☆新しい時代の産学官連携推進と潟Tイエンス・クリエイト
次世代自動車への移行が進むことにより、産学官の連携による新たな産業構造の検討が重要性を増している中で、サイエンス・クリエイト21計画を検証し、新たな産学官連携のあり方を考える必要があると考えられる。地域企業と大学という従来の戦略に加えて、大学・地域企業・大企業のトライアングルを形成することが必要ではないか。そこで、以下の点について認識をお伺いする。
【1回目質問】
- サイエンス・クリエイト21計画の果たした役割と課題について
- 新産業創設に関する国、大学などの取り組みの変化と対応の方向性について
- 新年度に計画されているビジョンづくりなどに向けた研究会の予定と課題について
【答弁要旨】
- 計画の果たした役割については、産学官連携の推進、具体的には、新技術の開発や異業種交流の推進であります。大学研究者と関連企業が連携した取り組みとしては、本市の産学官連携の拠点機関である潟Tイエンス・クリエイトを中心に、産学協同研究会や文部科学省の採択を受けた都市エリア産学官連携促進事業などが地域において展開されたことにより、大学のシーズが産業界に移転・活用され、地域産業の活性化が図られてきたものと考えております。
その一方、課題して、大学シーズを活用した開発については、開発に一定の期間を要することなどから、結果として必ずしも消費者のニーズとマッチしたものとならない状況もあり、多様化するニーズを把握するとともに、市場の動向などを十分に考慮した取組みとする必要があるものと認識しております。
- 国の機関では、農工商連携に代表されますように、経済産業省と農林水産省、さらにはCO2削減に向けた環境産業の育成を目的として環境省などとも幅広く連携が行われていますが、いずれも一定規模の集積を図るために、広域的な取り組みを促進するものとなっております。また、大学においても、独立行政法人化などの環境変化により、地域産業との連携に、より積極的に取り組まれるようになったことから、これまでの枠を超えた分野での連携が可能になったものと考えています。
対応の方向性については、国の「産業構造ビジョン2010」におきまして、「地域の多様な強み・特色や潜在力の積極的な活用」などが基本認識として示されています。本市においても、やはりこれまで築いてきた成果を十分に活かすということが基本ですので、次世代自動車産業や新農業など、地域産業の特徴を活かした方向で、企業の連携を進めるとともに、時代ニーズにマッチした商品、技術開発を進めてまいりたいと考えています。
- 本年度においてこれまでに、次世代自動車の普及促進に向けた基礎的な調査研究を行うため、5月に庁内検討会議を立ち上げました。今後は、豊橋技術科学大学や電気・機械関連の企業などと連携し、普及促進あるいは産業育成の方向などについて研究を進めていきたいと考えています。当面の具体的な研究テーマとしては、市内におけるインフラ整備や電気自動車の公共利用などについてのモデル事業の実施検討などを行い、新しい産業創出への足がかりを築いていきたいと思っています。
また、そうした研究の課題としては、多くの地域企業が研究成果を自社の発展に活用できるか、言い換えますと、研究成果がいかに地域企業の振興に貢献できるか、であります。
そのため、次世代自動車の普及促進につきましては、それらを踏まえた将来ビジョンを構築しながら、研究に取組んでまいりたいと考えております。
【2回目質問】
- サイエンス・クリエイト21計画推進の中核をなす組織として、本市も出資する第三セクターの潟Tイエンス・クリエイトがある。サイエンス・クリエイトが新たな環境の中で、その役割を十分に果たしていくためには、もっと機能を強化していく必要があるのではないか。具体的には、産学官連携のコーディネートを行うことができる人材の集積、コーディネートを行うノウハウの組織的集積などである。潟Tイエンス・クリエイトの機能強化についての認識をお伺いする。
- 産学官連携における課題としては、開発期間の長さなどにより、消費者のニーズにマッチする製品開発が難しい点があげられた。また、国においては省庁間連携が積極的に行われるようになったこと、大学でも独立行政法人化などの環境変化により、これまでの枠を超えた分野での連携が可能になったなどの環境変化もあるとの認識が示された。
そこで、これらの課題に対処し産学官連携を進める方策を考えてみると、大学の多様なシーズを更に活用していくには、パートナーとなる企業として多様な業種を対象とすることで製品化の実現性は高まる。また、ニーズに対応した製品づくりという意味では、マーケティング能力の優れた企業をパートナーとして選ぶ必要がある。
