2022年6月13日(月) 一般質問
青字は答弁
質問テーマ [豊橋自然歩道の管理のあり方]

豊橋自然歩道の管理のあり方

 本年の6月1日発行の「広報とよはし」によれば、豊橋自然歩道について、9月以降本線の一部と多くの支線が立ち入り禁止になるとのことでした。「暮らし情報」の中の「その他」の中の小さな目立たない記事に記載されていました。
 自然歩道ということについては、昭和43年に、当時の厚生省国立公園部が、東京の明治の森高尾国定公園と、大阪の明治の森箕面国定公園を結ぶ延長1,275㎞の東海自然歩道づくりの計画を示したことが発端であると思われます。コースは、直に自然に触れ、埋もれがちの貴重な文化財に出会うことを条件に選定されています。
 しかし、このコースは豊橋市を通らないということで、昭和44年5月の豊橋文化協会文化懇談会の席上、全国に先駆けて豊橋自然歩道を建設しようという提案がなされ、8月には豊橋自然歩道推進協議会が結成されました。その目的は「自然への理解と保護への観念を高め、併せて郷土の文化財的面の良き勉強と教養の場ともし、市民の体力づくりの一助ともしたい」としています。
 豊橋自然歩道の本線は東山から中山峠に至る約16.1㎞であり、それに加え葦毛湿原、岩崎自然歩道、普門寺神石山自然歩道、多米自然歩道など16の支線で構成されており、合計距離は約47㎞になります。多くの市民が山歩きを楽しんでいます。中心市街地からさほど遠くないところで、素晴らしい眺望とともに豊かな自然を感じることができる存在であり、本市の大きな魅力の一つと言えます。また、本市発祥の530運動のルーツでもあります。
 ところが今回、唐突にこれらの豊橋自然歩道本線の一部と8つの支線を廃止することが広報され、その後、大変多くの市民の失望の声を聞くことになりました。今回廃止予定の自然歩道の距離の合計は約17.8㎞になると思われます。昨年9月には既に0.7㎞が廃止されており豊橋自然歩道の4割弱が廃止されるということになります。
 また、この豊橋自然歩道は石巻山多米県立自然公園内にあり、公園計画にも位置付けられているものであります。そして、令和4年度は豊橋自然歩道推進協議会に引き続き管理していただいている部分がありますが、今後、この部分の管理のあり方も検討が必要になることが考えられます。
 そこで、以下の点について質問します。

  1. 豊橋自然歩道の魅力と重要性の認識について
    【1回目答弁要旨】
     豊橋自然歩道の魅力と重要性の認識についてです。 自然歩道は、市東部の弓張山地に整備された自然に親しむための遊歩道で、市街地の近くにあるため、気軽に訪れることができることから、手軽なハイキングコースとして親しまれています。
     自然歩道は豊かな自然に恵まれ、沿線には、石巻山や国指定の天然記念物となった葦毛湿原等の見どころをはじめ、嵩山蛇穴や姫街道等の歴史的な史跡、豊橋市の街並みや浜名湖を望む眺望スポットが点在するなど、観光地として誘客できる多彩な魅力があると認識しています。
     また、自然歩道は、自然歩道推進協議会による整備により歩きやすく整備されており、子どもから健康志向の高い高齢者まで多世代が利用できることも魅力の一つと考えています。
     このように豊橋自然歩道及びその周辺の見どころには、様々な魅力により、多くの観光客やハイカーが訪れていることから、本市の重要な観光資源のひとつであると認識しています。

