2009年12月24日(木)会計処理問題調査特別委員会
青字は答弁
 平成21年3月から全庁を対象として行われた、自己点検による経理処理の調査結果に関連して、「予防はできなかったのか」という面と、「どんなルール違反があったのか」という面の、二つの側面から、次回の再発防止策検討の事前作業としていくつか確認させていただく。

☆「予防はできなかったのか」という面について

【1回目質問】
 平成18年7月には、岐阜県の裏金問題が発覚し、全国的な話題となった。岐阜県において県職員や組合、県教委が組織的に裏金を集め、使われていたという不祥事である。第三者による検討委員会は12年間で約17億円の裏金があったと報告し、監査をする側の監査委員事務局からも裏金が見つかったというもの。自治体の裏金問題としては初めて懲戒免職の処分が行われている。これほどの事件であることから、本市でも当然他山の石とし、その時点で自己点検し裏金が存在しないか確認した上で、以後の不正経理が行われないように仕組みのチェックを行い、しっかり予防策を講じるべきところであったはず。このような前例を参考としながら、本市においてはどのような対応がなされてきたのか? また、にもかかわらず岐阜県庁の問題が発覚した以後の19年度にも預け金など、不適切な経理処理が行われたことが今回発覚しているが、どういう理由によるものか、認識を伺う。

【答弁要旨】(財政課長)
 岐阜県の裏金問題が発覚した時には、このニュースについて部長会議でも取り上げ、調査を喚起してきたところであります。更に、本市で18年度に預け金が発覚した際には、各部局においても調査を行い、これ以上のものはないものと確認をしたところであります。しかしながら、平成20年度になって更に1件の預け金が発覚することになってしまいました。大変残念なことでありました。また、大変遺憾なことであり、大変申し訳ないことであったと考えています。

【2回目質問】2回目は2点について伺う。

  1. 「予防」ということに関しては、岐阜県の裏金問題が発覚した時に部長会議でも取り上げ調査を喚起したものの、20年度になって1件の預け金が発覚したということだった。調査が十分でなかったことが考えられる。また、今回、不適正処理が発覚したことを考えると、予防の対応としては必ずしも十分でなかった部分があったものと理解する。
     今回の調査では不十分であってはならない。しかし、確認をした業者は物品関係の登録業者1,000社以上ある中の5業者のみだったとのことだ。18年度にしっかり確認したつもりが、実は未発見の預け金があったわけで、そのことを考えると、後顧の憂いを残さないようにするためには、さらに慎重に実態把握に努めるべきではないか? その方法としては、5業者以外の仕入れ先、例えば年間取引額100万円以上の業者に聞き取り確認するとか、伝票の突き合わせを実施することも考えた方がいいのではないか? あるいは本市には「不当要求行為等の防止・公益通報制度(内部通報)」というものがある。しかも、「豊橋市公益通報者の保護及び不当要求行為等の防止に関する要綱」により、通報者は守られている。この不適正経理問題について、関係職員がなぜこの制度を利用しなかったのか、よくわからないが、この際、改めてこの制度を宣伝し、内部通報を求めるなどの方策を実施するということでもいいのではないか。これらも含め、実態把握を更に進める考えはないか? また、「どんなルール違反があったのか」で伺ったお答えでは、差し替えによる購入は、適正価格によるものだったのかということについて、「納入物品と書類上の金額についての差額は確認できていない」とのお答えだったが、これもしっかり確認する必要があるのではないか? 認識を伺う。

    【答弁要旨】(財務部長)
     業者との伝票の突き合わせや再度の調査ということにつきましては、会計検査院の検査もあるということと、独自の調査をするという両面から協力をいただいた5つの業者さんにお願いして、伝票の突き合わせ等の調査を行いました。その結果、一部、年度の違いだとか、差替えということが確認されたわけで、その前に、いわゆる預け金の問題があり、その時も該当する業者さんの調査といいますか、確認もさせていただいています。
     それぞれの時点で必要な調査はいたしておりますが、特に預け金に関しては、平成18年度一定の調査をし、先ほど財政課長も申し上げたように、もうないものと思っていたものが、平成20年度に新たに1件発覚したということで、その段階では、取引の多い、確か10社に近い業者さんに確認させていただいていたというように記憶しています。したがいまして、その段階で預け金は解消され存在しないという判断をしておりますので、これ以上の調査ということは考えておりません。ただ、預け金の存在が確認されたということは、業者さんからの相談で確認されたといことにつきましては、大変残念に思っております。これにつきまして、発生年度が過去のものということで、確認できないということも大変遺憾に思っておりますけれども、そういったことが過去においては存在したということであったということでございます。
     差替えにより納入された物品の差額については、確認できる方法があれば考えて行きたい。

