2015年3月30日(月) 東三河広域連合臨時議会
青字は答弁
質問テーマ [財政状況の公表に関する条例][広域連携調査研究費]

議案第13号「東三河広域連合財政状況の公表に関する条例」について

【1回目質問】

  1. 第1条によれば、この条例設置の趣旨は、地方自治法第243条の3第1項の規定に基づき、東三河広域連合の財政に関する事項の公表について必要な事項を定めるもの、としている。
     そこで、この条例を定め財政状況を公表するということの意義について、どのように考えているのかを伺う。
  2. 第2条では、「財政状況の公表は、毎年2回これを行うものとする。」としている。そこで、財政状況の公表ということについて、どのような内容のものをどのような方法で行うのか、ということについて伺う。

【答弁要旨】

  1. 財政状況の公表につきましては、地方自治法の規定により、公表すべき事項、公表の方法及び回数等を具体的に条例で定めていくものでございます。
     地方の財政状況が引き続き厳しい状況にある中、地方公共団体が住民の理解と協力を得ながら健全な財政運営を行うには、自らの財政状況について、より積極的に、わかりやすく情報を公表することが求められているため、東三河広域連合においても、住民の皆様に財政状況をお知らせしていく責務があるものと考えております。
  2. 財政状況の公表の時期につきましては、毎年2回、6月頃と11月頃を予定しております。
    公 表の内容といたしましては、6月頃に3月31日現在の、11月頃に9月30日現在の収入及び支出の概況並びに財産、地方債及び一時借入金の現在高を公表してまいります。また、併せて、前年度決算の概要につきましてもお知らせしてまいりたいと考えております。
     なお、公表の方法につきましては、掲示場への掲示のほか、ホームページや、年2回発行予定の広報誌への掲載を予定しております。このように様々な方法を用いまして、広域連合の財政状況を広く住民の皆様にお知らせしてまいりたいと考えております。

【2回目質問】

  1. 「住民の理解と協力を得ながら健全な財政運営を行うには、自らの財政状況について、より積極的に、わかりやすく情報を公表する責務がある」とのお答えだった。
     この条例の根拠となる、地方自治法第243条の3第1項には、「普通地方公共団体の長は、条例の定めるところにより、毎年二回以上歳入歳出予算の執行状況並びに財産、地方債及び一時借入金の現在高その他財政に関する事項を住民に公表しなければならない。」と示されている。
     「普通地方公共団体の長は」と書いてあるのに、なぜ「地方公共団体の組合」であり特別地方公共団体に位置づけられる東三河広域連合に適用するのか、という疑問があった。
     これについてはあらかじめお伺いしたところ、地方自治法292条の定めにより、「地方公共団体の組合については、法律又はこれに基づく政令に特別の定めがあるものを除き、市及び特別区の加入するもので都道府県の加入しないものにあっては市に関する規定を準用する」とされており、広域連合はこれに該当することになるということだった。
     とはいうものの、総合的に住民福祉の増進を図ろうとする市町村と、特定の事務事業を行う東三河広域連合が、財政の公表ということの意義は同じでいいのかという疑問は残る。
     市町村の財政公表の意義は答弁でおっしゃる通りだと思う。しかし、東三河広域連合にあっての財政公表は、その取り扱う事務事業によりどれ程のアウトカムがあったのかを把握できるものでなくてはならないのではないか? なぜなら、今後、東三河広域連合が確実に成果をあげていくためには、マネジメントサイクル即ちPDCAを回していくことが必要であり、そのためには成果の指標の推移を把握することが不可欠となる。最近、地方創生の議論の中でもKPIすなわち重要業績評価指標を明確にし、PDCAを回していくことの必要性が言われている。
     そこで、財政公表の意義についての2回目の質疑として、「成長する広域連合としての財政公表の意義は、PDCAを確実にまわすためや、広域連合に対する住民の理解促進をはかるための、各事務事業における『KPI』の推移の公表を行う」ということではないかと考えるが、認識を伺う。
  2. 財政公表の具体的な方法については、5月と11月に、収支の概況、財産、地方債等の現在高を、ホームページや広報誌の中で公表していくとのことだった。
     本年1月23日に、総務大臣より各都道府県知事、各市町村長宛に「統一的な基準による地方公会計の整備促進について」と題する通知がされた。統一的な基準による財務書類等を原則として平成27年度から平成29年度までの3年間で全ての地方公共団体において作成し、予算編成等に積極的に活用することを要請するもの。
     東三河広域連合はまだ財政規模も小さく、新しい会計制度への対応も難しくないと思われる。統一的な基準による財務諸表は広域連合における事務事業のアウトカムを図るKPIとしては、利用しやすいものでもある。
     例えば、東三河広域連合ではスケールメリットの追求によりコスト縮減を図ることが、ねらいの一つとして挙げられている。行政コスト計算書はまさにそれを示すものとなる。セグメント別に構成団体との連結数値を出すことができれば、成果が上がっているのかは一目瞭然となる。公共施設の水平補完ということであれば、連結によるバランスシートから住民一人あたり公共資産保有高の推移で、成果が把握できる。規模の拡大による発信力の強化ということであれば、行政コスト対税収比率の推移で成果が把握できる。
     そこで2回目として、東三河広域連合の財政公表として、統一的な基準による財務諸表の作成を行い公表していく考えはあるのか、について伺う。

