2020年6月9日(火) 一般質問
青字は答弁
質問テーマ [結果にコミットする行政計画][新型コロナ禍からの経済復活に寄与する公共施設等の管理のあり方]

結果にコミットする行政計画

【1回目質問】
 近年、社会の持続可能性を危惧する意見が多く聞かれるようになると同時に、計画の目標が施策の実施水準を示すアウトプット型(施策の実施水準)が多かったものが、成果の達成水準を示すアウトカム型(成果の達成水準)のものが増えている印象がある。そのことを表す最も大きなムーブメントとしては、SDG’sの取り組みということなのではないかと思う。持続可能な開発目標ということであり、持続可能であるためには、行うべき活動の方向性を示すだけでなくゴール、即ち具体的な目標値を定めることが重要である、という認識に基づくものであると理解している。
 「結果にコミット」という言葉も、数年前に流行したもので、あるフィットネスクラブがCMの中で用いていたもの。それは、「目標の体形を確実に実現します」という意味で使われたものと思われる。そのためには、スタート時にまず目標値を設定し、それを目指したプログラムを作り、実践し、目標値とのすり合わせによりプログラムを修正してということの繰り返しが行われていることが想像できる。いわゆるPDCAが行われているはず。
 近年、本市を取り巻く社会環境や自然環境は大きく変わりつつあり、持続可能性を脅かしつつあるように感じられる。本市の将来の市民が安心して暮らしていくために、行政計画が結果にコミットするものであることが必要であると考える。
 そこで、以下の点について伺う。

  1. これまでの計画では持続可能性を保証し得る目標設定ができていたのか?について
  2. 今、行政計画が結果にコミットすることの重要性について
  3. 本市の持続可能性を脅かす大きな課題の認識について

【1. 1回目答弁要旨】
 これまでの計画では持続可能性を保証し得る目標設定ができていたのかについてです。
 市が策定する計画の目標については、設定時の社会情勢やこれまでの取組状況などを分析し、目指すべき姿に近づくことを示した分かりやすい指標設定に心掛けています。目標には、アウトプットもアウトカムも混在していますが、個別具体的な状況に鑑み、どちらがより適切かを検討、判断の上、個々に目標を設定しているところです。
 しかしながら、推計データに基づき未来を見据え、持続可能性を保証し得る目標設定ができているかという点については、今回のコロナ禍のような大きな社会情勢の変化に伴い、取り組みの成果が数値の反映までに多くの時間を要したり、また目的と目標がつながりづらいといった事案もあることなどから、目標設定の難しさを痛感しています。

【1. 2回目質問】
 答弁で目標設定の難しさとして言われた中で、大きな社会情勢の変化により効果反映に時間がかかると言われた。しかし、これは目標を決定し計画がスタートしてからのことであり、そのことを恐れてアウトカム目標を立てることを避けるということは、あってはならないと考える。
 市の計画においてアウトカム目標にすることの難しさは、市役所の努力だけで結果が決定されることが少なく、むしろ外部要因により結果が決まってくることも多くあることによるのではないか? 景気変動や気候変動、天災などの大きな意味での外部環境はどうすることもできないが、市内の市政のステークホルダー(利害関係者)の協力を得ることにより、目標達成の可能性を上げることはできるはず。
 計画策定の際に、ステークホルダーの意見を聞くばかりでなく、ステークホルダーの皆さんの事業計画にも市の計画の目標達成に貢献する要素を取り入れてもらうことができれば、大変大きな力になることが期待できる。
 そこで、2回目として、豊橋市政のステークホルダーを誰だと考えているのか、そしてそのステークホルダーに広く、市の目標達成に協力する内容を事業計画等に入れることを求めていくことについて認識を伺う。

【1. 2回目答弁要旨】
 豊橋市政のステークホルダーを誰だと考えているのか、また目標達成のために協力内容を事業計画等に入れていくことの認識についてです。
 本市が目指すべきまちの姿を形作っていくためには、当然のことながら全ての市民が何よりのステークホルダーであると考えています。また、これと同時に様々な行政分野には密接に関わる企業や団体の皆様が存在し、こちらもまた本市が掲げる目標達成に向け、直接的な影響を及ぼす重要なステークホルダーとなります。
 こうしたことから、市政分野ごとステークホルダーを明確とし、本市が立てた目標の意義をしっかりご理解いただき、その達成に向け具体的なアクションを起こしていただけるよう、いかに働きかけいくのかが重要であると認識しています。

