2009年12月7日(月)一般質問
青字は答弁
1.「無駄のない市役所づくり」について

【背景説明】

  • 佐原市長就任後の1年を振り返ると、世界は大不況の真っただ中にあり、景気の後退はさらに厳しさを増すことが予想され、市の財政も一層の厳しさが見込まれている。このことは、経常収支比率の推移に如実に示されており、その値は経営改革プランの目標値を超え、経常的収入の増加と無駄な支出の削減が喫緊の課題となっている。
     一方、佐原市長はマニフェストの中で、「新たな行政へ」と題し、「無駄のない市役所づくりの約束」を掲げているが、今こういう状況となり、この約束が更に大きな意味を持つ。無駄のない市役所づくりをどのようにして実現していくのか、今後の取り組みについて、以下の三点の側面から伺う。

【質問1回目】

  1. 市長マニフェストの「無駄のない市役所づくり」の中では、「市役所で行う全事業の必要性と意義の見直し」が掲げられている。政府は行政刷新会議の主導により11月11日から月末にかけて、国の全事業の約15%に相当する449事業について事業仕分けを行った。本市に隣接する浜松市においても、昨年5月31日と6月1日の2日間にわたり事業仕分けを実施している。今回中央で行われた事業仕分けについては、その手法にいろいろな批判もあったが、オープンな場での議論ということを高く評価する人が多くいたことも認めなければならない。
     また、昨年の選挙で新たな市長を求めた市民の期待に応えるためには、すべての事業を見直すことの必要性は高い。市長のマニフェストに掲げた、市役所から無駄な仕事をなくすために行う全事業の見直しの方法は、事業仕分けを行うということを想定しているのか? また、そうでないならば、どのような理由でどのような方法を考えているのか?など、伺う。
  2. 地方自治法第2条第14 項では、「最少経費で最大効果を挙げる事務処理の原則」が掲げられているが、現実には「予算の使い切り体質」は依然として残り、無駄を生む風土が残されている。このことは先日の、会計検査院の指摘、市の自己点検による不適正経理調査結果からも見てとれる。個別事業の見直しと併せて、無駄を生む風土を変えることに対する市民の期待は大きい。
     無駄を生まない風土づくりをどのように行うのか。また、総務省の「地方公共団体における内部統制のあり方に関する研究会」が、今年3月に報告した「内部統制による地方公共団体の組織マネージメント改革」では、「業務の有効性及び効率性」「財務報告の信頼性」などを再点検することの必要性を示している。企業においては、平成17年の会社法施行以後、一定規模の企業は内部統制の見直し運用が義務付けられてきた。内部統制の整備・運用ということにどのように取り組んで行くのかも合わせて伺う。
  3. 多くの職員の方々は市民の福祉の増進のために努力をしていると理解しているが、一部には今でも組織の殻に閉じこもり、たらいまわしにするなど市民に対して親身になった対応をしていない、という事例を耳にする。無駄の排除を掲げることで、本来の目的である「住民福祉の増進」が更に忘れられる恐れがあるが、むしろこの機会に、市役所の本来の使命をしっかり職員に徹底していく必要がある。その必要の有無、またその必要があるなら、どのような方法での実現を考えているのかなど伺う。

