2010年6月9日一般質問
青字は答弁
質問テーマ [平和・交流・共生の都市宣言推進計画の進捗状況] [鉄軌道型公共交通充実の取り組み] [総合動植物公園のあり方]

平和・交流・共生の都市宣言推進計画の進捗状況

 本市では、市制施行100周年を迎えた平成18年の12月に、“世界に開かれ、世界に友人をもつ豊橋”、“平和を希求する豊橋”をめざすことを決意し、「平和・交流・共生の都市宣言」が行われた。以来、今日までの間、社会経済のグローバル化が一層進展し、地域コミュニティにおいて多文化共生の課題が顕在化する中、都市宣言の本旨の実現に向けた具体的な取組みを進めるべく、平成21年3月に「平和・交流・共生の都市宣言推進計画」が策定された。この計画が策定されて1年が経過した今、この計画の一層の着実な実践に向けて以下二点について認識を伺う。

【1回目質問】

  1. 都市宣言推進計画の推進体制、取り組み状況、1年間の成果について。
  2. 課題の認識と今後の取り組みについて。
【答弁要旨】
  1. 昨年3月に平和・交流・共生の都市宣言推進計画を策定したことから、計画に示された取り組みの推進を図ることを目的に、国、県、企業や市民団体等を構成員とする多文化共生推進連絡協議会や、関係各課で構成する都市宣言推進会議を設け、各々事業の進捗状況を確認するとともに、協議等を行い、計画を着実に推進しているところであります。平成21年度の実績は、関係各課が関係団体と連携し、計画に示された全体78の事業のうち71の事業について実施することができました。
  2. 計画策定1年目ということもあり、都市宣言の本旨の実現に向けての取り組みの成果、あるいは意識の広がりにつきましては、まだまだ不十分であると受け止めていますので、今後も引き続き関係課、関係団体と連携し計画を推進してまいりたいと考えています。

【2回目質問】

  1. 平和への貢献ということについて。都市宣言をして看板を掲げているからには、その必要性を市民がしっかり腹に落として、何らかの行動を起こす人が増えるところまでいくべきだと思う。ところが、この「平和への貢献」ということが三つの中でも一番わかりにくい。推進計画の基本方針としては「国際協力を通じた平和への貢献」があげられ、課題として「国際協力活動に対する理解の深化及び参加の拡大に努め、もって平和の大切さに対する市民意識の向上を図ること」があげられている。しかし、国際協力活動に対する理解を深めることにより、市民としては、どんな行動をとることが期待されているのかがよくわからない。平和に貢献するためには、どんな国際協力をしたらいいのかわからないという意味。市民運動を盛り上げていくためには、そこのところをわかりやすく説明する必要があるのではないか? そこで、平和の確立に貢献できる国際協力のあり方をどのように考えているのか、つまり平和を脅かす事態とはどんなことと考え、それを回避することにつながる国際協力とはどのようなものと考えているのかについて伺う。
  2. 多文化共生社会の実現について、特に多文化共生モデル地区においては、様々な事業が実施され、一部地域においては日本人と外国人の間に良好な人間関係が芽生えつつあるという状況も見られる。とは言え、難しい課題を抱える地域がまだまだ多く見られることも事実。この一年を振り返ってみると、良好な関係が築かれてきた地域においては、日本人、外国人のそれぞれに重要な役割を果たしてくれるキーパーソンが存在しており、この方々の活動が大きな意味を持つものと考えられる。今後の取り組みにあたっては、このようなキーパーソンの発掘と育成が重要な課題になると思われる。このことに関する認識と今後の取り組みについて伺う。
  3. 多文化共生ということについてもう一つ。共生ということについて長期的な視点から見ると、外国人子弟が日本で働く場を得て、安定して暮らしていく道筋が見通せるかどうかが非常に大きな問題と言える。その道筋を描くことができれば、子どもたちは健全に育つことができるはず。そうでなければ、勉強の途中でくじけてしまう子が増える。この辺り、推進計画の中でも「夢を持てる社会づくり」ということで、「就業環境の改善・就業支援」ということが取り上げられている。近年、国内の就業環境は大変厳しい状況にあるが、この1年間、取り組んでこられてどのような認識を持っておられるか、今後の取り組みと併せて伺う。
【答弁要旨】
  1. 世界各地で起きている紛争は様々な要因があると思いますが、世界の恒久平和を実現することは誰しもの願いであり、そのためには、一地方都市としてふさわしい具体的な貢献に取り組んでいく必要があると考えています。
     そうしたことから、都市宣言推進計画に「国際協力を通じた平和への貢献」という取り組みの基本方向を位置づけ、国際協力への理解と活動の担い手育成に向け、青年海外派遣協力隊活動など国際協力活動に関する情報提供や意識啓発、あるいは海外義援金やフェアトレードへの支援など実施し、市民が広く国際協力活動に関心を持ちお互いの地域の発展に関わる中で、相互理解を深め、お互いを尊重し、世界の人々とともに生きていくということの大切さの意識が醸成され、平和への貢献に寄与するものと考えています。
  2. 多文化共生に関わる地域のキーパーソンについてでありますが、委員ご指摘の通り、昨年度から多文化共生モデル地区事業を実施しており、日本人市民と外国人市民の共生のまちづくりには、地域活動を率先して行う外国人市民や、それを支える地域の日本人市民などキーパーソンが必要と認識しています。今後につきましても、地域で開催される懇談会や交流イベント、あるいは外国人の学習支援者養成講座や日本語教室など、地域の皆さんと直接関わる中で、多文化共生の核となる人材の発掘、育成に取り組み、そういった地域でのキーパーソンをはじめ自治会の方々の意見を伺い、共生に向けた地域の自主的な地域活動をサポートしてまいりたいと考えています。
  3. 外国人の就業環境についてでありますが、一昨年の経済状況の悪化により、特に非正規労働者の多い外国人におきましては、就業環境は依然厳しい状況となっていますが、外国人の子どもたちにとって、将来働く場があるということは、夢の持てる社会づくりとして重要な要素であると認識しています。外国人の子どもの将来の就職に向けては、進路指導の充実のほか、やはりしっかりと教育を受けることが大切という視点から、国際交流協会をはじめとした各種団体による様々な場での日本語教室の開催、あるいは不就学調査を行う中での虹の架け橋教室への支援、プレスクール事業の実施のほか、青少年就労体験事業などに取り組んでいるところであります。
     今後につきましても、引き続き関係機関・団体と連携し、就業環境の改善を図るとともに、外国人の子どもたちが夢を持って社会生活を送ることができ、幅広い職業の選択ができるような教育環境の充実などに取り組んでまいりたいと考えています。

