2022年9月16日(金) 予算委員会
青字は答弁
質問テーマ [給食費の臨時的無償化][繰入金の活用][公共施設の維持更新]

給食費の臨時的無償化

【1回目質疑】
 学校給食物資調達事業費693,000千円と学校給食費収入の減額693,000千円は、物価高により厳しい生活を強いられている子育て世帯を支援するため、今年10月から来年3月まで小中学校の給食費を無償にするものであるとの説明でした。子育て世帯の支援のための地方創生臨時特別給付金の活用方法として、給食費無償化以外の方策について検討したのかということと合わせ、最終的に給食費無償化という方法を選択した理由について、説明を伺います。

【答弁要旨】
 臨時交付金については、新型コロナウイルス感染症の感染状況や物価高騰の状況を踏まえ、その時々の状況下において、市民や事業者の皆様の声を聴き、市民生活や地域経済に求められる適切な対策を把握したうえで、事業効果や即効性などを加味し、優先となる施策へ活用するものと考えており、様々な施策について、検討を行ってきました。そうした検討を経て、所得制限等により国の臨時特別給付金制度の対象外となった世帯に対し、市独自に「豊橋市子育て世帯臨時特別給付金」を支給するなど、様々な子育て支援事業を実施してきました。
 今回についても、子育て世帯の支援のための施策を検討する中で、最終的に物価高騰に直面する子育て世帯への支援が重要であると考えたこと、及び、給食費を無償にすることは直接かつ迅速な支援につながること、さらには文部科学省から「学校給食等の保護者負担の軽減」に取り組むよう通知もあったことから、補正予算として提案したものです。

【まとめ】
 子育て世帯の支援施策を検討したところ、他のどんな支援策と比較したのかの説明はありませんでしたが、給食費を無償にすることが直接かつ迅速であり、もっとも効果的であると判断したとのことでした。
 しかし、給食費の無償化は10月から来年3月にかけてジワジワと効果が及ぶものであり、迅速と言えるかについてはやや疑問があります。また、もっとも効果的であるということについても、もっとも支援の必要性が高いと思われる就学援助受給世帯に支援が及ばないということを考えると、効果的という点についても疑問が残ります。答弁からは、文部科学省からの学校給食等の保護者負担の軽減に関する通知があったことが決め手となったのではないかと感じます。
 今の原油高、物価高は容易には収まらないことが予想されます。今後、市民の暮らしへの影響、市内の経済活動の状況についてしっかりモニタリングの強化を行うとともに、ひっ迫する状況に対しては、国に言われたからということではなく自立した判断により、迅速に効果的な支援策を講じることができるように、その方策について十分に検討していただくことを期待します。

繰入金の活用

【1回目質疑】
 令和4年度第4号の補正予算における財源の中で、繰越金は371,364千円となっています。9月までの年度内合計は803,290千円です。令和3年度の9月定例会における繰越金の活用は586,316千円であり、9月までの年度内合計額は1,635,371千円でありました。
 9月だけの比較では前年の約63%であり、9月までの年度内合計の比較では約49%ということであり、それぞれ大変少ない金額になっています。
 因みに、令和2年度から3年度への繰越金の額は約28億1千万円であり、3年度から4年度への繰越額は約33億9千万円です。令和4年度の財源としての繰越金は令和3年度の約120%であり、約5億8千万円多い訳です。財源としては20%増加しているのに、繰越金の活用は大幅に減っています。繰越金の有効活用は、補正予算の持つ重要な意味の一つだと考えます。どのように考えた結果、このような繰越金の活用になっているのか伺います。

【答弁要旨】
 令和3年度は、補正予算に計上した事業費が、令和4年度の3.4倍と大きかったことに加え、特定財源において、国県支出金や地方債の補助率などに応じて、必要となる一般財源として繰越金を活用しました。また、令和3年度は、新型コロナ臨時交付金が充当可能な事業について、当初は繰越金を財源とし、交付限度額が確定したのち、3月補正予算で一括して繰越金から臨時交付金へ財源更正を行っていますが、令和4年度は、財源の使途を明確にするため、補正予算の都度、特定財源として臨時交付金を財源として計上していることなどにより、令和4年度の繰越金の活用が、前年度に比べ大きく減少しています。 なお、補正予算については、年度の途中においても、様々な状況変化に対応するため、必要性や緊急性に鑑み、必要となる予算を計上することとしていますが、国県補助金や各種団体からの助成金、並びに寄付金などの特定財源を確保した上で、必要となる一般財源として、繰越金を活用し、対応するものと考えています。

