☆業務改善研修
【1回目質疑】
先日、平成32年度までを計画期間とする新たな行財政改革プランが策定された。この計画は行政の効率化と財政の健全化を主な狙いとしている。行政の効率化ということは、生産性の向上をどう実現するかということになるということだと思う。
その中で、業務改善活動は中心的な役割を担うことが期待されており、その質を高めるための方策の一つとして、業務改善研修が含まれていると考える。
そこでまず、採用3年目の職員を対象とし、業務改善の手法に関する研修であるとのこと。なぜ、3年目を対象とするのか、考え方を伺う。
【答弁要旨】
この研修は、業務改善を継続することが当たり前という職場風土を醸成することにより、市民サービスの更なる向上を目的に実施していますが、そのためには、本市に採用されてから差ほど時間が経過していない時期から、業務上の課題の発見、問題解決能力の向上を図っていくことが重要であると考えます。
それでは、なぜ、研修を実施する時期が採用3年目であるのか、ということですが、採用1・2年目は、まず、社会人としての基礎を身につけるとともに、職場に慣れ、業務の基本を覚える時期であると思います。
そして、次のステップとして、自らの業務を見直すことが重要になりますが、採用3年目では、その見直しを行うのに最も適切なタイミングであると考えられますので、その時期に業務改善の考え方や手法を学ぶ研修を実施しています。
【2回目質疑】
職場に慣れ、自らの業務を見直す時期として3年目が適切であるとの判断によるとのことだった。
業務改善の実施要領によれば、「業務改善とは、日常業務の中でどんな小さなことや当たり前のことでもいいので、より良い具体的な方法を考え、そして実践することです。」とある。また、「日常業務の中で、『ムダ、ムラ、ムリ』を感じたら、改善策を考えましょう」ということも記載されているが、手法についてそれ以上の記載はない。論理的に問題解決していこうという意識が感じられない。確実に成果につなげるためには、論理的に進める必要がある。
研修では事例紹介などが行われるとのことだが、研修成果を上げるためには、論理的な業務改善手法を指導していくことが大切なのではないのか。
そこで、豊橋市として業務改善の手法をとりまとめたものを作る考えはないのか、考え方を伺う。
【答弁要旨】
これまでも、庁内で実践している業務改善の事例を資料集としてとりまとめ、全庁的に共有したり、採用3年目の職員を対象とする研修を実施するため、本市独自の資料を作成するなど業務改善の風土を醸成するための取組を進めています。
研修では、論理的に業務改善を行うことができるよう、業務におけるあるべき姿を描くこと、そのあるべき姿と現状とのギャップを把握すること、そのギャップを埋めるための取組を検討・実施することといったような業務改善の手順等をまとめた資料とその手順に沿って検討できる業務改善検討シートを作成し、活用しています。
これまでも論理的に業務改善ができるよう資料の整備をしてきましたが、この研修資料と事例集との連動を図る等の見直しを行い、業務改善の手法などをより分かりやすくとりまとめた資料を作成していきたいと思います。
【3回目質疑】
問題の見つけ方、原因の見つけ方、対策の作り方を論理的に進めるということを、共通の手法で進めることができれば、組織的に問題解決ができるということになる。
1回目の答弁では「業務改善を継続することが当たり前という職場風土を醸成する」ということも言われた。職場風土を醸成するためには、日常マネジメントが最も重要な役割を担うことになると思う。集合研修はそれを補強するという関係になるはず。
先ほど答弁のあった業務改善の手法をとりまとめた資料を活用し、日常マネジメントにおける業務改善の風土強化をどのように進めていくのか、考え方を伺う。
【答弁要旨】
現在、課毎に改善を行う「課題共有による改善実践“トヨハシWE DO活動”」に取組んでいます。この取組は、研修資料の業務改善検討シートを活用したもので、シートを用いて各課で市民サービスの向上や経費節減に向けた業務改善の取組を検討し、それを年度初旬に全庁的に「私たちは改善します」と宣言・共有したうえで、解決を図っていく取組です。解決を図ったのちは、改善内容詳細や効果について再度全庁共有を図ります。この一連の流れを繰り返すことでPDCAを回し、全庁的な改善風土の醸成・強化を図ってまいります。
【まとめ】
