2011年3月10日(木)〜23日(水) 3月議会予算特別委員会質疑
青字は答弁
質問テーマ [電子計算システム開発のミス防止][鳥インフルエンザへの備え][浜松・東三河地域産学官連携拠点事業]
[幹線公共交通基礎調査][総合動植物公園再整備の検討]

電子計算システム開発のミス防止

【1回目質問】
 昨年、12月に母子父子福祉手当の定期払いにおいて、過払いが発生した。その際の、原因は「制度改正に伴いシステム改修を開発業者に委託したところ、プログラムが正しく動作しているかのチェックが不十分だったため」ということだった。新年度のシステム開発においては、この点について、どのように反省し対策をしようとしているのか伺う。

【答弁要旨】
 制度改正に伴うシステム改修時においては、開発業者、及び市の双方で改修したプログラムのテストを行った後、実際のデータを使ったテスト処理行い、その処理結果を確認することとしています。このテスト工程におきまして開発業者、市双方で十分なチェックが行われなかったことが、今回の過払いの反省点であったと考えております。
 平成23年度のシステム開発における対策といたしましては、開発業者及び市のそれぞれの立場で行っているテストにおいて、十分な時間の確保や複数のチェック体制を取るなど、テストの体制の強化や徹底を図ってまいりたいと考えています。

【2回目質問】
 お答えの内容は、これまででも当然行われていなければおかしいことだと思われる。それがなぜできなかったのか、そのことに対する対策をどのように考えるのか伺う。要はフェイルセーフという仕組みをどう組み立てるか、ということを聞いている。

【答弁要旨】  システムの開発工程におきましては、要件定義、システム設計、プログラミング、テストではプログラムテスト、結合テスト、システムテスト、運用テストなどの工程がありますが、それぞれの工程におきまして、開発業者及び市が行っている結果の確認をしています。
 今後の見直しや対策といたしましては、それぞれの工程における確認を、成果物など結果の確認だけでなく、行った工程、テスト結果のドキュメントなど、記録に基づく確認を管理者が行うなどの対策を図ってまいりたいと考えています。

【まとめ】
 ミスがあったら次の工程に進めない仕組み「フェイルセーフ」の考え方を、情報システム部門がモデルとなって、庁内全体に浸透させることを期待する。

鳥インフルエンザへの備え

【1回目質問】
 ごみ焼却施設(3号炉)整備事業費が計上されている。今年市内養鶏場で発生した高病原性鳥インフルエンザの殺処分の際、この3号炉が修理中であり焼却処分ができず埋却処分したということがあった。23年度にも鳥インフルエンザが発生するかもしれないということは考えておかなければいけないと思うが、改修時期等、どのように考えているのかについて伺う。

【答弁要旨】
 3号炉は、平成18年度より施設の延命を目的として7ヶ年計画で老朽化機器の取替・補修などの施設整備工事を進めており、平成22年度までは、一年間で「ごみ処理負荷」の最も少ない1月〜2月に工事を実施しておりました。
 そこで、平成23年度には、1・2号炉も含めた一年間の整備期間を見直し、鳥インフルエンザの発生が最も予想される12月〜2月に3号炉が稼動できるように考えております。

【2回目質問】
 今シーズンの高病原性鳥インフルエンザの発生状況を見ると、昨年11月29日に安来市での発生があり、21,000羽殺処分されている。このことを考えると、11月に発生することは考慮する必要はないのか。焼却処分可能期間を更に10日あるいは半月程前倒しすることも考える必要があるのではないのか。認識を伺う。

【答弁要旨】
 現時点で、1・2号炉と併せたごみ処理計画を組む上では、11月末完了を予定していますが、請負業者との契約後には工程等確認するなかで調整を図るとともに、ごみの搬入状況を見ながら、早い時期での前倒しができるように調整して参りたいと考えます。

【まとめ】
 他地域での発生状況を十分に注視すること、産業部との連絡を密にするなどにより、今回のように焼却処分ができないということのないように、しっかり対応していただくことを期待する。