    【2回目質問】
     豊橋自然歩道の魅力と重要性の認識についてお答えいただきました。多くの観光客やハイカーが訪れる本市の重要な観光資源の一つであるという認識も示していただきました。
     これらの観光客やハイカーのために、観光プロモーション課のホームページには豊橋自然歩道ガイドブックが掲載されています。そこにはハイキングコース案内が載っており、入門コースとして2コース、健脚コースとして3コース、合計5コースが紹介されています。行きと帰りと同じコースを通ってスタート地点に戻る行程より、これらのコースはそれぞれはるかに楽しめるルートであり、このハイキングコース紹介は大変有意義だと考えます。
     しかし、今回の一部自然歩道閉鎖により、5コース中4コースが利用できなくなるわけです。また、本坂峠以北の本線や支線が閉鎖されれば、豊橋の巨木・名木100選に含まれる笠モミという大木に行くこともできなくなります。長彦自然歩道の終点近くにある2本の大きなマンサクの木にも行くことができなくなります。最近では弓張山地を縦走する人が増えていますが、それもできなくなります。
     普門寺峠を通る鎌倉街道、多米峠を通る豊橋往還など歴史のある道を通ることもできなくなります。豊橋自然歩道は近隣の市町村はもちろん、関東や関西からも訪問者があると聞きます。他地域から山歩きに来た方が、来てみたら通ることができず、大幅なスケジュール変更を強いられ失望するということにもなりかねません。
     本市の重要な観光資源にとって大きな痛手となるはずですが、どのように認識しているのか伺います。

    【2回目答弁要旨】
     豊橋自然歩道は、本市の観光資源のひとつであり、廃止する路線については、携帯電話の位置情報サービスを介した利用者数の集計結果を基に、豊橋自然歩道推進協議会と協議したうえで、観光への影響を最小限にとどめるよう、利用状況の低い路線を選定しています。
     しかしながら、これまで案内してきたハイキングコースの利用が困難になるなど、どうしても一定程度の影響があるものと認識しています。
     今後も存続する路線については、利用者が安全安心にウォーキングが楽しめるよう整備を行い、その魅力を高めていくことで本市の観光資源としての価値を維持していきたいと考えています。

    【3回目質問】
     観光資源として一定程度の影響があるが、利用者が安全安心に楽しめるように整備し魅力を高めるとのことでした。
     しかし、今回廃止される支線は安心・安全を確保するための大きな役割も持っています。まず、それは緊急避難ルートになるということです。ハイキングの途中で、ケガや病気により歩くのが困難になった時、出発点まで戻るより支線を降りることでより短時間で車の通る道まで出ることができます。天候の急変時にも緊急避難ルートは必要です。
     また、これまで弓張山地では幾度か山火事がありました。そんな時、消防団の人たちは消火水嚢(すいのう)を背負い、支線に位置付けられている道を上がり消火活動をして、延焼を食い止めてくれています。支線がなくなることで山火事の消火活動への負の影響も考えられます。これらの安心・安全を脅かす可能性に関する対応をどのようにしていくのか、考えを伺います。

    【3回目答弁要旨】
     今回の自然歩道の一部路線の閉鎖により、自然歩道本線の中央部は支線が少なくなることから、議員ご指摘の通り、安心・安全を考えますと緊急避難ルートの確保が必要になってきます。
     そこで、廃止路線である、多米峠無料休憩所から本線の多米峠に至る700mの多米自然歩道は、本線に短時間で到達可能な路線であり、更に車での接続がしやすく、緊急時の利用に効果があると考えられるため、今後、利用について再検討する必要があると考えています。

    【まとめ】
     多米峠無料休憩所から本線の多米峠に至る700mの多米自然歩道については、閉鎖とされていますが、利用について再検討していただけるとのことだったので期待します。道は人が通らなければ草木が生い茂り、道としての機能を失うことになります。安全・安心機能維持のため、多米自然歩道だけでなく、その他の路線についても再検討が必要だと考えます。今後の対応に期待します。
     昨年には葦毛湿原が国指定の天然記念物となり、この自然歩道への注目度も上がっています。湿原の駐車場には他県ナンバーの車も沢山停まるようになっています。トレイルランの大会も開かれるようになりました。豊橋自然歩道は豊橋の宝だと思います。宝の価値を損なうことがあってはならないと思います。
     以上で(1)については終わります。

