2021年3月11日(木)〜23日(火) 予算委員会
青字は答弁
質問テーマ [豊橋市未来産業支援基金][学校給食費収入][感染症病棟設計委託に関わる出資金]

豊橋市未来産業支援基金

【1回目質疑】
 3月12日に、「豊橋市がんばる市民応援基金条例」が修正され、「豊橋市未来産業支援基金」の設置が議決された。第7条には「基金の処分」についての定めがあるが、修正により、当初案から「新型コロナウィルス感染症に関する対策の実施に要する経費の財源に充てるとき」が削除されたものの、「起業及び創業の促進に係る事業に要する経費」「新たな企業の進出促進に係る事業に要する経費」「産業人材の確保及び育成に係る事業に要する経費」については、「事業」が「事業等」となり当初案が活かされている。
 これだけのまとまった財源を産業振興に振り向けられるということは極めて貴重な機会となる。少しずつ使って、いつの間にか終わってしまうということであってはいけないと考える。
 そこでまず、令和3年度において豊橋市未来産業支援基金を財源とする事業について、何を計画しているのかについて伺う。
 また、この基金の活用については、最大限有効に行うため、計画的に進めることを考えるべきだと思うが、基金の活用を計画的に行うという認識があるか伺う。

【答弁要旨】
 令和3年度に実施する事業については、起業・創業等に関するものとして「ビジネスプラン創出支援補助金」(900千円)を、新たな企業の進出等の促進に関するものとして「サテライトオフィス誘致補助金」(3,800千円)を、産業人材の確保・育成に関するものとして「学生の学びと交流空間運営事業費」(6,400千円)に対して基金を財源としていくものです。
 基金の活用計画については、本市の未来の産業振興を支援するという条例の目的を踏まえ、人材の確保、育成をベースにしつつ、起業、創業や企業進出については、適時的確に対応し、概ね10年後には新たな財産として市民に還元できるよう中長期的な視点に立って考えていきたいと認識しています。

【2回目質疑】
 未来産業支援基金の活用について、令和3年度中にこれを財源とする三つの事業で11,100千円を予定しているとのことだった。また、今後の活用については概ね10年後には新たな財産として市民に還元できるよう中長期的視点に立って考えていくとの考えを示していただいた。
 概ね10年後には新たな財産という考えは大変重要であると思う。だれが見ても、はっきり財産と言えるものを残せるように最大の努力を期待する。
 そこで、この基金を計画的に活用していくための、検討体制についてどのように考えているのか、について伺う。

【答弁要旨】
 基金を活用する事業の検討体制については、現在策定を進めている産業戦略プランの中で事業の方向性をお示しするとともに、具体的な充当事業については、予算編成の過程で考えていくものと認識しています。

【まとめ】
 未来産業支援基金の活用については産業戦略プランの中で、事業の方向性を示していただけるとのことだった。検討の過程では、議会の意見も聞いていただくことになるということだと思う。
 本市産業の発展により、本市の持続可能性に大いに寄与する基金の活用が行われることを期待する。

学校給食費収入

【1回目質疑】
 学校給食費収入について、令和2年度予算では小学校として405万食、9.74億円となっていたものが、令和3年度予算では小学校教職員等となり27万食、67百万円となっている。小学校の給食費が無償となるためということだと思うが、このことは令和3年度だけのことではなく、今後ずっと続くことになるものである。そこで、中長期的視点の中で、いくつか質疑させていただく。
 まず、行財政改革プランとの関係から伺う。
 行財政改革プランの中では、先行き不透明な社会情勢下においても、適切な市民サービスを持続的に提供できるようにということで、財政調整基金の残高について、2025年度末時点に75億円とすることを重要業績評価指標として定めている。
 給食費無償化については、浅井市長が選挙期間中から主張してきたことである。選挙の結果、浅井市長が誕生し、第6次総合計画について見直しが行われ、当初計画より1カ月遅れて1月臨時議会で基本構想の議決が行われた。行財政改革プランについても見直しが行われている。この経緯を見れば、行財政改革プランには浅井市長の考えが反映されたものであることは明白である。
 3月4日の議会運営委員会に示された給食費無償化の財源に関する資料では、令和7年度末の財政調整基金の残高75億円が、給食費無償化のために70億円になるという見込みが示されている。給食費無償化を見込んだはずの行財政改革プランにおける財政見通しを、今、修正しなければならないということは、重要業績指標作成後に何らかの状況変化があったためであると考えられる。どのような状況変化があったのかを伺う。

