2010年9月6日一般質問
青字は答弁
質問テーマ [地域活動の活性化に向けた課題と対応策] [第五次総合計画に向けた行政評価の見直し] [目標管理制度の今後のあり方]

地域活動の活性化に向けた課題と対応策

 平成20年に策定された「国土形成計画」では、四つの戦略的目標を推進するための横断的視点として、「『新たな公』を基軸とする地域づくり」を掲げている。「新たな公」ということについては、「行政だけでなく多様な民間主体を地域づくりの担い手と位置付け、公と私との中間的な領域で協働するということに基づく地域づくり」と説明している。
 ところが、現実には地域の力は育つというより、弱くなっていることが心配される状況にある。本市における自治会加入率は、平成16年度の75.5%から徐々に下降を続け平成21年度には71.5%まで低下している。5年間で4%も減少したというのは、危機的な状況にあると認識すべきこと。消防団も団員の確保に頭を痛めているところが多いと聞く。さらに、自治会をはじめ老人クラブ、子ども会などの地域団体では、役員を引き受けてくれる人を見つけることに苦労するところが増えている。老人クラブについては、会長の引き受け手がないことがクラブそのものの消滅原因となっているとも言われている。
 本市においては平成19年度に市民協働推進課を設置し、市民協働の推進に努めているが、主に比較的新しいNPO活動支援の色合いが強かったように見える。しかし、本年度からは、自治会に関する事業が市民協働推進課に移管されたことにより、従来からある地域活動の活性化への取り組みも行われるようになり、その成果が期待されるところである。そこで、地域活動の活性化に向けた課題と対応策について、どのように対応していこうとしているのか、以下3点について考え方を伺う。

【1回目質問】

  1. ソフト面の支援について
     自治会など地域活動に既に携わっている人、あるいはこれから携わろうという人達が、積極的にその活動を行っていくために必要なことは、まずその活動が重荷にならないことであり、さらに達成感の得られるものであることも重要なことと言える。
     そこでまず、負荷を減らす方法として、どんな団体でも必要な会計書類などの様々な様式の提供と使い方指導、さらには会議の効率的な進め方指導などが考えられるのではないか。また、市から自治会などに委託している業務が重荷とならないように、軽減する方向での見直しなど、義務的な仕事を軽減し、達成感を得られる創造的な仕事をする余裕づくりのための支援が必要。そこで、運営方法指導、運営負荷の軽減などソフト面の支援についての考え方について伺う。
  2. ハード面の充実支援について
     地域活動活性化のためには、集会施設の改善、あるいは地域内外への情報発信手段の整備などが重要な意味を持つと考えられる。現状では、まだまだこういった部分の整備が不十分に思われる。そこで、人の集まる拠点整備、情報発信施設整備などハード面の充実支援について伺う。
  3. 地域活動を担う人材の育成と発掘の方策について