【【1. 3回目質問】
 ステークホルダーは市民である、と言ってしまえば、大雑把な対応しかできない。ステークホルダーときめ細かく協働していくためには、答弁でも言われたように、市民をその性格に応じていくつかのグループに分けて考えることが必要なのではないのかと考える。
 地方自治体がステークホルダーを明確にするという例は聞いたことはないが、5月臨時議会で、市長が企業のステークホルダーに触れておられたので、質問させていただいた。本市においても、今後、市政のステークホルダーを明確化し協働のあり方を考えていただくことを期待する。
 答弁では市民や企業・団体と言うことを言われたが、大学や近隣自治体や県なども重要なステークホルダーと考えるべきだと思う。
 その上で、3回目として、これらステークホルダーと目標を共有する具体的な方法について考え方を伺う。

【1. 3回目答弁要旨】
 ステークホルダーと目標を共有する具体的な方法の考え方についてです。
 ステークホルダーと目標を共有する具体的な手法として、総合計画において、政策分野ごとにステークホルダーに示すとともに、その役割などを具体的に表すことを考えています。

【1, まとめ】
 アウトカム型の目標達成には、市政のステークホルダーの協力なしでは考えられないことが多いと思われる。答弁では、各ステークホルダーに目標を示しその役割を示すということを言われた。しかし、大切なことはそのステークホルダーが計画段階から参加すること、そしてともに実現を目指して行動できる体制を考えていただくことだと考える。まさに、ともに考え、ともに作ることが重要であろうと思う。
 さらにその中で、民間と行政の役割分担ということも進展することも期待できると思う。
 1.については終わる。

【2. 1回目答弁要旨】
 行政計画が結果にコミットすることの重要性についてです。
 行政計画は計画を作って終わりというものではなく、市が計画で示した理念や目的を、いかに実現していくかということが最も重要だと考えています。
 市民の負託を受け計画を推進する行政の立場として、社会情勢が目まぐるしく変化する中でも、当初の目的を見失わずに、常に「結果にコミット」するという、その実現に向けて責任を持つという意識を持って、市民の皆様に道筋を示し積極的に関わりながら取り組む姿勢と行動が大切であると考えます。

【2. 2回目質問】
 結果にコミットする、社会情勢が変化する中でも当初の目的を見失わずに実現に向けて責任を持つという意識を持つことが大切であるということだった。
 近年の本市の行政計画については、最上位に総合計画があり、それをブレークダウンすることにより多くの下位の計画が策定されている。このことから、多くの行政計画の目標をアウトカム指標を用いたものにするには、まず、最上位の総合計画における目標をアウトカム型にすることが必要になることが考えられる。
 そこでの2回目として、本市の最上位の行政計画である市の総合計画の主な分野にアウトカム目標を設定することについて考え方を伺う。

【2. 2回目答弁要旨】
 本市の最上位の行動計画である市の総合計画の主な分野にアウトカム指標を設定することの考え方についてです。
 次期総合計画では、戦略計画とまち・ひと・しごと創生総合戦略を一体化する方向で検討しております。この、まち・ひと・しごと創生総合戦略ではKPIを設定し、その指標は原則アウトカム指標を設定しようと考えております。 どれだけ成果が得られたのか把握できるような適切な指標の設定に努めてまいります。

【2. まとめ】
 次期総合計画の戦略計画とまち・ひと・しごと創生総合戦略のKPIとして原則アウトカム指標を用いるとのことだった。理解した。
 2. については終わる。

【3. 1回目答弁要旨】
 本市の持続可能性を脅かす大きな課題の認識についてです。
 本市の持続可能性を脅かすものとして、人口減少に伴う諸課題の顕在化はまずもって都市の持続可能性を妨げる最重要課題であると考えています。人口減少の進行は人口構造に大きな歪みをもたらし、生産年齢人口の減少や超高齢化への進行によって、経済活動の衰退や生活水準の大幅な低下を招くなど市民生活への影響は図りしれません。
 また、令和2年に突如として沸き起こった感染症の脅威は、市民の命を危機にさらすのみならず、活発な経済活動や地域コミュニティ活動を衰弱へと追い込むことが懸念されるなど持続可能性を脅かす課題と認識しています。
 さらには、南海トラフ地震を始めとした自然災害の脅威もまた看過することのできないものです。
 このように、本市が抱える問題は多岐に渡るとともに、相互に関連することでより深刻さが増すものと考えています。

