2022年12月7日(水) 一般質問
青字は答弁
質問テーマ [市民から信頼される政策策定のあり方について~相次ぐ政策の混乱を踏まえて~]

市民から信頼される政策策定のあり方について~相次ぐ政策の混乱を踏まえて~

 かつて行政は無謬であるという神話がありました。市民からいただく貴重な税を使って行う施策に誤りがあっては、市民に申し訳が立たないという認識があったからこそ、無謬でなくてはならないという強い責任感から生まれた神話であると推察しています。しかし、現実には行政と言えども人が行っていることであり、完璧ではあり得ないと考えます。だからこそ、誤謬を防ぐために最大限の努力をしなくてはならないはずであります。 しかし残念ながら、豊橋市においてはこの半年ほどの間に市民が動揺するような大きな政策の混乱が少なくとも3回はありました。
 一つ目は6月議会で私が一般質問を行った豊橋自然歩道の一部閉鎖ということです。市は5月30日に、これまで豊橋自然歩道の管理を行ってきた団体が高齢化などにより解散を決めたことに伴い、自然歩道の一部閉鎖を決めたというものです。しかし、多くの市民から一部廃止を惜しむ声や維持作業に協力したいという声が寄せられ、路線のパトロールを行うボランティア団体の募集が行われることになりました。その結果、ほとんどの路線の存続が決まり市民団体のパトロールが12月から行われるようになりました。市民の声にしっかり向き合い誠実に対応していただいたことは評価します。しかし、一部閉鎖を決める前の段階で市民の想いをしっかり確認していれば、市民に心配をかけることはなかったと思われます。
 二つ目は、動物愛護センターの設置に関してです。8月2日の福祉教育委員会には、動物愛護センターの候補地比較表が提示されました。その中には検討項目が7つ程示されていますが、その中にはホイップ敷地内に拠点を置く団体の意向に関することの記述は一切含まれていませんでした。しかし、10月26日の中日新聞には「保健所内に動物愛護センター建設 豊橋市医師会など反対」という見出しの記事が載りました。候補地の比較検討が不十分であったために、結果的に医師会などホイップ内に拠点をおく方々にご心配をおかけしているということが考えられます。
 三つ目は、多目的屋内施設いわゆる新アリーナの建設に関してです。このことについては、9月1日に総務委員会と建設・消防委員会の連合審査が行われ、市場調査、建設候補地の検討、事業化可能性調査などを含む多目的屋内施設関連市場調査の結果が報告されました。現在は、基本計画の策定作業中にあると思います。しかし、11月25日の中日新聞には「氾濫区域に新アリーナ計画」という見出しの記事が掲載されました。記事によれば、新アリーナ建設予定地の一部が家屋倒壊等氾濫想定区域に含まれていることを、市の担当者が認識したのは今年の11月になってからのことだったとのことです。このことは市の防災担当部署が知らずにいたとは考えられないことです。にも拘わらず、新アリーナ建設候補地選定の段階では全く触れられることがなかったわけであり、部署間の連携が不十分であったことが推察されます。この問題点はひょんなことから発覚したようですが、一歩間違えれば氾濫想定区域に防災拠点建設が進められてしまっていたところです。
 このような事態が短期間に連続して起こることは異常なことと考えざるを得ません。市民から信頼される政策策定のあり方について、この際しっかり見直しを行わなければならないと考えます。併せて、現在検討している他の重要施策についても点検しなければならないのではないかと考えます。今回はその代表として、「人づくりNo.1をめざすまちプロジェクト」について確認したいと思います。
 そこで、以下の点について質問します。