  2. 一部自然歩道廃止の方針に至った経緯について
    【1回目答弁要旨】
     自然歩道の整備や維持管理は、これまで豊橋自然歩道推進協議会により行われてきましたが、近年会員の高齢化や会員数の減少により、これまで実施してきたパトロールや歩道の維持作業を継続するのが困難な状況になってきており、昨年度、令和5年度末を目途に協議会を解散する意向の相談がありました。その後、協議会解散後の自然歩道について、全線廃止するのではなく利用者の多い区間を中心に、市に管理を移し、存続させる方向で協議を進めてまいりました。
     市としましても、自然歩道の観光利用の重要性を認識しておりましたので、利用状況や観光資源としての可能性などを中心に、協議会をはじめ隣接する湖西市も含め慎重に検討を行い、今後も残すべきルート案を選定いたしました。
     本ルート案については、4月15日に開催されました豊橋自然歩道推進協議会総会にて、自然歩道の一部路線の廃止と市への維持管理の段階的な移行が承認されました。
      以上が、経緯です。

    【2回目質問】
     自然歩道一部廃止の方針に至った経緯についてお答えいただきました。
     答弁では、4月15日の豊橋自然歩道推進協議会の総会で、自然歩道の一部路線の廃止と市への維持管理の段階的な移行が承認されたとのことです。この答弁では、豊橋自然歩道の廃止を決定するのは自然歩道推進協議会であるかのように受け取ってしまいかねません。5月30日の報道発表資料では「豊橋自然歩道協議会総会において、豊橋自然歩道の一部を廃止することが決定されました。」とされていました。
     責任の所在を不明瞭にするものだと考えますが、このような表現にした理由と訂正の意思の有無を確認させていただきます。

    【2回目答弁要旨】
     豊橋自然歩道は、昭和44年から自然歩道推進協議会が歩道を敷設し、その維持管理を行い、市は国への敷地の借用申請や案内看板の設置、協議会への補助金の交付を行うなどの支援をしてきたものです。
     自然歩道の一部廃止については、約1年間をかけて豊橋自然歩道推進協議会と本市で検討を進め、各路線の利用状況や今後の維持管理費用を勘案し、存続路線を決めていますが、廃止路線の決定の流れとしては、豊橋自然歩道推進協議会総会にて審議し、決議されたものを本市が採用し、存続路線の管理は湖西市と協議のうえ最終決定しています。
     こうした経緯から、報道発表においては自然歩道協議会の総会での決定を受け、本市として自然歩道の一部を廃止することを発表したものであり、適正であったと認識しています。

    【3回目質問】
     国有林の貸付を受けているのも、県立自然公園の公園事業者も豊橋市であり、自然歩道の設置主体は豊橋市であると思われますが、自然歩道の敷設を行い、維持管理を行ってきたのが自然歩道推進協議会であり、その決定を尊重したということで理解しました。
     次に、1回目の答弁では、自然歩道推進協議会によるパトロールや維持作業が難しくなったとのことで、湖西市にも加わってもらい、残すべきルートの検討を行ってきたとのことでした。
     今回の自然歩道一部閉鎖については、自然歩道推進協議会の一般会員が知ったのは4月15日の総会ということであり、一般市民が知ることができたのは5月30日の報道発表ということになりますが、新聞に記事が掲載されたのは先週のことです。しかし、その前から口コミなどでそれを知った複数の市民から、これは本市にとって大変なことだから、市に考え直すように働きかけて欲しいと非常に熱心な連絡をいただき、今回質問に至った次第です。関心を持つ多くの市民が知らない内にこのような決定がなされたことに、大きな問題意識を持っています。
     そこで、自然歩道維持管理の協力を求めるために、自然歩道推進協議会の他に、市民や企業、団体などに協力を呼び掛けることはしなかったのか、その理由とともにお答えをお願いします。

    【3回目答弁要旨】
     豊橋自然歩道は豊橋自然歩道推進協議会により、全長延べ47㎞に渡り、定期的な見回りや歩道上の草刈りはもとより、大雨・強風時などの現地確認、高地での倒木や枯れ木の撤去などを1団体で実施してきました。
     広範囲でのこれらの作業は、他の企業や団体では難しいと考え、呼びかけは行ってきませんでした。
     一方で、市民参画に関しては、高齢化で悩んでいた協議会に新たな担い手を確保すべく、市の広報とよはしやホームページ、チラシ配布等により協議会の会員募集を呼びかけてまいりました。