     かつては、農業や自営業など住まいと職場が同じ地域内にある人が多く、それだけに地域への関心も高く、人間関係も豊かであり、地域活動への参加意欲も高かったことが想像できる。しかし、近年においては、地域外にお勤めに出る人の率が圧倒的に高くなっており、そのことが、地域活動への関心、あるいは地域活動を担おうという意欲を持ちにくくしている原因と考えられる。このような環境の中にあって、今後、どのようにして地域活動を担う人材を増やしていくかは、市政においても重要な課題と言える。そこで、地域活動を担う人材の育成と発掘の方策について伺う。
【答弁要旨】
  1. 運営指導方法、運営負荷の軽減などソフト面の支援についてでございますが、現在、地域では、住民の生活様式や価値観の多様化、高齢化などの問題から役員などの人材の確保に苦慮しているのが現状でございます。
     そのような中にあっても、既に新しいコミュニティのあり方を住民自らが考え、会計の透明化など改革に取り組んでいるところもあり、その運営方法やその程度も様々でございます。従来から、本市では、規約の整備をはじめとした自治会運営のあり方について手引書を作成しお渡ししてまいりましたが、役員の交代が頻繁で安定した運営ができないなどの問題もあり、今後手引書に基づく研修会を開くなどして自治会運営を支えていく必要があると考えております。
     同時に、市から地域への委託業務や配布物などの依頼事務は年間90件程度あり、自治会長をはじめとした地域の皆様に大きな負担をおかけしていることも十分認識しております。
     本市としましても、配布物などはできる限り広報とよはしに載せるなど地域への事務量の軽減を図るとともに安心して地域活動が行えるよう市民活動総合補償制度を設置するなどしてまいりました。今後とも皆様が地域活動を円滑に運営できるよう協力と支援をしてまいりたいと考えております。
  2. 人の集まる拠点整備、情報発信施設整備などハード面の充実支援についてでございますが、今年度から、校区市民館を地域コミュニティ活動の拠点施設「コミュニティセンター」として位置づけ、その機能の強化について検討しているところでございます。
     しかしながら、校区市民館は昭和54年から整備を進め現在49館ありますが、ほとんどの館が30年程度経過しており古い建物が多いのが現状でございます。
     現在のところ、小規模な修繕については、指定管理料の中で対応いただいておりますが、大規模修繕の必要性は十分に認識しており、その計画づくりに向けた調査を進めるとともに情報発信の機能を高めるような検討をしてまいりたいと考えております。
  3. 地域活動を担う人材の育成と発掘の方策についてですが、コミュニティセンター機能の強化においては人材の確保と育成は必要不可欠であると認識しております。
     今年度から、既にいくつかの校区市民館においては、情報の受発信のためのホームページを開設するなど自主・自立的な取組が進んでいる例がありますが、多くは従来の施設管理業務のみにとどまっているのが現状であります。
     したがって、これらの自主的な取組を後押しするためにも地域スタッフ(校区市民館主事)の能力向上をはじめ人材育成のために研修などを充実し、地域の各種団体の連絡調整や情報発信などを担う人材として育成するとともに、まちづくり活動を通した地域人材の発掘にも地域の方々と一緒になって取り組んでまいりたいと考えております。

