2021年9月21日(火)~27日(月) 決算特別委員会
青字は答弁
テーマ [バイオマス利活用センターの稼働状況][行財政改革プランの評価について]
[生ごみの処理状況][全体会計純資産変動状況][維持補修費について]

☆バイオマス利活用センターの稼働状況
【1回目質疑】
 バイオマス利活用センターができたことにより、従来、焼却炉で処理していた生ごみやし尿・浄化槽汚泥を下水道事業会計が引き受けることになったため、一般会計負担金ということで一般会計から下水道事業会計に処理費が支払われている。また、下水道事業会計からは下水汚泥と一般会計からの生ごみやし尿・浄化槽汚泥をバイオマス利活用センターで処理することとしたため、委託料という形でSPCに処理費が支払われている。
 そこでまず、バイオマス利活用センターに係る一般会計からの収入の総額とその内容・内訳を伺う。
 また、SPC(運営会社)に処理費用として支払った委託料及び下水汚泥の処理に要した費用がそれぞれいくらであったのか、伺う。

【答弁要旨】
 令和2年度のバイオマス利活用センターに係る一般会計からの収入の総額は、税込みで3億5,481万6,562円です。内容と内訳ですが、施設建設費に係る起債の元利償還金及びSPCに支払う施設建設費の割賦払金の額は1億7,853万7,014円、バイオマス利活用センターでの生ごみやし尿・浄化槽汚泥の処理に要した額は1億6,625万6,691円、上下水道局が行った排水処理などに要した額は1,002万2,857円です。
 また、SPCへ処理費用として支払った委託料は、2億6,447万9,917円で、生ごみ等の処理に要した費用1億6,625万6,691円を除いた下水汚泥の処理に要した費用は9,822万3,226円です。

【2回目質疑】
 バイオマス利活用センターができるまでは、下水処理汚泥は濃縮脱水処理をし、更に乾燥をしてのんほいユーキとして緑農地還元していた。この処理に係る修繕費、動力費、薬品費等の減額、一般会計からの収入の増加という利益増加要素に加え、バイオマス利活用センターの減価償却費の発生、SPCへの支払いの発生など利益減少要素も生じている。
 令和2年度において、バイオマス利活用センターでの処理を行うことにしたことによる、正味の利益貢献額はいくらだったのか、伺う。

【答弁要旨】
 バイオマス利活用センターの稼働前の平成28年度と令和2年度決算とを比較すると、施設・設備の維持管理費では、修繕費、動力費、薬品費の皆減などにより約4億5,000万円の削減となりました。
 これらの代わりとして、処理に要する費用であるサービス購入費を2億4,000万円ほど計上していますが、このうち、生ごみ処理に係る一般会計負担金として1億5,000万円余を収入していますので、この額を控除したPFI方式による新たな汚泥処理費用は、約9,000万円となりました。
 また、資産の償却開始により減価償却費3億7,000万円ほどを費用計上していますが、対応する長期前受金戻入2億8,000万円ほどを収益計上していますので、差引約9,000万円を新たに減価償却費として計上しています。
 これらを合わせまして、令和2年度は、約2億7,000万円の利益貢献額があったと考えています。

【3回目質疑】
 令和2年度のバイオマス利活用センターの利益貢献額を示していただいた。
 バイオマス利活用センターは平成29年10月から稼働を開始しており、令和2年度末までに3年半が経過している。これまでの累積利益貢献額についても教えていただきたい。

【答弁要旨】
 平成29年度の半年間分については、減価償却費が計上されていなかったことから維持管理費だけでの比較となりますが、利益貢献額は約3億2,000万円となっています。
 平成30年度及び令和元年度の利益貢献額につきましては、先ほどお答えした方法で同様に算出しますと、平成30年度は約2億9,000万円、令和元年度は約2億8,000万円となり、これに令和2年度の利益貢献額約2億7,000万円を加えると、累積の利益貢献額は約11億6,000万円になるものです。

【4回目質疑】
 累積の利益貢献額は約11億6,000万円だったとのことだった。次に、生ごみの受け入れ量について質疑する。
 下水道事業報告書のp. 140には、バイオマス利活用センターにおけるバイオマス受け入れ量等が記載されている。生ごみは17,104tを受け入れたことになっているが、前年の18,106tより5.5%ほど減少している。前年度より減少した要因についてどのように分析しているのかについて伺う。