  1. これらの政策の混乱があったことをどのように認識しているかについて
    【1回目答弁要旨】
     (豊橋自然歩道については(1)(2)を合わせて)
     豊橋自然歩道は、昭和44年から長きにわたり豊橋自然歩道推進協議会が行うボランティア活動により維持整備されてきました。
     しかしながら、会員の高齢化等の理由により令和5年度末に協議会が解散することになりましたが、何とか存続させたい思いから、約1年かけて今後の自然歩道の維持管理の手法について、費用対効果等を勘案しながら検討を進めてきました。
     検討過程では、以前より協議会の会員確保のために、広報とよはしやホームページ、チラシ配布等により会員募集を行ってきましたが、会員が集まらない状況が続いていたことや、自然歩道の維持管理に必要となる草刈りや倒木処理作業は、危険が伴う上、専門的な技術が必要になることなどを勘案し、今まで通りのボランティアによる路線の維持管理は難しいと考え、ボランティアの募集は行いませんでした。
     一方で、豊橋自然歩道の一部廃止の発表後に、多くの利用者などから維持に協力したいとの申し出があったことから、危険を伴う作業については市が行い、パトロールについてはボランティアが行うよう維持管理の役割分担を抜本的に見直した上で、本年8月からパトロールのみを行うボランティア募集を行ったところ、10団体186人の方からの申込があり、一部民有地600mをのぞき全廃止予定路線の存続につなげることが可能となりました。
     こうした経過を踏まえますと、路線存続に向けての維持管理方法の検討や、地元自治会をはじめとする利用者への情報提供の仕方が不十分であったと認識しています。
     今後は、ボランティアの皆様の協力を得ながら、自然歩道の維持を図っていくよう努めて行きます。

    (動物愛護センターについても(1)(2)を合わせて)
     医師会をはじめとした三師会には、本年8月の福祉教育委員会開催前の6月に、保健所・保健センター敷地内に整備したい意向を伝え委員会開催後に改めて具体的な施設規模やスケジュールについて、理事会等にて説明しました。
     その中で、三師会からは、ほいっぷ敷地内のまとまった駐車スペースが減少するため、災害時の救護活動や休日夜間急病診療所の利用に懸念があることなどの意見をいただきました。
     市としては、ほいっぷ周辺に新たに駐車場を確保し、職員の車を移すことで対応できると考えており、話し合いを続けていました。その過程で、市も医師会も意図しない形で報道されたことは、大変遺憾であったことと認識しています。
     また、新聞報道を受けて、市民の皆さまにご心配をおかけすることになりましたことについては、残念に思っています。
     今後は、これらを踏まえ、計画地変更を視野に入れて整備計画案を作成していきたいと考えています。

    (多目的屋内施設について)
     ご指摘の事案については、愛知県から「豊川水系豊川下流支川浸水予想図」に関する資料が提供されたのち、今年11月まで朝倉川や神田川、間川などの対象河川における家屋倒壊等氾濫想定区域などの範囲や豊橋公園をはじめとする公共施設への影響などの確認作業ができていなかったことが要因と認識しています。

    【2回目質問】
     まず自然歩道に関しては、地元自治会や利用者への情報提供の仕方が不十分であったと認識しているとのことでした。動物愛護センターについては、市も医師会も意図しない形で報道されたことは遺憾としながらも市民に心配をかけたことを申し訳なく思っているということでした。新アリーナについては、氾濫想定区域の範囲指定について公共施設への影響などの確認作業ができていなかったことに問題があったとのことでした。
     答弁をお聞きする限り、今回の混乱が起こったことの要因が市の内部にあると考えていると理解させていただきました。そこでさらに確認ですが、その要因としては、市役所内の一部の組織に問題があると考えているのか、市役所全般の問題と捉えているのか、どちらであるのか伺います。

    【2回目答弁要旨】
     今回の事案は、それぞれの部局で発生した問題ではありますが、同様の問題は他の部局でも発生する可能性があるものと受け止めていることから、市役所全体の問題と捉えています。

    【3回目質問】
     市役所全体の問題と捉えているとのことでした。
     ということであるならば、今回問題が顕在化したことを政策策定能力を向上させる好機ととらえ、組織全体で政策策定プロセスの課題解決に取り組む意欲があるか確認させていただきます。