【答弁要旨】
 行財政改革プランにおける財政見通しにつきましては、第6次総合計画期間内に計画されている主要事業等を見込んで作成していますが、将来見通しのベースとなる令和3年度の数値は、作成時点でまだ予算編成の途中でしたので、最終的な予算案に織り込まれた新規事業等を全て反映させたものではございません。
 給食費の無償化につきましても、実施内容等について検討の途中でありましたので、行財政改革プランの財政見通しには反映させていません。

【2回目質疑】
 第6次総合計画の議決は12月定例議会から1月臨時議会に先延ばしされた。その理由は浅井市長の考えを反映させるためというはずだ。当然、第6次総合計画の下位計画である行財政改革プランにおいても、市長の考えが反映されなければならないものである。
 答弁では行財政改革プランの財政見通しには反映させていないとのことだった。これでは議決を先延ばしして、再検討した意味がないのではないか。
 目標が変われば、手段も変わるはず。このことを検討せずに、唐突に令和3年度に給食費無償化を盛り込んでくるやり方は、無責任としか思えない。
 それでは、2回目。先ほど申し上げたように、行財政改革プランでは、先行き不透明な社会情勢下においても、適切な市民サービスを持続的に提供できるようにということで、重要業績指標として、財政調整基金残高を令和7年度末に75億円と定めている。
 このことを考えると、見通しを修正してお終いではなく、令和7年度末財政調整基金の残高75億円に向けて、行財政改革プランの見直しを進めることが必要なのではないかと考える。それが将来世代に対する現世代の責任ではないかと考えるが、認識を伺う。

【答弁要旨】
 行財政改革プランの指標に設定しています財政調整基金残高75億円は、急激な社会情勢の変化へ対応するための備えとして必要な額であると考えています。財政見通しの変動にかかわらず、この指標の達成に向け、「行財政改革プラン2021-2025」の各取組を深化させていきます。

【3回目質疑】
 重要業績指標である財政調整基金残高の目標値は変えず、指標の達成に向け、「行財政改革プラン2021-2025」の各取組を深化させていくとのことだった。是非必要なことだとは思うが、順番が逆だ。
 後先考えずに今後ずっと続くことになる歳入の減少を決めてしまうことは、必ず、後に禍根を残すことになるはずだと考える。検討が不十分であることを指摘させていただく。
 次に、給食費無償化の公共施設等管理方針に与える影響について伺う。
 公共施設等総合管理方針では、維持・管理の具体的な目標として、今後新たに必要となる維持・更新に必要な費用を確保するため、これまでの年平均85億円に加えて、さらに年平均45億円の財源確保または経費の抑制を図ることで公共施設等の最適化を目指すとしている。平成48年度以降の期間についてはさらに加えて、年平均58億円の財源確保か経費の抑制が必要と見込んでいる。
 この目標達成には大きな困難が予想される中で、給食費無償化による毎年8億円もの純行政コストの上積みは、将来世代への負担を過大なものにすることになるのではないかと考える。給食費無償化による公共施設等の維持管理に対する影響をどのように考えているのか。認識を伺う。

【答弁要旨】
 給食費無償化による収入の減は行政コストの増加になると認識していますが、対応する財源につきましては、令和5年度までは純行政コストに関し3年間で6億円の影響があるものの、市全体を通した選択と重点化等による経常経費の見直しと、一部を財政調整基金の取崩しにより対応する予定としています。  このため、財政収支では、無償化自体が将来世代への過大な負担にはつながらないものと考えていますが、引き続き、選択と重点化による効率的な予算配分や更なる財源の確保に努めるとともに、公共施設等の維持・更新に係る多額の費用といった課題に対しては、施設の複合化や廃止等による保有量の削減に取り組むことで、将来負担の軽減等を図っていく必要があると考えています。

【まとめ】
 ただでさえ公共施設の老朽化が進む中、生産年齢人口の減少による歳入の減少に加え、扶助費の上昇による歳出増加にどう対応するかは大きな問題であることを忘れるわけにはいかないことだ。この中で公共施設等の長寿命化工事、さらに更新をしていかなければならない。
 施設の複合化や廃止等による保有量の削減に取り組むということだが、単純に考えれば、それだけ保有可能な施設量は減るということになる。住民サービスの低下につながりかねない。
 今年1月に示された施設再配置計画では、これまで国の補助金が順調に得られたことにより、長寿命化は計画以上に進められているとのことだった。しかし、今後、国の財政状況次第ではどうなるかわからない不透明な状況にあるし、更新のピークはまだ先に来ることは忘れてはならない。また、公共施設の中で、建物系の中で最も大きなウェイトを占めるのが学校施設である。
 長期的な展望を持たないままでの、毎年7億円を上回る行政コストの追加は認めることはできないものである。

感染症病棟設計委託に関わる出資金(病院事業会計)