【まとめ】
 都市宣言について。宣言したからには風化させるわけにはいかない。徹底して突き詰めて頂きたい。国際協力による平和への貢献、交流による国際理解の推進、多文化共生社会の実現が、本市に根付くためには、それぞれが市民運動としてしっかり確立されていくことだと思う。つまり、市民が行動変容を起こし得る気付きを促すことが重要であり、そのためには、腹に落とすことができなければならない。わかりやすさが大切ということ。それと合わせて、市民運動を引っ張ってくれるリーダーも必要であり、その役割を担ってくれるキーパーソンをどのように見つけ、どうやって育成していくかも重要な課題と言える。平和・交流・共生の都市宣言の実践を通じて、日本人の子ども、外国人の子どもたちがともに夢を持てる社会の実現にに向け、一層の努力をされることを期待してこの件は終わる。

鉄軌道型公共交通充実の取り組み

 高齢化社会の到来、低炭素社会実現への気運の盛り上がりの中、今後に向けては公共交通の充実が期待されている。中でも、鉄道や路面電車など鉄軌道型公共交通は初期投資が大きいとは言え、大きな輸送力、安定した定時性、排気ガスを出さないことなどの利点があることから、バス等に比べてその期待は更に大きいと言える。
 市内の公共交通の整備に関しては、平成18年度に策定された「豊橋市地域公共交通活性化方策」に示されており、軌道型公共交通についてもこれに含まれる。現在は、これらの上位計画である総合計画が23年度からの第5次計画に向けて準備が進められている折、地域公共交通活性化方策が策定され4年が経過した中、これまでの進捗状況を確認しつつ、新たな時代環境の中でこれまで以上に期待される軌道型公共交通の充実に向けて、以下について考え方を伺う。