    【4回目質問】
     一つの団体で自然歩道推進協議会と同じように維持管理作業ができるところはないと考え、新たな団体への呼び掛けではなく、同協議会の会員募集に協力してきたということでした。
     確かに一つの団体でこれ程の規模の自然歩道の維持管理作業を行うというのは大変なことだと思います。あらためて自然歩道推進協議会のこれまでのご尽力に感謝し敬意を表したいと思います。
     そして、この自然歩道を敷設し守り続けてくれたのが豊橋自然歩道推進協議会であることを、自然歩道利用者に伝えることも大切だと思っています。このような努力があって自然歩道があり続けるということを利用者に知ってもらうことが、何らかの形で協力しようという気持ちを育むことになることが期待できると思います。
     そこで、豊橋自然歩道が豊橋自然歩道推進協議会により敷設され長く維持管理されてきたことを紹介する看板設置をしてはどうかと考えます。このことについて、認識を伺います。

    【4回目答弁要旨】
     豊橋自然歩道推進協議会は、葦毛湿原の保全に取り組んでおられた市民を中心に結成され、今日に至るまで50年以上の長きにわたり、本線1本、支線16本、延べ約47㎞に及ぶ自然歩道を整備してこられました。
     本市としても、今ある自然歩道の成り立ちや整備に携わった当時の皆様の思いに、触れていただく機会を設けることにより、郷土の自然への理解と愛着を高めていただくことも期待できますので、協議会にもご意向を確認して、対応していきたいと考えています。

    【まとめ】
     今回の自然歩道の一部廃止ということについては、市と豊橋自然歩道推進協議会の二者だけで話が決められたように感じます。もっと、多くの方の意見を聞くべきだと思います。自然歩道の廃止のみならず、立ち入り禁止をすることにより、元々生活道路として古くから利用していた道に入れなくなってしまいます。歴史的遺産にも近づけなくなり時間とともに森に飲み込まれてしまうことになります。
     郷土の歴史に詳しい人、近隣の自治会、他地域の自然歩道の維持管理に携わる人など、様々な見識を持つ方など、今からでも遅くないので、これからの豊橋自然歩道のあり方を協議する場を持っていただくことを期待します。
     (2)は終わります。

  3. 一部自然歩道廃止にあたっての愛知県立自然公園条例への対応について
    【1回目答弁要旨】
     愛知県立自然公園条例は、県内にある優れた自然の保護やその利用の増進を図ること等を目的に策定されたもので、この条例に基づき、愛知県知事が県内にある自然の風景地を自然公園として指定し、自然公園ごとに公園計画が策定されています。
     豊橋自然歩道の多くが、石巻山多米県立自然公園の区域内にあることから、公園計画に公園事業として自然歩道の路線名や区間が掲載されて(位置づけられて)います。
     条例への対応についてですが、今回、自然歩道の一部を廃止することから、条例第12条の規定により廃止する路線の公園事業廃止の届出を行っていきます。

    【2回目質問】
     愛知県立自然公園条例は、県内にある優れた自然の保護やその利用の増進を図ること等を目的に策定されたものという答弁がありました。自然歩道の一部廃止は「利用の増進」ということからは全く相反することと思われますが、県立公園内の自然歩道の一部廃止を本市が申し出たことについての、愛知県の認識と対応について伺います。

    【2回目答弁要旨】
     愛知県からは、「豊橋自然歩道の一部廃止等の判断をするのは豊橋市である」との認識を伺っております。

    【3回目質問】
     豊橋自然歩道の一部廃止等の判断をするのは豊橋市であるという県の見解であるということでした。
     では豊橋市として、愛知県自然公園条例の目的にある「利用の増進」ということについて、今回の自然歩道の一部廃止という一見逆行することに対して、どのように対処していくのか考えを伺います。

    【3回目答弁要旨】
     愛知県の公園条例の目的にある「利用の増進」については、存続する路線を利用者の皆様に楽しんでいただけるよう、草刈り作業をはじめ、土のうの設置や倒木処理等の適切な維持管理を行うとともに、存続する路線を活用した新たなハイキングコースを紹介することにより、利用の増進を図っていきたいと考えています。

