、深く考えてもらえるような方法の検討、さらにはワークショップでの結論の公開方法など研究を進めていただきたい。
 特に参加人数を増やすことは重要だと思う。直接的にどんなまちを希望するかを聴くという方法もあるが、高校生たちに他所のまちに何を勉強しに行くのかといったことを聴くのも参考になるはず。さらに研究していただくことを期待する。

【2.c. 1回目答弁要旨】
 本市の特徴であります、農業・工業・商業・サービス業のバランスの良さが高いレベルで保たれる中で、時代の変化に適応しながら持続的に発展していく形が望ましいと考えています。
 それは、幅広い分野で様々な仕事を継続的に生み出し、若者や女性、あるいは一度現役を引退した高齢者など、これから働こうとする方々の多様な就労ニーズの受け皿になり得るものです。
 そのため、昨年度スタートさせた第2次豊橋市産業戦略プランに基づき、産学官金連携による技術開発など新産業の創出に引き続き取り組むとともに、土地改良事業や新たな工業用地の開発など、基盤整備を促進し、さらなる産業集積を図るほか、農業者や中小企業者の設備投資あるいは販路拡大の促進など、経営力強化の支援に取り組んでいきます。
 生産年齢人口が減少し、人口の社会動態も厳しい数字が出ていますが、こうした施策を積極的に展開することで、「暮らしていくことができるまち」を産業の面から支えていきたいと考えています。

【2.c. 2回目質問】
 本市産業はバランスのとれた業種でなりたっていること、第2次産業プランの実現に取り組んでいくことなどを答えていただいた。
 豊橋で産まれ、他所のまちへ多様な知識・技術を勉強に行った若者が、帰ってきて働ける場所が必要だ。第2次産業プランの産業戦略の全体目標の「雇用」については、平成32年の年間雇用増加数を2,500人にするとしているのみであり、その質については触れていない。
 今の豊橋は業種の広がりはあるかもしれないが、職種ということについてはかなり限られた状態にあると感じる。勉強に行った若者が帰ってくる職場を増やすには、職種の広がりを目指すべきではないのか?
 プランの三つの基本方針の二番目には「産業集積の促進」があげられているが、職種の広がりを期待して、「多様な業種による」産業集積の促進を目指すべきではないのか?
 研究、開発、製造、プロモーション、物流などの多様な業種は多様な職種を生むことが考えられる。これを実現するためには、あるテーマで括られた産業クラスターの形成を目指すことが必要だと考えるが、認識を伺う。因みに豊橋では、国際自動車コンプレックス計画という産業クラスターを進めたという経験もあるわけで不可能とは思わない。

【2.c. 2回目答弁要旨】
 さらなる産業集積を図るため、新たな工業用地の確保など新規企業の立地を進めていくとともに、企業の本社機能や研究開発機能の誘致にも力を入れていきます。このことで、単に生産を高めるのみならず多様な職種を生み出し、ICT・クリエイティブ関連などのサービス部門など他の業種の集積を高めることにもつながるものと考えています。
 産業クラスターの形成については、6次産業化を含む「食農産業」、三河港での「自動車関連」の集積に引き続き取り組んでいくとともに、産学官の交流促進、異業種連携による新事業創出、ロボット・ICTなど成長分野における新技術開発などを支援する中で、新たな産業の受け皿となるクラスター形成にも取り組んでいきたいと考えています。

【2.c. 3回目質問】
 新たな産業の受け皿となるクラスター形成にも取り組んでいきたいとのことだったので、大いに期待する。
 クラスターを形成していくには、いくつかのプロセスが必要となる。例えば、テーマの検討、構想づくり、必要なインフラ(ハード・ソフト)をつくる、企業や機関の誘致とか、いろんなことを進めていかなければならないし、行政だけでできることでもない。様々な組織や人の力が要る。
 そこで、さらに質問したい。そんな中で、様々な組織や人の協力を得るために最初にやらなければならないこととはどういうことなのか、また、市としての役割が最も必要とされるところはどんなことなのか、認識を伺う。