【2回目質問】

  1. 運営方法指導、人材育成と発掘ということについて、更に進める手段として、まちづくり教室の実施についてご認識を伺う。
     地域外にお勤めに出ている人にとっては、地域活動に参加するきっかけがないという問題がある。そこで、まちづくり教室を実施することにより、少しでもまちづくりに関心を持つ人に学んでもらうことで、地域活動に参加する入口を作るという考え。その勉強を通して、まちづくり活動に参加する糸口をつかんでもらい、更には、その中から地域活動のリーダーの役割を担う人材を発掘するということが期待できるものである。
     ちなみに、先日視察させていただいた滋賀県米原市では、平成13年からまちづくり大学を運営している。そのホームページによれば、「ふるさとを知り、自分、地域をみつめ、私たちの未来を考えようを基本テーマに、楽しく学びながら、自らが考え、話し合いそれを踏まえて力強く行動ができる人財=まちづくりリーダー育成を目的として開校し、毎月2 回第2・第4 火曜日の夜に米原市民交流プラザを中心に、2年制で単位取得をめざし現在第3 期生30 名が学んでいる。」ということである。視察時の説明では、定年で会社勤めを終えた方でルッチ大学の卒業生が、総合型スポーツクラブの理事長など地域活動のリーダーとして活躍しているなどの実績があるとのことだった。
     翻って、本市においては、愛知大学が来年4月に地域政策学部の開設を予定している。この学部には、公共政策コース、地域産業コース、地域文化コース、健康・スポーツコースと並んで、まちづくりコースも予定されている。この学部は本市の貴重な資源となる可能性があり、しっかり育てて行くことを考えたいと思うところである。行政としても連携していくことを考える必要があるのではないか。以上について、ご認識を伺う。
  2. コミュニティセンターの機能強化手法として、校区市民館などの指定管理内容の充実ということについてご認識を伺う。
     各自治会をはじめ、老人クラブ、子ども会など、それぞれ運営のための事務処理が負担になっている。また、毎年のように担当者が変わるため、事務処理方針の継続性ということも揺らぐことになっている。できれば、安定した勤務形態のスタッフを雇用することが望ましい。しかし、それぞれの団体にはそういうスタッフを雇用する財政力がない。現在、自治会を中心とする運営委員会に市民館の指定管理がゆだねられているが、主事の勤務時間は午後1時から6時までということになっている。そこで、主事の勤務のフルタイム化、更には利用料金制の導入など市民館の指定管理の内容を充実することで、市民館職員が様々な自治会活動の事務処理を行えるようにしてはどうかという考えである。
     先ほど紹介した米原市においては、公民館の指定管理を総合型地域スポーツクラブに委ねているケースがあった。スポーツクラブは拠点施設とスタッフを得ることができ、その結果、定期講座やイベントなど活動が大変活発に行われており、公民館についてもその利用率があがるという成果が生まれていた。公共施設の利用促進と、地域活動の活性化が同時に実現できたケースであると感じた。本市においても、市民館の利用促進と、自治会活動の活性化という意味において、校区市民館などの指定管理の内容をもっと充実することを考えてもいいのではないか? ご認識を伺う。
【答弁要旨】
  1. 市民協働によるまちづくりにおいては、地域住民が「自分たちのまちは自分たちでつくる」という意識を持って新しい公共の担い手として自らのまちづくりを一層進めていただくことが重要であると考えております。
     そこでは、いろいろな知識や経験を持った多くの方々が参加し互いに補い合うことが大切であり、それら人材の育成や発掘が課題であると認識しております。さらに、担う人材を大学と連携して育成することも1つの方策であると認識しております。
     本市としましても、地域の人材を育成するための講座を検討しているところでございますが、来年度愛知大学ではまちづくりコースを有する地域政策学部が開設されるということで、そのことにも関心を持っていきたいと思っております。
     いずれにしましても、新たな人材の育成や発掘は地域の活性化において重要な課題でございますので、今後さらに議論を深めてまいりたいと考えております。
  2. 現在、校区市民館の指定管理者は、校区により多少の違いはありますが、基本的には自治会を中心に老人クラブ、子ども会など地域の皆さんで構成される校区市民館運営委員会にお願いしております。 これは、地域の皆さんが運営することで施設の利用が促進され、地域活動の活性化にもつながるものと考えていることからでございます。
     とりわけ今年度から、校区市民館をまちづくりの拠点施設として活用していただくようコミュニティセンターとして位置づけたことから、校区市民館を運営していただく方を含め地域の皆さんにその主旨を十分理解していただくとともに、運営内容を含めたその施設のあり方についても皆さんとさらに議論を進めていくことで、より一層の活性化が図られていくものと認識しております。

【まとめ】

  1. まちづくり教室ということについては、既に地域の人材を育成するための講座を準備しているということであり、まちづくりに参加する人をどんどん増やせる講座となることを期待する。
    愛知大学については、従来豊橋にあった施設のかなりの部分が名古屋に移設されようとしている。一方で、来年度は新たに地域政策学部がつくられるわけで、このことは是非大切にするべき。大学の存在は地域にとって大変重要であり、本市としても強い関心を持つと同時に連携の方策も模索していただきたい。そのことが豊橋が大学にとって魅力ある町となる方策になるということだと思う。
  2. 校区市民館の運営内容を含めたその施設のあり方についても、議論を進めていきたいとのことだった。コミュニティセンターとして、しっかり能力を発揮できるようにするためには、まず、財政基盤を確立していくことが不可欠と言える。さらに、そのことは市民館の活用促進にもつながるはず。 地域の力がしっかり発揮されることが大切な時代になっている。地域に住む方々が、まちづくりに強い関心を持ち、さらにその力になれるように、行政の積極的な支援を期待してこの件については終わる。