【答弁1回目要旨】

  1. 個別事業の必要性と意義の見直しですが、今回、新政権が行った事業仕分けは、様々な意見はあるものの、それが公の場で行われ、毎日のように報道でも取り上げられて大きな注目を集め、国の施策や事業の在り方について国民的な関心を呼び起こしたという面で、意義のあるものであったと認識しております。
     「無駄のない市役所づくり」については、本市はこれまでも行政評価を活用して、全ての事業の目的を明確化させ、最も効果的・効率的な事業の選択と重点的な配分・見直しに不断に取り組むとともに、「経営改革プラン」を策定して、徹底的な歳出削減と歳入の確保により健全な行財政運営に努めております。
     しかしながら、今日の非常に厳しい財政状況の中で、今一度、全ての事業を洗い出し、抜本的な見直しを行うべく、新たな経営改革プランの策定に早急に取り組んでいかなければならないと考えております。
     見直しには様々な視点からの方法がありますが、目先の経費の節減だけでなく、本市の将来を見据え、また市民の皆さんが行政サービスや事業の内容・意義をよく理解し、一緒になって考えて頂けるような方法を検討してまいりたいと考えております。
  2. 無駄を生まない市役所の風土づくりについて、まず「予算の使いきり体質」ということですが、本市はこれまでも、限られた財源を出来る限り有効に活用することに努めてきており、予算についても、執行経費の残は出来る限り不要額として残し、翌年度の財源に充当することを基本に進めてきておりますが、大切なことは、職員一人ひとりが常にコスト意識をもち、業務改善とサービス向上を図り、そのことを組織として徹底していくことと考えております。
     また、「地方公共団体における内部統制」についてですが、国の研究会の報告書でも、内部統制というのは新しい概念、手法ではなく、地方自治体を取り巻く様々なリスクを組織的に把握し、自らの判断で整備・運用を行い、評価・改良を図ることであり、中でも、「業務の有効性・効率性」「財務報告の信頼性」は地方自治体にとって重要なポイントであるとされております。
     行政評価も、業務の有効性・効率性を検証する内部統制の一つの仕組みといえますので、リスクを管理する視点から現行のシステムに見直すべき点がないかなどを改めて点検する必要もあります。このように既存のルールの整理・合理化を実施することで内部統制の整備・運用を図ってまいりたいと考えております。
  3. 住民の福祉増進の徹底についてでありますが、限られた財源を市民サービスの向上に向け、有効に活用していくためには、職員一人ひとりがコスト意識を持ち、市民目線で無駄を排除していくことが大変重要だと認識しております。
     しかしながら、市役所における全ての業務の最終的な目標は、言うまでもなく市民の福祉を増進することにあり、効率性を追求するあまり、市業務に対する市民満足度が低下することがあってはならず、これまで以上に職員一人ひとりが市役所本来の役割について意識を高めていく必要があると考えております。
     そのためには、市民から寄せられる苦情や意見を踏まえ、日々業務の改善に取り組むとともに、職場内におけるOJTの実践や管理職員のマネジメントを通じた目的意識の醸成や、市民満足度の向上を目的とした各種研修を実施し、常に市民本位で行動できる職員の育成を図っていきたいと考えております。