【2回目質疑】
 昨年度においては、臨時交付金の交付限度額確定が遅かったため、年度前半においては財源として繰越金を使い後に財源更正したということ、補正予算における繰越金のあり方については、特定財源を確保した上で、必要となる一般財源として繰越金を活用するという考えを答えていただきました。
 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止とともに、感染拡大の影響を受けている地域経済や住民生活を支援し地方創生を図るため、地方公共団体が地域の実情に応じて、きめ細やかに必要な事業を実施できるように交付されるものであるはずです。そして今年4月にはコロナ禍における原油価格・物価高騰対応分も創設されています。
 今回の補正予算においては、この臨時交付金の使途は子育て支援部分にその多くがあてられるということになっています。しかし、今は新型コロナウイルス感染の拡大や原油や物価の高騰が、市内の様々な活動に困難な状況をもたらしています。もっと幅広く地域経済や住民生活をしっかり支援し地方創生を図る必要があるとは考えなかったのでしょうか?
 先ほど申し上げたように、現時点においては繰越金の残高には相当の余力がある状態であると言えます。幅広く地域経済や住民生活を支援するために、答弁で言われたように、臨時交付金では不足する部分を、必要となる一般財源として繰越金を活用するということについて、この補正予算を策定するにあたってどのように考えていたのか、ということについて伺います。

【答弁要旨】
 今回の補正予算においては、物価高騰に直面している市民生活や事業者への支援に対応するため、臨時交付金を十分に活用し、事業効果などの優先順位を鑑みながら、事業の選択を行いました。併せて、市民文化会館の改修設計や、小学校のフェンス設置工事に係る一般財源として繰越金を活用するなど、年度途中の状況変化に応じ、予算化の必要が生じた事業について、補正予算として編成したものです。

【3回目質疑】
 幅広く地域経済や住民生活を支援するために、繰越金の活用をどのように考えたか伺ったところ、文化会館の改修設計や小学校のフェンス設置工事に繰越金を活用することを考えたとのお答えでした。大変わずかな対策しか考えていなかったということはわかりました。
 国では臨時交付金に原油価格・物価高騰対応分も創設する必要があると、現在の危機的状況を認識している訳です。県内中核市の9月補正予算案における臨時交付金の活用内容を見てみると、岡崎市では住民税均等割りのみ課税世帯に対する生活応援金給付に約2.9億円、水道基本料金減額に5.4億円、中小企業事業資金保証料補助金に8千万円などが計上されています。一宮市では、小中学校の給食費無償化2カ月分として3.2億円を計上しているほかに、公立保育園ICTシステム導入に2.3億円、水道基本料金減免事業に4.8億円を計上しています。豊田市は6月補正で臨時交付金を使い切ってしまっており9月補正での計上はありませんでした。
 本市で、今回このように大変わずかな対策しか考えなかったのは、本市における地域経済の停滞や住民生活のひっ迫は、差し迫った状況にはないという認識があるということなのでしょうか? それとも他に繰越金を残しておかなければならない何らかの理由があるのでしょうか? 認識を伺います。

【答弁要旨】
 今回の補正予算については、事業者の声などを聴きながら、国や県の支援の状況も踏まえ、本市として優先的に行う必要があるものを、時期を逸することがないよう対応しています。
 繰越金については、特定の事業のために残しているものではありません。今後、緊急的な対応が必要になるものが発生した場合については、繰越金の残高を超える財源が必要だとしても、当然対応していきます。

【まとめ】
 お答えをいただきましたが、本市における地域経済の停滞や住民生活のひっ迫は、差し迫った状況にあるという認識があるのかないのか、ということについてはなぜかはわかりませんが、明確な言及はなかったと思います。自信をもってこのことに答えていただけなかったことは、大変残念です。
 市内の事業活動や市民生活に大きな影響がある事態において、市が補正予算でその対応策を行おうとする時、その財源規模を決めるのは市長しかいないと思います。繰越金をどれだけ使うのか、事態の深刻さによっては財政調整基金の取り崩しも行うのかどうか、それはもっぱら市長の判断によるものであるはずです。市長がこの判断を誤まることなく、臨機応変に的確な財源規模を決められるかどうかが、市民の生活や市内の事業活動を守るための大きなカギになることは間違いありません。今後の市長の的確な判断に期待します。

公共施設の維持更新

【1回目質疑】
 令和4年度の一般会計補正予算第4号は、総額では減額補正となっていますが、美術博物館の大規模改修が2か年事業から3か年事業に変更することによるところが大きいためであります。これを除くと約6億円の増額補正があると思われます。この増額補正の中に、公共施設の維持・更新に係る投資的経費がいくら含まれているのか伺います。あわせて、今年度補正予算の累積の公共施設の維持・更新に係る投資的経費はいくらになるかについても伺います。