行財政改革を進める力となる「業務改善運動」は、論理的な問題解決手法を取り入れること、研修の成果を活用しながら日常マネジメントの中で業務改善を継続するという風土形成を図るという考えであることを確認した。成果に期待する。
☆企業立地促進条例及び市税条例の一部改正
【1回目質疑】
この条例は国が「地方拠点強化税制」導入により、地方にある企業の本社機能等の強化支援、あるいは東京23区からの本社機能等の移転などにより、企業の地方拠点化推進を図っていることに対し、豊橋がその受け皿となるべく、魅力の強化をするという趣旨であると思う。
このような政策の必要性については、昨年の7月と11月の地方創生等計画策定調査特別委員会でも申し上げたところであり、早速取り上げていただいたことは大いに評価したい。
企業の拠点誘致ということに関しては、全国の企業との競争になることが考えられるが、これら条例の改正の効果を高めるために、周知も含めてどのようなことを考えているのかについて伺う。
【答弁要旨】
今回の制度改正の対象は、首都圏を始めとする市外企業の本社機能移転と市内企業の本社機能拡充が対象です。制度改正の周知につきましては、市外企業に対しては、東京や大阪をはじめとする企業誘致説明会や首都圏活動センターの活用、また、ホームページなどでPRを行います。一方、市内企業に対しては、立地企業との情報交換会、また商工会議所や地元金融機関と連携しながら周知していきます。
また、条例改正の効果を高めるためには、この地域への進出のメリットを示しながら誘致活動を行うことが必要と考えています。
多くの業種において人材不足が課題となっている状況を踏まえ、質の高い人材の確保は、立地を検討するうえで、重要なポイントになると考えています。本市では、UIJターンの促進や研修事業など、人材確保や人材育成の施策に取り組んでいます。また、産業支援機関のサイエンス・クリエイトや豊橋技術科学大学があり、企業間連携や産学官連携で技術開発を行うことができる環境が整っています。
このように、質の高い人材を確保できる地域であることや、豊橋に行くと異業種連携や産学連携により面白いビジネスができるといった点を重点的にPRしながら、企業誘致活動に取り組んでいきたいと考えています
【2回目質疑】
企業誘致説明会や首都圏活動センターの活用をしつつ、ホームページなどでPRを行い、人材面、技術開発環境面の優位性をPRしていくとのお答えだった。
既に豊橋を選んで立地していただいている企業も多くあるので、これらの企業に周知の方法に関する意見を聞くことも大切ではないか。
この条例の内容としては企業立地奨励金の範囲の拡大と固定資産税の税率の特例を含んでいる。
地方拠点強化税制の導入を機に、我が町に企業の拠点を誘致しようという地方都市は多くあると思われるが、近隣の市町村と比べて、豊橋市の今回の企業立地促進条例及び市税条例の改正は優位にあるものなのかどうか、認識を伺う。
【答弁要旨】
本社機能の移転・拡充に伴い、優遇措置が適用される対象地域や目標などを定めた地域再生計画(これは愛知県と県内31市町村が連名で策定したもの)は、平成27年11月27日に国の認定を受けました。
これを受け、本市では奨励金制度に固定資産税の不均一課税を加えた、本市独自の優遇制度をいち早く創設し、本社機能を誘致しようとするものです。
国の地方拠点強化税制の実施にあわせて、本社機能の移転・拡充に対する奨励金制度を創設した自治体は、県内では本市のほか、岡崎市が今年度中に策定する予定と伺っています。また、豊田市と日進市が来年度以降、制度の検討を予定していると伺っています。
本市の条例改正は、奨励金に加え、奨励金交付終了後も3年間の不均一課税を実施するというものであり、近隣の自治体と比較しても、大変優位なインセンティブとして、企業誘致活動においてアピールできるものと認識しています。
【3回目質疑】
岡崎市や検討中の豊田市、日進市に先んじての実施であり、大変優位にあるインセンティブであるとのことだった。
そこで、今回の条例改正の効果として、どの程度の成果を目指しているのかについて伺う。
【答弁要旨】
市外からの本社機能移転につきましては、現在相談を受けている案件もあり、地域再生計画の計画期間である平成32年3月末まで(この計画における愛知県知事の計画認定は、平成29年度末)に2、3件の移転を目指したいと考えています。また、既存企業の本社機能拡充につきましても、同様の件数を目指していきます。
