感染症に強いまちづくりの考え方について
【1回目質問】
新型コロナウィルス感染症拡大の第6波は、全国的には既に2月上旬にピークを迎えたと言われています。現時点では本市の新規感染者はまだ高水準にありますが、今後、徐々に新規感染者の減少も期待できると思われます。これまで、新型コロナウィルスの感染拡大防止や治療、そして、官民問わず市民生活に不可欠な業務を困難な中でもしっかりと提供していただいた方々には、心から敬意を表すとともに感謝申し上げます。
今後はこれまでの2年間にわたる新型コロナウィルスとの闘いを踏まえ、コロナ禍で痛手を受けた市内経済の復興…アフター・コロナ、そして次の新型コロナウィルスあるいは未知のウィルスの感染拡大への備え…ウィズ・コロナ、を充実していくことが肝要と思われます。
そしてまず、ウィズ・コロナということについては、感染症治療体制の充実に向け、2月に宿泊療養施設が市内に新たに確保され、さらに新年度には市民病院に新たな感染症専用病棟の建設が始まるということであり、拡充整備が進んでいます。また、市長は予算大綱の中で、医師会・薬剤師会など関係機関のご協力をいただきながらのワクチン接種推進、市民への感染症対策への協力の呼び掛け、保育所や小中学校等での感染症対策徹底を上げています。これらはもちろん必要なことであります。
しかし、この2年間には、新型コロナウィルスは6度の感染拡大を引き起こしてきました。この間に様々な市民生活への脅威が表面化したわけですが、かつて私が新型インフルエンザのパンデミックへの備えについて一般質問した際には、全く予想もできなかったことも様々ありました。この経験を活かして今後の脅威に備えていくことが必要であると考えます。
そこで「感染症に強いまちづくりの考え方について」伺います。
【1回目答弁要旨】
感染症に強いまちづくりの考え方についてです。
私は「感染症に強いまち」とは、第一に、市民の予防意識が高く、基本的な感染防止対策が徹底されているまちであると考えます。さらに、仮に感染症が発生・拡大しても日々の暮らしや事業活動を継続でき、収束した後には速やかに再興に向けて立ち上がることができる、耐性と回復力を備えたまちであることが求められます。
そうしたまちの実現には、感染症の状況に対応し、優先順位を明確にしながら機動的に施策を講じていくことが必要だと考えます。何よりも優先すべきは、市民の命と健康を守ることであり、感染症を正しく恐れ、予防を徹底するための的確な情報提供と、安定的な医療提供体制の確保が必要です。次に、ワクチン接種の推進といった感染予防、重症化予防の充実が挙げられます。さらには感染症が蔓延する状況下でも市民の仕事や生活を維持することが重要です。
こうした認識の下、これまで様々な感染症対策に取り組む中で得られた経験を活かし、関係機関との連携を一層深め、感染症に強い地域ぐるみの体制づくりに引き続き取り組んでいきます。
【2回目質問】
「感染症に強いまち」とは耐性と回復力を備えたまちであり、これまで感染症対策に取り組む中で得られた経験を活かし感染症に強いまちづくりを目指したい、との答弁でした。
答弁の中で「耐性」と表現された「感染症が蔓延する厳しい状況下での日々の暮らしや事業活動の継続」ということについては、今回の新型コロナウィルス感染拡大の中で、いわゆるエッセンシャルワーカーと言われる方々が感染したり濃厚接触者になったりということのため、多くの人が出勤できなくなるということがありました。他市においては、そのため市民生活に必要不可欠な公共サービス、生活インフラ、小売業などの運営に支障を来すということも報じられていました。まさに「日々の暮らしや事業活動の継続」が危機に直面したということだと思います。
本市においてもエッセンシャルワーカーの方々に多くの感染あるいは濃厚接触者が生じ、様々な職場で懸命な対応が行われ何とか市民生活の維持がなされてきたものと認識しています。この経験を活かし、次の感染拡大に備え、市民生活に必要不可欠な仕事について、危機的状況に陥ることが危惧される際の対応策を考えていくことが必要であろうと考えます。この部分についてどのように備えていくのかについて、2回目として伺います。
【2回目答弁要旨】
感染拡大に伴う従業員の療養等により、あらゆる事業所の事業活動の停滞が懸念されていますが、特にエッセンシャルワーカーの方々が担っているサービスの停滞は、市民生活に深刻な影響を及ぼします。
こうした状況を防ぐべく、これまで、例えば高齢者施設や障害者施設におけるスクリーニング検査や、学校への検査キットの配布、保育園に対する検査キット購入助成などを行ったほか、検査体制を強化し、エッセンシャルワーカーへのワクチンの優先接種など、感染拡大防止の取り組みを進めてきました。