第五次総合計画に向けた行政評価の見直し

 本市においては、平成13年度から「事務事業評価」を行うようになり、その後、平成16年度からは、事務事業の上位目的となる政策、施策を対象とした、「政策・施策評価」を行ってきた。その導入目的としては、「市民の視点にたった目的・成果志向型の行政執行への転換」「 職員の意識改革、政策形成能力の向上」「 わかりやすく透明性の高い行政運営の実現」の三つを掲げている。
 また、今年3月あるいは3年前に行われた行政評価の見直しに関する質問に対しては、作業量が多いこと、政策・施策、事務事業、細事業といった、3層構造での評価構造が複雑で理解しづらいこと、目標指標を1施策に1つと限定したこともあり、場合によっては一面的な評価しかできないことなどの課題を認識していることが示された。さらに、こうした課題を踏まえて、より簡素で効率的な評価システムになるよう、見直しを図りたいということだった。
 このことから、第五次総合計画策定を機に行われる見直しについては、作業負荷を減らすこと、簡素にすることが考えられていることが理解できる。しかし、忘れてならないことは、当初の導入目的に対する効果を一層発揮できるものに改善するという建設的な考えなのではないか。そこで、現在の仕組みが導入目的を充足しているのかという観点、さらにその効果を高めるということのために、三つの導入目的ごとに達成度合い、課題などの認識について伺う。

【1回目質問】

  1. 目的@「目的・成果志向型の行政執行への転換」ということについて
     行政評価の結果は予算に反映されることになっているが、平成21年度の行政評価結果は22年の9月に示され、その結果が反映される予算は平成23年度予算ということになる。成果が確定してから、それを判定し次のアクションにつなげるのに1年以上もかかるということになる。毎年の成果を確認する作業を行うという意味で成果志向型ということは言えるが、予算への反映という部分の実効性の希薄さということを見る限り、成果志向型の行政執行ということが不十分ではないかと感じる。そこで、「目的・成果志向型の行政執行への転換」という目的について、達成度合いなど認識を伺う。
  2. 目的A「職員の意識改革、政策形成能力の向上」ということについて
     行政評価を行うことを負担に感じる職員が多いということをよく耳にするが、達成感が得られていないが故のことではないかということが危惧される。行政評価の結果によって、市民に喜ばれるとか市民に感謝されるなど、職員の仕事へのやる気を高めることになっているのか疑問があるということ。また、政策形成能力の向上ができているのかということについても説明していただきたい。そういう意味で、「職員の意識改革、政策形成能力の向上」という目的について、達成度合いなど認識を伺う。
  3. 目的B「わかりやすく透明性の高い行政運営の実現」ということについて
     毎年の評価結果はホームページ上に掲載されているが、そこには大量の数値が羅列されており、一般市民が関心を持ちやすいものにするという配慮が感じられない。多くの人はページを開けた瞬間に諦めるのではないか? 市民が理解しやすい情報提供ができてこそ透明性があると言えるのではないか? そういう意味で、「わかりやすく透明性の高い行政運営の実現」という目的について、達成度合いなど認識を伺う。
【答弁要旨】
  1. 現行の行政評価は、成果重視型の取り組みへの転換という考えの下、施策や事業の成果であるアウトカム指標による評価を行っております。
     行政評価導入以来、指標管理に対する理解に加え、最新の社会情勢や社会ニーズ等を勘案し、創意工夫を凝らした予算執行も増えており、目的・成果志向型への転換が一定図られつつあるものと認識しております。
     次に行政評価の予算への反映でございますが、決算評価ということから、評価年度と予算年度のずれはございますが、行政評価結果を参考にしながら予算編成を行っており、今回の見直しにつきましても、成果志向という基本的な考え方を踏襲しながら、より活用しやすいシステムにしてまいりたいと考えております。
  2. 行政評価は、平成13年度に事務事業評価を導入して以来10年目を迎えました。この間、目標管理制度やまちづくり研究の導入、また、第4次総合計画のリーディングプロジェクトの推進を並行して取り組んで来ております。こうした取り組みの結果、相乗効果として政策を意識した事業選択など部長・課長のマネジメント意識や、職員の意識改革、政策形成能力も全般的に向上しつつあるものと認識しております。
     しかしながら、現行評価につきましては、3階層による評価方式など、複雑で精緻なシステムが、反面大きな作業負担を招く結果となってしまっているといった側面もございます。こうしたことから、よりシンプルで効率性の高いシステムに見直し、職員の負担を軽減するとともに、他の制度との棲み分けにも留意する中で、部局長や課長の政策形成能力やマネジメント能力を更に発揮できるようにしてまいりたいと考えております。
  3. 行政評価は、ニューパブリックマネジメントが叫ばれる中、透明性という観点から、前評価結果の公表により、市民への説明責任も果たしてまいりました。
     しかしながら、「わかりやすさ」という面においては、議員ご指摘のとおり、毎年公表する資料は膨大な数値が並ぶとともに、何を伝えたいか焦点が不明確になっているとのご意見もいただいております。
     そこで、第5次総合計画では、指標による評価結果に加え、文章による分析結果なども使いながら、市民が知りたい内容について要点を絞った簡素なものに集約するなど、公表する内容について、情報を受ける市民の目線に立って、よりわかりやすくなるように工夫してまいりたいと考えております。

