2010年11月25日(木) 総務委員会
青字は答弁
質問テーマ [新たな行財政改革プラン]

新たな行財政改革プラン

○平成22年度までの経営改革プランに替わる「新たな行財政改革プラン」の素案が示され、その内容について議論が行われました。
 目標が目的に掲げている内容が実行できたかどうかを判断できる指標となっているか、目的と手段の混乱はないかなどの視点から以下について質しました。

  1. 経済的効果に関する指標について
    【1回目質問】
     目的では「協働・連携」、「豊橋の活力向上」ということが掲げられている。目的に掲げられている中で最も大切だと思われる「豊橋の活力向上」に最も関連が深いと思われる「経済的効果に関する指標」が一番最後に示されているのはなぜか? それとも、他に豊橋の活力向上の指標となるものが何かあるということなのか? また、ここでいう「歳入・歳出の見直しによる経済的効果額」の目標値70億円の内訳はどのように想定されているのか? の2点について伺う。

    【答弁要旨】
     先に経済的効果額70億を想定した内訳をお答えします。表の下の注に記載しましたように、このプランの取組よる新たな歳入の確保、あるいはさまざま主体との協働・連携を含めた事業のあり方や進め方の見直しによる事業費の抑制や定員の抑制などから生まれる歳出の抑制による5年間の累積額を想定したものです。
     プランの目的の「活力の向上」は、市民生活の中におけるまちの活気や元気、あるいは、市民一人ひとりがそれぞれの想いとして実感する心の豊かさやサービスの質的な満足度など、一概に数値では表しにくい力、あるいは生産力や経済力、市の基盤整備力など定量的に表せる力など、その捉え方や表し方はいろいろあろうかと思いますし、一つに限定することも難しいと思っています。
     このプランにおきましては、行財政運営の視点から、改革の取組効果を定量的に可視化する指標として、経済的効果額だけでなく自治体間との比較可能な財政指標をはじめとして全体で大きく4つの指標を設定して、変化を見ていこうと考えています。
     また、目的である豊橋の活力の向上を包括的に測るという点から考えますと、今後、一体となって取り組む「第5次総合計画」の中の「まちづくりに関する各種の定量的な指標」と併せて、その成果を見ていく必要があると考えます。

    【2回目質問】
     経済的効果額の5年間で70億円というのはどういう意味を持つ数値なのかについて伺う。
     この素案を作った皆さんは、「豊橋の活力向上」ということについて一定のイメージを持っているのだと思われるが、今の目標の表現では市民が正しく理解することは難しい。勝手なバラバラな理解になってしまう。協働や連携の基本は、目標を共有することが不可欠なはず。目標の理解がバラバラな状態では、協働も連携もあり得ない。複数になってもいいので、経済力、市の基盤整備力でも表現すべきではないのか? このままでは豊橋の活力の向上の意味がわからない。検討の必要性についてご認識を伺う。

    【答弁要旨】
     経済効果額の70億の持つ意味ですが、歳入確保策や事業の見直しなどにより生み出されたこれらの経費の抑制効果額は、今後の新たな行政ニーズの対応や第5次総合計画の推進のための財源として活用するなど、効率的・効果的な財政運営を図る意味を持つものですが、この目標額がこれらの財源確保に十分な額とは考えておらず、不断の取り組みよりさらなる効果額をあげながら、財政運営の健全性を確保して参りたいと考えています。
     また、指標につきましては、目的の実現に向けて行財政改革の観点から必要な指標を設定したものです。今回のプランは第5次総合計画と表裏一体のものであり、両輪となって豊橋の活力の向上を目指すものであり、この指標により、行革の取り組みの進捗状況を管理していくことから、市の基盤整備指標等は、このプランではなじまないものと考えています。

  2. 協働の取組に関する指標について
    【1回目質問】
     新規に取り組んだ協働事業数が目標に掲げられているが、大切なことは、新規に取り組んだ事業の数ということでいいのか? 大切なことは、その結果、どの部分でどれ程行財政の改革が進むかということではないのか、ということに関して認識を伺う。