また、このような取り組みに加え、マンパワーが限られる状況においても民間事業者が事業を継続できるよう、事業継続計画(BCP)の策定について支援を行っているところですが、さらなる周知啓発を進めていきたいと考えています。
【3回目質問】
日々の暮らしや事業活動の継続に欠くことのできないサービスの停滞を防ぐため、感染者の早期発見に努めてきたこと、BCPの作成支援を行っていることなどお答えいただきました。
BCPということについては、策定支援をした結果、どれほど策定が進んでいるのか、また感染症拡大に対してどれほどの実効性があったのか、検証し問題があれば改善することが必要だと考えます。このことにどのように取り組むのか、考えをお聞きします。
【3回目答弁要旨】
企業BCPは各企業がリスクを想定し策定するもので、平成27年度から昨年度までで、本市の企業BCP策定事業補助金を活用し、企業BCPを策定した中小企業は18件となっています。
一方で、企業BCPは地震や台風などの自然災害を対象とした企業が多く、感染症対策まで含めた企業はまだ少ないものと認識しています。
本市では、引き続き企業BCPの策定を企業側に周知していきますが、対象リスクには感染症対策も含めるようPRする必要があると考えています。
【4回目質問】
そもそも市の補助金を受けBCPを作成した企業は18社と少なく、感染症対策を含めたBCPを作成している企業はさらに少ないとのことでした。
日々の暮らしや事業活動の継続にエッセンシャルと言われる業務を行う事業者は、必ずしも規模の大きなところばかりとは限りません。小規模事業者においては、優先業務だけに絞り込んでも対応が困難な事態も考えられます。そういう事態に備えて、類似事業者間での協力体制、官民の協力体制ということについても、早い時期に確立することが必要ではないかと考えます。
感染症拡大に対するBCPの内容の精査と合わせて、類似事業者間や官民の協力体制のあり方を協議していくことについて、どのように認識しているか伺います。
【4回目答弁要旨】
事業者間の協力体制については、明海地区工業団地において、新型コロナウィルス感染症に関する事業継続への対応マニュアルを所持していない事業者に対し、地区内の策定済みの事業者がひな形を情報提供し、対策を講じたといった事例があります。
このような、地域の企業が連携してBCPに取り組んでいる事例も紹介しながら、引き続き企業BCPの普及啓発に力を入れていくとともに、官民の協力体制についても重要な視点であると認識していますので、保健所などの機関との連携など、勉強していきます。
【まとめ】
これから勉強していくという段階にあるということでした。感染症に強いまちづくりは喉元過ぎる前に考え始めるべきだと思います。
市長は1回目の答弁で「感染症の状況に対応し、優先順位を明確にしながら機動的に施策を講じていくことが必要」と言われています。そのためには、平時から様々な連携が円滑に進むように協議しておくことが重要なはずです。優先順位の高い市民のニーズに対応するために、そういう連携が円滑にできるということが、感染症に強いまちであるために必要不可欠の要素であると考えます。
市内事業者のコロナ禍による影響調査とその結果に基づく支援方策について
【1回目質問】
アフター・コロナということについてです。コロナ禍により市内でも様々な事業者が大きな痛手を受けています。本市経済が活力を取り戻していくためには、痛手を受けた事業者に的確な支援をしていくことが不可欠です。これまで既に、国・県・市により、消費喚起、協力金や支援金、業態転換などを進める施策が行われています。そういう意味では広く支援の手が差し伸べられていると思います。
今後については、未だこれらの支援の手が行き届いていない、困難を抱える事業者に対して、効果的な支援策を考える必要があるのではないかと考えます。まずはより緻密な実態把握が必要であり、その上で、調査結果に基づく対応策が考えられなければなりません。
そこで「市内事業者のコロナ禍による影響調査とその結果に基づく支援方策について」伺います。
【1回目答弁要旨】
市内事業者のコロナ禍による影響調査とその結果に基づく支援方策についてです。
コロナ禍において、効果的な事業者支援策を展開するためには、市内事業者の状況を的確に把握することが、非常に重要であると認識しています。
新型コロナウィルス感染症の影響については、これまでも多くの事業者から相談を受ける商工会議所や金融機関から業種ごとの状況を定期的にお聞きしたほか、コロナに関する融資や補助金などの申請に来庁された延べ約6千の事業者には、コロナの影響や売上減少幅なども含め個別に経営状況を確認してきました。
そうした中で、特に影響のある業種に対しては、市職員が直接事業者のところに出向き、聞き取り調査を行うなど、市内の事業者の状況把握に努めてきました。
この状況把握を基に、事業者に対し、国・県の支援策等の活用を促すとともに、市としても、必要な時期に必要な施策を講じてきたところです。