【質問2回目】

  1. 個別事業の見直しについては、新たな経営改革プランの中で方策を定めて行きたいなどのお答えだった。そこで、経営改革プランの見直し時期は、いつ頃を想定されているのかを伺う。
     また、市民も参加した見直し作業では全事業の見直しは現実的には不可能。どのような基準により、市民参加によって見直しすべき事業を選択するのか、お考えを伺う。
  2. 職員一人ひとりが常にコスト意識を持つように、組織として徹底していく、リスク管理の視点から既存ルールの整理・合理化を実施することで内部統制の整備・運用を図って参りたいとのことだった。  職員のコスト意識を組織として徹底していくためには、その取り組みを評価することと、成果に対して報いるなど動機づけが必要。どのように取り組んでいるのか、現状と課題について伺う
     内部統制の見直しについては、既存ルールの整理・合理化を実施することで内部統制の整備・運用を図って参りたいとのことだった。今回、内部統制については、「業務の有効性・効率性」の見直しということで取り上げたが、内部統制の考え方が注目されるようになったのは、民間企業における粉飾決算等の不適正な会計処理を契機に、会社法にその整備が規定されたことによる。そういう意味では、会計検査院の指摘等により不適切な経理が判明した今、無駄を生まない市役所の風土づくりという意味と併せて、この時期に内部統制の見直しと整備への取り組みは徹底して行うべき。内部統制の定義は、総務省によれば「4つの目的(@業務の有効性及び効率性、A財務報告の信頼性、B事業活動に関わる法令等の遵守、C資産の保全)が達成されているとの合理的な保証を得るために、業務に組み込まれ、組織内のすべての者によって遂行されるプロセスをいい、6つの基本的要素として@統制環境、Aリスクの評価と対応、B統制活動、C情報と伝達、Dモニタリング(監視活動)及びEIT(情報技術)への対応により構成されるもの」。
     会社法では、大会社に対し、いわゆる「内部統制システム」の構築に関する基本方針の決定を義務付けている。今回の内部統制の整備・運用ということが掛け声だけで終わらないために、本市における内部統制システムの構築に関する基本方針の作成に着手すべきではないか。この点に関する、認識と対応について伺う。
  3. 住民の福祉増進の徹底については、更なる職員の資質向上と意識改革の徹底に努めて参りたいとのことだった。  この点についても、OJTやOFFJTなどの研修によるばかりでなく、日常のマネージメントサイクルを回すことにより、確実に質の向上を目指すべきではないか。この点に関する認識と対応について伺う
【答弁2回目要旨】
  1. 現在の経営改革プランが22年度までの計画であることから、23年度から新たな改革プランをスタートさせるべく、策定を行っていきます。ただ、それまでの間においても、「行政評価」を活用して、また新年度の予算編成の過程や日々の見直しの中で、プランにはない新たな改革・改善にも積極的に取り組んでいきますし、策定に向けての準備にも取り掛かっています。
     見直すべき事業の選択ということについて。本市では、1,000を超える事業があり、行政評価を活用しそのすべてを棚卸しして検証を行って参ります。それをどのような形で抽出し整理して市民の皆さんに示していくかについては、国が行った事業仕分けも、事業の選択の基準や審査のあり方、また長期的な政策視点に立ってのものか、更には議会の機能など、様々な問題も指摘されています。新たな経営改革プランの策定にあたっては、具体的な手法まではまだ検討していないが、少なくとも策定の過程において、市民の皆さんが行政への理解と関心を深め、一緒になって明日の豊橋を考えていけるような方法を見出して参りたいと考えています。
  2. (3)と併せてお答えします。 成果に報いる取り組みについては、本市では目標管理制度や行政評価制度を実施しており、職員のコスト意識は醸成されてきていると認識していますが、目標管理制度では、課長以上の職員の業績や成果を処遇に反映しています。しかし、行政における評価の視点は、コストや効率性だけでなく様々な視点があり、また事業評価と個人への業績評価が必ずしも合致しないなど、難しさもあります。しかし、少なくとも、頑張った職員が報われるような制度の構築が必要ですので、今後も引き続き検討を重ねて参ります。
     「内部統制システムの基本方針」と「住民福祉の増進のための職員の資質の向上」ということについては、「内部統制」とは、新しい制度・概念ではなく、予算経理、資産管理、職員管理、事件・事故、災害など、行政を取り巻くあらゆるリスクが含まれ、リスクの中身によって、その対応も異なり、既存の制度が構築されているものもあります。それでも「あってはならないミス」が発生することもあります。今後、「内部統制」という視点に立ってリスクを整理し、基本的な対応のあり方を研究していきたいと考えております。
     行政においては、100人の職員がきちんと対応していても、一つのミス、一人の職員の行為で、行政への信頼は「0」になります。それがまさに、「内部統制」の必要性であり、職員の資質向上、職員マネージメントの必要性でもあります。今後も、職場内研修や職場外研修の充実を図るとともに、日常のマネージメントの中で、職員の資質の向上と意識の改革を図っていかなければならないと考えています。

【質問3回目】

  1. 「無駄のない市役所づくり」については、1回目のご答弁で「全ての事業を洗い出し、抜本的な見直しを行うべく、新たな経営改革プランの策定に早急に取り組む」ということ、2回目では「23年度から新たな改革プランをスタートさせるべく、策定を行う」「策定の具体的な手法はまだ検討していない」ということだった。
     多くの市民は、マニフェストに掲げられた「全事業の必要性と意義の見直し」ということについて、佐原市長がご就任後早々に行って頂けるものと期待していたのではないか? 前市長の12年の任期中に、見出すことのできなかった無駄な事業を、新市長なら見つけてくれるという期待があったはず。佐原市長誕生1年後の今、これから準備しますというのでは少し遅いのではないか。この辺りの事情、さらに、「新たな行政」づくりに向けた佐原市長の意気込みも含めて、市長ご自身から補足説明をお願いする。
  2. 終わり。
  3. 終わり。
【答弁3回目要旨】
  1. これまでも、行財政改革の取組状況を検証するとともに、本市を取り巻く環境変化に対応するため、本年2月に経営改革プランの改訂を行いました。また、新年度の予算編成におきましても、徹底した経費の削減を求め、私としましても、自らの目で確かめながら作業に当たっております。そして、そのような理解のうえで、中長期的な視点に立った事業全般にわたる見直しについても、現在、取組みを進めているところです。今後も、市民の皆様の意見を十分にお聞きする中で、更に徹底した見直しを行い、無駄のない市役所づくりに邁進して参りたいと考えております。
  2. なし
  3. なし