浜松・東三河地域産学官連携拠点事業

【1回目質問】
 この事業の構成員、事業の目的、事業内容について伺う。

【答弁要旨】
 浜松・東三河地域において地域のポテンシャルを活かし産業の活性化を目指す「光・電子技術イノベーション創出拠点」を構築するため、本事業の推進にあたっては、産学官連携ネットワーク協議会を設置しております。
 協議会の構成は、浜松と豊橋の2商工会議所、及び静岡大学、豊橋技術科学大学、浜松医科大学、光産業創生大学院大学の4大学、官としては、静岡県、浜松市、豊橋市の3自治体となっております。
 事業の目的と事業内容ですが、本事業は、浜松・東三河地域の産学官が連携して、高度なポテンシャル有する「光・電子技術」を展開し、次世代輸送機、健康医療、新農業、光エネルギー産業などの新産業創出と基幹産業化の実現を目指すもので、全国15地域の地域中核産学官連携拠点の一つとして、文部科学省と経済産業省から平成21年6月に採択を受けております。
 23年度の事業内容については、新産業の事業化プロジェクトを支援するための取組みとして、技術コーディネーターの企業派遣や産業ニーズと大学シーズをコーディネートするマッチング会の開催、また、地域コーディネーター機能の活性化のための取組みとして、コーディネーターを育成する研修会の開催などを予定しております。

【2回目質問】
 この事業の目的は、「光・電子技術」を展開し、次世代輸送機、健康医療、新農業、光エネルギー産業などの新産業創出と基幹産業化の実現を目指す、とのことだったが、これらの内、特に本市としてはどの辺りの新産業創出を目指すという考えか?
 さらにもう1点。大変意欲的な目的が示されているが、実際に行う事業を見ると、目的に向けた長い道のりを1歩踏み出す程度のもののように感じられる。目的達成へのプロセスをどう考え、23年度はどの位置にあるという認識を持っているのか伺う。

【答弁要旨】
 拠点計画においては、当地域が持つ高度な光・電子技術の展開により、地域の農工商連携、医工連携への重点支援を行いながら、様々な新産業の連鎖的創出を目指すとしております。
 本市といたしましては、引き続き、農工商連携を進めつつ、新農業の創出に取り組んでいくとともに、23年度からは、本市ものづくり産業の基盤ともいえる自動車産業分野においても、産学官での研究会を組織し、次世代自動車への対応について重点的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、目的達成のプロセスと23年度の位置づけについてでございます。本拠点計画は、10年後を目標とする中長期計画であります。10年後の新産業が連鎖的に創出され基幹産業化する将来像へのプロセスとしては、短期的には、中小企業、ベンチャー企業のネットワーク化支援と中心となる企業の育成、中期的には、ネットワークの中での新産業創出支援と新たな産業クラスターの確立、長期的には次世代への研究投資を誘発する持続的サイクルの確立という段階的取組みを予定しております。23年度におきましては、短期的段階として、ネットワーク化のために重要な役割を担うコーディネーターの活動に重点を置く事業が中心となっているものでございます。

【まとめ】
 10年計画の初年度となる事業であり、新農業の創出、次世代自動車への対応を目指す中長期計画の初期段階であるとの認識を示していただいた。
 1回目の質疑で、この事業の構成メンバーを示していただいた。経済界ではそれぞれの会議所が参加しており対等となっているが、大学は豊橋が1大学であるのに対して浜松は3大学となっている。行政についても静岡県は参加しているが愛知県は参加していない。あらかじめ伺ったところによれば、事業費の負担割合も豊橋市の負担が100万円であるのに対して、静岡県と浜松市の合計負担額は500万円であるということ。
 これらのご答弁からは、この事業のイニシアティブは静岡県側にありそうに思われる。しかし、この事業は将来の本市産業のあり方を探っていく上で大変重要なものとなる可能性があるものであり、しっかり着地点を見定めて進めていただきたい。豊橋にとっての成果を確実に得ることができるように、戦略的に進めて頂くことを期待する。

幹線公共交通基礎調査

【1回目質問】
 この調査は「本市の公共交通の現状や課題の整理」をするためもので、その内容は「幹線公共交通整備の方向性の調査」「交通結節点整備の方向性の調査」「公共交通ネットワークのあり方、施策の調査」を予定していると聞いている。本市では平成18年に策定した都市交通マスタープランにより、公共交通に関する一定の方向は示されているが、都市交通マスタープランとの関連について伺う。

【答弁要旨】
 本市では、平成18年3月に策定した都市交通マスタープランに基づき、公共交通に関する施策を進めてきました。
 今までは、直面した課題であった路線バスの廃止への対応と、公共交通空白地域における移動手段の確保に重点的に取り組んできましたが、バス路線の維持や「地域生活バス・タクシー」の運行など、一定の成果を上げることができたと考えております。
 今年度、都市計画マスタープランを策定し、新たな都市づくりに取り組んでいくが、公共交通の施策についても、その中で示した「公共交通を軸に拠点を中心とした集約型の都市構造」の実現に向け、次の段階に進む時期に来ていると認識しています。
 そこで、今回、幹線公共交通のあり方を調査し、今後の公共交通施策を立案していく上での基礎資料としていきたいと考えています。