【2回目質問】

  1. 三つの目的の見直しについてご認識を伺う。
     本市の行政評価はその目的として三つが掲げられている。その中の、目的・成果志向型の行政執行への転換、職員の意識改革・政策形成能力の向上については、一定の成果があったとのご答弁だったが、どれほどの成果があったのか、また、果たして行政評価がその成果にどれほどの寄与をしたか、よくわからないところではある。そして、三つの目的の中で最も重たいと思われる透明性という目的については、何を伝えたいか焦点が不明確になっているというご認識だった。
     今度の見直しにあたって、簡潔なわかりやすいものにするという方針は既にお持ちだということだが、複雑なものにしている原因として、目的が三つあるということが大きな要素としてあるのではないか。この際、目的をただ一つに絞り、「わかりやすく透明性の高い行政運営の実現」のみにしてしまうということが、簡潔な制度にするためにまず必要なことではないか。目的・成果志向型の行政執行への転換、職員の意識改革・政策形成能力の向上という目的については、主要成果報告書の作成公表、目標管理制度などをしっかり行えば、できることなのではないか。ご認識を伺う。
  2. 市民が自慢しやすい行政評価の公表ということについてご認識を伺う。
     行政評価の公表方法の見直しにあたっては、市民が知りたい内容について要点を絞り、情報を受ける市民の目線に立って、よりわかりやすくなるように工夫したいとのご答弁だった。そこで、そのことをもう一歩進め、わかりやすいというばかりでなく、自慢しやすいというところまで改善レベルをあげるべきではないかということを申し上げたい。
     わかりやすい資料を公表することで、多くの市民の方は満足していただける。しかし、満足するばかりでなく自慢できる、つまり感動してもらえれば、市政や地域づくりへの関心を高めてくれるということになるのではないか。ビジネスの世界では、リピーターになってもらうためにはCS(顧客満足)ではなくCD(顧客感動)を与えることが必要と言われるが、それと通じるのかもしれない。
     先ほど紹介した兵庫県小野市では、方針管理制度は行っているが、行政評価は行っていない。その代りに、方針管理制度の成果を示す資料を作成している。その中には、数十項目についてどんな成果を上げたかが示され、それを説明する写真やグラフも添付されている。さらに「日本一」とか「県内唯一」あるいは「県内第何位」などの他自治体との比較を示す表現も付け加えられている。これが私の言う自慢できる成果の公表という意味。
     もし、本市の行政評価の公表資料の中に、「日本一」とか「県下第1位」というような言葉を沢山並べることができたなら、市民は必ず行政の努力を評価してくれるはず。そうなれば、市の職員の中にももっと頑張ろうという気持ちも自ずと湧いてくる。それがまた高い成果を産む、という循環が生まれるのではないか。これこそ、行政評価を行うことの原点ではないかと思う。
     そういう意味で「市民が自慢しやすい行政評価の公表」を行うということについてのご認識を伺う。
【答弁要旨】
  1. 行政評価導入時の目的は、一義的には成果主義を発揚することにより、市民の視点に立ち市民のための取り組みを効果的に行い、わかりやすく透明性を保つ中で行政の説明責任を果たして行こうというものだでした。一方こうした作業過程を通じて職員の意識改革、更には政策形成能力の向上につながってくるのではないか、という位置づけがされていました。とはいっても、政策推進のためのシステムやツールとしては、現在、行政評価の他に、戦略プランをどうやって推進するか、経営改革プランの見直しを今行っています。あるいは目標管理については既に動いています。更には町づくり研究とか国からは新たな内部管理なども示されています。こういった様々なツールに囲まれて業務をするということになります。こういったことから、行政評価についても見直しにあたっては、それぞれの持つツールとかシステムの役割をきっちり整理した上で、それぞれ本来の役に立つように、市民に分かりやすく、職員に使いやすいものになるように、制度設計をしていく必要があるのではないかと考えています。
  2. ご提案のように市民の方がその成果を見て満足していただける、それを超えて感動していただける、更に市政への関心を高めていただけるということであれば、五次総の理念で「ともにまちをつくっていこう」いうことを掲げていることから、歓迎すべきことであろうと思います。
     今回、二つのご提案をいただきましたが、見直しにあたってはご意見として承らせていただきます。