これらのことから、従来より広範囲な地域に存在する多様な、また、ある程度の規模を持つ企業との連携を進めることが必要なのではないかと考えられる。東三河に目を向けるばかりでなく、例えば、三遠南信地域の企業をも連携のパートナーの候補として取り込むことが必要になるのではないか。また、その上で、その連携に市内企業が関与することを進める方策を講じるという、二段階の取り組みが必要なのではないか。認識を伺う。
【答弁要旨】
- 潟Tイエンス・クリエイトは平成2年の設立以来、約20年に亘り、本市の産業振興施策の柱である産学官連携を具現化してきました。この間、企業経営面では地域経済の低迷期(バブル崩壊)などから民間の出向社員の引き上げなど、体制的にも資金的にも厳しい運営を強いられています。これまでにも潟Tイエンス・クリエイトの公的な役割を果たすために、様々な対応策が検討されてきましたが、現在もそうした課題を抱えているものと受け止めています。
今後においても産学官連携による地域振興を図るためには、潟Tイエンス・クリエイトを中核として取り組むことが効果的と考えますので、改めて潟Tイエンス・クリエイトの期待される役割を検証し、経営的な安定と体制の強化を図るために必要な支援策について、(本市をはじめ、)産学官の関係機関が一体となって検討する必要があるものと考えています。
- 次に、産学官連携において、より広範囲なエリアでの展開や多様な企業との連携をし、その中で市内企業の関与を高めていくことが必要という豊田議員のご意見につきましては、私もそのとおりであると思っています。これまでも、浜松・東三河エリアや三遠南信地域における地域振興計画において、潟Tイエンス・クリエイトが、管理法人の役割を担い、国あるいは県から補助金等を獲得するなど広域的な連携強化を図ってまいりました。
今後につきましても、これまで以上に広域的な取組みにより、多様な企業の連携を推進しながら、地域企業の活性化を図り、そのためにも市内企業の独自性を高める技術開発、さらには製品化を進めていくことが大切と考えます。
【3回目質問】
産学官連携推進の中核とされるサイエンス・クリエイトは、第三セクターの株式会社という組織形態をとっているが、このことについての見解を伺う。その理由としては、まず、株式会社すなわち営利法人としているわけだが、産学官連携の推進がビジネスとして成り立つかという点に疑問がある。ビジネスとしてなりたたなければ、営利法人はやっていけない。
また、国などからの研究助成を受ける際の受け皿として不利にならないかという点もある。これらを考えると社団法人や財団法人などの非営利法人の方が組織形態としては適切なのではないか、とも考えられるという意味で伺う。
また、このことを含め、潟Tイエンス・クリエイトの機能強化は、市がイニシアティブを発揮して進めることが重要だと思うが、この点に関しても認識を伺う。
【答弁要旨】
サイエンス・クリエイトが担う、産学官連携の拠点としての事業活動は、ビジネスのみの観点からは、なかなか成り立ち難いという側面があると思っていますが、ご指摘のあった株式会社という経営形態により、国などの補助金、委託事業の採択におきまして、これまで不利な要因となることは無かったものと承知しております。
また、いわゆる公益法人制度改革関連3法により税制面などの経営的メリットも縮小されることから、法人形態については今すぐ見直す必要は無いものと考えており、むしろ、サイエンス・クリエイトに対しましては、国からも「事業化の可能性が高い。」という点で、他地域と比べ、高い評価を受けてきたものと考えております。
こうした状況を踏まえ、機能強化及び経営の安定に対するイニシアティブにつきましては、本市の産業振興施策の推進に資するものとして、取り組んでまいりたいと考えております。
【まとめ】
サイエンス・クリエイトの法人形態としては、変更する必要性を感じていないという趣旨のご答弁だった。しかし、2回目の答弁では、厳しい運営を強いられていることが挙げられている。一方では、産学官連携の成果をあげるためには、さらに広域的な取り組みが必要ということについても賛同していただいた。しかし、厳しい経営環境の中で、これまで以上に活動を拡大するということであり、容易にできないことを求めているものと言える。
産業振興はまず市民の働く場を確保するために必要なことであり、様々な福祉施策を行うために必要な財源として、税収を確保するためにも重要なことと言える。一方、次世代型自動車の登場は本市産業に大きな影響を及ぼす恐れがあり、新しい時代の産業構造形成に向けた産学官連携の推進は非常に重要な課題となっている。
今後、市が中心となって積極的にその方策の実現を図っていただくことを期待する。
☆キャッシュカード盗難事件と各課における現金及び預金の管理
昨年、11月8日(月)に庁内で、しかも預かっていた民間団体のキャッシュカードが盗難にあうという、あってはならない事件が起きた。加えて、そのカードから現金3,734,630円が引き出されてしまった。庁内における、現金・預金の管理体制に大きな問題があると考えざるを得ない事態であると考える。二度とこのようなことが起こらないように万全の措置を講じなければならない。