【3. 2回目質問】
 本市の持続可能性を脅かす課題として、人口減少、感染症、自然災害などをあげていただいた。感染症や自然災害などについて、その被害状況の推移について本市における傾向が明らかであれば、アウトカム目標に据えることが可能だと思う。
 人口減少については、2015年に作成した人口ビジョンによれば、本市の人口は2060年まで減少傾向が続き、回復の傾向はみられない。またこの他に、財務諸表から計算される資産老朽化比率は上昇傾向にあるし、純資産については減少傾向が続いている。
 人口、純資産の減少傾向、資産老朽化比率の上昇傾向などをくい止めない限り、本市の持続可能性は危ういものになる。そこで、(3)の2回目として、これら三つの課題について、第6次総合計画にアウトカム目標の指標として掲げていく考えがあるかどうか伺う。

【3. 2回目答弁要旨】
 本市が様々な事業を実施し、その進捗や成果を図る際、人口に関する指標はまずもって重要なものと認識しています。このため総人口に加え、本市が今後打って出る様々な施策についての実施効果を示すこととなる合計特殊出生率や婚姻数、社会動態の状況などをアウトカム指標としていくことを考えています。
 一方、純資産と資産老朽化比率は、新地方公会計制度に基づき作成している、貸借対照表等の財務諸表の数値と、それらから算定される指標です。純資産は貸借対照表の資産から負債を除いた正味の資産の状況を示しており、行政コストの縮減や国県等補助金など財源の状況が影響するもので、資産老朽化比率は固定資産の耐用年数に対して取得からどの程度経過しているのかを示すものです。
 これらはこれまでに行財政運営に取り組んできた結果を示したもので、効率的な行財政運営に向けて必要なツールであると認識しておりますので、それ自体を第6次総合計画のアウトカム目標とするのではなく、総合計画を下支えするための財政計画を策定する際には、これらの財務諸表の数値や指標等を参考にしていきます。

【3. まとめ】
 人口の減少、純資産の減少、資産の老朽化、これらの目標を明確にすることで、地域内総生産(GRP)や行政コストの縮減、公共施設等の更新必要量などの目標が自ずと決まってくると思われる。市政の重要な目安が見えてくることになると考える。 これまでと違い、持続可能性を脅かす事態がいくつも顕在化する中にあっては、結果にコミットする行政計画であることが大変重要になる。積極的な取り組みを期待する。 以上で、『結果にコミットする行政計画』について終わる。

新型コロナ禍からの経済復活に寄与する公共施設等の管理のあり方

【1回目】
 現在、公共施設等総合管理方針に基づき、公共施設の個別施設計画が今年度中の策定を目指し検討が進められていると聞いている。この公共施設等総合管理方針では公共施設やインフラの長寿命化により、平成47年までの一般会計分の維持・更新費用は一年当たり130億円かかると試算している。
 また、平成48年以後平成74年までの平均維持・更新費用は一年当たり188億円かかるとのことで、平成47年までと比べて一年当たり58億円増加することになる。平成47年頃には人口は現在より5%程度減少すると推計されている。より少ない人口でより大きな負担をすることになるわけで、市民一人当たりの負担が大幅に増加するということになる。公共施設等の世代間負担が不公平になることが危惧される状態にあるのではないかと感じる。
 一方、世界各国では新型コロナウィルス用のワクチンや治療薬の開発が加速されており、遅くとも数年の内にはパンデミックは終息することが期待できる。その時にいち早く経済の回復をさせることが重要なこと。
 1929年のアメリカの株価大暴落を契機に1930年代後半まで続いた世界恐慌において、日本は当時の高橋是清大蔵大臣が行ったいわゆる高橋財政という財政出動拡大による需要喚起策等を行い、1930年代前半には世界に先駆けて復興を成し遂げることに成功している。大いに参考にすべきと考える。
 景気回復に向けてはいろいろな方策があり得ると思うが、多くは財源を必要とする。しかし、公共施設の更新や長寿命化工事であれば、地方債という形で財源確保もしやすい。バランスシート上も負債は増加するもののそれに見合った資産も増加するので一定程度までは問題ない。公共施設等の更新や長寿命化工事の前倒し実施は、景気回復という意味でも世代間負担の均等化という意味でも、必要なことと考える。
 そこで、以下の点について伺う。

  1. 公共施設等総合管理方針における公共施設等の最適化目標の世代間負担格差の認識について
  2. 新型コロナ禍からの経済復活に向けた公共施設等の更新や長寿命化工事の前倒し実施の考えについて