【2.c. 3回目答弁要旨】
 産業クラスターについてですが、これは一つのテーマを軸に、関連するさまざまな業種の集積が図られるというもので、その形成には地域のさまざまな組織、それから産業の特質などのポテンシャルに加え、さまざまな事業者が交流し、共同でシステム開発などに取り組むことのできる場と、その成果の事業化に向けた地域ぐるみの支援が欠かせないと認識しています。主役は事業者の皆様でありますが、行政はこうした環境づくりに力を入れて行く必要があると考えています。
 そこで本市としては、これまで築き上げてきた産学官金の連携を基礎に、株式会社サイエンス・クリエイトの活動を通し、研究会やコンソーシアムなど、特定のテーマに基づく連携、推進体制を継続的に支援していきます。それとともに、その中で得られた成果については、広く地域への還元に努める中で、意欲ある方々の新事業創出、新分野進出などへの活用を促していきたいと考えています。
 このようにテーマを定めた連携・事業化の促進に取り組み、地域産業のさらなる集積と新たな展開を図ることで、クラスターの形成にもつなげていきたいと考えています。

【2.c. 4回目質問】
 先ほど、この転出超過状態は看過できるものではないとの答弁だった。そのことを真摯に考えるのであれば、このまちの持続可能性を守るためには、これまでとは違う何かをやっていくことが必要だということだと思う。
 今の産業部長のお話は、これまでやってきたこととどこが違うのかというのがよくわかりにくいのだが、その辺も説明していただきたい。

【2.c. 4回目答弁要旨】
 今の答弁とこれまでとの違いでございますが、事例的に申し上げると、例えば、施設園芸一つとっても、IGHというさまざまな主体の集まる場での実証実験、それからもう一つには、次世代の施設園芸のコンソーシアムという、今度は育苗から出荷までの広がりを見せたプラント、そして、その後、豊橋市は国の農業産地パワーアップに、さらに環境制御装置などの先端技術を入れた施設園芸には市独自で補助をするといった、個々、個々の取り組みを組み合わせて、その技術移転を進めていくまでの仕組みをつくり上げてきたのは、ここ2年ぐらい、2〜3年の取り組みです。
 過去、これまでやってきたことは、それはベースになっておりますけれども、取り組みが具体化しているというのは、もう既に始まっていることでして、今後ともより具体的な取り組みに力を入れて、実現という観点から進めていきたいと思っております。

【2.c. まとめ】
 ここ一、二年の間で始めたことをさらに一生懸命やっていきたいという趣旨のお話だった。そのことはぜひ進めていただきたいと思うが、もう一つ申し上げておきたいのはクラスターのテーマの考え方について、豊橋市が日本の国にどう貢献できるのか、そのことを考えるのが大事だと思う。そのことが全国から注目されて、全国からいろいろな人たちがここに参加してくる。そのようなテーマ発信ということを考えていくことが大事なのではないか。国に対しても、助けて、助けてというのが、今全国の自治体でやっているが、そうではなくて、うちはこうやって日本の国に貢献するのだ、だから少し応援してねというような形というのは、非常に説得力があるのではないかと思う。
 そういう意味で、どう貢献するかということについては、豊橋が日本の中でどれほど、どういう部分にアドバンテージがあるのかということをしっかり意識しなければいけないと思。詳しい説明は省略するが、そのことというのは、豊橋にある豊橋技術科学大学との連携強化が重要なポイントということになろうかと考える。
 また近年、AIの技術進化ということも大変よく言われる。そのことにより多くの仕事が人の手を必要としなくなるということを、いろいろな人かおっしゃっている。そのことへの対応としても、市内の職種の多様化ということへの取り組みは大変重要なことであると考える。産業クラスターの形成に向けて、積極的な取り組みに期待して、大きな1については終わる。

新しい公会計制度の有効活用の方策

【1回目】
 総務省は平成27年1月23日に各都道府県知事市町村長に対し、「統一的な基準による地方公会計の整備促進について」と題する通知を送り、平成29年度までに統一的な基準による財務書類等を作成し、予算編成等に積極的に活用することを要請した。人口減少・少子高齢化が進展している中、財政のマネジメント強化のため、限られた財源を「賢く使う」取組が極めて重要、との認識に基づくもの。
 本市でも28年度決算より、この統一的な基準による財務諸表の作成が行われることになっている。この財務諸表を有効活用し限られた財源を賢く使うためには、発生主義、複式簿記によるアウトプットがなぜマネジメント強化に結び付くかを、まずしっかり確認しておくことが大切だと考える。
 地方公共団体における財務書類の整備については、総務省から平成12年と平成13年に普通会計のバランスシート、行政コスト計算書などのモデルが示され取り組みが始まっている。その後、本市においては平成20年度決算から総務省方式改訂モデルによる財務諸表が作成されている。
 地方公会計の活用のあり方に関する研究会の報告書によれば、「統一的な基準」による地方公会計の整備が進むことにより、地方公会計は、「作って見せる」公会計から「活用する」公会計へとステージが変わることが期待されている。本市においても、どのように活用するのか、さらに庁内でどのように取り組んでいくのかを、しっかり考えていく必要があると考える。
 そこで、以下について質問する。