【まとめ】

  • 大きな2と合併して下段に記します。

☆市内立地企業から信頼される市政のあり方について

【背景説明】

  • 大規模な景気後退の中で、各企業はコスト削減のために事業所の集約を行うところが増えている。先ごろ、本市に立地するメルセデスベンツ日本が新車整備センターを日立市に移転する決定をしたニュースは、まさにこのことを象徴するできごとと言える。製造業ばかりでなく、大規模商業施設についても拠点の集約が進められる可能性がある。岡崎市では松坂屋岡崎店が、来年1月に閉店することとなり、先日、閉店セールが始まったというニュースが報じられていた。また、地球温暖化の危機感から、企業にとってはその対策製品を市場に送り出すことが重要な課題となっている。中でも、自動車のハイブリッド化や電気自動車の開発は関連産業の広がりの領域を変えることとなり、このことも生産拠点を移動させる圧力になりつつある。企業が出て行く町がある一方、集約により企業の拠点規模が拡大される町もあるということになる。
     今回のベンツ新車整備センターの転出を契機に、本市が「企業に出て行かれる町」ではなく「企業が集まる町」となるために、今、何をすべきかを考えるべき。まさに地域間競争の時代となっている。多くの市民が働く場を得ることができるのか、失うことになるのか、大きな分岐点に来ていると認識しなければならない。そこで、企業活動がしやすい町であることの基本として、行政が信頼される町となることが重要であることから、以下三点について伺う。
【質問1回目】
  1. 市民に対する市政情報の提供や市政に対する市民の要望の収集は、市の組織、市議会議員、自治会などがそれぞれ行っており、多様な情報ルートが構築されている。しかし、法人市民である企業に対する産業政策情報の提供や市政に対する要望収集の情報ルートは見えにくいのが現状。どのようなルートでどのような情報がやりとりされているのか、企業との情報交流のあり方について、主なものについてその現状を伺う。
  2. 特に三河港に立地する企業からは、高速道路インターチェンジへのアクセスなどの道路の問題などが、これまで何度も指摘されていた。三河港に立地する企業からの要望に対して、どのような努力をし、成果としてあげられたことはどんなことがあり、成果に結び付かなかった場合はどのような措置が取られたかなど、三河港域の企業からの要望と対応について、伺う。
  3. 先月上旬に、来年4月をもって三河港に立地するベンツの新車整備センターが日立市の同社施設に吸収されることが発表された。既に今年2月には、同社部品センターが来年の秋までに習志野市に移転することが報じられていた。これらのニュースを受け、どのように対応し、今後の課題として何を学んだか、メルセデス・ベンツ日本叶V車整備センターの転出から学ぶものについて、伺う。