    【3回目答弁要旨】
     今回の事態において、政策を形成する上で様々な場面を想定する創造力や多方面との調整力の重要性を改めて認識しました。今回の事態を、政策形成能力を向上させる好機ととらえ、様々な行政課題について部局間で共有し、気付いたことを指摘するなどブラッシュアップを図るとともに、自分ごととして考える職員を育成し、全庁を挙げて課題解決につながる政策形成に取り組んでいきます。

    【まとめ】
     全庁を挙げて課題の解決及び再発防止に取り組むという意欲を示していただきました。必ず再発防止の成果を出していただきたいと思います。今回のように問題が顕在化した時に、しっかり問題の根っこを取り除かなければ、どんどんレベルが下がっていくことになると思います。今が大事だと思います。
     具体的な部分については、これから行う(2)(3)の議論を踏まえて、徹底的に議論して明確な形で政策策定プロセスの改善策を策定していただくことを期待します。

  2. それぞれの政策に問題があると認識した以降の対応について
    【1回目答弁要旨】
     多目的屋内施設に関し、問題があると認識した以降の対応についてです。
     豊橋公園の北側のエリアが家屋倒壊等氾濫想定区域に指定されたことを確認して以降、まずは家屋倒壊等氾濫想定区域とはどういったもので、想定区域にかかった影響がどの程度に及ぶのか、また対策が必要であるとしたらどういった対策が考えられるのかを、関係課や国、県などに確認しながら、調査を進めてきています。現在、多目的屋内施設整備基本計画の策定作業を進めていますが、既存施設を含めた公園内の配置の検討の中に、こうした調査で得られた情報を反映し、多目的屋内施設の建設場所の検討を進めていくこととしています。

    【2回目質問】
     自然歩道については、パトロールと維持管理作業を分離し、ボランティアの力を借り自然歩道の維持を図ることとし、市民の声に応えたということでした。動物愛護センターについては、計画地変更を視野に入れながら整備計画案を作成するとのことでした。想定区域への影響を確認しながら多目的屋内施設については公園内で配置を考える中で建設場所の検討を進めるとのことでした。
     政策策定プロセスにおいて想定外の事態が生じた場合の、その対応方法のあり方についてさらに伺います。
     組織内で問題が生じた場合に行われるべき基本的なこととしては、まず組織内で問題を共有するということ、そして解決策について水平展開し他部署における同様の問題の発生を抑止することが行われなければならないと思います。
     そこでまず、組織内の問題共有ということについて、一部が氾濫想定区域に指定されている豊橋公園に地域防災活動拠点、地区防災活動拠点としていることの影響について質問する予定でしたが、月曜日の斎藤議員の質問で影響のないことを確認しているとの答弁があったのでこの質問は取り止めます。ただ、確認しているのであれば、そのことは公表すべきだったと思います。
     また、1回目の答弁で「家屋倒壊等氾濫想定区域とはどういったもので、どのような制限を受けるのかなど、関係課や愛知県などに確認しながら、調査をしている」ということでした。氾濫想定区域について県から情報提供があったのは昨年の11月という答弁が月曜日にありました。一年以上経過した今頃そんなことをしているというのは、庁内部署間での問題共有に大きな問題があるということを認識しなければならないと思います。
     次に想定外の事態への対応策の水平展開が行われているかということについてです。
     自然歩道の一部閉鎖については、自然歩道愛好者や地元自治会などのステークホルダーの意向確認が行われていなかったということが、問題の要因としてありました。その後、これらステークホルダーの意向を確認してボランティアによるパトロールが開始され自然歩道愛好者の期待に応えることができるようになりました。このパトロール募集の報道発表がなされたのは8月23日です。
     動物愛護センターについてホイップ敷地内への設置の方針は6月には三師会に伝えてあったとのことでした。ホイップ敷地内設置について「医師会などが反対」という記事が新聞に載ったのは10月26日です。4カ月経過しているわけです。自然歩道のパトロール募集発表からは約2カ月ある訳ですが、動物愛護センターの建設についてステークホルダーの危惧することへの対応について、自然歩道における対応を見て改めてコミュニケーションをしっかり行うべきではなかったのではないかと思われます。ステークホルダーの意向への対応の水平展開に課題があったのではないかと感じます。
     多目的屋内施設については、水平展開とはやや異なりますが、建設部が愛知県から入手した情報を関係部局と共有できていなかったとの答弁がありました。
     想定外の事態への対応策の水平展開ということについて、十分できているかということについて疑問を感じますが、どのように認識しているのかについて伺います。