  1. 新たな基準による財務諸表作成の意義の認識について
  2. 財務諸表活用の考え方について
  3. 庁内の理解促進方策について

【1. 1回目答弁要旨】
 各自治体はこれまで「総務省方式改訂モデル」や「基準モデル」などの総務省が示した方式や、自治体独自の方式など、様々な方式による財務諸表を作成してきましたが、新たな財務諸表は全国統一的な基準で作成されることから、平成28年度決算以後、自治体間の比較分析が高まるものと考えています。
 また、本市が作成してきた「総務省方式改訂モデル」は、固定資産額を簡易的な方法で算出しますが、今回統一基準での財務諸表作成にあたり、全ての資産を棚卸的に調べ固定資産台帳の整備をしましたので、今後はより現実に即した形で施設ごとに資産額が把握できるようになると考えています。
 これらにより、今後は団体間比較や施設間比較をはじめ、様々な観点から精度の高い財務分析が可能になり、このことが新たな財政健全化方策の確立や政策展開などに繋がるとともに、財務状況の透明度が高まることなどが新基準による財務諸表作成の意義だと考えています。

【1. 2回目質問】
 固定資産を棚卸的に調べたことが総務省方式改訂モデルと大きく変わることであり、その結果、他団体比較や施設間比較など様々な観点から精度の高い財務分析が可能となることが、新基準での財務諸表作成の意義であるとのことだった。
 国がこの新しい公会計制度が必要であるとした時期には、地方自治体に対していくつかの計画を作るように通知している。人口ビジョン、まち・ひと・しごと総合戦略、公共施設等総合管理計画、立地適正化計画などである。これらの背景には、地方自治体の人口減少による財政ひっ迫への対応を今から考えていかなければならないという、問題意識があったはず。
 その問題意識の中で生まれてきた新しい公会計制度であることは忘れてはならない。全ての固定資産を棚卸するという大変な作業をしてでも作らなければならないものである。であるなら、「様々な観点からの精度の高い財務分析ができるようになる」というような曖昧な認識では不十分なのではないのか?
 将来の市民生活を守るためにどこを抑えておかなければならないのかということについて、従来型の公会計では明確な目安とすることが難しかったため、そこを明確にしようとして新公会計が導入されることになったのではないか。であるなら、さらに明確に意義を把握しておくことが重要なのではないか? 認識を伺う。

【1. 2回目答弁要旨】
 現在の厳しい財政状況下においては、将来を見据えた財政運営がより重要になってきます。財務諸表から得られる正確なストック情報やコスト情報を活用して施設の将来計画を立てるなど、新公会計の導入は、中長期的な視点を持った財政運営を行う上での有効なツールになるものと考えており、このような面における意義は大きいものと認識しています。

【1. 3回目質問】
 中長期的な視点を持った財政運営を行えるようになるという意義が大きいとのことだった。確かにそういう面はある。
 しかし、そのことより大きな意義があると思う。それは、一言で言えば「自治体の経営力を上げる」ということなのではないか。
 人口減少が進む中で最も危惧されているのは、自立的な行政運営ができる自治体としての持続可能性ということだと思う。人口ビジョンの中では「自主的で自立した行政運営を確保するには、少なくとも30 万人規模の人口が必要」と記載されている。このことについては、後でさらに質問しようと思うが、当局としても、人口減少が自立的な行政運営を脅かすことになりかねないという危惧を持っている訳だ。
 現世代と将来世代、その世代間の負担を大きく変わることがないようにということも配慮しなくてはならない。
 新たに作られる財務諸表では、純資産の推移を見ることにより、自治体の経営状態を把握できるようになったということなのではないか。しかも、全会計を連結した状態で見ることができる。つまり、自立した自治体としての持続可能性の目安をつくったということと理解すべきと考える。なぜなら、債務超過になったとしたら、自立した行政運営ができる自治体ではあり得ないはずだからである。
 そこで3回目の質問。新公会計制度の大きな意義とは、全会計の連結による純資産の状態を把握できるようにすることなどにより、「自治体の経営力を上げる」ことであると考える。これまでの答弁とは異なるが、このような考え方で臨むことが適切と考えるのか、あるいはそうでないのか? 当局の認識を伺う。