【まとめ】
 市民が自慢しやすい行政評価の公表ということについては、五次総の理念に一致するということで、一定の評価をいただいたものと理解する。
 第五次総合計画策定にあわせた行政評価の見直しにあたっては、これまで言われていたように、簡潔で効率的になるようにというばかりであってはならないと思う。もしそのことだけにこだわってしまえば、制度の形骸化ということも起こり得る。しっかり導入目的を考えて検討していただきたい。
 また、プラン→ドゥー→チェック→アクションというマネジメントサイクルの確立は大切だが、同様に大切なものとして、どういうサイクルを作ることで、職員のやる気が高まるか、ということにも是非留意していただきたい。市民が高い関心を寄せ、職員にやる気をもたらすような行政評価システムの確立を期待する。

目標管理制度の今後のあり方

 本市においては、平成16年度より職員の業務のマネジメント・ツールとして「目標管理制度」を管理職に対して導入し、平成20年度からは成果主義の考え方により、目標の達成度を勤勉手当の算定に反映してきた。それから既に2カ年度が経過していることから、この仕組みについて評価することが必要であると考える。さらに、本人の自主性に任せることで主体性が発揮され、結果として大きな成果が得られるというこの制度の狙いを活かした、今後のあり方を確認したい。そこで、以下3点について伺う。