本社や研究機関等は、企業が長期的展望を持ち立地することが多く、建設による固定資産税、新たな雇用による個人市民税や法人市民税の増収が長期的に続くといった直接的な効果があります。さらに地元の関連企業への新たな需要創出といった波及的な効果もあり、奨励金の支出及び固定資産税の不均一課税を行ったとしても、税収の増加や地域経済の活性化など、本市にとって大きなメリットがあると考えています。
【まとめ】
29年度末までに2,3件の本社機能移転を目指し、既存企業の本社機能拡充についても同程度を目指すとのことだった。
地方創生のためには地方で生まれ育ち、そこで働きたい若者のための「しごと」の創出が不可欠ということも言われている。市長も予算大綱の中で、「子ども達の夢をはぐくみ、夢を実現させられるまちにしたい」と言われている。
そのためには大変有効な施策であり、本社、研究所、研修所など多様な職場づくりに本条例をしっかり活用していただくことを期待する。合わせて、同じ目的のための施策として、ベンチャー起業支援ということについても積極的に取り組んでいただくことを期待する。
☆先端技術輸出調査事業
【1回目質疑】
市内には様々な産業がある中で、なぜ次世代施設農業に関する技術の輸出について調査することとしたのか、考え方を伺う。
【答弁要旨】
本市のものづくり企業が取り組む海外展開では、中間製品を取り扱う例が大半を占め、その取引先は従来より取引のあるメーカーの割合が多くなっています。一方、本事業は、農業生産に係る最終製品の展開に取り組むもので、新たな農業資材メーカーや農業者を相手にすることとなり、より難易度の高い取組に対する支援と考えています。
また、全国有数の強みを有する本市の次世代施設園芸関連ビジネスの海外展開により、新たな市場における売上の増加とそれに伴う地域企業への波及効果や、本市からの農産物輸出が困難な遠隔地におけるmade by Toyohashiの生産物による本市農業のブランド構築効果など、本市の農業関連産業の活性化に広く波及効果が得られるものと考え、次世代施設園芸に着目し調査を行うものです。
【2回目質疑】
本市のものづくり企業は中間製品を取り扱う例が大半であること、また、全国有数の強みを有する次世代施設園芸関連ビジネスがあり、その海外展開により多くの波及効果が期待できることによるとのことだった。
行政として産業の支援育成をしていく時には、市内の関連事業者に広く公平にチャンスのある支援の方法を考えるべきだと思う。そうあるために、本調査を行う前提として、技術輸出をする体制をどのように考えているのか、認識を伺う。
【答弁要旨】
この調査で得た結果は、広く市内農業関連企業に対してお知らせし、それぞれの企業において、海外展開の可能性を検討いただくものです。
今年度も、実際に、ベトナムにおいてJICA(国際協力機構)が進めるハイテク農業団地整備事業をはじめとする現地の状況を調査し、その結果を報告会として、広く情報提供しました。
次世代施設園芸の輸出に取り組むためには、現地におけるマーケティング調査、資材の流通、施設の建設、作物の栽培管理、販路拡大など、様々な業務に取り組む必要があり、これらを単独の企業が実施することは困難です。
そのため、実際には、複数の企業が得意分野を持ち寄ったコンソーシアム形式の体制で取り組むことを基本としていきたいと考えています。
もし、単独の企業が取り組むことになった場合でも、先にお答えしましたように、将来的に本市農業関連産業への波及効果が高いことが見込まれ、更に市内企業のモデル事業ともなり得ることから、調査段階での支援は必要であると考えています。
また、事業実施体制が、コンソーシアムか特定の企業かに関わらず、ビジネス展開に支障のない範囲で、事業報告会を開催し、事業効果を地域により広く還元していきたいと考えています。
【3回目質疑】
複数の企業が得意分野を持ち寄ったコンソーシアム形式の体制で取り組むことを基本としつつも、市内企業のモデル事業ともなり得ることから、単独企業に対してでも調査段階での支援は必要であるとのことだった。
また、調査結果については報告会を行い、関係企業に対して広く情報提供していくとのことだった。この調査は、結果的に次世代施設農業に関する技術の輸出の実現を期待するものと言える。
そこで、調査後において市はこの技術輸出ということに関して、どのような関わりを持っていくことを考えているのか、認識を伺う。
【答弁要旨】
調査後には、まず、企業等を対象とした報告会を実施し、調査内容を広くお知らせします。