  2. 一般質問で今回の不適正経理処理問題について、「職員の認識の欠如、甘さ等から生じたものであり、事業を担当する職員はもとより、管理監督する立場の職員を含むすべての職員の責任」と考えているとの答弁がなされている。岐阜県の裏金問題が発覚した折にしっかり対応していれば、今回の問題にはいたらなかったと思われるが、一般質問での答弁でいう、「管理監督する立場の職員」とはどの程度の職位の管理者までを含んで考えているのか? つまり、予防の対策を実施すべき責任を負っていたのはだれかということを伺う。

    【答弁要旨】
     今回の件に限らず、市役所という組織として事務事業を執行していく上で、直接、間接を問わず、それぞれの職責に応じた管理監督責任があるものと考えています。

【まとめ】
 差替え納入された物品の差額の有無については、確認の方法があれば行うことを考えるとのことだった。是非、実行していただきたい。また、今回の調査ではしっかり確認しているので、これ以上の不適正経理が行われていなかったかの検証は必要ないと考えているとのことだった。このご答弁の意味は大変重いものであることは認識された上でのことなので、受入させていただく。
 不適正経理をなくすため指導が不十分だったことについて、市役所全体の責任という趣旨のご答弁だったと思われる。こうした重要な課題に対して、だれが責任を持って対応するかが明確でなかったということが推察されるが、危機管理という面ではきちんと責任の所在を定めておくことが重要だと考える。次回の議論のポイントとしたい。また、内部通報制度も今回は機能しなかったわけで、これらのことも、次回の再発防止に関する議論の切り口として行きたい。

☆「どんなルール違反があったのか」という面について

【1回目質問】
 自己点検の結果、差替え、翌年度納入、前年度納入など、18年度と19年度で合計約1,750万円が見つかっている。これらについて、「本来の流用、補正などの予算措置を行うべきものを、その手続きを省くために行ったもの」という説明がなされている。これに関連して二つ伺う。

  1. 差替えが行われたものについて、実際に納入された物品の金額は、本来納入されるはずだった書類上の金額に相当するものだったのか検証されたのかどうか、検証したのであればどのような方法で検証されたのか、検証の結果、差額は認められなかったのかについて伺う。少しわかりにくい話なので事例で説明する。資料5の裏ページ、【市独自調査分】の表中、18年度の中程に住宅課が、書類上では「クリップホルダー他」ということで155,800円支出し、実際にはプリンターを購入している。このプリンターを155,800円で買ったことは、適正価格での購入だったのか、という意味。定価が155,800円であっても、前年モデルであれば大幅に値崩れしている可能性も考えられる。これだけでなく、他の差替えも含めて確認されたのかという意味で伺っている。

    【答弁要旨】(契約課長)
     差替えの検証ということについて、個別には検証は行っておりませんので、納入物品と書類上の金額についての差額は確認できていません。

  2. 差替え、翌年度納入、前年度納入は、本来の予算措置の手続きを省いた問題であるとの説明だった。資料6の物品の購入に係るフロー(一般会計)では、関係者として担当課、契約課、会計課、登録業者などが掲載されている。今回の不適正処理について、ルール違反をしたと考えられるのは、これら関係者の中の誰なのか? また、それはどういうルールに違反したことになるのかについて伺う。

    【答弁要旨】(契約課長)
     物品等の依頼発注段階また納入時におきまして、契約規則第2条による「契約事務を遂行する上での厳正、的確な処理」、また、契約規則第25条及び第27条の規定による「契約書、仕様書などの関係書類に基づく内容及び数量の検査」について、担当課において的確な処理がなされていなかったと考えられます。登録業者につきましては、受注する受け身の立場でありますので、発注者の意向に沿ったものと考えられます。

【まとめ】
 自己点検によって判明した不適正経理問題におけるルール違反ということについて、「誰が」ということについては、発注及び検収した担当課において、また、「どういうルールに違反したか」ということについては、「契約規則の規定」に沿わない処理がなされたということだった。次回の再発防止策検討の際の、切り口としたい。ただ、この件に関するご答弁は、物品購入のフローから推定されたものであると思われるので、全ての差替えについて、担当課での確認をされた方がいいと思う。これは特に質問ではない。
次回は2月8日に開催予定


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