2021年9月20日(火)~27日(火) 決算特別委員会
青字は答弁
テーマ [水道事業会計 経常収支比率と料金回収率][水道事業会計 有形固定資産減価償却率と管路経年化率]
[動物園等管理運営事業費]

☆水道事業会計 経常収支比率と料金回収率
【1回目質疑】
 この2つの指標については、どちらも100%を超えており、営業利益も経常利益も黒字を継続していることが理解できます。ただ、どちらも着実にその値は減少しています。この大きな原因は有収水量が毎年減少しているためであり、それは給水人口と一人当たり配水量が次第に減少していることが原因と思われますが、この認識に誤りはないか確認させていただきます。

【答弁要旨】
 有収水量については、令和2年度は新型コロナウイルス感染症拡大の中、家庭での使用量が増えたことなどから一時的に増加しましたが、ここ数年は減少傾向にあります。委員の言われるとおり、給水人口の減少や、節水機器の普及等による使用量の減少が、有収水量減少の主な要因であると考えています。
 経常収支比率及び料金回収率の値が低下している要因としては、給水収益の減少もありますが、水道管の耐震化や老朽化対策を積極的に実施しているため減価償却費が増加したことなども影響しています。

【2回目質疑】
 この傾向は今後も続くことが予想されます。つまり給水収益は確実に減少していくと考えなければなりません。人口減少・節水型社会の中で、経営を持続可能にするためには価格改定という選択肢もありますが、その前に給水収益が減少しても利益を確実に出せる体質づくりに取り組む必要があります。
 売上が減少しても利益を生むための体質づくりということは、言い換えれば損益分岐点の引き下げであり、そのためには固定費の縮減が必要ということになります。そこで令和3年度において、水道事業における固定費の縮減にどのように取り組み、どのような成果があったのかについて伺います。

【答弁要旨】
 令和3年度は、営業費用が支出抑制に努めたことにより、前年度と比較して1,139万円ほど減少し、営業外費用が企業債残高減少に伴う支払利息減少等により888万円ほど減少しました。この結果、収益的支出全体としては前年度と比較して2,027万7,492円の削減を行うことができました。
 とりわけ、人員につきましては、近年厳しい定員管理を行っており、人件費の抑制を図るなど、継続的な固定費縮減の取組みが経常利益の確保につながったと考えています。

【3回目質疑】
 固定費ということでは、厳しい定員管理により人件費の抑制を図っているほか、その他にも支出抑制に努めたとのことでした。今後さらに、必要水量に見合った施設の適正規模ということについても施設の更新に合わせて進めていただくこと、また、湖西市との水道料金収納業務等の共同実施のような広域化による合理化の推進にも期待します。 「上下水道ビジョン2021-2030」では、繰越利益剰余金が次第に少なくなるなどにより、内部留保資金の合計額が減少していくと見通しています。その結果、事業計画に基づく施設整備のために必要な補填財源は令和5年度に不足するため、令和5年度には料金改定の必要があることが示されています。
 しかし令和3年度の実績では、繰越利益剰余金がビジョンでは7.13億円であるのに対して、決算書の「剰余金処分計算書(案)」にあるように13.66億円となっており、大幅に増加しています。このことが、ビジョンで見通している価格改定の必要時期にどのように影響するのかについて、認識を伺います。

【答弁要旨】
 令和3年度決算では、繰越利益剰余金が上下水道ビジョンの見込みに比べ好転したことにより、今後の内部留保資金にその分の余裕が生じてくるものと見込んでいます。
 料金改定の必要時期については、資材やエネルギーなどの価格高騰が続く現在の社会経済状況を注視しつつ、次の決算となる令和4年度の状況等を踏まえながら、慎重に見極めていきたいと考えています。

【まとめ】
 料金改定が必要な時期については、令和4年度の状況を踏まえて慎重に見極めたいとのことでした。市民の暮らしを守るために、安定した給水ができるように施設の維持更新をしつつ、料金についても市民の負担をできるだけ抑えられるように、適切に判断していただくことを期待します。

☆水道事業会計 有形固定資産減価償却率と管路経年化率
【1回目質疑】
 有形固定資産減価償却率は水道事業会計に属する有形固定資産の減価償却の進捗率を示すものであり、着実に増加しているということは様々な施設の老朽化が着実に進んでいるということであると思います。管路経年化率は法定耐用年数を超えた管路延長の割合ということですから、この値が増加しているということは、管路についても老朽化に歯止めが掛かっていないということであろうと思われます。
 水道事業の管路や施設については、第1期水道管耐震化事業や、第8期配水管整備事業、第3期水道施設整備事業などにより、計画的に更新が進められているはずですが、結果を見ると令和3年度においても管路や設備の老朽化を改善できていないように見受けられます。この原因は、計画が不十分なものであるということなのか、あるいは計画通り進めることができなかったということなのか、認識を伺います。