【1回目質問】

  1. 成果主義導入についての評価と課題について
     成果に応じて報酬を加算するという仕組みは、職員の仕事に対して積極的に取り組むという動機づけになり得るものである。しかしその反面、高い目標に挑戦しようとする意欲が失われる、あるいは仕事の成果を数値化しにくいなど評価の公平性を確保しにくい部署では、職場内の人間関係が損なわれることがあるなどの弊害も指摘されている。大手企業の中には、このようなことから成果主義からの決別をしたところもあると言われている。そこで、本市で初めて取り組んだ、成果主義導入についての評価と課題について伺う。
  2. 一般職員への導入について
     目標管理制度は、そもそもアメリカで生まれたもので、正しくは目標による管理制度と呼ばれていたもの。個々の担当者に自らの業務目標を設定、申告させ、その進捗や実行を各人が自ら主体的に管理する手法であり、管理職だけに使うというような性格のものではない。全ての職員を対象とすることで、この制度の導入効果は最大になる可能性が生まれるはず。にもかかわらず、なぜ管理職だけなのか、理解し難い。そこで、一般管理職への導入について、考えを伺う。
  3. 市長の目指す方向性をしっかり職員に伝えるための改善について
     先日、兵庫県小野市を視察させていただいた。徹底した方針管理制度の運用により、市民へのサービスを向上することと、財政健全化を同時に成し遂げたことで有名になった自治体。そこで、方針管理制度を勉強させていただいたが、その仕組みは本市の目標管理制度とほぼ同じと言っていい内容だった。私なりに小野市の方針管理制度が大きな成果を出すことができた原因を考えたところ、この制度の運用により何を実現したいかという市長の想いが、しっかり末端の職員まで伝えられていることではないかという結論にいたった。
     例えば、基本理念として三項目、「@理念なくして意識改革なし、意識改革なくして行動なしA行政も経営、より高度でより高品質なサービスをいかに低コストで提供するかBゼロベースの発想でチャレンジ」ということが掲げられ、行政経営戦略四つの柱として「@顧客満足度志向A成果主義BオンリーワンC先手管理」ということを大きく掲げている。また事業内容とは別に毎年の市長方針とマネジメントにおける重点項目を明示するなど、市長の目指す方向を徹底して伝えようとしている。このことは大変重要なことだと考える。そこで、本市における市長の目指す方向性をしっかり職員に伝えるための改善について伺う
【答弁要旨】
  1. 本市の目標管理制度につきましては、人事考課結果を処遇へ反映することにより職員の「やる気」と「やりがい」を喚起し、より高い次元での組織の活性化を目指すものでございます。したがいまして、職員間での「処遇の差」を作ることが目的ではなく、高い目標に挑戦する職員や、より困難な課題に果敢にチャレンジする組織風土づくりを基軸とした制度となっており、制度導入について一定評価しているものでございます。
     今後の課題としては、考課結果の透明性・納得性の向上が非常に重要であるため、目標設定時などにおける意思疎通不足による達成水準の曖昧さや目標内容と難易度との不適合などを排除し、より公正かつ客観的な制度となるよう熟度の向上に努めてまいりたいと考えております。
  2. 一般職員である主査以下の職員への拡大ということは、組織目標の共有化といった観点から重要であると認識しており、現状においては、一般職員についても、組織目標に基づいた業務が割り振られていることから、実質的には、目標管理制度が適用されているものと考えております。
  3. 議員ご指摘のように、個々の職員が市長の示す組織の基本使命や組織目標を把握し共有できる仕組みづくりは非常に重要であると考えております。
     本市の現行制度におきましては、総合計画や市長の指示事項等を踏まえた副市長との目標設定による面談から始まり、それぞれの階層での上司との面談、進捗管理などを行っているところでございます。 したがいまして、当該プロセスを通じ各職員に対して組織の基本的使命と組織全体の目標を明確にしている点からも、一定このような仕組みは構築されているものと認識しております。今後におきましては、更に市長の意向が伝わるよう、他都市の事例などを参考に制度の充実に努めてまいりたいと考えております。