【1回目質問】

  1. 公共交通の活性化方策では、公共交通の利用促進に向けて5年以内の着手を目指すとして、5つの取り組みをあげている。約4年が経過した現在、これらの中でも軌道型公共交通に関する部分の成果についてどのように評価し、利用促進に向けて今後の課題をどう考えているかなど、軌道型公共交通の利用促進について認識を伺う。
  2. 市内の軌道型公共交通は豊橋駅を中心にして、放射状に配置されている。南部方向には、豊橋鉄道渥美線。東部方向には豊橋鉄道市内線(市電)、北部方向にはJR飯田線と名鉄名古屋本線、更に、東南方向から西北方向にJR東海道線が貫いている。しかし、西部方向の路線はなく、活性化方策内の「地域公共交通の将来イメージ図」でも西部方向については鉄軌道ではなく幹線バスと示されている。西部方向には、運転免許を持たない高齢者や子供などが多く利用する市民病院、豊橋西高校、総合体育館、シーパレスリゾートなどがあり、公共交通の必要性は高いと考えられる。活性化方策でいうところの「主要な交通結節点を結ぶ、幹線にふさわしい高度なサービス水準の確保を目指す」という幹線公共交通が必要な地域とされているが、この地域に市電を延伸する必要はないのか、今後どのように対応していくかなど、路線の充実に向けた課題認識を伺う。
【答弁要旨】
  1. 地域公共交通活性化方策における鉄軌道型公共交通に関する施策への評価でございますが、鉄軌道に関する施策を14掲げており、今年度までにすべての施策に着手する予定となっています。
     主な施策の実施状況ですが、利便性向上の取り組みとしまして、電停への交通島設置やバリアフリー化、全面低床式車両「ほっトラム」の導入を行いました。こうした中、ここ数年間の路面電車の利用状況の推移としましては、若干ではありますが増加傾向を示しており、施策への取り組みによる一定の効果が出ていると考えていますが、なお一層の利用促進に向けた取り組みが必要であると言えます。
     今後の利用促進に向けた取り組みとして、本年度に路面電車と渥美線へのICカードの導入が予定されており、利用者の増加に大きく寄与するものと期待しております。また、利用促進に向けた今後の課題としましては、施策の実施主体となる交通事業者の経営状況や市の財政状況が厳しい現状もあることから、効果の高い施策の重点的な実施が課題と考えています。
  2. 本市の西部方面への路面電車の延伸でございますが、この方面には市民病院、や総合スポーツ公園などが立地しており、路面電車の延伸を考える上での一つの候補であると認識しております。しかしながら、路面電車の延伸には、安全な走行空間の確保のための用地確保や多額整備費用、将来的な維持費といった多くの課題があり、こうした状況を総合的に勘案しますと、現段階では事業者による軌道の延伸は非常に難しいと考えられます。
     今後の対応ですが、走行空間の整備方法や国などの公的支援制度、また持続可能な運営形態の可能性などを調査研究する中で、延伸の可能性について検討していきたいと考えています。

【2回目質問】

  1. 利用促進策の一つであるパーク&ライド、サイクル&ライド設置への取り組みについて伺う。これらは電停や駅から遠くに居住する人の利用を可能にするという意味で、利用促進策の中でも大きな効果が期待できるものと考えられる。地域公共交通活性化方策策定後の設置状況、今後の設置の考え方について設置個所や設置主体のあり方などについて伺う。
  2. 西部方面への延伸は公共交通の充実を図る意味で有効な手段であるとのご認識があり、今後、走行空間の整備方法や公的支援制度、運営形態などの研究をするとのお答えだった。是非、早急に進めていただくことを期待する。
     また、佐原市長はマニフェストにおける「人に優しい交通手段の約束」の中で「市電のココニコ延伸と医療センター延伸についての可能性検討調査を実施」と記載されている。確かに、市内東部にある医療センターへの延伸を期待する声も多くある。ココニコ延伸で思い出されるのは、かつては旧市民病院前(商工会議所付近)まで市電の線路が延びていたこと。その頃には、現在の新川の電停から柳生橋に向かう路線もあった。路線廃止後に合同庁舎が建設され、今では合同庁舎周辺を訪れる人がそれぞれ自家用車で来るため、その周辺は常に渋滞している。この解決手段としても、市電の復活が考えられるのではないか? 市内西部の市民病院、総合運動公園方面、中央部のココニコ方面、合同庁舎方面、東部の医療センター方面など、路面電車で結ばれるようになれば、新しい町づくり、新しい市民の暮らしぶりということも生まれてくる可能性が考えられる。鉄軌道の延伸ということについては、企画から実現まで大変時間のかかるわけで、景気がよくなってからでは手遅れになる。今年三月の企業業績を見ると、減収増益というところが多くなっている。世の中全体が縮小均衡を図ろうとしているようにも見えるわけであり、これではこの地域で養える人口も減ってしまう。その傾向にブレーキをかける意味でも、今こそ夢を描き始めるべき時期と言える。是非、積極的に考えて頂くことを期待して、延伸ということについては終わる。
【答弁要旨】
  1. 地域公共交通活性化方策策定後の鉄軌道におけるパーク&ライド、サイクル&ライド施設の設置状況でございます。平成18年度に、渥美線高師駅へ221台、路面電車赤岩口電停に33台分、平成20年度には、渥美線南栄駅へ8台分パーク&ライド駐車場が豊橋鉄道により整備されています。
     次に、今後の設置の考え方でございます。現在、主要な駅や電停には、行政、鉄軌道事業者などにより一定の駐車場や駐輪場が整備されている状況にあります。従いまして、新たな施設を整備する場合、適切な設置場所の選定と用地の確保が必要となることから、具体的な設置場所や整備の手法、実施主体につきましては、鉄軌道事業者とも調整するなかで勉強していきたいと考えています。