その内容を受け、輸出に取り組む意向のある企業やコンソーシアムが出てくれば、その実現に向け、JETROやJICA等関係機関との橋渡しや、現地での詳細調査や実証試験のための補助金獲得支援など、ビジネスとして軌道に乗せることを目標に、行政のネットワークをフルに活用した支援に取り組んで参ります。
【まとめ】
調査後の関わり方としては、輸出の実現に向け、事業者とJETROなどの関係機関との橋渡し、調査・実証試験での補助金獲得支援などを行うとのことだった。
考え方について概ね理解したので、成果に期待する。
☆農業高等教育機関の調査
【1回目質疑】
あらかじめ伺ったところ、この調査では、渥美農高や安城農林などに通う農業後継者や、次の世代への引継ぎを考える農業者へのニーズ調査を行うとともに、大学農学部や専門学校等の先進事例のヒヤリング調査により、この地域に必要な高等教育機関について研究していくものであるとのこと。このことから、主にこの地域出身の農業を志す人を対象にした教育機関を考えているように思われる。
今、まち・ひと・しごと創生総合戦略の中で、人口減少の緩和策や適応策を行おうとしている中で、若い世代の転入を促進するということは重要なテーマであるはず。高等教育機関の設置は何度も行うことができないものであり、せっかく今回その調査をするというのであるなら、近隣地域ばかりでなくもっと広域から多くの学生を呼び込むことができる高等教育機関を考えるべきではないのか。
【答弁要旨】
今回研究する高等教育機関を含めた人材育成の仕組みづくりは、基本的には地域農業の後継者となる農家子弟を主な対象として検討を進めていきますが、農業従事者の高齢化や親元就農をはじめとする農業後継者の減少が進む中、ご指摘のように、この地域外から広域的に農業人材を呼び込むことも重要であると認識しています。
全国で農業を志す若者が、この東三河で農業を学び、この地に夢を抱き、就農することは、新たな人の流れを作り出し、地域の農業の発展につながり、非常に有効であることから、今後の調査の中で広域的なニーズも含め研究していきたいと考えています。
【2回目質疑】
広域的に農業人材を呼び込むことも重要であり、広域的なニーズも含め研究していきたいとのことだった。
広域的に注目される教育機関であるためには、他地域ででは見られない、あるいは数少ない、ユニークな教育テーマという面からの調査をしていくことも必要なのではないのか。日本の農業の最先端地域ならではの教育機関のあり方を考えるべきではないのか。認識を伺う。
【答弁要旨】
当地域は施設園芸発祥の地であるとともに、我が国を代表する農業関連企業も多く立地し、技術的にも経営的にも日本をリードする産地であります。
また、農家をはじめ農協や農業関連企業との連携を図り、現場における知識や技術を直接的かつ重点的に学べることは、この地域の魅力であり、さらに今後の農業に必要な、経営学や農業技術を地域の大学において座学で学べる環境が整っていることも大きな特徴であると考えています。
今後は、こうした魅力や特色を活用しながら、技術・知識などを含めた先端農業を担い、海外輸出へもチャレンジできる経営能力を備えた人材の育成を目指すとともに、卒業後は、地域農業のリーダーとして、当地域の農業を世界に向けて発信する、そんな農業人材を育成する機関が必要であるとの認識であります。
そのような認識のもと、平成28年度の調査内容を踏まえ、県や近隣自治体のみならず、地域の民間企業や農業者などと一体となり、新たな農業教育の仕組み作りに取り組んでいきたいと考えています。
【まとめ】
当地域の特色を活かし、先端農業を担うことができる経営能力を備えた人材、また、当地域の農業を世界に向けて発信することができる人材を育成することができる教育機関が必要との認識を持っているとのことだった。
そのようなことができる人材育成には、マーケティングに関する知識、生産工学に関する知識などが重要な意味を持つと思われるので、是非、しっかり調査検討していただくことを期待する。
☆下水道建設改良事業出資金
【1回目質疑】
28年度において下水道建設改良事業出資金として751百万円を出資することとしている。どのような考え方によるものか伺う。
【答弁要旨】
下水道事業会計などの公営企業の経営に要する経費は、受益者からの使用料収入などをもって充てる独立採算制を原則としています。