【答弁要旨】
 生ごみについては、家庭系のものと事業系のものがあります。令和2年度の生ごみ17,104tの内訳は家庭系が14,149t、事業系が2,955tとなっています。令和元年度は、家庭系が14,728t、事業系が3,378tとなっており、家庭系が579t、3.9%の減、事業系が423t、12.5%の減となっています。
 家庭系のごみは微減、一方、商店や事務所、飲食店などの事業活動から出る事業系のごみは大きく減少しており、新型コロナウイルス感染症による影響が大きかったものと考えています。

【5回目質疑】
 生ごみの受け入れ量減少の要因について、特に事業系における新型コロナウィルス感染症による影響が大きかったとのことだった。。
 令和2年度の生ごみ受け入れ量についてさらに伺う。SPCとの契約では、生ごみの受け入れ量が契約値の8割に達しない場合は翌年度の処理単価を見直すことができるということになっているとの報道もあった。
 そこで、この17,104tは計画値に対して何%に相当するのか。SPCから処理単価についての申し入れはなかったのかについて伺う。

【答弁要旨】
 まず、令和2年度の生ごみの年間計画受入量に対する受入実績量の割合ですが、計画量21,393tに対し、受入実績は17,104t、率として79.95%です。
 次に、SPCからの生ごみ量減少に伴う、翌年度の処理単価見直しに係る申し入れについては、ありませんでした。

【まとめ】
 令和2年度において、生ごみ受け入れ実績は計画値の80%をわずかに切ったものの、SPCからの処理単価見直しに係る申し入れがなかったことが確認でき、これまでのところバイオマス利活用センターは概ね順調に稼働しているものと理解することができた。
 バイオマス利活用センターの建設に際しては、生ごみ、し尿、浄化槽汚泥、下水処理汚泥の処理費を、20年間で120億円削減できるとの説明があった。この120億円の内訳は、ランニングコスト部分と、資源化センター焼却炉の更新規模の縮小によるイニシャルコスト部分の合計であるとのことだった。今回の答弁と合わせ、4款衛生費でその進捗状況についてさらに確認させていただく。

☆行財政改革プランの評価について
【1回目質疑】
 行財政改革プラン2016取組状況報告書には「重点指標:まちづくり活動への参加率」の実績が示されており、令和2年度には「積極的に参加している」が71.1%、「継続的に参加している」が19.7%と、それぞれ十分に目標をクリアしたことになっている。どちらも元年度までは目標を下回っていたものが、2年度急激に上昇している。
 コロナ禍の渦中であり、地域行事も減っておりむしろ逆の結果が出てもおかしくないと思われる。にも拘わらずなぜこのような結果を得ることができたのか、その要因についてどのように分析しているのか、伺う。

【答弁要旨】
 本指標は、市民意識調査の設問と回答を使用しています。
 「まちづくり活動への参加」についてお聞きしていますが、令和2年度の設問につきましては、「まちづくり活動」の一例としまして530運動や資源回収などを記載したことにより、普段参加している活動も「まちづくり活動」の一つだと認識していただいた結果であると分析しています。

【2回目質疑】
 令和2年度の調査では、元年度にはなかった、設問の事例を記載したとのことだった。
 そもそもこの指標は、まちづくりに参加する人の数が増えているのかどうかを知るために行ったものである。令和2年度になって質問のし方を変えて、結果的に数値は画期的に改善されている。
 この結果をもって、実態が変わったのかどうか、その実態の変容を促すことができた施策は何だったか、などについて把握することができたのか? できなかったとしたら、どこに反省点があり今後の課題として何を得たのかお答えいただきたい。

【答弁要旨】
 まちづくり活動への参加状況に関する設問について、わかりやすくするため、設問中に「530活動」や「資源回収」といった身近な事例を加えた結果、調査結果が前年度と比べ大きく変化しましたが、より実態に即した状況の確認につながったと考えています。
 一方で、アンケートの結果を中長期計画の成果指標として使用する場合は、計画期間中は統一した設問となるよう、内容を十分に検討したうえで、アンケートを実施する必要があったと考えています。