【2回目質問】

  1. 一般職員への拡大は重要であり、実質的には目標管理制度が適用されている、というご答弁だった。
     実質的に導入されているのであれば、負荷が増えるという心配はないわけであり、是非、きちんとした制度として導入することを考えるべきではないか。制度化されていなければ、忙しさに追われて面談を省略してしまう、あるいは話しにくい部下との面談を避けてしまうなど、目標設定、中間面談、成果の確認などのプロセスがしっかり行われなかったり、自然消滅してしまうなどの恐れがある。
     制度化しない方がいいという理由も見当たらない。であれば、制度化すべきではないかと考える。ご認識を伺う。
  2. 行政評価の一部を目標管理制度の中で行うということを考えることにより、煩雑かつ一部職員に負荷が偏在しがちな行政評価の作業を、簡素化し、負荷の分散も可能になる、さらに中間面談の充実により、事業の実施状況などを翌年度予算に反映する可能性も生まれるのではないかということについて、ご認識を伺う。
     目標管理制度の中に、事務事業、細事業などの実施を目標として掲げたとしても、中間期における成果の確認、期末における成果の確認などを行うことになり、期末の成果確認のみを行う行政評価以上の事業成果の確認は可能なはず。むしろ、中間確認があることのメリットが活かせる。行政評価が大変ボリュームが大きくなっていることから、政策・施策評価を中心としたものにすることで、簡素化も可能になる。行政評価では、各課の一部職員が中心になって行われているものが、結果的に他のメンバーに分散されることになる。などの理由による考えである。
【答弁要旨】
  1. 目標管理を行うにあたり、年度当初での目標設定のための業務割り振り、中間での進捗管理、そして目標達成の成果の確認の過程において、その都度、一般職員との面談など意思疎通の機会は必要不可欠であり、業務目標を達成するためにも、一般職員と一体となった目標管理制度としての取り組みがされていることから、面談が省かれたり、プロセスが自然消滅するようなことはないと考えております。そこで、制度導入にあっては、一般職員の新たな目標設定など、職員への負荷も考えますと現時点においては、考えておりません。
  2. 本市の目標管理制度は、業務管理という面もあるものの、マネジメント機能の強化・充実、業務の進捗管理を通じた職員の能力開発、更には、その成果を処遇へ反映させることにより、職員の「やりがい」や達成感を持たせる、いわゆる人事考課制度の一環として実施しております。
     一方、行政評価システムは、本市の行う事業の目的や内容等を点検、評価し、サービスの改善や効率化に取り組むため、また、政策・施策の進捗状況を把握し、事業選択と効果的な資源配分を行うために実施しております。
     この二つは、組織目標を共有し、市民サービス向上への取り組みを行うという基本的な考え方は同じでありますが、個人の成果を評価する目標管理と事業の成果を決算に基づき事業評価する行政評価とは目的が違うシステムであるため、一体化させることには無理があり、負荷の分散などの効果も期待できないと考えております。

【まとめ】

  1. 目標管理制度の一般職員への制度導入について
     既に一般職員との面談なども行い一般職員と一体となった目標管理制度となっているとする一方、制度化することにより、一般職員の新たな目標設定など負荷が増大する恐れがあるということも言われている。このような一見矛盾するかに見えるご答弁となるのは、目標管理制度イコール成果主義の導入ということをイメージされていることにより、その弊害を恐れているのではないかと思う。
     本来の「目標による管理制度」というのは、個々の担当者に自らの業務目標を設定、申告させ、その進捗や実行を各人が自ら主体的に管理する手法のこと。つまり、本人の自主性に任せることで、主体性が発揮されて結果として大きな成果が得られることを期待するものであり、人事考課の資料にするのは副次的な使い方であるということを、再確認願いたい。目標管理制度を個々の職員の主体性を発揮するための人間性尊重の制度として、充実させ運用していくことを期待する。
  2. 行政評価の一部を目標管理の中で行うことについて
    この二つの制度は、目的が違うから相容れないものであるという趣旨のご答弁だった。しかし、やっていることは似たことであり、大きく違うのは、行政評価は1年が終わってからまとめて評価するものであり、目標管理はリアルタイム処理を行うものであるということ。このことを考えれば、行政評価を目標管理に使うことは無理でも、目標管理を行政評価に活用する可能性はありそうであり、よりタイムリーな活用が可能になることが考えられる。今後、研究に値することではないかということを申し上げておきたい。
     市役所に就職を希望する人達の多くは、住民の福祉に貢献したい、あるいは町の発展に貢献したいという高い志を持った人達であるはず。そういう人達の想いを活かせる市役所になっていただくことを期待する。


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