    【2回目答弁要旨】
     これまでも事業推進にあたり問題が発生した場合には、部長会議などにおいて、その原因や対応の情報共有に努めてきたところです。しかしながら、今回、市民や関係者の皆様にご心配をおかけする事案が発生したことを踏まえますと、情報共有した後に、各部局において今回の事案を組織としてしっかり受け止め、自分たちの担当する事業に置き換えて考えることが十分できていなかったものと認識しています。

    【3回目質問】
     問題の共有や対応策の水平展開ということについて、十分できていなかったという認識をお示しいただいたものと思います。
     問題の共有や対応策の水平展開ということについては、いろいろな手段があると思いますが、もっともその効果が期待されるのは答弁にもあったように部長会議ではないかと考えます。しかし、現状では問題の共有が不十分だったということは、部長会議のあり方を見直す必要があるということになると考えます。
     部長会議のあり方については、佐原前市長から浅井市長に変わったことにより、会議の機能発揮という面から見てプラスになった部分、あるいはマイナスになった部分があるのではないかと思います。
     これらの変化を比較確認することができる今は、課題や対応策を考えるにはいい機会だと思われます。問題の共有や対応策の水平展開を効果的に行うために、部長会議のあり方について確実に取り組むべき課題とその対応策を、どのように考えているのか伺います。

    【3回目答弁要旨】
     部長会議については、問題の原因や対応の情報共有を行うことはもとより、その情報について多角的視点からの議論や意見交換を十分できる会議としていく必要があると考えています。
     そこで、これまで以上に会議の時間を議論や意見交換に充てることで、同様の問題は他の事業にもあてはまらないか、あらゆる事態を想定して進められているか、関係者との調整は十分かなど、互いに気づいた点を指摘し、より効果的に対応策の展開を行っていきます。

    【4回目質問】
     部長会議は多角的視点からの議論や意見交換を十分できる会議としていく必要があるということを答えていただきました。ただ、その方策としてはこれまで以上に会議の時間を議論や意見交換に充てるということですが、その方法は時間をかけるとか心がけるというようなことだったと思います。私は部長会議を見たことがないのでそれでできるのかよくわかりません。市長何か補足していただけることがあればお願いします。

    【4回目答弁要旨】
     部長会議については、問題の原因や対応の情報共有を行うことはもとより、その情報について多角的視点からの議論や意見交換を十分できる会議としていく必要があると考えています。
     そこで、これまで以上に会議の時間を議論や意見交換に充てることで、同様の問題は他の事業にもあてはまらないか、あらゆる事態を想定して進められているか、関係者との調整は十分かなど、互いに気づいた点を指摘し、より効果的に対応策の展開を行っていきます。

    【まとめ】
     市長として部長会議をもっと実効性を高めていくために努力をしていただけるという意思をお示しいただいたものというように思いますので、期待をしたいと思います。
     多角的な視点からの議論や十分な意見交換を実現する方策についてしっかり検討し、部長会議をしっかり充実させることが非常に重要なことだと思います。