    【4回目質問】
     新たなハイキングコースを紹介することで利用の増進を図るとのことでした。これだけ支線を廃止してしまう中では大変難しいことだろうと思います。
     条例第12条は「公園事業者は、公園事業の全部若しくは一部を休止し、又は廃止しようとするときは、規則で定めるところにより、あらかじめ、その旨を知事に届け出なければならない」と定めています。廃止しようとする前に、知事に届け出なければならないと解することができると思いますが、届出を行う前にその決定を公表することには問題があるのではないかと考えますが、認識を伺います。
     また、第8条には「公園事業は知事が決定する」という定めがあります。そしてその2項には「知事は、重要と認める公園事業を決定し、廃止し、又は変更しようとするときは、審議会の意見を聞かなければならない」と決められています。
     今回の自然歩道の一部閉鎖は重要と認められる公園事業の変更と判断される可能性もあると思われますが、審議会の意見も聞くことは行われておらず、知事の決定もなされていない段階で、市が決定事項として公表することに問題はないのか、認識を伺います。

    【4回目答弁要旨】
     自然歩道の廃止に向けた一般利用の停止の際には、届け出を行う必要がないことを県に確認しております。そのため、届け出前に廃止の公表を行うことは問題がないと考えています。
     また、自然歩道の一部路線の廃止は、県との協議により重要と認められる公園事業の変更には該当しないと判断されており、この点についても、市が公表することは問題ないものと認識しています。

    【まとめ】
     届出前の自然歩道廃止の公表は問題ないこと、自然歩道の一部路線の廃止は重要な公園事業の変更には当たらないことを確認しているとのことでした。
     今回廃止しようとしている自然歩道の総距離は、豊橋自然歩道全体の4割近くになるものであり、利用者にとって大きな影響があることは間違いありません。
     第1条に目的として定めている、優れた自然の保護やその利用の増進を図るということについて、豊橋市としてさらに積極的に考えていただくことを期待します。
     (3)については終わります。

  4. 今後(令和5年度以降)の管理体制の考え方について
    【1回目答弁要旨】
     豊橋自然歩道は、近年の健康志向やアウトドアブームにより利用者が増加傾向にあります。携帯電話の位置情報サービスの集計結果によりますと、令和2年度は約5万6,000人、令和3年度は約5万9,000人となり、大変多くのハイカーにご利用いただいており、今後も安全に利用できるよう適切に維持管理を行う必要があると考えています。
     今後の管理体制につきましては、自然歩道推進協議会が令和5年度末の解散に向けて業務を縮小していくことから、令和5年度は、湖西市が管理する本線の一部を除き、協議会が行っている令和4年度の維持管理業務の一部を引き継ぎ、本市が実施する予定ですが、協議会解散後の令和6年度からは、本市が存続区間について維持管理を行う予定で協議を進めています。

    【2回目質問】
     令和5年度以降の管理体制ということについては、自然歩道の縮小後は湖西市が管理する部分をのぞき存続区間について豊橋市が維持管理を行う予定であるとのことでした。令和4年度から既に760万円の維持管理費がかかっています。4年度に自然歩道推進協議会が維持管理していた部分も市が行うことになれば、さらに同程度の予算が必要になることが考えられます。
     そこで、市の財政負担を抑えつつ、これまで培われてきた本市の貴重な財産である豊橋自然歩道を守り、次の世代に受け継いでいくことを考えなければなりません。そのための、より現実的な方法として、維持管理作業を全線一括して委嘱していくのではなく、例えば支線単位など小規模で、複数の団体に分割委嘱していくということは考えられないでしょうか?
     また、その自然歩道には「この道は●●会の皆さんが維持管理作業をしてくれています」というような、看板設置も必要だと思います。企業への委嘱ということであれば、ネーミングライツということも考えられます。
     補助金についても、相当長い間、金額が据え置かれていると思います。この辺りの見直しも必要だと考えます。
     分割委嘱、維持管理団体名表示、補助金の見直しなどの方法について検討した上で、維持管理作業を引き受けてくれる団体や企業を広く公募していくことを考えることについて、認識を伺います。

