2010年2月8日(月)会計処理問題調査特別委員会
青字は答弁
 平成21年5月に行われた会計検査院実地検査による指摘と、平成21年3月から全庁を対象として行われた自己点検により発覚した問題点、に対する対策案が示されました。差替え、翌年度納入、前年度納入、他所配分などの問題を防止するため、コンプライアンス徹底のための研修を行う、物品購入事務の手続きを改めることなどです。今回示された対策案と、前回の委員会で明らかになった問題点への対策など質問しました。

☆コンプライアンスの徹底について

【1回目質問】
 コンプライアンスの徹底策として、職員研修の充実・強化のみがあげられているが、これが中心となるのか? 人事評価あるいは目標管理などにより日常マネージメントサイクルによる取り組みを強化する仕組みづくりこそ重要ではないか?

【答弁要旨】(人事課長)
 職員研修につきましては、今回の不適正経理を受けまして、新たに組織の長となる課長級の職員から担当職員にいたるまで、コンプライアンス意識の向上に向け研修会を実施してまいります。
 しかしながら、今までも新任職員をはじめとした研修に公務員倫理をメニューに入れるなど、常に市民から理解を得られる行動をとることのできる公務員となれるよう意識付けはしてまいりました。また、本市における人事考課制度におきましては、その評価項目の一つに「公務員意識」を掲げるなど、委員ご指摘のように、人事考課や目標管理の面談など、日常のマネージメントツールの中で、上司と部下の相互でのコンプライアンス意識の向上に取り組んできたところでもあります。
 今回の不適正経理を受けた研修の成果が、常日頃の職場内で行われてマネージメントツールを通じて、コンプライアンス意識の更なる向上につながるよう努めてまいりたいと考えております。

【2回目質問】前例踏襲や悪しき慣習があったことなどが主な原因であったとするなら、その対応策としてはコンプライアンス全般の教育の徹底というより、かなり特殊なケースの教育が必要ということになると思われる。例えば、他の自治体で発覚した問題を参考事例として有効活用するなどが考えられる。だとすれば、階層別研修のような定例のものではなく、随時に、関係職員を対象とする臨時研修こそ重要ではないか? そういう意味では、今回提案された研修はやや性格がマッチしないのではないかと思われるが、認識と対応を伺う。

【答弁要旨】(総務部長)
 ご指摘のとおり、今回、お示しをいたしました研修のメニューですべてカバーできるとは思っておりません。まず、大きな枠組みでとらえて、研修など職員のレベルアップを図り、そして、本市として、関連するような事例、参考にすべき事例が発生をすれば、その都度、その内容や必要に応じ、様々な事例に適切に対応できるよう、随時、臨機応変に、何らかの対応を考えていかなければならないと思っております。

☆会計処理問題が発生した原因について

【1回目質問】
 コンプライアンスの徹底が筆頭にあげられているが、不適正経理の再発防止策の筆頭にあげるほど、市役所のコンプライアンスのレベルは低いのか? 問題は、世間で「予算使い切り主義」への問題意識が高まっているにも関わらず、そのことへの対応ができていなかったこと、つまり、変化をいち早く察知し、それに対応しようとする姿勢の欠如こそ大きな問題ではないか? 認識と対応を伺う。

【答弁要旨】(財務部長)
 時代の変化への対応、姿勢の欠如について。ご指摘の通り、全国の地方公共団体において不適正経理問題が顕在化した段階で、早急かつ適切な対応を図るべきであったことは否定をいたしませんが、本市における今回の不適正経理のケース(過去の預け金、差替え)を踏まえ、これまでの対応を振り返ってみますと、やはり、長い歴史の中で、前例踏襲、過去の悪しき慣習、といったものに疑問、問題意識を持たなかったという土壌、体質があったかもしれません。そのことが安易な判断、結果的に意識の欠如甘さにつながったものとも思っております。
 ただ、今回の会計検査院の案件については、国の補助事務費は使い切ることが慣例化していたことや、市費をできる限り節約をし、補助金を有効に活用するために、一部の差替えや、最終的に燃料費、役務費などへの充当をしたものでございますのでご理解をいただきたいと思います。
 しかし、結果的に、補助対象外、過大な充当として会計検査院から指摘を受けたことは重く受け止めなければなりません。従いまして、今後、こうした事務に携わる職員全員が、反省すべきことは真摯に反省し、改めて意識改革を図り、今一度、原点に戻って、関連法令や要綱などをよく理解し、そして当然のことながら、厳格に遵守するということで、再発防止に向けて万全を期してまいりたいと考えているところでございます。