  3. このような政策の混乱が相次ぐことの原因と対応について
    【1回目答弁要旨】
     原因については、各部長の答弁にもあったように、個々の事業においてそれぞれ異なりますが、総じて、事業進捗の各段階において、幅広い視点からあらゆる事態を想定し、問題がないか確認した上で、事業を進めることができなかった点に原因があるものと考えています。
     今後はこれまで以上に、組織全体として、民間との協働による事業立案力や、関係団体との調整力を向上させるとともに、事業立案・実施の過程において部長会議をはじめとする部局横断の庁内会議おいて、多角的な視点での意見交換や確認を徹底し、事業の制度を高めて行きます。併せて、新アリーナに係る事案については、こうした事態を繰り返すことのないように、既に検証チームを設置し、課題の洗い出しや予防策の検討を進めているところです。

    【2回目質問】
     政策の混乱の原因は、幅広い視点で問題の有無を確認して進めることがしっかりできていなかったことであり、対応としては、部局横断の会議で情報共有や多角的視点での意見交換をすること、他部局への影響を考えることのできる職員の育成を行うとのことでした。
     職員の資質の課題については、現在人材育成基本方針改定に向けた検討が行われていると思われますので、是非ともそこに反映していただきたいと思います。ということで、ここでは部局横断の会議での情報共有や多角的視点での意見交換ということについて、さらに議論したいと思います。
     まず多角的視点ということに関連してですが、自然歩道の件と動物愛護センターの件ではステークホルダーの意向確認が行われなかったもしくは不十分だったということがあったと思われます。今後、様々な政策策定プロセスにおいて、ステークホルダーの意向確認は確実に行われるべきだと考えます。ただ、新アリーナのような場合にはだれがステークホルダーであるのかが分かりにくいということがあると思います。
     そこで、ステークホルダー分析まではしないまでも、少なくともステークホルダーが誰なのかについてブレーンストーミングなどを行っておく必要があるのではないかと考えますが、その必要性などについて認識を伺います。

    【2回目答弁要旨】
     事業を立案し推進するにあたっては、内容によって利害関係者が異なり、多方面にわたることもあるため、団体やキーマンの把握と情報提供は不可欠であると認識しています。
     これまでも、必要に応じて、関係機関や団体で構成される会議体を中心に、これら関係者の把握に努めてきましたが、今後は、部局横断の庁内会議等でも情報提供を求めるなど、多角的な視点から検討を行うことで、ステークホルダーの把握に努める必要があると認識しています。

    【3回目質問】
     ブレーンストーミングはともかく、多角的な視点から検討を行うことで、ステークホルダーの把握に努める必要があるとの認識でした。是非、漏れのない方策を取り入れていただきたいと思います。
     では、さらに多角的視点での意見交換ということについて伺いたいと思います。
     新アリーナに関してはステークホルダーという面からの問題の発見は難しかったかもしれませんが、もう一つ別の面からの発見の可能性もあったと考えます。それは、漏れなくダブりなく検討するためクリティカルに考えられていたかどうかという点です。具体的には、新アリーナの問題は建設予定地が適切でなかったのではないかという指摘がされたという訳ですから、少なくとも建設候補地の比較検討の方法に問題がなかったかということを考えなければなりません。
     因みに、動物愛護センターの候補地比較表には、設置場所の基本方針について3項目その他に検討項目として7項目、合計10項目について比較検討が行われています。新アリーナの候補地比較表では7項目での比較検討が行われています。
     動物愛護センターの候補地比較では、設置場所基本方針の2番目に「災害対策の実施に適した場所」という項目があり、候補地7カ所の内、「土砂災害警戒区域に近接」などの理由でその項目の評価が△となった4候補地は、その先の検討項目の評価に至ることなく対象から除外するという判断になっています。
     しかし、新アリーナの候補地比較表には「災害対策の実施に適した場所」という項目はありません。類似したもので「防災面の活用」という項目がありますが、評価内容はやや異なるものであると思われます。その結果、豊橋公園がハザードマップ上にどう位置付けられているかという検討が行われないまま進んでしまったということが推察されます。
     そこでまず、新アリーナの候補地比較表には「災害対策の実施に適した場所」という項目がなぜ設けられなかったのか、その経緯と理由について伺います。