【2回目質問】
 佐原市長はマニフェストにおいて、「人に優しい交通手段の約束」を掲げており、「市電の利用促進と延伸」ということについて、「ココニコ延伸と医療センター延伸についての可能性検討調査を実施」ということがあげられている。この可能性検討調査との関係について伺う。

【答弁要旨】
 路面電車は重要な公共交通であると認識しています。今回の調査では、市電延伸の効果、可能性などについても検討して参りたいと考えています。

【まとめ】
 市電の延伸については、市民の中に根強い要望がある。市電延伸の可能性調査について、今後の積極的な取り組みに期待する。

総合動植物公園再整備の検討

【1回目質問】
 再整備計画検討委員会の委員の数及び決め方、どのような問題意識を持って再整備基本計画で何を定めようとするのか、などについて伺う。

【答弁要旨】
 委員数は10名程度を予定しております。決め方については、市民を主体として、自治会組織の代表者や教育関係者、女性団体、公共交通の関係者、観光分野の関係者、そして学識経験者など、様々な団体等を通して、委嘱をする予定でございます。
 次に再整備基本計画で定めようとする内容についてでございます。
 動植物公園は、市民が誇りに思える施設の一つであると考えておりますが、近年は、施設や設備の老朽化、動植物公園に求められる機能や来園者ニーズの多様化など、多くの問題、課題があるとの認識をしております。
 そこで、動植物公園全体の見直しを図り、基本理念や基本方針の再構築をはじめとし、既存施設の保全や有効活用、老朽化した施設の改修、更新の検討を行うとともにシティプロモーション活動を推進し、より一層の魅力づくりを促進するため、近年の時代環境や市民ニーズなどを見極めたうえで、再整備に向けた基本計画を作成する予定でございます。

【2回目質問】
 基本理念を考えるということは、その存在意義や使命(ミッション)を明らかにするということ。総合動植物公園は毎年10億円もの一般会計からの繰り入れを行っている施設であり、そんな重要な施設の基本理念を10名の市民に委ねてしまうことになる。因みに、23年度予算でも一般会計からの繰入金は10億6千8百万円が計上されている。  一般会計の1%近くもの税金の使途を、ごく一部の市民の声で判断してしまうという意味になるのではないか。なぜこんな重要なことをわずか10名の市民に委ねてしまうのか、このように考えた理由を伺う。

【答弁要旨】
 本園の基本理念は、レジャー、教育、種の保存、調査研究の4点でございます。この大きな柱は、国内の動物園、水族館の社会的役割でもあると認識しておりますが、時代環境の変化や地域性、市民ニーズなども踏まえ、再構築の必要性があると考えております。
 そこで、基本理念の重要性は十分認識しておりますので、再整備基本計画策定のための庁内検討組織において、しっかりと議論、検討を進めたうえで、再整備計画検討委員会との連携を図り、基本理念の再構築をして行きたいと考えております。

【3回目質問】
 再整備検討の際には、併設されている自然史博物館との関係についても、見直していただきたい。基本理念を共有するとか、施設の再整備についても関連を強化したものにするなど、さらに密接な連携を考えることで、豊橋総合動植物公園のユニークさが引き出せるものと考えられるが、このことについての認識と対応について伺う。

【答弁要旨】
 総合動植物公園は、動物園、植物園、遊園地、そして自然史博物館の4つのゾーンからなる全国でも類のない、ユニークな総合公園でございます。  今回、再整備基本計画の策定にあたり、庁内の検討組織を設置しますが、自然史博物館との連携の必要性は十分に認識をしておりますので、検討委員としても参加予定でございます。  また、現在も、月に2回の連絡会議を実施し、イベント開催時の連携や情報の共有化などにも努めておりますが、再整備基本計画の検討の際にも、基本理念の共有などを視野に入れ、今後も引き続き、連携を密にして参ります。

【まとめ】
 再整備検討の際には、基本理念をしっかり考えて頂くことが重要。さらに、その基本理念に徹底的にこだわった施策を考えることが、企業の世界でいうところのコア・コンピタンスの形成を促進することになるはず。
 自然史博物館は教育委員会に所属し、動植物公園は市長部局に所属していることから、まだ連携が十分でない可能性がある。基本理念の共有により、一層の連携の強化を目指すことを期待する。そのことが、世界有数のユニークな施設になるポテンシャルを持つ総合動植物公園の能力の発揮につながるはず。
 今回の再整備基本計画の策定が、世界有数のユニークな総合動植物公園づくりの第一歩となることを期待する。


戻る