【答弁要旨】
 令和3年度における第1期水道管耐震化事業、第8期配水管整備事業及び第3期水道施設整備事業については、豊橋市上下水道ビジョンに基づき概ね順調に進捗することができました。一方で、有形固定資産減価償却率と管路経年化率が増加している要因は、主に高度経済成長期に布設した大量の管路が法定耐用年数を迎えていることによるものです。本市の管路につきましては、先ほど水道管路課長から答弁がありましたとおり、使用実績等を踏まえ、法定耐用年数に代えて、本市独自の管種別更新基準年数に基づき、更新を行っています。
 施設や管路の老朽化対策は、膨大な事業費が必要となることから、全国の水道事業体共通の課題となっており、一朝一夕には解消できませんが、財源の問題も含めて、長期的な見通しに基づいて行っていく必要があるものと考えています。

【2回目質疑】
 今回経営指標で示された管路経年化率を市民が見れば、大変不安な気持ちになることは容易に想像できます。テレビでは、各地の水道で管路が老朽化していることで漏水の問題が起きつつあることなどが特集されることも何度かありました。事実、漏水により道路が陥没して事故が起きたとか、水道管が破裂して水柱が上がるというニュースが流れることもあります。
 本市においては、法定耐用年数に替えて管種別更新基準年数に基づき更新を行っているという答弁でした。法定耐用年数を基準とする管路経年化率については、令和3年度末において耐用年数を超えてしまった管路が30%を超えているという結果が示されています。本市が独自に定めているという管種別更新基準年数を基準として管路経年化率を計算すると、令和3年度はどの程度になるのか教えていただきたいと思います。
 また、市民に必要以上に不安を与えないためには、管種別更新基準年数を基準とする管路経年化率を公表すべきと考えますが、認識を伺います。

【答弁要旨】
 令和3年度末で管種別更新基準年数を超える管路延長は26kmとなっており管路総延長に対して1.1%となります。 しかし配水管整備計画は、管路総延長2,254㎞に対し漏水時に影響の大きい管口径75mm以上の予防保全対象管路延長1,147kmを対象としています。その中で管種別更新基準年数を超えている管路延長は2.4kmとなっています。これは予防保全対象管路延長1,147kmに対し0.2%となっています。
 また、更新基準年数における経年化率については、今後、上下水道だよりや上下水道局ホームページに掲載するなど、市民に対し公表していきたいと考えています。

【まとめ】
 管種別更新基準年数を基準とする管路経年化率は0.2%であり、このことは上下水道だよりやホームページで公表していくとのことでした。
 まず、0.2%とは言え、基準を超えている部分については早急に更新する必要があると思います。一層の積極的取組を期待します。また、市民の皆さんに管路の適正な更新を行っていることをきちんと理解してもらうことが、健全な水道事業を進めていく上で重要なことだと考えます。

☆動物園等管理運営事業費
【1回目質疑】
 これまでの一般会計からの繰入金の増減はリニューアル事業の金額の大小に左右されることが多かったと思います。ところが、令和3年度においてはリニューアル事業がなかったにも拘わらず、一般会計からの繰入金は9.18億円であり、前年度より1千5百万円程増加しています。
 その増加原因を見てみると、この動物園等管理運営事業費が2.85億円であり、前年度より1.55億円程増加していることが分かりました。この増加要因について、どのように分析しているのかについて認識を伺います。

【答弁要旨】
 増加要因についてですが、一つはインド共和国、マイソール動物園からのアジアゾウ3頭の導入に係る輸送他業務5,700万円で、これは、令和3年6月の建設消防委員会におきまして、令和2年度からの事故繰越しの報告をしたものです。
 また、二つ目といたしましては、アジアゾウ導入に伴う飼育職員の増員と動物飼料費、さらに、マイソール動物園への動物調達業務に係る委託料など、計約8,700万円で、令和3年6月の補正予算で追加計上したものです。
 以上、この二つを合わせた、合計約1億4,400万円が、増加要因の主なものとなっています。

【2回目質疑】
 動物園等管理運営事業費の主な増加要因は、象の群れ飼育を開始したことによるとのことでした。
 では、この増加要因となったものの内、令和3年度のみの臨時的支出と、今後も継続的に必要となる支出について、それぞれ内容と金額を教えていただきたいと思います。

【答弁要旨】
 令和3年度のみの臨時的支出ですが、アジアゾウ3頭の輸送他業務5,700万円と、マイソール動物園への動物調達業務に係る委託料7,500万円など合計で約1億3,200万円となります。
 次に、今後も継続的に必要となる支出につきましては、アジアゾウ導入に伴う飼育職員の増員分と動物飼料費で、令和3年度がそれぞれ9か月分の支出であったことを考慮いたしますと、概算で年間1,500万円ほどの額になります。

【まとめ】
 象の群れ飼育を行うことによる管理運営事業費の増加額について、概ね年間1,500万円になるとのことでありました。 近年、動植物公園への入園者は増加傾向にあり、関係者の皆さんの努力には敬意を表します。一方、一般会計からの繰入金は9億円程度を要しているわけで、税金の投入額としては少なくない金額となっています。効果的に使われなければなりません。この繰入金の費用対効果ということを測るためにも、事業を行う際に狙う効果について数値化による明確化ということに、今後一層努めていただくことを期待します。それができてこそPDCAによる継続的な事業のレベルアップが可能になると考えます。


戻る