【1. 1回目答弁要旨】
 世代間格差の認識についてです。
 今後予想される少子化による生産年齢人口の減少は税収の減少につながり、また、公共施設の老朽化による維持管理費用の増加も見込まれます。
 これらのことは、将来的に市民一人当たりの負担額が増加することを意味しており、世代間負担の格差が生じることになるものと認識しているところです。
 こうしたことから、「公共施設等総合管理方針」においては、「公共施設等の最適化」を目的とし、「維持・更新費用の増加抑制と財源確保」を目標として定めたものです。

【1. 2回目質問】
 公共施設の維持管理費について世代間格差ができてしまわないように、公共施設等総合管理方針では維持・更新費用の増加抑制と財源確保を目標として定めているとのことだった。そこで、世代間格差の有無を何をもって図るのかということについて、さらに伺う。
 今の答弁では、市民一人当たりの負担額が増加することが世代間負担の格差が生じる元となるという認識だったと思う。ただ戦後の貧しい時代と現代とでは、市民一人あたりが負担することが可能な公共施設の維持管理費には差がある。また享受する便益が大きくなったとすれば負担が大きくなったとしても直ちに不公平とは言えないし、その逆ということもあり得る。
 つまり、その時代に負担することが可能な金額と、享受する便益の変動に比例する負担の変動ということに留意しなければならないということが言えるのではないか。
 そこで、現在策定中の個別施設計画においては、平成48年以降の将来市民の負担することができる一人当たりの金額を現在市民と比べて大きいと見ているのかどうかという点について認識を伺う。また、将来市民一人当たりの負担と享受する便益のバランスは、現在市民と比べてどのように変化することを想定しているのか、認識を伺う。

【1. 2回目答弁要旨】
 将来世代の市民が負担することができる一人当たりの金額は、所得と連動していくものであり、現在の新コロナウイルスの影響により、これまで以上に今後の経済状況や生活様式がどのように変化していくのか予測が大変難しいと考えますが、現状では大幅な増は見込めないと認識しています。
 人口減少が見込まれる状況下においては、現在存在している全ての施設を維持管理していくとした場合、将来市民一人当たりの負担金額は増えてしまうことになります。
 同時に負担と便益のバランスにつきましても、便益の水準が今と同じとした場合、利用率や稼働率の下がった施設を少ない市民で負担していくことになることから、負担と便益の差は広がり、バランスが保てなくなるものと考えています。
 このようなことを踏まえ、新型コロナウイルスなどに起因する諸課題に対応するための施設への新たなニーズを見据えながら、施設の複合化や、時には廃止を含めた施設総量の見直しを行うことで、市民一人当たりの負担の軽減を図り、便益とのバランスを保つ必要があると認識しております。

【1. まとめ】
 将来世代の負担可能金額は大幅な増加は期待できない、現世代に比べて将来世代の享受する便益と負担のバランスが保てない、すなわち便益に対する負担の割合が高くなるという趣旨の答弁だったと思う。
 この件については、(2)の質問の中で合わせて聞かせていただく。

【2. 1回目答弁】
 公共施設等の更新などの前倒し実施の考えについてです。
 公共施設等の更新や長寿命化工事の前倒し実施は、地域経済活性化策として有効な手段と認識しているところです。これまでの公共施設への投資によって、施設の利便性向上など、より良い市民サービスの提供に効果がありました。しかしながら、現在では、老朽化や稼働率等の低下、余剰面積の増加といった問題や課題も生じています。
 また、新型コロナウイルス感染症により経済が大幅に下押しされている状況下においては、第一に感染拡大防止を徹底し、雇用の維持と事業の継続への対策を講じ、市民の命と生活を守り抜く緊急支援の段階であると考えています。
  今後におきましては、次の段階の経済対策として、将来負担の軽減と施設の適正化を考えながら、国の補助金の獲得など積極的な財源の確保に努める中で、効率的・効果的な公共投資を進めてまいりたいと考えております。

【2. 2回目質問】
 既に老朽化や稼働率の低下がある中で、財源確保をし、経済対策として公共投資を進めていくということだった。そこで、さらに2点について伺う。
 まず、国の補助金の獲得など積極的な財源の確保に努めるとのことだったが、地方債の活用について伺う。質問の1回目で申し上げたように地方債の発行による資産の取得は純資産の変動には影響しないので、一定程度までの地方債の積極的活用は問題ないはずと申し上げた。市財政の健全性の確保という視点から見て、市の全体会計において市債残高はどの程度まで増やすことが可能か、認識を伺う。

