2009年12月22日(火)福祉教育委員会
青字は答弁
☆次世代育成支援行動計画後期(案)について

 基本理念は「豊かな愛情で未来への架け橋を育むまち とよはし」と示されている。次世代育成ということについては、大きな目的の一つとして、この地域を担って行く人材を持続的に育成していくということがあげられる。その中で、地域の文化・伝統の継承ということは欠くことのできない重要な要素ではないか? そこでこれに関連して2点伺う。

  1. 三世代同居について・・・三世代同居は、子育て経験の継承と併せて、地域の文化や伝統を継承していく上で重要な環境。
    1. 資料の世帯類型別世帯数の構成という棒グラフによれば、平成2年以降平成17年まで三世代同居世帯が徐々に減少している様子が見られる。この要因と今後の見通しについて伺う。

      【答弁要旨】
       高度経済成長期以降我が国の世帯構成は、従来多かった三世代世帯が減少し、核家族化が進行しました。本市におきましても、平成2年の13,802世帯から平成17年には11,004世帯と減少傾向となっています。
       要因につきましては、一概には判断できませんが、平成19年の国民生活白書によると、別居を希望する理由として「子ども世代とは生活習慣が異なるから」が54.2%、「お互いの人間関係の面で気を遣うから」が50.9%など、団塊世代である親世代の意識が大きく変わったことも一因であり、一緒に生活を送る同居よりも適度な距離を保ちつつ、独立した生活を送ることのできる別居を好む傾向となっていることが伺えます。
       今後の見通しの判断でございますが、核家族化が進行し平均世帯人員も減少していることから、その傾向は進むものと考えられます。

    2. 本来子供にとって、親と暮らすことは望ましい環境であり、同様に祖父母と同居することは望ましい環境であるというのが一般的な認識。今回の後期計画には、三世代同居の減少を食い止めるあるいは回復させるための手だてが見当たらないが、三世代同居が減っていることを子育ての面からどのように認識しているか伺う。

      【答弁要旨】
       子育て家庭を取り巻く環境は、大きく変わってきております。地域における地縁・血縁関係の希薄化、そして、核家族化による世代を超えた子育て経験の受け渡しが困難な状況となっています。
       そして、親子の関係や同居に対する概念が変化して、意識や価値観といった要素も大きいことから、三世代同居の促進は難しい面もありますが、一方、三世代同居・近居は、子育ての相談や子どもの世話を任せられるなど、子育て支援に効果が期待できるものと考えております。

    【2回目質問】
     様々な事情により三世代同居ができない家庭があり、そういう家庭のための支援施策の充実は必要だとことは理解でる。しかし、一方で三世代同居の減少を食い止める施策を行わなければ、三世代同居が可能な家庭までもが核家族化するなど、今回の施策が三世代同居の減少を加速することも危惧される。このことに関する認識を伺う。

    【答弁要旨】
     かつての三世代家庭には、多家族における様々な触れ合いや体験が可能でありました。そして、子育てにおいて身近な支援者がいるという大きな意味合いがあります。
     平成18年6月、国の少子化社会対策会議で決定された「新しい少子化対策について」の中に、家族用住宅、三世代同居・近居の支援が項目として上がっており、本市においてもこの後期計画素案の中で継続事業として住環境の施策を掲げておりますが、現在において、三世代同居の減少を食い止める特効薬はないのが実情です。
     5年間という計画期間の中で、まずは、現状に即した支援を推進していくことが重要であると考え、今後、国の新たな少子化対策を踏まえ、社会全体で子育て支援を行う仕組みづくりを進めていくことが大切であると考えています。

    【まとめ】
     三世代同居の減少を食い止める特効薬はないと言って、そのための手だてを何も講じないというのはおかしい。大きな効果は期待できないとしても、何らかの啓発事業を行うことは意義あることなのではないか。子育てにおける様々な問題の根本原因の除去という意味は大きいはず。また、自助、共助、公助など地方自治における「補完性の原則」ということを考えても、今回の行動計画にあげられたような共助や公助に優先して、三世代同居による自助を促進していくということがまず行われるべきであろうと考える。是非とも今後さらに真剣に検討していただくことを期待する。

  2. 「とよはし歴史探訪」事業に関連して伺う。次世代を担う子ども達に地域の歴史を教え、自分の住む地域に誇りを持たせることは、いつか自分達がこの地域のために貢献したいという気持ちを育てることになると考えられる。そういう意味でこの事業は有意義であると考えるが、事業のねらいと更に詳しい事業内容について伺う。

    【答弁要旨】
     「とよはし歴史探訪」は、市民への歴史・文化財の保護意識を高めることを目的に市内を中心に主要な文化財や史跡・歴史の道などをめぐる市民参加の体験型学習事業として、平成12年度から実施し、毎年600人以上の方々の参加をいただいております。
     事業の内容でございますが、文化財や史跡・戦争遺跡・街道などを巡るもの、また、小学生を対象に古墳時代の勾玉やトンボ玉づくりに挑戦するものなど様々でございます。特に、古墳時代へと思いをはせる勾玉づくりは、毎年、多くの参加をいただき好評をいただいております。
     本年度も10講座を計画し、現在までに7講座を終えていますが、今後とも、多くの市民の皆様に郷土豊橋の歴史、文化財等を紹介しながら、「郷土豊橋について」また、文化財保護についての意識を高めていければと考えております。

    【2回目質問】
     「とよはし歴史探訪」は、文化財保護意識、歴史認識を育成するために行っているとのことだった。「子どもの人間形成」という意味では、文化財や史跡を学ぶということも大切だが、この地域ではどんな人たちが先駆者として地域を作ってきたのかを知らせることはさらに大きな意義を持つものと考えられる。このことについて、学校教育などの中でどのように取り組まれているのかを伺う。

    【答弁要旨】
     豊橋をつくってきた人物を取り上げる学習といたしましては、主に社会科があります。小学校におきましては、3年生及び4年生で、「人々の生活の変化や地域の発展に尽くした先人の働き」について学習いたしますが、ここでは、神野金之助を取り上げて神野新田の開発を学習する学校もあります。この他にも、3・4年生が社会科の副読本として使用する「とよはし」には、本市の発展に尽くした人物として、小渕志ちや羽田野敬雄といった人物も載せられており、各学校では、これらの人物を取り上げながら学習をすすめております。また、小学校6年生と中学校1・2年生では歴史学習に取り組みますが、例えば、戦国時代を学習する際に牧野古白を取り上げたり、明治の殖産興業の学習に朝倉仁右衛門を扱ったりすることもございます。
     しがしながら、このように人物を扱う際には、単に豊橋にかかわりが深いという理由だけでなく、地域の実態や学習のねらいに応じて取り上げることが重要であります。従いまして、各学校では、実情に即して、教材としての検討を加えながら学習に取り入れております。

    【まとめ】
     この計画では、次世代育成策を充実して子ども達をしっかり育てていくというわけだが、町の持続的発展を考えれば、育った子ども達がこの町のために働きたいと思える環境づくりは忘れてはならないことのはず。この町は貢献してくれた人の恩を忘れることなく、後世に語り継いでいる、ということを示すことがそういう環境の一つとして重要。しかし、大口喜六初代豊橋市長や三河港や豊川用水を提唱した近藤寿一郎市長などの働きを知る子どもは少ないと思われる。そういう意味では、先人の努力の伝承はまだまだ十分とは言えないのではないか。更に一層充実させていただくことを期待する。


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