【まとめ】
 鉄軌道型公共交通については、駐車場、駐輪場の設置に対する考え方を示していただいた。今後、高齢化が進展する中で、鉄軌道型公共交通への期待は益々高まることが予想される。本市が鉄軌道によるネットワークを充実させることで、高齢者や子供など運転免許を持たない人が広い行動範囲を持つことのできる町になれることを期待する。そのためには、現在の規模の中でまずそれぞれの路線で利用者がしっかりあることが重要。そうすれば自ずと事業者としては延伸に対して積極的になることができる。パーク&ライド、パーク&サイクルは鉄軌道型公共交通の利用者を増やすということについて、大きな効果が期待できるし、一度設置すれば維持コストはさほどおおきくはない。また、同じスペースであれば車より自転車の方が圧倒的に多くの人が利用できる。できるだけ多くの駅や電停に駐輪場の設置を進めて頂くことを期待して、この件については終わる。

総合動植物公園のあり方

 豊橋総合動植物公園は広い園内に多様な動物が飼育されており、自然史博物館や植物園などとともに、市民にとって貴重なレクリエーション施設であり、教育施設ともなっている。その存在を豊橋の誇りと感じている人も少なくない。その総合動植物公園は、本年度180万円をかけ、東京や名古屋で鉄道を利用したPR活動を実施する予定となっている。本市の主要な観光資源として活用をしていこうということだと思われる。近年の入場者数を見ると、平成16年度の61万人から徐々に増加し、平成21年度には73万人を記録するまでになっている。しかし、東京や名古屋で宣伝活動をしたからと言って、多くの観光客を誘引するほどの魅力があるかということについては疑問を感じないわけにはいかない。これを機会に総合動植物公園の存在意義をしっかり発揮するために、まずは全国から注目される存在となり得るものになっているのか、現状の課題と今後目指すべき方向性などを確認すべく以下3点について伺う。