【3回目質疑】
 この指標の重要なポイントはまちづくり活動に参加する市民が増えているのか減っているのか、その経年変化を見極めることにあるはず。それができたかのかどうかも質疑したが、明確な答弁はなかった。ただ、反省のコメントはあったので経年変化を見極めることができなかったという自覚はあるものと考える。
 令和2年度からはコロナ禍の渦中にあり、企業や学校は集まれないことをリモートでカバーしようとしている。しかし、自治会活動や多くの市民活動はリモートで会議を行うような資源を持ち合わせないところが多い。令和2年度は元年度よりまちづくり活動に参加する市民は減っていると考えるのが自然だと思う。
 この調査を適切に行っていれば、どの程度減少しているのか、危機的な状況なのか、そうでもないのかを判断する材料になったはず。危機的な状況が早くわかれば早く手を打つ可能性も生まれる。質問を変えたことにより、この大切な情報を得そこなってしまった、つまり大きな機会損失をもたらしたということになる。その自覚があるのか、ないのか、認識を伺う。

【答弁要旨】
 継続的な変化の確認は難しくなったものと考えていますが、どのくらいの市民がまちづくり活動に参加したことがあるのか、継続的に参加している市民はどのくらいか、ということについて、より実態に即した状況を確認できたものと考えており、大きな機会損失をもたらしたものではないと認識しています。

【4回目質疑】
 より実態に即した状況を把握できたとのことで、目標を上回った結果を是としている。この認識からはアクションは生まれ得ない。現に主要施策成果報告書の「新型コロナウィルス感染症対策の決算状況」には市民のまちづくり活動への参加支援策は一つもない。
 経年変化がきちんと把握され、市長や職員さんにやる気があれば、なんらかの支援策ができた可能性は十分にあったはず。まちづくり活動をしたいという市民を助ける機会があったのに、その動機を見過ごしている。それを反省することなく機会損失がなかったというのは、事実を行政の都合のいいように解釈するという姿勢があるのではないかと勘繰ってしまう。これは浅井市長のいう現場主義とは違うものだと思う。
 まちづくり活動への参加率は、8つしかない重点項目の内の一つである。プラン全体の総括では、「取組の成果として、プラン2016に掲げた8つの重点指標の内、経済的効果額をはじめとした6つの数値目標を達成することができました。・・・中略・・・プランの目的として掲げた「多様な主体との協働・連携を通じた『豊橋の活力』の向上」を概ね成し遂げることができました。」と記載している。
 「多用な主体との共同・連携」に大きな意味を持つはずの「重点指標:まちづくり活動への参加率」の実態がこのような状態であることがわかったが、それでもまだ「多様な主体との協働・連携を通じた『豊橋の活力』の向上」を概ね成し遂げることができました。」という評価は揺らぐことはないのかどうか、伺う。

【答弁要旨】
 取組の成果として、8つの重点指標のうち、6つで数値目標を達成しており、プランの目的は概ね成し遂げることができたと評価したものです。ただし、まちづくり活動への参加率については、市民意識調査の設問の書き方を変更した旨を報告書に注記すべきであったと考えています。
 今後は、そういったことを含めまして、計画の進捗管理にあたっては、指標の設定や実績の把握方法等につきまして検討を続けていくことが必要だと考えています。

【5回目質疑】
 設問の書き方を変更したことを注記すべきだったとのこと。しかし、注記されても読者はどう理解していいかわからないのではないか。責任を持って、この項目を除外して判断を示すべきだと考える。
 市政を進めていく上で、市民の認識をより正確に把握することは大変重要なことであると考える。今回、市民の認識の経年変化を知るための調査で、年度間で質問の仕方を変えるという、あってはならないことが行われたと感じている。定点観測を場所を変えて行っているに等しい。
 それを行った市民協創部、行財政改革プランの成果の取りまとめを行った総務部、市民意識調査を行った企画部のどの部署においても、この問題を見過ごしていたということが考えられる。
 市民の認識をより正確に把握する方法について、庁内全般の課題として対応を考える必要があるのではないかと考える。認識を伺う。