    【2回目答弁要旨】
     今回、自然歩道の一部路線の廃止を発表したことで、市に廃止を惜しむ声も寄せられています。自然歩道の全線ではなく、一部路線であれば維持管理が可能なボランティア団体もあるかもしれませんので、広く呼び掛けを行っていきたいと思いますが、まずは、維持管理等のスキームづくりの検討から進めていきたいと考えています。

    【3回目質問】
     維持管理のスキーム作りの検討を進めていただけるとのことでした。維持管理の中でも、パトロールや草刈りなど比較的簡易な作業と、倒木処理など専門性を必要とするものなどを分離するということも考えていただけるといいのではないかと思います。多くの団体が手を上げやすい仕組みを考えていただくことに大いに期待します。
     また、この自然歩道は多くの部分が国有林の中を通っています。その使用にあたっては、国との間に貸付契約がなされているものと思われます。自然歩道の維持管理を考えていく上で、この貸付契約のことについて考えていくことも必要なことです。
     まずそこで、自然歩道としての貸付期間はいつまでなのか、また、これまでの森林管理事務所との協議の状況について伺います。

    【3回目答弁要旨】
     国から借用している国有林の貸付期間は、路線ごとに異なりますが1回の申請につき5年間となっています。 ただ、保安林の原状回復期間がありますので、実際に返還するまでは、契約を更に5年ごとに更新する必要があります。
     次に、これまでの森林管理事務所との協議についてですが、国有林の返還にあたり、これまでに設置した施設等の撤去や、保安林として現状回復するための植栽とその木が育つまでの経過観察を行い、3年から5年をかけて国の検査を受ける必要があることを確認しています。
     また、豊橋自然歩道の廃止にあたり、一般利用者に事前告知を行い、告知看板等を用いて封鎖する必要があることも確認しています。

    【4回目質問】
     森林管理事務所との協議では、国有林の返還にあたり、設置した施設等の撤去や保安林として原状回復するための植栽が必要とのことでした。
     国有林野無償貸付契約書を見てみると、確かに第16条に原状回復義務が規定されています。しかし、その第3項には「その必要がないと認めたときは、原状回復義務の全部又は一部について免除することができる」という規定があります。
     そもそも、今回自然歩道廃止を予定している路線は、元々、明治以後、豊橋往還と呼ばれる道であったり頼朝も通ったと言われる鎌倉街道であったり、古くから道として使われてきたところです。このことを主張すれば、この第3項の規定による原状回復の免除もあり得るのではないかと考えます。これらの歴史のある道を消して森にしてしまうことは大変残念なことだと思います。
     そこで、原状回復の免除について、森林管理事務所に申し出ることについて考えを伺います。

    【4回目答弁要旨】
     自然歩道の路線の多くは、弓張山地の自然環境を損なわないよう、新たに森を伐採するのではなく、古くから人々の往来に利用されてきた山道を活用して整備してきました。
     このような路線の返還手続きについては、原状回復にあたり、設置した道標や案内板、階段等の人工物は全て撤去する必要がありますが、植栽の必要性等は国と協議しながら進めていきたいと考えています。

    【5回目質問】
     植栽の必要性等については国と協議していただけるとのことでした。豊橋往還は多米古道という人もいるほどです。その他の道にも寺院の痕跡があるもののまだよく解明されていないものなどあります。是非、この地域の歴史の痕跡を残すという意味でも古い道を残すことに積極的に取り組んでいただきたいと考えます。
     また、5月30日の報道発表資料によれば、自然歩道廃止の路線については、立ち入り禁止にするということが言われています。全ての廃止予定路線の維持管理をしてくれる団体や企業がみつかればいいのですが、見つからなかった場合にも立ち入り禁止は何とか避ける方向で考えていただきたいと思います。緊急避難ルートとして、山火事消火活動経路として、あるいは歴史ある道の保存という意味でも、道として残すことは重要なことであると考えます。
     維持管理ができないのであれば、「維持管理ができていないので、通行する場合は十分に注意して下さい」などの注意を呼び掛ける看板設置により、通行を可能とする方策の検討をしていただきたいと思います。多くの市民が期待しています。このことについて、認識を伺います。