    【3回目答弁要旨】
     多目的屋内施設関連市場調査では、建設候補地の抽出条件として、市場調査で得られた一般的な条件のほか、本市のまちづくりの方針との整合や防災面への活用、施設整備の実現性を候補地の条件とし、複数の候補地を抽出しています。
     そのため、抽出された候補地については、すべて防災上必要な施設となりうる立地場所であったことから、候補地比較ではさらなる考察はしませんでした。

    【4回目質問】
     抽出された候補地については、すべて防災上必要な施設となり得る場所なので候補地比較ではさらなる考察はしなかったということでした。防災上必要な施設となり得る場所と言っても、二重丸かもしれないし一重の丸かもしれないわけです。その評価を客観的に評価するように報告すべきだったのではないでしょうか? 評価項目設定の問題の有無をしっかり考えなければならないと思います。
     ここでは一般的な政策策定のプロセスという面からさらに質問を継続します。
     もし、評価項目に「災害対策の実施に適した場所」という項目があったなら、だれかが問題に気付く可能性はあった訳です。評価項目として明示することには大きな意味があると思います。
     次に、動物愛護センターの候補地比較表には、検討項目の中に「埋蔵文化財や保護植物等の有無」、「建築制限への対応」という項目が含まれていますが、新アリーナの候補地比較表にはそれらしい項目はありません。建設する施設の性格に関わりなく評価しておかなければならない項目であろうと考えますが、なぜか含まれていないのです。 結論ありきの検討だったと言われないためにも、少なくともこの二つの項目は入れておくべきだったと考えますが、なぜ項目に入れなかったのか判断の根拠を伺います。

    【4回目答弁要旨】
     多目的屋内施設関連市場調査では、施設整備の検討における本市の基本的な考えとして、本市のまちづくりの方針との整合性や施設整備の実現性を抽出条件に加え検討してきました。
     その際、「埋蔵文化財や保護植物等の有無」や「建築制限への対応」については、特段項目出しはしていませんが、現状の土地利用の関係などの中で整理しており、それらの影響を考慮した上、建築可能とされる候補地を選定したものです。

    【5回目質問】
     特段項目出しはしていないが考慮している、ということでした。それじゃ報告書の意味をなしてないじゃないですか。検討して問題なしと記載することは意味を持つはずです。それは問題がないという結論に責任を持つということです。報告書の意味をしっかり考えていただきたいと思います。
     そういう意味で、新アリーナの候補地比較においては、評価項目の設定に不足している部分があったのではないかと考えます。そこで、今後の様々な政策の検討において、きちんと評価しておくべきことを漏らさないために、重要な政策を考える時には必ず評価すべき基本的評価項目をあらかじめ定めておくことが有効ではないかと考えます。
     基本的評価項目の一つの例を申し上げます。SDGsでは持続可能な開発目標として17の目標に169の達成基準を設定しています。
     この取り組みにならい、策定する政策が確実に豊橋市の持続可能性を高めることに寄与し得る、あるいは持続可能性を損なわないことを確認するために、いくつかの目標を定め共有してはどうかと考えます。例をあげると、①人口減少をくい止める②CO2排出を抑制する③防災力向上を推進する④このまちの文化歴史を守る⑤純資産減少を抑制する⑥資産老朽化をくい止める、などが考えられます。SDGsは持続可能な開発目標ということですが、これに倣えば持続可能な政策目標(Sustainable Policy Goals SPGs)と言っていいのかもしれません。(これは私が勝手に作った言葉です。)
     今後、政策策定過程において漏れなく効果や影響の評価を行うためにあらかじめ評価すべき基本的評価項目を定めていくこと、またその評価項目として持続可能な政策目標SPGsについて検討していくことについて、考えを伺います。