【答弁要旨】
 プランの達成度は、指標の動きを継続的に見て評価しますので、当初に一旦定めた目標・指標はむやみに変更すべきではなく、もし、変えるのであれば、その合理的な理由を説明する必要があると考えています。
 また、市民の認識や実態を把握するうえで、アンケートは有効な手段であります。ただし、その結果を施策等の達成度を測る指標に用いる場合は、回答者の年齢や居住地といった属性の違いにより傾向が随分異なることがありますので、金額や人数など実績値を指標とする場合よりも、丁寧な分析が必要になると考えています。
 こうした目標・指標に係る課題を庁内で共有し、各部局が現状の正確な把握と分析に重きを置くことで、プラン全体の適正な評価に努めてまいります。

【まとめ】
 目標・指標に係る課題を庁内で共有するとのことだった。
 行政にとって、市民の意識をはじめ地域の状況を正確に把握することはもっとも重要なプロセスの一つ。行政の都合のいい結果に導くようなアンケートなどはもってのほか。
 このプロセスの技法を極めることは効率的・効果的な市政の実現には不可欠です。しかし、今回のことを見る限り、豊橋市役所におけるレベルは決して高いとは言えない。今後、豊橋市役所の知的インフラとして計画的に育むことが重要であると考える。それが現場主義の基本だと思う。

☆生ごみの処理状況
【1回目質疑】
 バイオマス利活用センター負担金はバイオマス利活用センターができたことにより、従来焼却炉で処理していた生ごみやし尿・浄化槽汚泥をバイオマス利活用センターで処理することとなり、下水道事業会計にその費用を支払ったもの。
 令和2年度において、従来通りこれらを焼却処理していた場合の処理コストと比べどの程度のコスト削減になったのかについて、伺う。

【答弁要旨】
 令和2年度のバイオマス利活用センター負担金の決算額は、354,816,562円でした。
 一方、令和2年度において、従来通り資源化センターで生ごみ及びし尿・浄化槽汚泥を処理したものとして処理コストを算出すると約4億6,800万円となるので、バイオマス利活用センターの稼働に伴う生ごみ及びし尿・浄化槽汚泥の処理に係る令和2年度のコスト縮減額は約1億1,300万円になります。

【2回目質疑】
 令和2年度におけるバイオマス利活用センターができたことによるコスト削減効果について教えていただいた。
 バイオマス利活用センターは平成29年10月から稼働を開始しており、令和2年度末までに3年半が経過している。これまでの累積コスト削減額についても教えていただきたい。

【答弁要旨】
 生ごみ及びし尿・浄化槽汚泥の処理に係るこれまで3年半の累積コスト縮減額を令和2年度と同様の考え方で算出すると5億2千万円になります。

【3回目質疑】
 3年半の実績をお答えいただいた。
 そこで、この実績を踏まえ、生ごみ及びし尿・浄化槽汚泥の処理に係る20年間のコスト縮減額について、収集運搬費の増加も含めて、見通しをお示し下さい。

【答弁要旨】
 これまでの実績を参考に算出した20年間のコスト削減の見通し額は、処理に係るコスト削減額約29億7,000万円から生ごみ分別により必要となる収集運搬費約17億2,000万円を差し引いた、約12億5,000万円となります。

【4回目質疑】
 昨日の下水道事業会計における答弁では、減価償却費の発生がなかった初年度を別にして、平成30年度から令和2年度までの一年当たりの平均利益貢献額は2億8千万円であり、これを20倍すると56億円となる。ただいまの答弁では、環境部側では20年間で12億5千万円のコスト縮減が見込まれるとのことだった。双方を合計すると68億5千万円となる。
 これにこれから建設する焼却炉の建設費が縮減される部分を合わせて120億円になれば、当初の説明通りということになる。あらかじめ伺ったところ、建設費の縮減額については今後の入札に影響を及ぼす恐れがあるとのことで、詳しいことは教えていただけないとのことであり、概算したところ20年間で120億円のコスト縮減を実現するには、ランニングコストの部分で若干の縮減の上積みが必要とのことだった。
 この実現に向けてさらに努力していただきたいと考えるが、今回の決算質疑を通して、この20年間で120億円のコスト縮減ということについて、二つの部署にまたがっていることもあり、総額について管理されているという印象が持てなかった。今後、ランニングコストの更なる縮減を図り、是非20年間で120億円のコスト縮減を果たしていただきたいが、環境部と上下水道局の連携が不可欠と考える。今後の取り組みについて認識を伺う。