【 2. 2目答弁要旨】
 公共投資を進めて行く上で、地方債を活用していくことは、事業費の平準化や財源確保の観点から、重要であると認識しています。
 これまでも、借り入れと償還のバランスを考慮し、中長期的な財政見通しを踏まえ、計画的な借り入れに努めてきました。平成30年度末の市全体会計における市債残高については1,596億円程ですが、その内一般会計における地方債残高としては、中核市の中では低い水準にあります。
 一方で、将来にわたり償還の財源となる、市税をはじめとする一般財源については、今後、大幅な増加は見込めないことや、中長期的に、その償還の財源に充てることのできる財政調整基金や減債基金の残高については、平成30年度末で64億円程と、中核市の中でも低い水準となっているので、地方債の活用については、慎重な対応が求められています。
 従いまして、どの程度まで増やすことができるのかという問いに対しては、具体的な数値をお示すすることはできませんが、引き続き、借り入れと償還のバランスのとれた、地方債による財源確保に努め、公共投資を進めていきたいと考えています。

【2. 3回目質問】
 本市の市債残高は中核市の中で低い水準にあること、一方で財政調整基金や減債基金の残高が少なく、地方債の活用については慎重な対応が求められるということだった。
 成30年度末の本市全体会計における自己資本比率は71.5%あり、さらに負債を増やしても直ちに経営の安定性に問題が生じる状態にはないと思われる。ただし、負債を増やし資産価値が下がった施設を新たにすることで資産は増加するものの、その翌年からは減価償却費の増加により行政コストが増加することになり、純資産の減少要因になり得る。しかし、施設の複合化や集約を進めることで、指定管理費や光熱水費など減価償却費以外の維持管理費を縮減することで行政コストの増加を抑えられる可能性がある。
 公共施設等総合管理方針では、平成47年度までの維持・更新に必要な費用を確保するために、約45億円の財源確保または経費の抑制を図ることを目標としている。
 (1)の2回目では、負担することができる一人当たりの金額は、平成48年以降の将来世代は現世代と比べて大幅な増は見込めないということを言われた。しかし、平成48年以降の公共施設等の維持管理費は一年につき約58億円増加すると予測されている。これは長寿命化を行った施設が更新時期を迎えることによる。便益が増えることなく、負担が増えることになる。
 これらの問題の緩和の意味と、新型コロナ禍による経済の縮小からの復活のための公共投資の増加という意味を合わせて、公共施設等総合管理方針の平成47年度までの維持・更新費用目標値45億円の見直しをする必要があるのではないかと考える。
 そこで、(1)と合わせ(2)の3回目として、質問する。
 平成48年以降の将来世代の負担を軽減するため、また、新型コロナ禍により減速した経済活動の復活のために、公共施設等総合管理方針で定めた維持・更新費用の目標値を上方修正し、それに基づき個別施設計画の策定をすべきではないかと考えるが、このことに取り組む考えはないか当局の考えを伺う。

【 2.回目答弁要旨】
 本市が保有する公共施設のうち、学校は一番面積が多く更新費用も高額になります。
 次いで市営住宅となっており、この二つを併せると全体の55%を超える保有量となっております。
 今後の公共施設の複合化や集約化を進めるにあたり、学校のあり方が大きな要因となりますことから、現在、考え方を整理しているところでございます。
 こうしたことから、行財政改革プランにおいて全体調整を図る中で、将来世代の負担軽減に努めてまいりたいと考えております。
 1回目でお答えさせていただいたように、コロナ禍において、公共施設の更新や長寿命化工事の前倒し実施は地域経済活性化策として有効な手段と認識しておりますが、今後の財政見通しにおいて、現段階では大幅な増は見込めないことから、維持・更新費用の目標値を上方修正することは難しいものと考えております。

【2. まとめ】
 公共施設等総合管理方針のような大きな指針を、わずか数回の質問のやり取りで、変えるという答えをもらうのは難しいことは分かる。
 しかし、平成48年以降の公共施設の維持管理費が年58億円増加することへの対処の方策はまだ見つかっていない。一方で、新型コロナ禍による経済のダメージは早く払しょくすることを考えなくてはならない。どちらも豊橋の将来の市民にとって重要なことと言える。
 大きな変化の時は、その対応によりチャンスにすることもあり得る。引き続き積極的に考えていただくことを期待する。
 以上で質問を終わる。


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