2021年1月22日(金) 環境経済委員会
青字は答弁
テーマ [地球温暖化対策計画について]

☆地球温暖化対策計画について
 地球温暖化対策の推進に関する法律第21条に基づく地方公共団体実行計画として、第2次豊橋市地球温暖化対策地域推進計画(2020年度~2030年度)の策定に向け、素案が示され質疑応答をしました。

  1. 温室効果ガス排出削減目標の設定について
    【1回目質疑】
     二つ目の段落には、「基準年は前計画の基準年度が2005年度とされていること、各種統計の将来推計値の基準年を考慮し、2015年度と設定します。」とある。しかし、次ページにあるように、国の地球温暖化対策計画の削減目標の基準年度は2013年度となっている。どちらも地球温暖化対策の推進に関する法律に基づくものであり、今後の国の計画の改定への対応などを考えると、基準年は国の計画と同じ2013年にすべきと考えるが、認識を伺う。

    【答弁要旨】
     本市の現行計画は2005年度を基準として2020年度までの15年間の削減量を目標値として設定しております。次期計画についても同じように2030年度までの15年間の削減量を目標値として設定し、前計画からの継続性を維持しつつ、今後効果検証をする際にも前計画と比較しやすくするために2015年度を基準年度としました。しかしながら今後国の計画の改定により、現行2013年度とする計画の基準年度が変更された際には、本計画の基準年についても国の計画に沿ったものとなるよう見直しを検討する必要があると考えます。

    【まとめ】
     国の計画改定の際に、基準年についても国の計画に沿ったものとなるよう見直しを検討していただけるとのことだった。
     国立環境研究所の温室効果ガスインベントリーオフィスの報告書によれば、日本の温室効果ガス排出量は2013年にピークを迎え、その後減少に転じ2018年には2013年に比べ12%減少している。国が2013年を基準としているのには、ピークとの対比という意味があるのだと思う。この辺りも考慮し、今後の検討に期待する。

  2. 温室効果ガス排出削減目標について
    【1回目質疑】
     温室効果ガス排出削減目標を「2030年度における豊橋市の温室効果ガス排出量を2015年度比26%削減する」としている。その後のページで、基本目標とともに「基本目標の推進に向けた施策」「取り組みの目標」と示されている。
     今後、各取り組みの目標については、年度ごとに検証が行われると思うが、各取り組みの目標の全てが達成されたとしても温室効果ガス排出削減目標が達成されるとは限らない。
     温室効果ガス排出削減目標が達成されたかどうかの確認はどのように行うことを考えているのか、認識を伺う。

    【答弁要旨】
     本計画の各取り組み目標は温室効果ガス26%削減達成に貢献し得る主な項目を設定しており、毎年度その進捗を管理していきます。一方各年度の温室効果ガス排出量については、国において算定される全体の総排出量から本市分を推計していくこととなります。そして各年度の取り組みの実績と温室効果ガス排出量の実績を比較、検証し、効果が低かった場合にはその要因を分析し、必要に応じて取り組み内容を改善したり、追加していくことで実効性を上げていきたいと考えております。

    【2回目質疑】
     国で算定される全体の総排出量から推計し、取り組み内容を見直し実効性を上げたいとのことだった。計画の成果を確実に得るためには、PDCAのサイクルをしっかり回すことが不可欠であることを十分に認識すべきであると考える。
     次に、p.9の表には、国の地球温暖化対策計画として、「2050年に温室効果ガス80%削減」とある。本計画における長期目標も2050年に80%となっており、この実現に向けて2030年の温室効果ガス排出削減目標を2015年度比26%としている。
     しかし、昨年10月26日の菅総理の所信表明では「2050年までに温室効果ガスの排出を全体として0にする」と宣言している。
     2018年度に約12.4億トン排出された温室効果ガスを2050年までにゼロにするには、2030年に2013年比で45%の排出削減が必要であるという人もある。
     国の地球温暖化対策計画は平成28年(2016年)に策定され、計画期間が2030年までとなっている。しかし、昨年9月からその見直し作業が始められ、2021年11月に開催が予定されているCOP26までに、日本の「自国が決定する貢献(NDC)」の追加情報として国連へ提出する予定となっている。
     このように国の計画が変わろうとする情勢の中で、「2050年に温室効果ガス80%削減」を前提とする目標を、今、掲げるのは陳腐なことになることが危惧される。認識を伺う。

    【答弁要旨】
     本計画は市域における温室効果ガスの排出削減目標を設定したものですが、その目標達成には国における施策の方向性も大きく影響を及ぼすものです。国において2050年の大きな目標は示されましたが、2030年の中間目標やそのための具体的取組については現状示されていないことから、本計画の目標値については現行の国の目標値に合わせています。
     そして、今後国において2030年度の目標値や具体的な取り組み方針が示された段階で、本市においてもそれらを踏まえた目標値等の改定が必要になると考えています。