【答弁要旨】
 今後も上下水道局が所管するバイオマス利活用センター、そして、環境部が所管する廃棄物処理施設の安定かつ適正な運営を行うなか、両者で連携して、コスト削減に向けて取り組んでいきます。

【まとめ】
 環境部と上下水道局とが連携して20年間120億のコスト縮減に向けて努力していただけるとのことだった。期待する。そして、できれば、その進捗状況について中間報告していただくことも市民への期待に応えるものとなると考えるので、このことについても今後の検討に期待する。

☆全体会計純資産変動状況
【1回目質疑】
 令和2年度における全体会計の純資産変動額は+8,626,097千円であり、-5,474,339千円であった元年度より141億円もの改善となっている。ずっと変動額がマイナスであったことを考えると大変喜ばしいことではあるが、この中にはこの年の特別な要因としてユニチカ㈱からの賠償金約26億円の影響があったが、地域下水道会計を連結対象とした影響も大きいと思われる。
 そこで、地域下水道会計を連結対象としたことで全体会計貸借対照表の資産、負債、純資産にそれぞれどのような変動があったのかについて、伺う。

【答弁要旨】
 地域下水道事業連結の影響ですが、令和2年度の期中の増減も含めますと、貸借対照表の資産において約134億円、負債において約39億円、純資産において約95億円が計上されています。

【2回目質疑】
 令和2年度においては地域下水道会計を併合したことが純資産95億円の増加をもたらしたが、令和3年度以降の地域下水道事業の純資産変動額への影響の見通しについて伺う。

【答弁要旨】
 一般会計等においては、資産形成額を上回る減価償却費の影響などにより純資産の減少が続いており、令和3年度以降もこの傾向が続く見込みですが、一方で、全体会計に連結する企業会計については、健全経営を継続しており、純資産残高は増加傾向となっています。したがって、地域下水道事業につきましても、今後下水道事業会計として健全経営を続け、また事業規模の変更や資本金として留保すべき水準の見直しといった、資本金の額の減少を行わない限り、全体会計における純資産減少の抑制に寄与するものと考えています。

【まとめ】
 全体会計の純資産減少の抑制に寄与するとのことだった。期待する。
 全体会計の純資産変動額については、令和2年度はプラスの86億円だったが、特殊要因であるユニチカ㈱からの賠償金収入26億円、地域下水道事業会計の連結による95億円の二つの合計が121億円ある。この特殊要因を除外するとマイナスの35億円ということになる。元年度のマイナス55億円からは20億円改善されている。コロナ禍の中での改善であり、その努力は評価する。しかし一方、災害ともいえるコロナ禍の状態の中で、困難を抱える市民への支援がもっとあってもよかったのではなかったのかという思いもある。
 今後、コロナ禍からの復活に向け、経済面、生活面での支援が重要な状況にあると考える。純資産変動額の改善をどの程度とし、コロナ禍からの復活への資源の投入をどの程度とするかは、まさに市長の政策判断が問われるところとなる。期待して注視したい。

☆維持補修費について
【1回目質疑】
 令和2年度における一般会計等の維持補修費は4,805,356千円であり、元年度と比べると2.6億円の減少となっている。しかし、平成28年度と比べると約16億円、率にして50%の増加となっている。このトレンドをどのように判断しているかについて、伺う。

【答弁要旨】
 維持補修費につきましては、令和元年度は小中学校の空調整備など臨時的費用が増加したため、前年度と比較すると令和2年度は減少しましたが、傾向としては増加傾向となっています。
 この要因につきまして、公共施設等総合管理方針等に基づく施設の長寿命化等を順次進めており、道路等のインフラや学校施設などを中心に計画的に整備を行っていますが、道路や橋梁などの改良・保全工事等では、劣化したアスファルトや構造物の撤去費など施設改修に付随する工事費といった、維持補修費に計上するもののウエイトが大きいことから、増加したものと考えています。また、学校施設等の長寿命化におきましても、防水工事など資産計上するものもあれば、インフラと同様に付随工事として維持補修費に計上するものもありますので、これら要因を含め、全体として維持補修費が増加したものと考えています。
 いずれも、維持補修費の増加傾向につきましては、長寿命化施策を推進した結果であると分析しています。