【1回目質問】

  1. これまで、市民のレクリエーション施設として、また教育施設として運営を行ってきたが、どのような基本方針を持って臨んできたのか? また、その方針が多くの観光客を誘引する施設の基本方針としてふさわしいものか、見直す考えの有無など、豊橋総合動植物公園事業の基本方針について伺う。
  2. 東京や名古屋でのこのPR活動では、どのような対象層に対して、どんなポイントを伝えることを考えているのか。果たしてそれが、大都市の市民の注目を集める可能性を持つものであるのかなど、今回のPR活動におけるアピールの内容について認識を伺う。
  3. 旭山動物園やズーラシアが新たな展示方法を考える際、豊橋総合動植物公園を参考にしたことはよく知られている。その後、旭山動物園は年間入場者数が300万人を越えるまでになり、ズーラシアでも110万人を超える程になっている。その要因は何か、なぜ本家本元の豊橋では全国的な話題に取り上げられないのか?旭山動物園が人気を博している要因について認識を伺う。
【答弁要旨】
  1. 総合動植物公園事業の基本方針についてでありますが、豊橋総合動植物公園は、昭和45年に豊橋子供自然公園として現在地に移転以来、自然史博物館、遊園地、植物園を加え、全国でも類の無い総合公園であります。
     総合動植物公園では「自然との触れ合いを通した人間性回復」の場として身近なレジャー、観光の場としての利用に重点を置き、動物、植物を中心に近年では失われつつある「自然」をテーマにして、環境や命の大切さを知る場となる空間を提供することを基本方針に管理運営をしてまいりました。こうした方針のもと、これまで四季折々でのイベントの開催や動物との触れ合い、動物教室、職業体験など、様々な取り組みを通して、多くの観光客も誘引できていると考えております。
     しかしながら、より広範な地域からの観光客の誘引も図るため、行動展示や立体展示など、全国的な動物園の形態の変化や社会状況の変化も考慮し、基本方針についても再構築する必要があると考えております。
  2. 今回のPR活動におけるアピールの内容についてですが、豊橋の動植物公園を、そして豊橋市を知っていただき、行って見たいと思っていただけるような内容を検討し、現在作成中であります。
     東京でのPR活動は、全国からお客様の集まる東京ディズニーランドなどへの鉄道路線である京葉線の動画コマーシャルですので、主に子どもさんや若いカップルなどに受ける内容になろうかと、考えております。例えば、ホッキョクグマのダイビングやカバの大あくび、大観覧車、自然史博物館の恐竜なども考えております。
     こうしたことは、首都圏活動センターなどとも連携、連絡を密にしながら、進めているところであります。なお、名古屋での地下鉄中吊広告とともに、積極的にしっかりとPRしていきたいと考えております。また、これらのPRに加え、ユーチューブやツイッター、ブログ、口コミなど、これまでとは違った注目度、効果が期待できるのではないかと考えております。
  3. 旭山動物園が人気を博している要因についてですが、旭山動物園は昭和42年に開園し、一時、廃園寸前の危機に陥りましたが、飼育員の動物に対する愛情と情熱、動物園関係者や財政当局との協議、努力、旅行業者などとの連携によるツアーへの組み込みなど様々な地道な努力の結果、現在があるというように聞いております。
     本園でも、行動展示の本家としての自覚、自負のもと、「動物ワンポイントガイド」や「どうぶつはともだち」の開催、飼育員による手製の園内看板や遊具の作成などのほか、イベント情報掲載のポスター、チラシやパンフレットを適宜公共施設に配備、ホームページでの情報提供、マスメディアの活用、周辺企業への勧誘活動など、工夫を凝らしながら様々な努力はしておりますが、他の多くの動物園と同様に、議員ご指摘のとおり全国的な話題としては取り上げられていないのが実情であります。
     今後、旭山動物園の行動展示や立体展示、現場の思いなどを分析、勉強しながら、本園が新しい施設や新しい動物以外でも全国的な話題となるように努力をして行きたいと考えております。