    【5回目答弁要旨】
     政策推進にあたっては、目標を共有することは重要であり、第6次総合計画の中で、基本理念や目指すまちの姿を掲げ、様々な場面でその考え方を共有しているところです。
     加えて、予算編成時には、まちづくり戦略の推進を重点化事項として定め、目指すまちの姿の実現に向けた取り組みを積極的に進めることを示しており、特にサマーレビューに提案する主要事業に関しては、スマートシティや広域連携、官民連携といった枠組みを超えた取り組み、SDGsの推進といった社会潮流を見据えた課題解決の視点を示し、そうした視点を持った事業立案を行うよう指示しているところです。
     現在は、主要事業を含むすべての事業に共通の評価項目を設定しておりませんが、政策立案において持続可能な政策目標を共有することは重要であると考えているため、導入の必要性や効果、問題点などを勉強してまいりたいと考えています。

    【まとめ】
     持続可能な政策目標を共有することは重要と考え、効果や問題点などを勉強していきたいとのことでした。是非、形にしていただくことを期待します。
     本市では、人口拡大期から人口減少期へと大きく局面が変わった中で、前例踏襲ではなく状況にきちんと適応した政策を策定することが必要になっているはずであります。それを確実に行うために、持続可能な政策目標SPGsなどの基本的評価項目という考え方の導入や、ステークホルダーの明確化と対応のあり方の検討について積極的に取り組むことを期待します。まさに、市長が言われる「まっとうな市民感覚で、前例踏襲を排除し、現場主義に徹する」ということの実現に不可欠であろうと考えます。
     今後の取組みに大いに期待します。

  4. (3)を踏まえた令和4年度予算の「重点的に推進する取り組み」に掲げる「人づくりNo.1をめざすまちプロジェクト」への対応について
    【1回目答弁要旨】
     これまでも、事業立案においては、市民ニーズや意見を踏まえながら進めてきたところですが、「人づくりNo.1をめざすまちプロジェクト」をはじめとする重点的に推進する事業においては、特にしっかりと議論を重ね、事業効果に加え実施により生じる可能性がある問題についても分析しながら、立案を行っているところです。 今後はさらに、的確な現状把握、多角的な分析といった視点を大切にしながら、丁寧に事業立案を行うことで、より一層市民に信頼され、その付託に応えられるように進めて行きます。

    【2回目質問】
     (3)では、ステークホルダーの意向確認の重要性、基本的評価項目策定の必要性や持続可能な政策目標の必要性などについて議論させていただきました。
     (4)の1回目の答弁では、「今後はさらに的確な現状把握、多角的な分析といった視点を大切にする」ということが言われました。しっかり取り組んでいただきたいと思います。そこでその具体的な方法として、(3)の2回目以降の議論も踏まえ(4)の2回目を進めさせていただきます。
     まずステークホルダーの意向確認ということについて、質問させていただきます。
     ステークホルダーということに関連したこれまでの議論は、1月の調査特別委員会では、「本プロジェクトにおいてターゲットとして想定されている方々へヒヤリング調査をしたのか」という質問があり、「プロジェクトの中で設置した事業検討チームは、若手職員や子育て中の職員で構成しており、各メンバーが職場の同僚や友人関係などに個別にヒヤリングを行うことで事業検討の参考としています。」という答弁があったと思います。ステークホルダーの意向確認としてはまことに不十分だと思います。
     プロジェクトにより生まれる事業の財源がまだ明示されてはいませんが、財源によってはマイナスの影響を受ける市民が生まれる可能性があります。そういうことであれば、その影響を受ける人たちの意向確認も必要だと思います。
     調査特別委員会の議論では、プロジェクトを進めることで、「本市に愛着を持って住み続けたり、転出してもいずれ戻ってくる、市外から応援してくれるなど、将来にわたってまちづくりに携わる人が育まれていく」という答弁もありました。市外から応援してくれる人の意向についても、プロジェクトの事業で応援しようという気持ちになれるのか、の確認も必要だと思います。まだほかにもステークホルダーとなる人があるかもしれません。
     そこで、今後このプロジェクトのステークホルダーとなる可能性のある人について、漏れのないように抽出し意向確認していく必要があると考えますが、この必要性について認識を伺います。