【まとめ】
 問題解決に当たっては、根本原因をしっかり把握した上での対策を考えるという、論理的問題解決の風土づくりに努めていただきたい。また、時代の変化に伴う行政に求められる課題の把握ということについても、従来以上に敏感になることが今回のような市民感情に反する事態を見過ごさないために、必要だと考える。
 また、補助金の使い切りということについては、本市において過去悪しき慣習として継承されてきたことであり、これは正すと同時に責任を問われるべきものである。一方、本市ばかりでなく他の都市においても行われてきたものと言われている。そのことを考えると、それを放置した指導すべき上位組織である国や県の責任も無いというわけにはいかないはずである。そういう意味では、加算金については、国や県にも負担してもらうということも主張すべき余地がある。是非、そのことを主張することも研究していただきたい。

☆内部通報制度はなぜ利用されなかったのか、について

【1回目質問】
 公益通報(内部通報)制度が今回の問題において利用されることはなかったが、その原因について、職員の中に今回問題となった会計処理方式が規則に反する行為であるとの認識がなかったということか、通報をした職員が保護される内部通報という制度があるということが一般に認識されていなかったのか、取引先業者は内部通報制度により保護される対象とはならないものとなっているのか、認識と対応を伺う。

【答弁要旨】(行政課長)
 内部通報制度につきましては、本市の要綱制定時(平成18年度)に説明会を開催し、職員に周知するとともに、今年度は市のホームページに制度の概要を掲載し、この制度の周知に努めております。
 今回のケースは、私的に流用するのではなく、業務上必要なものを購入するものであったため、公金の取り扱いの重要性に対する認識が低下したことから、職場でのチェックがおろそかになり、会計に関する規定遵守の意識が薄れたことが原因だと考えられます。管理監督職員を含め、全職員が厳しく反省し、再発防止に努める必要があると考えております。
 取引先業者と内部通報の関係ですが、本市の内部通報制度では、直接業務を行う者でなければ発見できない犯罪行為も想定されることから、指定管理者及び受託業者の従業員を公益通報者に加えておりますが、物品納入業者の従業員は通報できる対象とはなっておりません。
 そこで、これらの業者の従業員は、公益通報者保護法を活用することになり、通報行為を理由に不利益な取り扱いを受けることのないように法により保護されるものであります。なお、この法律は、公益通報を理由に労働者が不利益な取り扱いを受けることがないよう保護制度が整備されているもので、委員が言われます業者・事業者は、本制度に基づく保護の対象とはされていないものです。

【まとめ】
 内部通報が利用されなかったことの理由について、職員の意識に甘さがあったこと、内部通報の制度の周知努力がされていることについては理解した。今後も折に触れ、公益通報制度の存在が忘れられることのないように、宣伝することを期待する。
 取引先業者の内部通報ということについては、公益通報者保護法では通報をした従業員は不利益な取り扱いを受けることのないよう保護されるということだった。ところが、昨年テレビで放送された事例によれば、BSE問題の際に、雪印食品の偽装を新聞社に内部告発した西宮冷蔵という業者は、受注量の大幅減により倒産しということだった。業者あるいはその従業員としては大変心配なことであり、これでは、業者からの公益通報を期待することは難しい。法令の問題であることから、直ちには難しいことであることは想像できるが、業者が安心して公益通報ができるように、市独自の方策について研究を進めていただくことを期待する。

☆問題発生の際の統括責任者の設置について

【1回目質問】
 危機管理策のあり方の基本として、統括責任者を置くことは重要。18年度の岐阜県庁の問題が発覚した際には本市においても点検と対策の実施などが行われたが、今回これに類似する問題が発覚したということは、18年度における対策が不十分だったことが考えられる。前回の議論では18年度の対応の際には、統括責任者が置かれた様子はない。今回も、どなたが統括責任者として対応策の不備がないか目を光らせているのか明確にされていない。問題発生の際の対策における統括責任者の必要性について、認識と対応を伺う。