    【3回目質疑】
     国の2030年度の目標値や具体的な取組み方針が示された段階で、本計画の目標値等の改定を考えるということだった。 2050年に温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするためには、単純に考えて2030年までに33%削減しなければならない。45%という人もいる。いずれにしろ現在の目標値26%より大幅に削減しなければならないことは間違いない。1月9日に放映されたNHKスペシャル「未来への分岐点」では、2030年までに世界平均気温の上昇を、産業革命以前と比べ1.5℃以下にすることができなければ、地球の限界を超えて温暖化が暴走を始める危険があることを訴えていた。
     これらを考えれば、一刻も早く温室効果ガスの排出削減施策追加の検討に取り組まなければならない。答弁にあったように国の2030年度の目標値などが示されてから検討を始めるのではなく、本計画には間に合わないまでも、今すぐに目標値の見直しに着手すべきではないのか。考えを伺う。

    【答弁要旨】
     国が示した新たな目標である2050年実質排出ゼロに向け、本計画の削減目標についても2030年度の数値を上げた場合にどの分野で更にどの程度の上乗せ対策が必要なのかについては現段階から分析に着手する必要があると考えます。しかしながら、今後国が示す次期エネルギー基本計画における新たなエネルギーミックス等により、どの分野における追加の削減が見込めるかが大きく左右されるため、最終的な計画値の修正はそれらを踏まえたうえで行っていきたいと考えております。その際には、速やかに目標値の改定が実行できるよう、今後も国や産業界等の動向を注視しつつ勉強を継続してまいります。

    【まとめ】
     現段階から分析に着手し勉強を継続していくものの、国の動向を見極めた上で最終的な計画値の修正を行うとのことだった。
     NHKスペシャルの言葉を借りれば、未来への分岐点がごく近い将来にあるかもしれないということを忘れずに取り組んでいただくことを期待する。

  3. 再生可能エネルギーの地産地消を進めるについて
    【1回目質疑】
     具体的な取り組みの③として、「自立分散型エネルギーシステムの構築」が示されている。「主体」の欄には、市民、事業者、市の3者全てに〇がついている。CO2排出削減には大きな効果が期待できる取り組みであるように思われるが、個人、企業、市役所がそれぞれ単独で行うとすれば、効果はそれほどにはなり得そうにない。
     一定の広さを持つ地域としての取り組み、いわゆるスマートグリッドということになれば、大きな効果が期待できるのではと考える。実験的にということも含めて、地域としてスマートグリッド導入の検討をしていく考えがないのか、認識を伺う。

    【答弁要旨】
     スマートグリッドの構築については、委員ご指摘の通り、スケールメリットによる大きな温室効果ガス削減効果も見込める施策の一つだと認識しており、導入についても積極的に検討していくべきと考えております。

    【2回目質疑】
     スマートグリッド構築に向けては、専門的な知識が必要であるはずであり、その事業主体となり得るところには限りがあると思われる。行政としてその事業主体になり得るのか、またなり得ないとしたら、行政としてスマートグリッド構築に向けて果たすこととして、どんな役割があるかについて、認識を伺う。

    【答弁要旨】
     行政といたしましては、脱炭素社会のまちづくりを行っていくうえで有効とされるスマートグリッドに係る導入ビジョンの検討を行い、具体的な戦略を主体的に立案していくことが必要だと考えます。
     しかしながら、この仕組みづくりには、その計画段階から高度な専門的知識とノウハウが必要であり、有識者の意見を求めることはもちろん、民間事業者との連携なしには実現は困難だと認識しております。

    【まとめ】
     有識者の意見を聞くとともに民間事業者と連携し、スマートグリッドの具体的な戦略を主体的に立案する必要があるとのことだった。 スマートグリッドの構築に積極的に取り組む姿勢に大いに期待する。ついては、本計画の中にも、そのことをしっかり記載していただくことを期待する。

  4. 計画の推進に向けてについて
    【1回目質疑】
     市の役割について、前計画の改定版とほぼ同じ内容になっている。産業革命前の世界の平均気温に比べて、2019年には既に1.2℃上昇したという報告もある。パリ協定では上昇幅を1.5℃以下にすることを目指すことにしているが、目前のところに来ている。このことについて、将来世代の暮らしを守るためには今後10年間、必死の取り組みをする必要があると思われる。このことを広く深く市民に周知を図ることが必要なのではないのか? この点について、書き加えるべきではないかと考えるが、認識を伺う。

    【答弁要旨】
     地球温暖化の現状については委員ご指摘の通り、危機的な状況であり、そのことを市民や事業者に対して広く周知していき、対応策を普及啓発していくことは大変重要なことと認識しております。そのことについてはいただいたご意見の通り「市の役割」の中でも明確に一つの項目として記載し、今後の取り組みにおける重要な柱の一つとしていきたいと思います。

    【まとめ】
     危機的な状況の周知や対応策の普及啓発について「市の役割」の中に一つの項目として記載していただけるとのことだったので、期待する。 まだまだ市民の中に、地球温暖化問題の深刻さが浸透しているとは言い切れない状況にあると感じられる。市民にもっと深刻さを伝えるためには、早い段階で、2050ゼロカーボンシティ表明をしていただくという方法もある。 環境省のホームページによれば、環境省としては、「2050 年に温室効果ガスの排出量又は二酸化炭素を実質ゼロにすることを目指す旨を、首長自らが又は地方自治体として公表した地方自治体を、ゼロカーボンシティとしている」と記載している。プレスリリース、記者会見、議会、地方自治体ホームページ上などで、首長が表明するだけでいいというものである。是非考えていただきたい。


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