【2回目質問】

  1. 動物園について。これまでの運営の基本方針については、「自然」をテーマにして、環境や命の大切さを知る場となる空間を提供することとしてきたが、より広範な地域からの観光客の誘引も図るため、基本方針の再構築をする必要があるというご認識だった。
     日本動物園水族館協会年報の「動物園の部」のデータによれば、平成20年度の豊橋総合動植物公園の入場者数は72万人で、全国の動物園水族館の中で多い方から第14番目となっている。豊橋市の人口38万人の1.9倍の人が入場したということでもある。その年の人口と入場者数の比較に注目してみると、入場者数ベスト10の中で、その比率が1を超える施設は、2位・旭川市の旭山動物園が7.8倍、7位・裾野市の富士自然動物公園が20.6倍、8位・南埼玉郡宮代町の東武動物公園が33.3倍、9位・日野市の多摩動物公園6.1倍の四つ。これらは全て、入場者数がその町の人口の6倍以上。残りの六つの施設は人口との比率が1以下ということになっている。
     この傾向を整理すると、入場者数の多い施設は以下の二通りに分類される。一つは、大きな町がその町の住民のための施設として運営しているケース、もう一つは、町の人口自身は多くないが市外から多くの観光客を誘引する施設としているケースということができる。事務局にお願いして、三つの動物園に対してどれ程のお金を投じているかを、それぞれの市役所に問い合わせしてもらった。22年度の一般会計予算総額と比較をしてみたところ、以下のような結果になった。平成20年度の入場者数が豊橋より一つ上の13位で人口との比率も1.4倍と、豊橋に類似した傾向を持つ姫路市立動物園では、一般会計に占める動物園の負担の比率が0.11%の2億3千万円。豊橋と同じように植物園や遊園地も一緒に設置している東山動物園では一般会計総額の0.27%の27億5千万円。旭山動物園では一般会計総額の0.06%の8千5百万円。となっている。0.11%、0.27%、0.06%だったわけだが、これに対して豊橋総合動植物公園への一般会計からの繰り出し金は約10億円であり、一般会計の中の約1%を占めている。他と比べて突出しているのがわかる。自然史博物館の管理運営に要する費用を加えれば更にこの値は大きくなる。豊橋総合動植物公園は、世間の常識から比べると大変多くのお金をかけているが、市民のためのレジャー・教育施設なのかあるいは観光資源として多くの観光客を誘引しようとする存在なのか、どっちつかずになっており税金の投入額も多い。先ほど確認した運営方針も、突出した金額を投入する程のユニークなものではない。これらから、必ずしも税金が有効に活用されていない可能性があると言える。選択と集中が必要といわれる状況の中にありながら、現状はそれに逆行するフルラインアップの状態にある。今後は、事業の方針をもっと明確にする必要があるのではないか。
     そこで、今後その方針をどのように考え、施設の選択と集中をはかっていくのかについて、考えを伺う。
  2. PR活動におけるアピールの内容については、豊橋の動植物公園を知っていただき、ホッキョクグマのダイビングやカバの大あくび、大観覧車、自然史博物館の恐竜など、行って見たいと思える内容を現在作成中ということだった。
     ディズニーランドに行くため京葉線に乗る人達に、白クマのダイビングやカバの大あくびを見せて、どれ程の人が新幹線に乗って豊橋まで行こうという気持ちになってもらえるものなのか? 数十人の人に来てもらうことを考えているわけではないわけであり、ドッと来てもらうためには、最終的には如何にしてマスコミに取り上げてもらえるかというところまで考えておく必要があるのではないか? そのための戦略をしっかり建てるべきではないのか? 認識を伺う。
  3. 旭山動物園が人気を博している要因については、飼育員の動物に対する愛情と情熱、動物園関係者や財政当局との協議、努力、旅行業者などとの連携によるツアーへの組み込みなど様々な地道な努力の結果、現在がある、というお答えだった。
     豊橋総合動植物公園の飼育担当の皆さんの動物に対する愛情と情熱が不足しているということではないと思う。旅行業者などと連携してツアーを行っても、そう簡単に入場者が増えるとも思われない。どこにそのカギがあるのか、是非、関係の方に、旭山動物園、ズーラシアなど、豊橋を参考にして成功したと言われる施設を見学し、見つける努力をすることを期待し、この部分については終わる。
【答弁要旨】
  1. 総合動植物公園ではこれまでに動物園ゾーンにおいて、主なものとして、アフリカ園をはじめ、極地動物館、サルデッキなど、整備充実に努めてまいりました。また、遊園地ゾーンは平成4年の設置以降、平成18年1月にレーザーガンシューティングを新規導入、21年に海賊船を老朽化のため撤去しております。こうした施設整備とともに様々な取り組みなどにより、市民から愛され、市外からも多くのお客さまが来園し、楽しんでいただいていると考えております。
     しかしながら、近年は施設や設備の老朽化、経年劣化などが進み、修繕や改修工事などの維持管理経費も増大してきております。また、新規の施設整備や遊具導入も非常に難しい状況があります。したがいまして、これまでの基本方針に加え、より広範な地域からの観光客も誘引する施設など、基本方針を再構築、明確化し、園内各ゾーンにおける施設や設備の再整備を計画、実施においては選択と集中を図って行きたいと考えております。
  2. PRについての戦略、認識は、についてですが、今回の京葉線は、JR東日本によりますと1週間の延べ推定利用人員が、約370万人と言われています。この、全国からのお客さまの集まる京葉線が、新規に動画のコマーシャルビデオを放映できる新型車両を導入するということで、一定ニュースソースとしても期待できると思っております。また、議員ご指摘のとおり、マスコミに取り上げてもらう必要性は十分に認識しておりますので、首都圏活動センターをはじめ、関係部局とも密接に連携を図りながら、より積極的なマスメディアへのPRをして行きたいと考えております。

【まとめ】
 動物園について。運営の基本方針を再構築し、選択と集中を図っていただけるとのことだった。基本方針の検討にあたっては、是非、市民にとってどういう意義を持つ存在になっていくかを明確にし、それにしっかりこだわって行くことが大切だと思う。珍しい動物や植物、豪華な施設を見るために、遠くまで見物に行く人がいつまでもいる時代ではない。ドラマやユニークな文化のあるところこそ、感動を生み、口コミが伝わって行くことになる。旭山動物園の成功は、追い詰められたところから始まったことを思い出して欲しい。
 管理運営費の縮減ということにも取り組んでいただきたい。一部業務をみどりの協会に委託しているが、みどりの協会からさらに外部委託している業務がある。これなどは、動物園が直接委託することでコスト削減の可能性がある。その他の経費削減にも取り組み、市民に対する存在意義と投入する税金額のバランスを適正にするよう、一層の努力を期待して終わる。

東日新聞記事


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