しかし、地方公営企業法上、使用料収入などをもって充てることが適当でない経費や、公営企業の性質上能率的な経営を行っても、なお使用料収入などのみをもって充てることが困難な経費などについては、補助や負担などの方法により一般会計が負担することとされており、公営企業の財政的基礎の充実を図るため、出資をすることも認められています。
本出資金7億5千1百万円につきましては、下水道事業会計におきまして、住民サービスの確保に必要な、第9次拡張事業や第1次再整備事業などを始めとした建設改良事業を行うにあたり、下水道事業会計の財政的基礎の充実を図るため、地方公営企業法第18条第1項の規定に基づき繰出を行うものでございます。
【2回目質疑】
建設改良事業を行うための財源が不足することから、下水道事業の財政的基礎の充実を図るために出資を行う、とのことだった。
平成21年度まで遡って予算書を確認してみたが、下水道事業会計に対して毎年7億円から9億数千万円の出資を行っている。8年以上もの間、出資をし続ける必要がある下水道事業会計の状態について、どのように認識しているのか伺う。
【答弁要旨】
下水道建設改良事業出資金については、下水道事業会計の資本的収支において、国庫補助金や企業債、補てん財源などによる財源確保を可能な限り行っても、なお、財源不足が生じる見込みであったことから、この間、予算において所要額を計上してきました。
新年度においても、7億5千1百万円の財源不足が生じる見込みであり、引き続き、市民生活に密着した、生活インフラを支える建設改良事業などを行うにあたり、出資を必要とする状況であるとの認識から予算を計上しています。
【まとめ】
もう少し確認したいことはあるが、これ以上については下水道事業会計の中で伺うこととしたい。
28年度から統一的基準による公会計制度の導入が予定されている。総務省の指導によれば、出資金について「市場価格のないものについては、出資金額をもって貸借対照表価額とする」とあり、さらに、「出資先の財政状態の悪化により出資金の価値が著しく低下した場合には、相当の減額を行う」と示されている。「著しく低下」とは、低下割合が30%以上をいうとのこと。
26年度に公営企業会計制度の改正があり、単純に比較することが難しくはなっているが、この点についても今後留意していただく必要があるのではないか。
☆普通交付税及び臨時財政対策債
【1回目質疑】
普通交付税については、前年度予算に対して1億円の減、臨時財政対策債については前年度予算に対して、15億1千万円の減となっている。どのような考え方によるものかについて伺う。
【答弁要旨】
地方交付税制度は、地方自治体の標準的な人件費や行政経費から計算される「基準財政需要額」から、標準的な税率・徴収率により地方税収入を計算した「基準財政収入額」を差し引き、理論値としての「財源不足額」を求め、この財源不足額に対し、国が普通交付税と臨時財政対策債により財源措置を行う制度です。
新年度予算においては、平成28年1月下旬に国から示された推計方法に基づき、本市の基準財政需要額、基準財政収入額、それぞれについて27年度普通交付税算定結果を踏まえて試算したところ、35億3千万円の財源不足額が見込まれました。
このうち、普通交付税については、平成27年度実績額が14億2千万円であり、地方財政計画における伸び率が0.3%減であったことを勘案し14億円と見込むとともに、残余の21億3千万円を臨時財政対策債としたものです。
【2回目質疑】
28年1月に国から示された推計方法により計算した財源不足額に基づいたものであるとのことだった。
このことに関連しながら、財政調整基金繰入金32.4億円について伺う。
27年度予算における財源不足の見込み額は、普通交付税15億、臨時財政対策債36.4億の合計値、51.4億円であった。28年度の財源不足見込額は35.3億円であり、財源不足額は16.1億円縮小する見込みとなっている。
財源不足額が減少する見込みである中で、残高確保が重要な課題である財政調整基金からの繰り入れを27年度の30億円から28年度は32.4億円へと2.4億円の増額したのはなぜか、考え方を伺う。
【答弁要旨】
財政調整基金は、年度間の財源調整を図り、安定的な財政運営を行うためのもので、豊橋市財政調整基金条例の規定に基づき、大規模な建設事業などに充てる繰入を行っているところです。
新年度においては、公立保育所整備事業や小学校屋内運動場の長寿命化事業など、臨時的な建設事業費の増加に伴い、国庫補助金、市債など、それぞれ所定の補助率、充当率等に基づき特定財源の確保に努めるとともに、財政調整基金の繰入などにより、一般財源の増加への対応を図りました。