【答弁要旨】

  1. 財政公表の意義として、PDCAを回わすために、住民理解促進を図るため、各事務事業のKPIを使ってその推移を公表してはどうか、というご質疑だと思います。
     事務事業としては現在共同処理事務を進めようとしていますが、事務事業における指標の設定あるいはその推移の公表という点については、住民の理解度を増すことが一番の目的ではなくて、PDCAを回していくということはその効果が発揮できているのかを検証し、改善につなげていくためのツールであります。その付随的な効果として住民にお知らせし理解していただくという意義が大きいのではないかと考えます。
     今回、共同処理事務をはじめとする事務事業は、これまで市町村でも行政評価など改善の仕組みを作っており、広域連合でもそういう仕組みを作っていく必要はあると考えています。適切な指標が何になるのか、またどういった運用をしていくのかについては、今後、しっかり検討をしていきたいと思います。
     合わせて、将来的には広域連合が単に処理事務を行うというばかりでなく地域づくりの一端を担うという大きな役割を作っていこうという考えがあるので、その地域づくりがどのように進んでいるのかを一つの指標で表せるのかを将来的には考えていかなければならないと思っています。
     ただ、今、申し上げたことは条例の中身として公表していくことではなく、条例とは別にいろんな形の公表になろうかと考えています。
  2. 総務大臣の通知による統一的基準による財務諸表の作成公表が平成29年度までに各地方公共団体に求められています。広域連合もこの統一的基準で財務諸表を作るように言われています。それは、各市町村は連結による財務諸表を作っていますが、その中身は一般会計、公営企業会計、第三セクターを連結する他、一部事務組合や広域連合もその連結の財務処理の一部になるものであるからです。
     広域連合自体においてその公表の義務付けはされていませんが、財務関係の情報をできるだけ公表することで説明責任を果たすということについては、広域連合の健全性を図りいろいろな改革をしていくという観点から必要なことと考えますので、今後、公表に向けて検討を進めて参りたいと考えています。

【まとめ】

  1. 意義については、PDCAを回す仕組みづくりは必要であり、そのためにKPIを定めていくことの必要性も認めていただいた。ただ、この条例とは別の部分で行っていくということだった。しっかり進めていただきたい。地域住民の中には東三河広域連合の必要性について、まだ十分な理解が進んでいない部分もあるので、成果を数値で示すことが理解を得るために必要なことと考える。
  2. 広域連合においても、統一的基準による財務諸表を作成していくということだったので期待する。連結ということにも触れられたが、一般会計、公営企業会計などとの連結ということを言われた。合併ではなく広域連合であるということを考えると、セグメントごとの連結が必要であると考える。広域連合として取り上げている事業についての連結が必要であり、そのことが広域連合の成果を見るもっとも見やすい資料になるはず。
     平成18年の地方行革新指針により、発生主義による新公会計制度の整備が要請された。各地方自治体は財務4表を作成するようになったが、その後、5年以上経過してもほとんど活用されていない。非常にもったいないことになっている。
     統一的基準による新公会計制度による財務諸表のねらいは、市町村間の比較をしやすくするということであり、それは連結がしやすいということにもなるはず。統一的基準による新公会計制度による財務諸表には有用な情報も多い。東三河広域連合が率先して導入することにより、構成団体における早期整備と活用が進むことになり、全国でも先進的に発生主義による公会計制度の財務諸表を活用する地域になり得る。
     東三河広域連合では、全国に例を見ない成長する広域連合づくりに挑戦をしようとしている。それを実現しようとするのであれば、従来通りとか、自治法に書いてあるからというような消極的な姿勢に終始することがあってはならない。
     この議案に対しては必要なものと考えるが、運用にあたってはその意義や内容について、常に戦略的に考え取り組んでいただくことを期待する。先行事例を作っていくという積極的な姿勢を期待する。