    【5回目答弁要旨】
     豊橋自然歩道は、歩道敷を国から借用しており、閉鎖路線については、国への返還に必要な植生回復作業等を一定期間行う必要があり、こうした期間においても、市に借用部分の管理責任が継続されることとなります。
     廃止路線については、維持管理作業を今後行わないことから、歩道敷の安全が確保されない状態となりますので、通行自体を制限するよう国からも指導を受けています。
     そのため、山火事など緊急時に利用する場合を除き、通行を制限すべきと認識しています。

    【6回目質問】
     山火事など緊急時に利用する場合を除き、通行を制限すべきという認識をお答えいただきました。
     人が通っていれば道はなんとか残ります。ところが、何年も通行を禁止しておいて、緊急時にのみ利用しようとしても、草が生い茂り侵入困難な場所ができてしまっていることは十分に考えられます。消防団の方が水嚢を背負いあがって行って、進んでみたら通れなくなっており立往生するということがあり得ると考えるべきだと思います。
     因みに、豊橋自然歩道から国有林内に向かう道で、自然歩道に位置付けられていない道は何カ所かあります。自然歩道からのそういう道への侵入口には立ち入りを制限する看板などは見たことがありません
     自然歩道閉鎖後、国有林に返還後においても、できれば国有林に返還前の段階においても、これらの国有林内道路と同様に立ち入り制限を設けない方向で森林管理事務所と調整をしていただきたいと考えます。緊急時に利用可能な道であるために是非必要なことと考えます。この件について認識をお伺いします。

    【6回目答弁要旨】
     国有林内には、豊橋自然歩道のほかに、昔から利用されている山道が複数ありますが、これらの道は本市が国から貸し付けを受け管理しているものではありません。
     一方で、自然歩道は国有林を歩道敷として使用する目的で、国と貸付契約を締結しており、閉鎖後も国に返還が認められるまでは、安全確保義務を負うことが契約書に明記されています。
     こうしたことから、閉鎖後は、危険木の処理等の必要な措置を行わないため、利用者の安全確保のために立ち入りの制限は止むを得ないものと考えています。
     しかしながら、閉鎖後も緊急時の利用等が想定されるうえ、議員のご質問にありますように、山道として利用したいと聞いていますので、国との返還にあたっての調整の際には、そのような声を伝えていきたいと考えています。

    【まとめ】
     自然歩道廃止後も緊急時の利用等山道を利用したいということについて、国との返還調整の際に希望を伝えるとのことでした。結果が出たら何らかの形で市民にお知らせ頂けるとありがたいです。
     岩崎広場から自然歩道につながる道があります。その道と自然歩道との交差点は5差路になっており、自然歩道をはずれてNHK中継所のある山を鉢巻のように巻いていく道が左右にあります。岩崎広場から来た道もこの左右の道も自然歩道に指定されているわけではありませんが、立入禁止にはなっていないし、通行に支障はありません。私は今年になってこれらの道を歩いたので間違いないです。
     廃止予定の赤岩自然歩道からは自然歩道をはずれて西猿岩という市内を素晴らしく見渡せるポイントに行くことができます。ここへの道も自然歩道ではないのですが、通行に支障はありません。立入禁止にもなっていません。
     廃止予定の自然歩道はこれらに比べればはるかに多くの人が歩いています。携帯電話の位置情報データを見るのも必要ですが、これらの現場も是非見ていただきたいです。森林管理事務所との打合せに際してはこれらの現地を是非確認した上で進めていただくことを期待します。
     里山は子ども達が気軽に足を踏み入れることができてこそ、故郷の山という気持ちが育まれます。豊橋の子ども達の郷土愛を育むための重要な資源です。自然歩道があってこそ、その資源を活かすことができると思います。豊橋自然歩道は豊橋の宝だという人も多くいます。是非、存続できるように最大限の努力をしていただくことを期待します。
     以上で全ての質問を終わります。


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