    【2回目答弁要旨】
     本プロジェクトだけでなく、事業を検討する際には、ステークホルダーとなる可能性がある方から広く意見を聞き、関係者のニーズを把握する必要があると考えています。
     そうしたことから、本プロジェクトにおいても、新たな事業を検討していくのにあたっては、その事業内容により市内外問わず必要なステークホルダーにしっかりと意見を聞きながら進めていきます。

    【3回目質問】
     新たな事業を検討する際は、市内外問わず必要なステークホルダーに意見を聞くとのことでした。ステークホルダーとなる人を漏らすことなく、しっかり意見を聞くことに努めていただきたいと思います。
     次に基本的評価項目に関連して伺います。
     このプロジェクトでは「目指すもの」に関する記述はありますが、目的とか目標についてはあきらかにされていません。プロジェクトの検討メンバーは、補佐級や主査級職員を中心とする分析計画チームと若手職員や子育て中の職員中心の事業検討チームであることが特調の答弁で言われています。目的とか目標が不明瞭な中で、これらの若手メンバーがなぜ事業を抽出することができたのか、まことに不可解に思われます。
     調査特別委員会では、財源を危惧する質疑も多くありました。財務諸表における純資産が減少を続ける緊迫した財政状況の中においては、事業を行うことによる本市の持続可能性への影響をしっかりと確認しておく必要があると考えます。事業費をかけることにより確実に行政コストは増大し、歳入の減少は財源の減少となります。そのことに対して、資産更新への影響の有無、また人口増による税収の増加はどの程度を目標にすべきかなどの検討は必要だと思います。
     そこで、本プロジェクトについて、基本的評価項目として、純資産変動への影響、資産老朽化への影響、その他の持続可能性への影響などについて検討する考えがあるのか、認識を伺います。
     併せて、本市の持続可能性に資する政策であることを明確にするために、本市の持続可能性に関連するアウトカム目標について、達成レベルを明示していくことの必要性について、認識を伺います。

    【3回目答弁要旨】
     事業の推進にあたっては財源確保の見通しを明らかにするなど、財政状況への影響を評価しながら検討しています。特に主要事業は、目先の視点だけでなく長期的な財政運営への影響をしっかりと評価して推進することを日頃から意識しています。議員ご提案の純資産変動への影響などの項目を、政策策定過程における基本的評価項目として定めるかについては、その評価項目自体の導入とあわせて勉強を進めていく必要があると考えています。
     また、アウトカム目標の達成レベルを明示していくことについてですが、本プロジェクトは、総合計画の分野別計画の指標やまちづくり戦略の数値目標などをもって成果確認することとしており、プロジェクト独自の指標は設定していませんが、持続可能性に関連するアウトカム目標の達成レベルを明示していくことはSDGsの推進にも通じるものであり、こうした視点は必要なものと認識しています。

    【まとめ】
     「人づくりNo.1のまちプロジェクト」において、基本的評価項目の導入やその項目に純資産変動への影響を加えるかについては、勉強を進めていく必要があるとの認識を示していただきました。アウトカム目標の達成レベルについては視点としては必要という認識でしたが、残念ながら新たに設定するということまでの言及はありませんでした。今後、さらに検討していただくことを期待します。
     プロジェクトの想定スケジュールでは令和5年度までの検討となっています。時間はあまりありませんが、勉強の成果をしっかり出していただきたいと思います。
     また、今回は議論することはできませんでしたが、本市は東三河の中心都市でもあります。本市の持続可能な政策目標ということは是非考えていただきたいと思いますが、それに加えて東三河の持続可能な政策目標を考えるということも忘れてはならないことだと考えます。これについても今後の検討に期待します。
     以上で全ての質問を終わります。


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