広域連携調査研究費について

【1回目質問】
 一般会計予算説明書p.23 3款5項1目推進事業費 説明欄2広域連携調査研究費262千円についてについて伺う。
 あらかじめ伺ったところ、262千円の内容は主に旅費であるとのことだった。人口減少、高齢化に起因する課題に対して、東三河広域連合にはスケールメリットによるコスト縮減、規模の拡大による発信力強化、広域に存在する多様な資源の有効活用等、様々な分野での広域連携による効果が期待されている。
 そこで、平成27年度における広域連携調査研究事業の主な対象となるのは、どのような事業領域を想定しているのかについて、認識を伺う。

【答弁要旨】
 先程の所信表明でも述べさせていただきましたが、東三河広域連合では、取り組みの基本方針の一つとして、新たな魅力と活力を創造することで、持続可能な地域づくりを進めることができる「地域力」の向上を掲げています。
 それを具現化するためには、地域の将来に向けた振興発展に繋がる分野、さらには住民の暮らしを支える分野で、新たな広域連携事業を展開していくことが重要であると認識しています。
 その手法ということでは、複数の地域が共通の理想を持っていけるものについては、広域連合で行っていきたいと考えています。これまでにも既に連携をすることで成果をあげているものがいくつかあります。穂の国こどもパスポートとか、救急車の手配搬送、豊根村のペレットを使った様々な取り組み、企業の誘致活動なども行っています。楠特別支援学校も地域の課題を皆で解決する連携事業と言えるのではないかと考えています。
 既に8市町村では、東三河県庁や経済団体、地域の大学などと共に協議を重ね、地域づくりの羅針盤としての「東三河振興ビジョン」を策定いたしました。したがいまして、まずはその中で掲げられた取り組みである、観光を含めた地域全体の産業振興などを中心に調査研究を進めてまいりたいと考えています。
 また、新年度には各市町村で「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の策定が計画されていますので、これらともしっかりと情報共有を図りながら、東三河に相応しい事業を選択してまいりたいと考えています。

【2回目質問】
 地域の将来に向けた振興発展に繋がる分野や、住民の暮らしを支える分野で、新たな広域連携事業を展開していくことが重要と考えているとのことだった。
 振興発展につながる分野ということでは、観光を含む地域全体の産業振興を中心に調査研究を進め、「まち・ひと・しごと創生総合戦略」についても各市町村との情報共有を図り事業選択をしていくとのことだった。積極的な展開を期待する。
 一方、答弁にあった「住民の暮らしを支える分野」ということについても、救急車の手配搬送、楠特別支援学校などについてのお話もあった。
 昨年4月総務大臣名の通知で、公共施設等総合管理計画について各地方自治体に策定が要請された。各地方自治体における様々な公共施設等の老朽化が進む中、更新を先送りすることのないように、人口減少社会においても維持管理が可能であるように、更新の計画を立てるように、というものである。
 キーワードは「集約」と「複合化」ということになる。東三河広域連合には、構成団体間の水平補完の推進という役割も期待されていると思う。
 そこで2回目の質疑として、構成団体間の水平補完を推進するために、各市町村が策定する公共施設等総合管理計画について、施設の集約、複合化の可能性について調査研究を行い、そして助言・調整を行っていく考えの有無について、認識を伺う。

【答弁要旨】
 公共施設等総合管理計画について各市町村はその策定を求められていますが、その留意点として広域的な検討ということも示されています。隣接する市町村と広域的視野を持って検討することが望ましいと言われており、議員が言われる水平補完ということになると思います。
 この計画を策定するのはその公共施設の所有者であり管理者である市町村だと考えています。施設の老朽度、利用者の動向、人口の減少により住民ニーズがどのように変化していくか、各市町村が的確に把握し判断し責任を持って計画を作っていくものだと考えます。その際に市町村間で情報共有をすることは必要なことと考えますが、広域連合が広域連合事業の一つとして規約を定め、その指導・助言・調整を行っていくということについては、今現在は考えていません。

【まとめ】
 各市町村が公共施設等総合管理計画を策定していく際に、広域的に検討していくことが望ましいということを言われた。しかし、これは各市町村毎に判断すべきものであり、東三河広域連合として行っていくためには規約の変更を要するものであるとの認識が示された。
 ただ、こうした話にはコーディネーターが必要となる。東三河広域連合がコーディネーターの役割を発揮できる可能性は十分にあると考える。
 人口減少が予想される中、公共施設等の保有量が変わらなければ、住民一人あたりの公共施設の維持管理負担は高まることは間違いない。そうならないように、各市町村内で公共施設の保有量を減らす努力が行われることになると思われるが、市町村の間での集約あるいは複合化の必要性は高いものの、コーディネーターなしではなかなか進展は期待しにくい。東三河広域連合がそのコーディネーターの役割を期待する。


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