【答弁1回目要旨】

  1. 産業施策の情報提供については基本的に商工会議所を始め明海地区運営自治会や三河港振興会など、関係機関との連携を図り、年度当初に産業関係の補助制度の説明を行い、また、定期的な会合等に資料提供するなど、情報の共有化を図っております。
     そうした取り組みに加え、市内企業に対しては直接、情報収集などを行うものとして平成18年度には産業振興プラン策定時の企業要望の聞き取り調査を行い、昨年からは市幹部を始めとする職員が年間100社を超える市内企業を訪問して、経営状況の把握や、最新の取り組みなどの意見交換を行いました。
     また、今年度の新たな取り組みとして東三河5市長と地元企業8社による立地企業懇談会を実施するなど、様々な立場での情報交換に努めています。
  2. これまでの意見交換の中から、特に明海地区、神野地区を始めとする三河港周辺に立地する企業の方々からは、やはり幹線道路網や工業団地内の環境などインフラ整備に関する声が寄せられております。
     そうした要望につきましては、国、県、市の役割を整理し、市の役割については関係部局と連携して速やかに取り組んでおります。具体的には冠水に対する道路補修、中央分離帯の植栽の剪定、道路への土砂流出の対応などに取り組んでまいりました。また、国・県に対しましても東名高速道路へのアクセスに関するもの、臨海部の渋滞緩和や名豊道路の早期完成などの要望があり、早期解決に向け、関係機関と連携した要望活動を行っております。  なお、幹線道路の整備等大規模のものにつきましては全てが早急に対応できるものではないことから、整備計画などの情報が入り次第お知らせし、ご理解をいただくよう努めているところでございます。
  3. 今回のメルセデス・ベンツ日本新車整備センターの統合移転につきましては、自動車港湾としての三河港を中心とした産業活性化を進める本市にとりまして、シンボル企業の移転ということであり、本市産業施策の推進の点からも非常に残念なものでありました。
     今年2月、部品センターの2010年移転予定の報道発表後、職員を同センターに訪問させ、移転理由や今後のスケジュールを伺うなど、状況の把握に努めました。
     今回の新車整備センターの統合移転につきましても「世界同時不況の影響による国内販売の減少や、コスト削減など、事業の効率化を図るための企業判断である。」との説明を受けており、やむを得ないものと受け止めていますが、今後に向けては地元企業に対しまして、今以上、きめ細かい情報共有と、強い信頼関係を構築することが必要であるものと考えております。

【質問2回目】

  1. 先日、豊橋市内で行われた講演会で浜松市の鈴木市長は、「今は市内の企業が流出するのを防ぐために、市長である自分自身が先頭に立って様々な対応をすべく必死に努力している」ということを言われていた。今の豊橋市の企業に対する対応は他地域に比べて、企業にとって特に魅力あるものになっているとは言えない、むしろ平均的なものではないか。
     企業との意思疎通の充実の方策については、地域間競争における本市の産業施策のコアコンピタンスと言える程の内容を持つことが必要なのではないか。現状認識と併せて企業との関係づくりの方策の見直しと整備についてのお考えを伺う
  2. 市として対応すべきものについては関係部局と連携して速やかに取り組んでいる、国、県、に対するものは要望活動を行っているとのことだった。そこで更に、東名高速道路へのアクセスに関するもの、臨海部の渋滞緩和に関する要望事項の進捗状況並びに今後についてどのような展望を持たれているのか伺う。。
  3. 2月の部品センター転出発表の際の対応をお聞きしたところ、2月の報道発表後に市の職員が同センターを訪問し、部品センターの移転理由や今後のスケジュールを確認したということだった。ご答弁では、メルセデスベンツ日本は三河港のシンボルの一つとも言える企業であるとの認識を持っていたとも言われていたが、それにも関わらず、なぜ、その程度の対応だったのか? 市長あるいは副市長が東京の本社を訪問することは考えられなかったのか? この時期に大切なことは、まずはトップが先方本社を訪問し、これまでの三河港振興への寄与に対する謝意を伝え、今後、情勢の変化の中で再び関連施設の増強をお願いすることなのではないか? 一般的に、取引においても個人の関係においても、問題が生じた時にどのように対応するかによって、相手に対して日頃の真意が伝わるとも言われる。更に言えば、三河港の機能を充実させ、外資をはじめとした多くの企業を誘致してきた、先人の並々ならぬ努力があったことは忘れてはならないことのはず。その努力の結晶に対して大問題が起こっているということを認識しなければならない。どれほどの誠意を示すことができるのかを、今こそ問われている。当面、どのように対応していかれるのか伺う。
     また、2月の部品センター転出の報道発表の段階で、県と協調しての活動は考えられなかったのか? 県に対してどのような対応をされたのかについても伺う。
【答弁2回目要旨】
  1. 企業との意思疎通の必要性についての認識と関係づくりの方策についてでございますが、現在の厳しい経済状況におきましては、地元企業の地域に根付いた活動と行政、市民と一体となった産業の活性化がもっとも必要であり、そのためには緊密な情報共有に基づく強固な信頼関係を築くことが重要であると認識しております。
     今後におきましては、改めて「企業の活力は健全なまちづくりに欠くことのできない大切な要因である。」との考えから、今以上に県を始めとする関係機関との連携を強化し、市内企業に対する接点を増やすことで、共有する情報の密度を高め、ワンストップサービスの機能を強化するなど、より強い信頼関係を得られる方策を研究してまいりたいと考えております。
  2. 臨海部から東名高速道路へのアクセス、渋滞緩和に関する取り組みと今後の展望についてでありますが、まず、東名高速のアクセスといたしましては、国道23号名豊道路の豊橋・豊橋東バイパスは、平成24年に開通予定で整備が進められ、また、音羽蒲郡インターチェンジへのアクセス道路となる豊川市内の東三河環状線の4車線化と国道1号との立体交差も、これに併せ整備が進められており、これらは高速道路へのアクセス向上に大きく寄与するものと考えております。
     また、臨海部の渋滞対策といたしましては、明海地区の交差点改良が完了するなど、平成18年度に策定しました三河港周辺地域幹線道路ビジョンの実現に向けて関係機関とともに努力しているところでございます。
     今後の展開といたしましても、東名、新東名へのアクセス向上などを図るため、経済界、関係団体、企業の皆さまなどと協力し、ビジョンの実現に努めて参りたいと考えております。
  3. メルセデス・ベンツ日本の部品センター移転報道後の対応でございますが、新車の販売台数が大幅に減少する中、経営的・戦略的な判断から今回の豊橋からの移転となったとのことであり、一部やむを得ないものと認識いたしております。  しかしながら地元企業を大切にするという観点から、トップの意思を強く、また効果的に伝えることが相手に訴えるものも大きいものと考えておりますので、先の11月26日には市長とともに私も東京本社を訪問し、これまでの良好な信頼関係の継続をお願いしてまいりました。  今後につきましても、情報収集を詳細に行い、必要に応じてトップセールスを行っていきたいと考えております。  また、県との連携についてでございますが、移転報道以降、それぞれの情報収集に基づく個別の対応となってしまったこともございましたが、同じ行政として、連携した取り組みが必要であったものと考えており、企業のニーズ・動向についての情報共有は大変重要であるものと認識しております。  今後につきましては、市内企業はもとより、本市に事業所を有する企業に対しても県とともに本社訪問を行うなど、今まで以上に連携を強め、きめ細かい情報収集に努めてまいりたいと考えております。