【まとめ】
事業の財源における起債率の制限により、財政調整基金からの繰入れを行う予算としたという趣旨の答弁だったと思う。
28年度から小学校の屋内運動場の長寿命化事業など、施設の老朽化対策が積極的に進められるようになった。今後、公共施設等総合管理計画の策定進捗に伴い、しばらくはこのような施設老朽化対策事業の増加が必要な状況にある。そのことにより、財政調整基金が縮小していくということであれば、それを防ぐことを考えていかなければならない。
具体的には市役所業務遂行における生産性の向上に、一層積極的に取り組み、決算剰余金の増額を図ることが求められているのではないか。このことをしっかり認識していただくことを期待する。
☆総合動植物公園の市債
【1回目質疑】
市債 478,600千円について、この償還の予定について、据え置き期間、償還年数、1年あたりの償還金額について伺う。
【答弁要旨】
据え置き期間については、1年償還年数は20年を予定しており、そのパターンだと1年あたりの償還金額は最大で約2,600万円となっています。
【2回目質疑】
28年度の入園料収入等の総合動植物公園使用料は343百万円となっている。
28年度総合動植物公園使用料を入園者数で割り、一人当たり平均総合動植物公園使用料をベースとし、地方債の償還が始まった時に、一般会計からの繰入金を28年度987百万円を超えないためには、入園者数を何人にする必要があると考えるかについて伺う。なお、この時点では27年度の起債の償還も始まっており、その額も含めての必要入園者数を教えていただきたい。
【答弁要旨】
28年度における地方債の元金償還が始まる30年度には、27年度分の償還分と合わせて、28年度予算に対しさらに約4,400万円の償還金が必要になることが見込まれます。
この金額を入園料をはじめとする事業収入における入園者一人当たりの平均単価で割ると、計算上は約9万5千人の入園者数の増が必要となります。
ただし、ここ数年については、消費税の還付金などの財源も見込まれ、また、新たな財源の獲得や、経費節減の努力する中で、繰入金の増については、一定抑えることができるものと認識しています。特に、新たな財源の獲得や、経費節減については、これまでも、駐車場の有料化や指定管理者制度の見直し、乗り放題券の導入、セグウェイガイドツアーやナイトガーデンの新規イベントの実施などにより、1億円に迫る増収効果をあげており、繰入金の額の抑制に努めてきました。これからも、象の群れ飼育の実現をはじめ、新たな魅力を創出し続けることで、さらなる集客や増収につなげていきたいと考えています。
【まとめ】
地方債の償還が始まる平成30年度において、一般会計からの繰入金を28年度予算並みにするためには、単純計算で28年度より約9万5千人の入園者増が必要になるとのことだった。28年度予算では、入園者数を75万人と見込んでいるので、30年度には84万5千人の入園者が必要となるとのことだった。
消費税の還付金などの財源や新たな財源の獲得、そして、経費節減により、もう少し少ない入園者数でも繰入金の増を抑えることができる、とも言われた。
是非、30年度に84万人の入園者を迎えられるように、魅力づくりとその発信に努めていただくことを期待する。
また、リニューアル事業については、32年度まで続くということだったと思う。一方で、入園者数100万人プロジェクトは33年度を目標に進められている。
現状の市の財政状態を考えれば、これ以上の一般会計からの繰り入れは難しいと思われる。33年度に、入園者100万人が実現し、その時に、繰入金が今より拡大することがないように考えることが必要。そこから逆算して、一般会計からの繰り入れを増加させることがないようにリニューアル事業の予算規模の検討を進めていただくことを期待する。
☆下水道事業会計の出資金
【1回目質疑】
一般会計の質疑の中で、この出資金751百万円「第9次拡張事業や第1次再整備事業などを始めとした建設改良事業を行うにあたり、下水道事業会計の財政的基礎の充実を図るため」との説明をいただいた。
企業会計のあるべき姿としては、必要な経費は事業実施に伴う収入により賄うことであるはず。そういう意味では、建設改良事業に必要な財源としては、自己資金などをあて、不足する部分は、企業債で賄うべきものなのではないのか?