さらに、この問題の反省を消防本部だけでなく、全庁的に現金・預金の管理状況を確認し、問題点を改善していくことが必要であると考える。そのためには、まずはどんな問題があったのかということをしっかり把握し、それぞれについて根本原因を見極め、再発防止対策をとっていかなければならない。
【1回目質問】
- 11月8日に発覚した消防本部での盗難事件に対する対応について
- 応急処置として、この事件が及ぼす影響と対応について
- 恒久措置として、この事件発生における問題としてどんなことがあったのか、また、それぞれの原因に応じた再発防止策について
- 各課における協議会等外郭団体の現金及び預金の管理体制の現状と改善について
- 庁内における、現金及び預金の保有状況について
- 現金・預金を管理する各部署における管理方法について
【答弁要旨】
- 影響と対応について
- 事件発覚当日の対応でございますが、金融機関への連絡、警察への被害届出、併せて市長、防火協会長等への報告と対応を協議し、同日夕刻には報道発表に至ったものです。
その後の影響ですが、防火協会等においても、速やかに臨時役員会を開催し、当面、残された原資により効率的に事業を運用することで、ご承認をいただきました。また、本年5月の総会において、平成22年度の決算、事業報告、事件対応について審議され、一つひとつの事業を見直し、影響のないかたちで運営ができたこと、追加の会員負担は求めないこと、債務不履行なども生じなかったことなどから、欠損金として承認されました。他の団体についても、同様です。
- 本事件は、庁舎内における施錠された場所からの盗難事件であり、平素から注意を払って管理していましたが、キャッシュカードの保管場所、暗証番号の管理など資金管理方法を、消防本部としては、再度見直しを行いました。その結果、キャッシュカードの利用廃止、職員による鍵、通帳、印鑑等を分散管理するとともに、預金通帳は会計課金庫において管理をするよう改めました。なお、関係職員に対しては、注意喚起及び再発防止の徹底について、厳重に注意しております。
- 庁内における協議会等の現金、預金については、「協議会等における事務処理手続きマニュアル」を定め、マニュアルに沿って適正な管理に努めてきたところです。
現金及び預金の保有状況については、昨年11月の事件発生後に調査を行ったところ、庁内の31課74団体で現金の保有は35万円余、預金通帳は、100冊を超える保有が確認されました。こうした通帳等の管理方法については、会計課内金庫のほか、各部署における課内金庫、施錠可能なロッカーや事務机の引き出し等での管理となっています。
なお、事件後の対応としまして、発生後直ちに通帳等の保管の徹底を全庁的に周知するとともに、昨年12月には事務処理手続きマニュアルを改訂し、通帳、印鑑、金庫の鍵の管理方法のほか、キャッシュカードの取り扱いを細かく明記するなど、より厳格な管理を徹底するよう各課へ通知しております。
【2回目質問】
- 応急対策では、被害金額については防火協会をはじめキャッシュカードの所有者である団体の欠損金として処理されたとのこと。一方では、市の関係職員に対して、注意喚起及び再発防止の徹底について厳重に注意しているとのことだった。
厳重注意を行ったということは、キャッシュカードの管理について不十分なところがあったという認識があったから、それを改めるようにという意味を持つはずである。であるなら、この被害金額を全て各外郭団体の欠損金としてしまうということに疑問を覚えざるを得ない。
法的責任は事件の解明を待たなければならないものの、道義的責任ということを考えれば、市として一部損失の補てんを考えるべきではなかったのか? 認識を伺う。
- 恒久措置としては、キャッシュカードの取り扱いを細かく明記するなど、事務処理手続きマニュアルを改訂したとのことだった。その内容を確認したところ、キャッシュカードの保管、キャッシュカードの暗証番号の管理などについての記載が追加されている。
消防本部では、キャッシュカードの利用を廃止したとのことだった。他の部署ではキャッシュカードの利用を継続しているが、なぜ、消防本部のみキャッシュカードの利用を廃止されたのか疑問がある。全庁統一して対処すべきではないかと思うが、認識を伺う。
また、今回、キャッシュカードを盗難されたものの、暗証番号を犯人に知られなければ預金が引き出されることはなかったはずである。安易な暗証番号が設定されているということはなかったのか。さらに言えば、安易な暗証番号を設定することを戒める内容がマニュアルに含まれていないのはなぜか? 認識を伺う。
【答弁要旨】
- 先ほど、答弁させていただきましたことから、市の道義的責任としての損失補填については、考えておりません。