【質問3回目】

  1. なし。
  2. なし。
  3. 今回のメルセデスベンツ日本・新車整備センターの市外への転出は、同社の社内事情によるところが多かったとはいうものの、部品センターの転出に関する報道が2月になされて以後の対応については、大いに反省すべき部分があると考えなければならない。今後も本市において企業活動が活発に行われることが望まるが、現実には様々な問題が生じることが想定される。企業自身が活動をして行く上での障害、あるいは本市から企業が撤退してしまうというような問題、それぞれに対して市として、その緊急度と重大さに応じて的確に対応していく必要がある。そういう意味で、この機会に、本市の産業施策全般の危機管理ということを見直すことが急務であろうと考える。このことに関する認識を伺う。
【答弁3回目要旨】
  1. なし
  2. なし
  3. 産業施策における危機管理の見直しということですが、企業が活動していくうえには、様々な状況変化があるものと考えます。
     企業の皆様から信頼されるためにはそうした状況に応じ、的確な対応を遅れることなく行うことが何より大切と考えますので、企業活動の様々な状況を想定した対応策を検討する必要があるものと考えます。
     何より、「困ったら市に相談」というような意思疎通を図ってまいりたいと考えております。

【まとめ】

  • 佐原市長はマニフェストにおいて「新たな行政」を掲げられている。その中から、今回は「無駄のない市役所づくり」を取り上げたが、ここで議論したように、「新たな行政」の実現ということにおいては、組織マネージメントの改革ということが不可欠であろうと考えられる。昨今相次いで、メルセデス・ベンツ日本 新車整備センターの転出、不適正経理問題など、豊橋市政を揺るがす大きな問題が顕在化した。これらは「行政の古い体質」によるものであるとの見方もできる。この春には総務省の研究会から「内部統制による地方公共団体の組織マネージメント改革」に関するレポートも出された。豊橋ばかりでなく、全国的にも地方公共団体の組織マネージメント改革の必要性の認識が高まりつつあるということなのではないか? 佐原市長がいち早く全国に先駆けて、本市の組織マネージメント改革に着手されることを期待する。


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