【2回目質疑】
 維持補修費は、令和2年度においては若干の減少となったものの、平成28年度と比べるとまだ高い水準にある。今後については、増加となるのか横ばいとなるのか見通しについて現状の判断をお示しいただきたい。

【答弁要旨】
 今後も、学校などをはじめとした施設および道路・橋梁などをはじめとしたインフラともに公共施設等総合管理方針等に基づく長寿命化を着実に推進していく必要がありますので、資産形成とあわせて、維持補修費についても増加傾向が続くものと考えています。

【3回目質疑】
 維持補修費については、今後も増加傾向が続く見通しとのことだった。
 平成28年度から令和2年度までの維持補修費の増加額は16億円であり、1年平均は4億円となる。例えばその半分の2億円を減価償却費の増加額と考え、それに相当する施設の更新を行うことは考えられないのか?例えば、40年償却のものであれば、80億円相当のものが建設できるのではないか? それが可能であれば、将来世代の負担を軽減することができるのではないかと考えるが、今後の方向性の認識を伺う。

【答弁要旨】
 先ほどお答えしましたとおり、公共施設等総合管理方針等に基づく長寿命化を推進する中で、資産形成と合わせて、それに付随する維持補修費についても発生するものであるので、委員ご指摘のように、維持補修費を資産形成及び減価償却費に振り替えることは、困難であると考えています。
 このようなことから、維持補修費の増加を伴うものの、まずは公共施設等総合管理方針等に基づく長寿命化の推進が必要であり、合わせて国庫補助金などの財源を確実に確保するとともに、工事費等の経費の縮減が欠かせないものと考えています。

【4回目質疑】
 口で言うほど易しいことではないことは理解できる。様々なシミュレーションを通し、将来世代の負担軽減のために利用可能な資源の最も有効な活用ができるようしっかりマネージメントしていただくことを期待する。
 1回目の答弁では、公共施設等総合管理方針等に基づく施設の長寿命化等を順次進めているとのことだった。公共施設等総合管理方針では、「一般会計分の維持・更新費用について、平成47年度までの期間については年平均が約130億円」とあり、過去5年間の平均値との差額は45億円となるため、「約45億円の財源確保または経費の抑制を図る」ことを目標としている。
 そこで、令和2年度の維持・更新費用はどの程度だったのか、財源確保の状況はどの程度だったかについて、認識を伺う。

【答弁要旨】
 令和2年度の維持・更新費用及び財源確保の状況につきましては、国の補助金を積極的に活用することで施設の長寿命化を進め、約107億円の維持・更新費用を確保するとともに、南栄町地内の土地を売却することで約2億300万円の収入を確保しました。
 しかしながら、公共施設等総合管理方針で掲げている年平均約130億円の維持・更新費用に対しては、約23億円が不足しており、土地の売却収入を含めても充分とはいえない状況です。
 こうしたことから、引き続き、財源確保に努めるとともに、施設の保有量の削減に取り組み、不足額を減少させる必要があると認識しています。

【5回目質疑】
 維持更新費用、財源確保ともに総合管理方針の目標には達していないとのことだった。今後、目標水準の達成に勤めていただくことを期待するが、現状ではその進捗状況を公表されている資料だけでは判断が難しい。
 維持・更新費用および財源確保の状況について、目標の進捗管理の観点から実績を公表する必要があると考えるが、公表についての認識を伺う。

【答弁要旨】
 公共施設等総合管理方針の目標の進捗状況につきましては、昨年度策定した施設再配置の考え方において、令和元年度までの状況をお示ししたところですが、今後の状況についても、積極的にお示しできるよう、公表方法を検討していきたいと考えています。

【まとめ】
 公共施設等総合管理方針の目標について、その進捗状況を見えるようにしていただくことを期待する。このことを通じ、確実に公共施設等総合管理方針の目標を達成するとともに、施設再配置計画の確実な推進により、公共施設等の維持管理について、将来世代に大きな負担を残すことがないように最大限の努力をしていただくことを期待する。


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