建設改良事業を行うにあたり、その財源を企業債の起債ではなく、一般会計からの負担金でもなく、一般会計からの出資によろうとする考えの根拠を伺う。
【答弁要旨】
地方公営企業法では、住民に対するサービスを確保するため、必要かつ適切な建設改良工事を行うにあたり必要となるものや、事業施設の拡張に要する経費に充てるための一般会計からの出資が認められており、これに基づき出資を受けているところです。
また、下水道事業における財源措置の考え方としては、建設改良事業を行うにあたり、国庫補助金や負担金、損益勘定留保資金など、見込むことができる財源を全て見込み、また、起債についいても、将来負担を考慮しつつ、国の示す地方債同意等基準のもとで借り入れが可能な事業について最大限借り入れることとしていますが、それでもなお、財源不足が生じる見込みがあることから、平成28年度予算において出資金として所要額を計上したものです。
【2回目質疑】
改良事業の財源として、補助金や補てん財源の他、地方債の起債も限度まで行うが、それでもなお財源不足が生じる見込みがあり、出資金に依存するものであるとのことだった。
一般会計においては、従来現金主義による公会計が行われており、その場合では出資でも負担金でも大きな違いはなかった。しかし、28年度からは発生主義による財務諸表が作成されることになっており、行政コストに算入される負担金と、資産科目の変更のみの出資では、その意味するところが大きく変わることになると思われる。
今後、財源不足が生じる場合に、一般会計からの補てんの形として、出資によるべきか負担金等によるべきかについて、慎重に検討していただくことを期待する。起債限度額の検討についてもその余地はないのかと思う。
また、本市においては昨年、まち・ひと・しごと創生総合戦略を策定している。その考え方は、人口減少の緩和策と人口減少社会への適応策の二つからなるものである。人口減少社会への適応策としては、コンパクトなまちづくりという方向性を目指すものであると思う。
建設改良事業の中には拡張事業も含まれるが、下水道事業において、このコンパクトなまちづくりということについて、28年度はどのように対応しようとしているのか、考え方を伺う。
【答弁要旨】
拡張事業については、現在進行している区画整理地区においては、歩調を合わせて下水環境の整備を推進する必要性があることから、所要の予算を計上しています。
また、今後の人口減少社会への適応や下水道事業の経営の効率化といった視点から、上下水道ビジョンの後期事業計画において、施設の統廃合や再構築による効率的な下水処理システムを目指す必要性を課題認識としてうたったところです。
こうした認識を背景に、平成28年度から新たに第1次再整備事業を位置づけ、今後増加が見込まれる施設の老朽化対策や地震対策などと合わせて、下水処理の効率的な処理を目指すため、野田処理場で処理している合流汚水を中島処理場に集約して処理するための送水管の整備や野田処理場の老朽化に伴う今後の再整備のあり方を検討するための計画策定費用を予算に計上しているところです。
【まとめ】
拡張事業については区画整理と歩調を合わせて行っていること、第1次再整備事業により施設の統廃合などによる効率的な下水処理システムづくりや老朽化対策を進めていくとの説明があった。人口減少下においても、過度な負担にならず持続可能であり自立的な経営に向け処理システムや執行体制、料金体系の検討・構築に期待する。
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