【1. 3回目答弁要旨】
 財務諸表の連結、そこから判断できる経営力、そのようなものを考えていくかということです。
 当然、一般会計だけの財務諸表をつくってもわかりません。これは、さまざまな特別会計、それから企業会計、そして現在では東三河広域連合、また介護保険の広域化ということもございます。その中で、さまざまな会計との連結というものが本市の財政状況、また経営を判断する中で大変重要なものであると考えております。

【1. 4回目質問】
 連結ということは申し上げたが、もう一つもっと大事なことを言っているのは、自立した自治体としての持続可能性、その目安として純資産があるのではないかということを申し上げた。そのことについてお答えがなかったので、もう一度お答えをいただきたい。

【1. 4回目答弁要旨】
 もちろん今回の統一基準による財務諸表を作成することによりまして、減価償却を正確に判断するとこによるストック情報、そういうものを確認する中で、本市の純資産というものも、より正確に把握できるようになるものと考えております。このようなものを、この財務諸表を活用することによって、本市の経営状態、もちろんその純資産のあり方も非常に大事なものだと認識をしておりますので、その辺もあわせてしっかりと分析して、活用してまいりたいと考えております。

【1. まとめ】
 債務超過になってしまったら自立的な行政運営というのはあり得ない。だから、純資産が減っていってしまうことがないように経営をしていかなければいけないということだ。そこのところは、市長初め全管理職の方がきちんと意識していただく必要があると思う。今度、そういう財務諸表をつくられた暁には、職員の皆さんに対しても、あるいは市民の皆さんに対しても、この財務諸表というものはそういう意味を持つものだという、ここのところをきっちりと説明をして、その上で公表、そのようなこともお考えいただくことが大事だと思う。

【2. 1回目答弁要旨】
 統一基準での財務諸表の作成により、本市が所有する資産の状況が詳細にわかるようになるので施設ごとに現状分析を行い、これにより得られた結果を施設の最適化に向けた検討材料として用いるなど、適正な資産管理に活用したいと考えています。
 また、これまでは教育や福祉などの目的別決算額や人件費や物件費といった性質別決算額を基に財務諸表を作成してきました。新基準では一つひとつの歳入歳出データを基に財務諸表を作成するため、事業別の行政コストも把握できるようになることから、類似する事業相互でコスト比較を行い、事業内容を見直し、その結果を翌年度予算要求に反映させるなど、ハード事業・ソフト事業いずれに対しても有効に活用できるものと考えています。

【2. 2回目質問】
 施設ごとに現状分析を行い適正な資産管理に活用する、あるいは事業間でコスト比較を行い事業内容の見直し等に活用するとのことだった。類似する事業相互でコスト比較を行い、事業内容を見直し、その結果を翌年度予算要求に反映させるということも言われた。
 ただ、これらは今まででもやってきたことなのではないか。そのことだけではきちんと固定資産台帳を作り、発生主義・複式簿記により作成される財務諸表の特性を活かしているとまでは言えないのではないか?
 冒頭申し上げた総務省の通知では、「予算編成等に積極的に活用されるよう特段のご配慮をお願いします。」とあえて書かれている。予算編成等への活用ということについては、この財務諸表の特性を活かしていくことを考えるべきではないのか。認識を伺う。

【2. 2回目答弁要旨】
 これまで見えにくかった減価償却費など現金の支出を伴わないコストの認識や、資産・負債などのストック情報を一覧的に把握ができる新たな財務諸表の特性を活かして、先ほど申し上げた施設や事業ごとのコスト比較などを行うセグメント分析を予算編成等へ活用していきたいと考えています。