【答弁要旨】
 令和4年度の一般会計補正予算第4号の総額から、美術博物館大規模改修工事の減額補正を除いた公共施設の維持・更新に係る投資的経費は約3,000万円です。また、令和4年度の公共施設の維持・更新に係る投資的経費は、一般会計補正予算において、美術博物館の減額補正を除き約2億5,000万円となっています。

【2回目質疑】
 この9月の補正予算における公共施設の維持・更新に関わる投資的経費は約3,000万円で6月補正を合わせても2億5千万円ということでした。昨年は、9月の補正予算だけでも、小学校教育環境整備費ということで約37億円、中学校教育環境整備費で約5億円、合計で42億円以上となっています。今年度は大幅な減少となっています。
 公共投資はそのフロー効果によりコロナ禍などにより低迷する地域経済を刺激する効果が期待できるものであります。国の国土強靭化の予算を活用することも可能なものでもあります。更新時期に到達している公共施設の積極的な長寿命化や更新は将来世代の負担軽減にもつながると考えられます。
 にも拘わらず、今回の補正予算では公共施設の維持更新のための公共投資ということについて、昨年度より大幅に縮小させたのはどのような考え方によるものであるのかについて、2回目として伺います。

【答弁要旨】
 公共施設の長寿命化や更新については、多額の事業費となることから、国庫補助金などの財源を確実に確保することが、将来世代の負担軽減においても欠かせないものと考えています。昨年度は、小中学校校舎等の長寿命化を始めとし、トイレの大規模改造や外壁等の改修などに対する国庫補助金を例年より早い7月末に獲得できたため、工事費等の経費を9月補正予算で計上したものです。今年度につきましても、国庫補助金の積極的な獲得に努め、獲得次第、速やかに補正予算を計上し、対応していきたいと考えています。

【3回目質疑】
 公共施設の長寿命化や更新については、財源として国費の確保が必要であり、その獲得に努めていること、そしてその獲得ができ次第次第速やかに補正予算を計上するとのことでした。
 このことについては3月の予算委員会でも、令和4年度当初予算における公共施設維持更新のための投資的経費が前年度を下回ったことについて、認識を伺ったところです。コロナ禍で停滞する市内経済に刺激を与えるためには、前年を超える予算が必要と考えたためです。
 これに対して市長は、「特に国庫補助金については、公共投資の拡大も念頭におき、国の動きに十分注意を払い、地元選出の国会議員と連携し、先頭に立って取り組んでいきます。」と答弁していただいています。
 ところが9月までの実績で比較すると、残念ながら補正予算においても投資的経費の計上は前年より大きく下回っています。そこで、4月以降、市長は国庫補助金の獲得に向けてどのように取り組んで来られたのか、またその手応えはどうであるのか、ということについて伺います。

【答弁要旨】
 まず、国庫補助金の獲得に向けての取組みについてですが、駅前大通二丁目地区の再開発事業について、社会資本整備総合交付金対象事業として最終年度となる令和5年度の予算所要額の確保に向けて、国土交通省及び財務省に対して要望を行いました。
 また、各省庁への要望のほか、学校施設の関係では、地元代議士と、施設整備に係る現状や課題、改修等に関する財源などについて情報共有し、連携・強化に努めるとともに、愛知県市長会等を通じて施設整備に必要な財源の確保や充実について要望しています。
 次に、要望を行ったことの手応えですが、駅前大通二丁目地区の再開発事業では、事業推進に向け、前向きな姿勢をお示しいただいております。学校教育施設の関係では、今年度中の国庫補助内示に期待をしているところです。

【まとめ】
 駅前大通二丁目地区再開発事業について国土交通省や財務省に要望したとのことですが、これは事業の最終年度ということであり、新たな補助獲得のための要望ということではないと思われます。学校施設関係の施設整備に必要な財源確保については、愛知県市長会等を通じて要望したということでありました。「先頭に立って取り組む」、というのとはやや違うのかなぁという印象です。
 今申し上げている公共施設の維持更新の積極的実施というのは、将来世代の負担軽減という意味を持ちますが、このコロナ禍に加え、原油・物価高という厳しい経済情勢の中で、市内経済に活力を与えるという意味も持つものです。正にスピードが重要であり必要とされるものであります。
 答弁では、学校教育施設関係では今年度中の国庫補助内示に期待をしているということでした。そういうことですので、12月議会では、公共施設の長寿命化や更新に関する投資的経費が大幅に補正予算に盛り込まれることを期待します。市長の頑張りで、当初予算と補正予算の合計額で、少なくとも令和3年度を上回るものにしたいただくことを大いに期待します。


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