ウィズコロナ・アフターコロナを見据えた事業者への今後の支援についても同様に、必要な施策を実施していきますが、現状においては、雇用維持や資金繰り支援など事業継続を支える支援策と売上回復につながる消費喚起策を継続して実施することで、経営基盤の安定を図る必要があると考えています。
その上で、事業者の成長に繋がる効果的な支援として、業態転換やクラウドファンディングを活用し、新商品・サービスを生み出す前向きな取組への支援など、新たなチャレンジを促進する施策を講じてまいりたいと考えています。
【2回目質問】
商工会議所や地元金融機関などの各支援機関から情報収集するとともに、市内の様々な業種の事業者に幅広くヒヤリングをし、市として必要な施策を講じてきているとのことでした。
しかし、まだ支援が行き届いてない部分もあるのではないかと考えます。例えば、飲食店には感染防止対策協力金などにより一定の支援がなされていますが、酒類やおしぼりなど飲食店への卸し事業者は国の事業復活支援金の対象にはなるものの、その支援金額は個人事業者では最大50万円であり、年間売上5億円を超える中小法人では売り上げが50%以上減少しても支援金額は250万円が上限となっています。これだけでは相当苦しいことが予想されます。
一方、公共交通関係では、既にタクシー業界に対して本市独自の支援が行われている他、鉄軌道事業者には新年度予算案の中で鉄軌道施設安全対策事業費補助金が計上されています。しかし、まだ支援を必要としながら取り残されている業界があることが危惧されます。
そこで2回目として、これまで行われた様々な業種へのヒヤリングの結果、特定の業界への本市独自の支援策は公共交通以外では何があったのか、また、実態調査は十分に行うことができたと考えているのか、認識を伺います。
【2回目答弁要旨】
実態調査の結果において、様々な業種の事業者から厳しい経営状況をお聞きする中で、本市独自の支援策として、資金繰り支援をはじめ、雇用維持を図るための助成、安全安心な消費活動を促進するための感染対策補助、売り上げ回復に向けての業態転換やイベントへの補助など、幅広い業種に対し、支援をしてきました。
その上で、特に影響の大きく、他業種への支援にもつながる業種に対しては、個別の支援を行ってきました。例えば、飲食業には販路拡大に向けた「飲食店業態転換支援補助金」や「プレミアム付き電子商品券」の飲食店ポイントによる消費誘導、宿泊業には「宿泊施設感染症対策等特別支援補助金」による感染対策や広告宣伝費の補助、旅行業には「旅行業者等誘客活動特別支援補助金」による公告宣伝費への補助などを実施しました。
さらに、農業分野でも「新型コロナウィルス対策資金利子補給補助金」による資金繰り支援や収入確保のための「農業経営収入保険加入促進補助金」などを実施しています。
こうした支援は、実態調査に基づいて実施したものであり、一定の成果があったと考えていますが、刻々と変化する経済状況の中で、事業者の影響を的確に把握するため、今後も実態調査を続けていくことが必要あると認識しています。
【3回目質問】
飲食店への卸し事業者など、まだ支援を必要としながら支援の手が差し伸べられているところがあるのではないかと考え、質問させていただきました。しかし、卸し事業者の支援については、直接支援より飲食店の活性化が望ましいとの判断から、プレミアム付き電子商品券に飲食店ポイントを設定したものと理解しました。ところが、今回のプレミアム付き電子商品券については1割程度の販売残が生じているとのことです。
さらに、3月6日までとされていた愛知県まん延防止等重点措置も延長されることになりました。飲食店への卸関係事業者の経営ひっ迫の可能性があると思われますが、早急に聞き取りなどを行い、プレミアム付き電子商品券の効果の検証とともに、支援の必要性について確認の必要があると考えますが、認識を伺います。
【3回目答弁要旨】
これまで実施してきたプレミアム付き電子商品券事業をはじめ、今年度実施した様々な支援策の効果検証と合わせて、飲食店支援の波及効果を測るため、飲食店に関連する卸売り業者なども含め、重点的に聞き取り調査を進めているところです。その結果をしっかりと支援策につなげていきたいと考えています。
【まとめ】
重点的に聞き取り調査をし、支援策につなげるとのことでしたので、豊橋では取り残される事業者ないように対処していただくことに期待します。
これからは、石油価格上昇の影響やウクライナに侵攻したロシアへの経済制裁が我が国経済に大きく影響することも考えられます。一層、市内事業者の経営状況の迅速な把握手法の確立は重要になると思われます。随時、行政で把握できる様々なデータにより危機的状況にある業界を把握し、いち早くヒヤリングすることで、的確な支援ができるよう、さらに研究していただくことを期待します。