【答弁要旨】(財務部長)
 今回のケースにおいては、いずれも予算経理事務における、過去からの慣習、そして前例踏襲といったことに問題意識を持たなかったという、大きく捕えて職員のコンプライアンスに対する意識の欠如、甘さから生じたものと考えておりますが、その責任ということになりますと、関連する部課長以下、携わった職員全員に、それぞれの役割、職責に応じた責任があろうかと思っております。
 その上で、統括責任者としての対応は、ということでございますが、通常の事務処理上での問題でもありますことから、携わる職員全員が、それぞれの立場、役割の中で、法令、要綱、規則などを遵守し、常に問題意識を持つことやすべてにおいて適切に対処するという意識の徹底と、チェック体制の強化を図れば再発を防げると思っております。

【2回目質問】職員それぞれが役割、職責に応じて責任を持って対応していることは理解できる。しかし、個人間、組織間で漏れやダブりが生じる恐れがあり、それを防止する役割として、統括責任者が必要ではないかと感じている。災害など大きな被害が目前にある場合は対策本部が設けられ、本部長が統括責任者となる。今回の会計処理問題のように目前の被害額はそんなに大きくはないが、見過ごされることで将来大きな被害が予想される問題では、統括責任者が必要なのではないか? 過日の三河港のダイムラーベンツの新車整備センター移転についても、同様の性格を持つ問題だと感じる。今後も同様の性格を持つ問題の発生があることを想定すると、問題に応じて統括責任者を置くか置かないか、一定の基準を持つことが必要ではないかと考えるが、見解を伺う。

【答弁要旨】(財務部長)
 災害対策本部や企業移転の例を出され、こうした不適正経理など見過ごされることで将来大きな被害が予想されるケースにおいても統括責任者を置くかどうかの一定の基準を持つことが必要ではないかということでございますが、その性格、規模、レベル、内容などから想定しずらいケースでもございますので、なかなか、最初から、こういったものに統括責任者の基準を設けることは難しいかと思います。
 ただ、ご指摘をいただきましたので、今後の課題として検討してまいりたいと思います。

【まとめ】
 内部通報が利用されなかったことの理由について、職員の意識に甘さがあったこと、内部通報の制度の周知努力がされていることについては理解した。今後も折に触れ、公益通報制度の存在が忘れられることのないように、宣伝することを期待する。
 取引先業者の内部通報ということについては、公益通報者保護法では通報をした従業員は不利益な取り扱いを受けることのないよう保護されるということだった。ところが、昨年テレビで放送された事例によれば、BSE問題の際に、雪印食品の偽装を新聞社に内部告発した西宮冷蔵という業者は、受注量の大幅減により倒産したということだった。業者あるいはその従業員としては大変心配なことであり、これでは、業者からの公益通報を期待することは難しい。法令の問題であることから、直ちには難しいことであることは想像できるが、業者が安心して公益通報ができるように、市独自の方策について研究を進めていただくことを期待する。

☆懲戒処分について

【1回目質問】
 地方公務員法第29条には「職員が次の各号の一に該当する場合においては、これに対し懲戒処分として戒告、減給、停職又は免職の処分をすることができる。」と定められており、これが適用されるケースの一つとして「この法律若しくは第57条に規定する特例を定めた法律又はこれに基く条例、地方公共団体の規則若しくは地方公共団体の機関の定める規程に違反した場合」があげられている。前回の質疑の中で、本市の契約規則第2条、第25条、第27条で定めることに対して適切な処理が行われなかったとの認識が示された。信賞必罰は組織マネージメントの基本であると考えるが、今回の事態に対して、どのような懲戒処分をお考えか? また、今回の問題は継続的に行われてきたことが考えられるが、どこまで遡って処分対象とするのかもあわせて伺う。

【答弁要旨】(人事課長)
 処分の内容につきましては、本市契約規則の定めに対する適切な処理がなされなかった事実、地方公務員法に定めます、職の信用や職員の職全体の不名誉となるような行為の度合い、併せまして、他の自治体での措置状況や過去の事例なども参考にしながら、新たな基準を設けることによりまして、年度内には一定の処分を実施してまいりたいと考えております。  次に、処分対象の範囲については、懲戒処分は職員の特定の行為に対して、その責任を問うものでありますので、今回におきましては、その行為の明らかな範囲で関わる職員に対し、処分を行うものと考えております。

【まとめ】
 懲戒処分に関するご認識については理解した。重すぎる処分は士気の低下につながる恐れがあるが、適切な処分により誰の仕事に問題があったのかを明確にすることができる。健全な組織運営のためには大変重要なことであり、しっかり対応されることを期待する。


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