【1回目質疑】
 他会計出資金の一般会計出資金30,000千円についてあらかじめ伺ったところ、感染症病棟設計委託に関わる出資金であるとのことだった。まず、この設計委託費を一般会計から繰り出すこととしたこと、また、負担金ではなく、出資金とした考え方について伺う。

【答弁要旨】
 感染症医療につきましては、総務省の定める繰出基準において、医療の実施に要する経費や病院の建設改良に要する経費に関し、これに伴う収入をもって充てることができないと認められるものに相当する額について一般会計による負担の対象と定められており、本市においても基本的に繰出基準に沿って一般会計より負担金として繰り出しています。
 一方、今回の感染症病棟の設計につきましては、新型コロナウィルス感染症対策事業として、国の令和2年度第3次補正予算に計上された新型コロナウィルス対応地方創生臨時交付金の活用が令和3年度においても見込めることから、一般会計負担の軽減を図るため、その臨時交付金を財源とする繰出として出資金に計上したものです。

【2回目質疑】
 操出基準において感染症医療に要する経費は一般会計が負担とすることになっていること、臨時交付金の活用ができることなどお答えいただいた。あらかじめ伺ったところでは、これは出資金という名目ではあるが、一般会計側では負債計上され、減価償却に伴い経費算入されるということでもあり、理解した。
 次に、設計費同様、建設費についても一般会計で負担することになると思われる。そしてその方法は、減価償却費と維持に関わる経費の合計額について、毎年、負担金として一般会計から繰り入れすることが想定される。
 一方、この感染症病棟の完成後は、設計費と建設費の合計額が資産に計上されることになると思われる。設計費を含んだ簿価で計算した減価償却費を基に負担金を払うということになれば、一般会計から設計費が二重に支払われることになってしまう。そこで、そうならない歯止めはできているのかについて、確認させていただく。

【答弁要旨】
 感染症病棟の資産価格は、建物及び附属設備の工事費用に加え、設計委託費用も含めた金額になり、減価償却費も同様に算出します。
 病院事業会計としては、減価償却費と維持に関わる費用の合計すべてを総務省の定める操出基準に基づき、一般会計からの負担金として繰り入れてもらう考えでありますが、今回の設計委託費用分については出資金で手当されるため、二重に支払われることのないよう、一般会計負担金の算出基礎から、設計委託費用分を除いて経理していきます。

【3回目質疑】
 二重に支払われることのないよう、一般会計負担金の算出基礎から、設計委託費用分を除いて経理することを確認させていただいた。
 今定例議会の代表質問では、感染症拡大の反省を踏まえた新たな日常における、感染症医療体制について質問させていただいた。答弁では「医療圏唯一の感染症指定医療機関である豊橋市民病院の機能強化と、関係する医療機関との役割分担は欠かせないものと認識をしている」との答弁をいただいている。
 また、あらかじめ伺ったところ、今回の感染症病棟建設においては、病床数は従来と同じとし、その施設機能を高度化するものであるとのことだった。
 そこで、新型コロナウィルス感染症拡大の第3波においては病床不足に直面することがあったと思われるが、今回、病床の増床を考えなかったのということと、新たな感染症病棟建設について関係機関などとの協議が行われたのかについて伺う。

【答弁要旨】
 第3波を含む新型ウィルス感染症の拡大時においては、「臨時の医療施設の設置」や「臨時の増床」のほか、「軽症者向けの宿泊施設の設置」など、医療法上の柔軟な体制がとられており、当院も、南病棟1階全体を休床して、陽性患者の受入れに対応しているところです。
 また、限られた医療資源の有効活用の観点から、こうした柔軟な対応は、新たな感染症発生時においても基本になると考えられます。
 こうした考えのもと、第2種感染症指定医療機関として、平時から確保する感染症の専用病床としては、現在、県から指定を受けている10床を、全て陰圧管理のできる個室として機能強化するとともに、地域の医療機関等との役割分担、連携強化を図ることで、より安全・安心な感染症医療の提供が可能となるものと考えています。
 こうしたことから、今回の感染症病棟の建設については、県から指定を受けている10床を変更するものではないため、直接、県との協議は行っていません。

【まとめ】
 限られた医療資源の有効活用のため、柔軟な対応が基本になると考えていること、県から指定を受けている10床を変更するものではないので県との協議は行っていないなど、お答えいただいた。
 柔軟な対応をするためには、市民病院としての感染拡大時のBCPとでも言うべき対応方法の明確化と、市内あるいは東三河地域内の医療機関との連携体制の充実が重要であろうと考える。
 また、現在の感染症病棟10床ということについても、今回の感染拡大の第3波への対応を検証する中で、見直しの必要性の有無についても県との協議を進めていただくことを期待する。


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