    【答弁要旨】
     協働の取り組み関する指標につきまして、協働は、市民や地域、事業者や行政がそれぞれの役割を認識し、それぞれが主体的に取り組むことが、行政サービスや行財政運営において、どのような成果や変化をもたらし活力の向上に資するかが重要であると認識しています。
     しかし、そうした改革の質的な変化や進行度合いを可視化できる最適な指標を見出すことはなかなか困難であり、ここでは、結果的な指標設定にとどまっていることは否めませんが、その他に設定した財政指標などとも合わせて検証をしていく中で、協働による改革の効果も説明してまいりたいと考えています。

    【2回目質問】
     しかし、それにしても「新規に取り組んだ協働事業数」というのはあまりにも雑過ぎるのではないか。本来であれば、それらの事業を協働ではなく行政が行った場合のコストの積算額くらいは出すべきではないか? とにかく、協働事業数だけでは、規模の把握が全くできない。なんらかの方法で規模の把握をする必要があると思うが、さらに検討する考えの有無について、理由と合わせて伺う。

    【答弁要旨】
     協働の効果は、事業数だけでなく、ここに示しました経済的効果額や財政指標とも合わせ見る中で、基本的には把握して参りたいと考えています。
     また、今後、部局別の行動計画を作成して参りますが、その中では、こうした規模の把握や表現が可能かどうかも含めて、できる限りその効果を明確にできるよう検討して参りたいと思います。

  3. 自治体間の比較が可能な指標について
    【1回目質問】
     財政指標については、目標の文言では全く触れられていないのに、ここに掲げられるのは唐突な印象を受ける。行財政改革ということであれば、これらが挙げられるのは当然のことであるが、そう考えるとむしろ目標の表現に問題があるのではないか? 認識を伺う。
     また、行政体制に関する指標は掲げる必要はあるのか? 求めるものは経常収支比率の低減であり、職員の削減はその手段であり、あえてここに掲載するのは、目的をあいまいにしてしまうことにならないのか? 認識を伺う。

    【答弁要旨】
     今回のプランの目的に示したように、自立した地域づくりを目指して、地域や行政の力の向上を図っていくことを基本としていますが、その成果や変化は、個々に測るというより、協働・連携を通じた相乗効果によって生み出される成果を市民にも見える形で表す指標としてこれらを設定したものでございます。
     また、設定にあたっては、一つの指標で全てを表し、市民の理解も得られることは難しいと思っており、定員数の指標も市民の関心度や行政力を表す重要な要素の一つとして考えおり、これらの指標を併せて検証する中で、改革の進捗や目的の達成状況を測っていくことができるものと考えています。

    【2回目質問】
     つまり、求めていることは、財政指標の改善であり、協働・連携はそのための手段であるという説明だったと思われる。であるなら、最初から目的を財政状態の改善とすべきではないか? 目的の再検討について、その考えがあるかどうか、理由と合わせて伺う。
     また、定員数の指標については、5年間で9.4%減という微妙な目標値になっているが、この値はどういう根拠によるもので、どういう意味を持つものであるのかについて、伺う。

    【答弁要旨】
     行財政改革の目的につきましては、財政状況の改善にとどまるものではなく、自立した地域づくりの実現に向けた仕組みのあり方を考えていかなければならない時代にあると強く認識いたしており、そうした意図から今回の目的や改革の基本方針を掲げたものであることをご理解いただきたいと思います。
     また、定員については、現在の厳しい財政状況の下、事務事業の見直し、アウトソーシングの推進などを行う一方で、必要な部署には必要な職員の配置を行うという考え方の下に、5年間で9.4%の減を行うものであります。
     また、この職員数は人口1人あたりで見ると、中核市の中でも極めて少ないものであることから、現実にはかなり厳しい目標値となっているもので、厳しい行財政環境の中で、行政責任として、効率的・効果的な執行体制の確保に対する厳格な姿勢を示す上でも大変重要な指標であると認識しております。

【まとめ】
 チャレンジするという姿勢が見えない。組織トップの重要な役割の一つは、高い目標を設定して、組織全体で挑戦し続ける空気を作り出すことで組織の力を存分に引き出すことと言える。実質公債費比率や将来負担比率のように、現状より悪くなる目標値を掲げることは、組織のモチベーションを高めることにならないことを十分に認識していただきたい。その他の目標についても、根拠が希薄な印象がある。目的の表現をはじめ、目標値の選択と設定について、さらに検討して頂くことを期待する。


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