【2. 3回目質問】
 セグメント分析を予算編成に活かしていくとのお答えだった。
 1.では統一的基準による財務諸表の意義について議論したが、その意義に沿った成果を出していくためには、この財務諸表の特性を活かしていくことを考えるべきと考える。
 発生主義というのは、ものを買う時などに、支払った時ではなく納品された時に経費計上されることで、リアルタイムでの財政状況が把握できるというものだ。資産等については機能が活かされた時に経費化されるわけで、減価償却費や引当金が設定されることになる。結果的に、行政コストが年度間で平準化されることにより、長期的な行政コスト構造が見通しやすくなることに注目すべきであると考える。
 一般的には、組織の健全な経営のためには、トップが長期的な組織全体の経営目標を立てた上で、短期の、部門ごとの、目標を立てる方法がとられることが多いし、それが合理的であると思う。経営力を上げる、つまり戦略的経営というのはこういうことだと思う。
 予算への活用をより効果的にするためには、長期的なそして全会計を連結した状態での財政規模や行政コスト構造等を目標として定め、それをブレイクダウンして、短期かつ分野別の計画である、各会計の単年度予算の作成をするという手順が適当であると考える。
 そこで3回目として伺う。今申し上げたような形で戦略的な予算とするために、財務諸表を活用するということについて、当局の認識を伺う。

【2. 3回目答弁要旨】
 長期的また連結的な会計の連結をした財務諸表、そして目標を持ってということでございます。
 本市におきましても、財政計画を作成しております。この財政計画にこの新たな財務諸表からのそれをまた分析する中で、長期の財政計画、5年から10年の財政計画を作成していきますけれども、その中で当然、各会計とのやりくり、これは連結という観点でございますけれども、そして目標を持った、これは本市としてどのような形でいくのか、いろいろな計画に基づきまして、目標を持った形での事業執行というものを視野に入れた中での長期の財政計画を作成する中で、予算執行をしていかなければいけないと考えておりますので、それにも有効に、新たな財務諸表を活用していきたいと考えております。

【2. 4回目質問】
 長期の目標をどうするかということに関連して伺う。2015年7月の地方創生等計画策定調査特別委員会で、「2060年の人口33万人でどのような財政状態になるのか、自立した行政運営ができるのか、シミュレーションを行うべきではないのか?」という私の質疑に対して、当時の財務部長から「自立可能な財政規模、財政運営というのは、常に我々が考えなければいけないことだと認識をしている」そして「いろいろな推計の仕方、あるいはそのシミュレーションの仕方等、どのような方法があるのかということも検討あるいは勉強していく必要がある」との答弁をいただいている。
 このシミュレーションが、まず出発点になると思うが、どのように行うのか、あるいは行ったのか伺う。

【2. 4回目答弁要旨】
 このシミュレーション、まだ現在のところ行っておりません。今後、新たな法改正制度に基づく財務諸表を作成した中で、先ほどお答えいたしましたけれども、財政計画、それに反映する中で、またそのときの人口動態等も、市民一人当たりの行政コスト等反映する中で、財政計画を作成し、シミュレーションをして、健全な財政運営に反映させていきたいと考えております。

【2. まとめ】
 2015年にやっていただけるという答弁をいただいたことが、まだできていないということであり、これはぜひ早くやっていただく必要があると思う。 とにかく、今回豊橋市の自立的行政運営ということについては、本当に真剣に考えなければいけない状況ができたと思う。そこのところを財務諸表の中からどうするのか、しっかり考えて、これからの対応を考えていただきたい。

【3. 1回目答弁要旨】
 各自治体はこれまで「総務省方式改訂モデル」や「基準モデル」などの総務省が示した方式や、自治体独自の方式など、様々な方式による財務諸表を作成してきましたが、新たな財務諸表は全国統一的な基準で作成されることから、平成28年度決算以後、自治体間の比較分析が高まるものと考えています。
 また、本市が作成してきた「総務省方式改訂モデル」は、固定資産額を簡易的な方法で算出しますが、今回統一基準での財務諸表作成にあたり、全ての資産を棚卸的に調べ固定資産台帳の整備をしましたので、今後はより現実に即した形で施設ごとに資産額が把握できるようになると考えています。
 これらにより、今後は団体間比較や施設間比較をはじめ、様々な観点から精度の高い財務分析が可能になり、このことが新たな財政健全化方策の確立や政策展開などに繋がるとともに、財務状況の透明度が高まることなどが新基準による財務諸表作成の意義だと考えています。

【3. の2回目以降の質問は時間切れにより取り止め】


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