- 今回の事務手続きマニュアルの改訂は、現金、通帳、印鑑のほかキャッシュカードを含めて、各課の使用実態に応じて、保管方法や取扱う職員を限定するなど、より厳格な管理を徹底することを主眼にしております。なお、キャッシュカードの作成については、各課において必要性に応じ、作成の要否を判断することとしています。
キャッシュカードの暗証番号については、第三者に簡単に知られてしまう番号にすることや、メモに残すといったことなどは、キャッシュカードを使用する場合に避けるべき基本でありますので、マニュアルには明記しなかったものです。
【3回目質問】
- 道義的責任に基づく補てんは行わないということであり、市を信頼していた外郭団体や市民の信頼が揺らぐのではないかという心配はあるが、道義的責任は自発的に判断すべきものであり、佐原市長の信条に基づいた判断の結果であることから、これ以上は聞かない。
- 事務手続きマニュアルではキャッシュカードの使用を許容しているのに消防本部ではカードの使用を止めたこと、マニュアルに安易な暗証番号設定を戒めることの記載がない点についても、それぞれお答えいただいた。
このカード盗難事件においては、明らかに二つの問題があった。一つは、事務机に保管されていたキャッシュカードが盗難されたことであり、もう一つはそのキャッシュカードによって預金が引き出されてしまったこと。これらに対する再発防止策がしっかりできたかどうか、この点については大いに疑問が残る。つまり、二つ目の問題において、盗まれたキャッシュカードによってなぜ預金を引き出すことができたのか。可能性は二つしかない。一つは暗証番号が容易に推察されるような不適切なものだった、もう一つは、暗証番号の管理が不十分だった、このどちらかのはず。
ご答弁では「キャッシュカードを使用する場合に避けるべき基本であるので、暗証番号の設定までは明記しなかった」ということだった。しかし、キャッシュカードによって預金が引き出された原因の二つの内の重要な一つであるはず。私自身、関係者のお話を伺ったところによれば、これが原因であった可能性は十分にある。答弁で言われるところの「基本」ができていなかった可能性が高いということである。にも関わらず、その重大な要素について対策が行われていない。これでは、漏れなくダブりなくという論理的な問題解決をするという基礎ができていないと言わざるを得ない。そればかりではない。これから問題となる可能性が高い要素を見つけ、問題発生前に対策をするという、発見型問題解決もできていない。
今回の事件では、事務机の中に大金を預けた預金のキャッシュカードを保管していたこと、キャッシュカードで容易に預金が引き出されてしまったことなど、「基本」と言えるようなことができていなかったことが見過ごされている。不具合を起こす可能性の高い問題を、あらかじめ対策しておくことができなかったということである。これは一昨年の不適正経理問題に通ずるものと言える。つまり、以前から続けられている習慣について、仕事を進める上での「基本」ができていなくても、見過ごされていた。不適正経理問題の対策の際に、このことは反省されたはずなのに、まだ発見型の問題解決をすることができていなかったということである。
豊橋市役所から、基本的なことができていないことによる問題が起きないようにするために、問題解決の手法を定着させ、論理的な問題解決ができる風土を作るべきではないかと考える。風土づくりは、心がけだけでできるものではない。集合研修、OJT、日常の管理への新たな方式の導入などの、手だてが必要になる。このことに関する認識を伺う。
【答弁要旨】
業務の課題解決については、これまでも、継続的な業務改善運動に取り組むほか、日常的に、異なる視点で見直すよう、研修、OJTなどにより意識改革に取り組んでいるところです。また、今回の事件を踏まえ、マニュアルの改訂だけでなく、庁舎のセキュリティ対策も改めて点検した結果、見直したところです。
今後においても、職員個人はもとより組織全体として、問題やリスクが発生する前に必要な対策を講じることができるよう、研修等の機会をとらえ、継続した取り組みを進めてまいりたいと考えています。
【まとめ】
業務の課題解決について、継続的な業務改善運動に取り組んでいるとのことだった。にもかかわらず、今回、安易なキャッシュカードの管理状態があり、犯罪を防ぐことができなかったわけで、このことは重く受け止めなければならない。今までのやり方では不十分だということが明らかになったということ。
市役所という職場の風土改善は緊急の課題であると受け止め、組織のトップ自らが先頭に立ち、組織全体で取り組むことが必要。佐原市長の奮起を期待して終わる。
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