一般質問 2007年12月定例会 12月3日(月)
青字は答弁
1.地球温暖化の影響とその対応について

【背景説明】
○地球温暖化は新たな段階に入ったと考えられる
 地球温暖化は懸念をしていた第一の段階から、温暖化による現象の出現が確認されるようになり、予防ばかりでなく適応を考えなければならない第二の段階に入った。以下はその根拠。

  1. 2007年のノーベル平和賞は、「人間活動に起因する気候変動についての知識を広め、必要な対応策への基礎を築くよう努めた」ことを評価された、アル・ゴア前アメリカ副大統領と気候変動に関する政府間パネルIPCCが、受賞することが決まった。
  2. 巨大ハリケーンの発生回数の増加など気象の激甚化、グリーンランドなどの氷河の融出量の増加、多くの動植物の両極方向への移動など、気候変動が目に見える形になって現れてきた。
  3. 現在インドネシアで開催中のCOP13で、京都議定書から離脱していたオーストラリアが復帰の可能性がある。
  4. 豊橋でも、彼岸花の開花の遅れなど気候変動を実感する様々な事態が発現している。
  5. 2005年に発表された国立環境研究所のレポートで、「地球温暖化の悪影響は、温室効果ガスの削減策を強化するだけでは十分に避けることができない」と報告している。

○第二の段階は、市民生活や産業への脅威に対して備えが必要な段階である。

【質問1回目】
(1)本市域への地球温暖化の影響について(気象観測データなどから読み取っているもの)
(2)今後予想される市民生活、産業への影響と対応について(影響予測と対応の考え)

【答弁1回目要旨(環境部長)】
 (1)、(2)をまとめて答弁する。わが国の平均気温は、過去100年間で約1度上昇している。これは、世界の平均気温の上昇を上回っている状況。この影響として、100年前と比較して、桜の開花が平均で5日早く、逆に、紅葉は1週間程遅くなっている。更には、各地で最高気温が更新されたり、真夏日の日数が増加していることなど、日々の暮らしの中で実感するまでになっている。
 本市においても、20年前の平均気温は15.7度だったが、昨年度は16.2度で、0.5度の上昇となっており、概して右肩上がりの傾向を示している。この身近な影響として、最近の暖冬に伴い、路地野菜における害虫の駆除や除草期間の長期化など、その変化を近隣の農業者から耳にすることもある。
 このまま温暖化が進行すると、今世紀末のわが国の夏の平均気温は4.2度上昇し、真夏日も70日程増加するという専門家の危機的な言もあり、農業への打撃のほか、熱波の発生や熱中症の増など健康への懸念、更には新たな感染症への危惧など、生活への影響が一層深刻となり、その対応が必要になってくるのではないか、また、産業面では、省資源、省エネルギーを前提に、新たな技術革新や製品開発、併せて、環境に配慮した真剣な取組みが更に求められてくるであろう、などの認識を持っている。

【質問2回目】
(1)気候変動の影響を考えた時、本市の持つ強みと弱みはそれぞれどのようなことがあるとお考えか(脅威をチャンスとするための、経営環境分析として)
(2)環境行政のミッション(使命)は何か

【答弁2回目要旨(環境部長)】
 まとめた形でお答えする。IPCCの報告によれば、今世紀中に世界の平均気温は、今より1.1度から最高で6.4度程上昇し、人間社会を含め生態系全体に深刻な影響を与え、湖沼や河川の水質悪化、更には、農業や林業の生産減など、その影響は計り知れないものがあると警鐘を鳴らしている。
 また、今後の2、30年の間において、温室効果ガスの削減努力や投資が、各分野での存続にも大きく関わってくるとも言われており、自治体の使命も益々重要になってくるものと認識している。
 こうした観点で、本市の特性を考察すると、まず、豊橋技術科学大学を中心とする科学的な機関も充実していることから、環境に関わる専門的な知識や見識を直接的に情報集約できる状況下にあり、また、産学官の協力体制への条件整備も一定具備されてきているとも思っている。更には、豊川流域における歴史に培われた風土や一体感に基づく広域的な取組み、そして、農業粗生産の優位性を保っている当地域での蓄積された農業技術、加えて、530発祥の地として養われた市民の環境意識や市民協働の気運などが強みとして挙げられる。一方、弱みについては、散発する渇水に対する水資源の確保、更には、閉鎖性水域における水質汚濁など、こうしたものがあろうかと思う。
 地球温暖化対策については、来年度開催される洞爺湖サミット等において、具体的な施策や方針が示され、国や自治体の役割や使命も一層明確化されてくると思っており、当地域の特性に見合った新たな発想や対応が従前にも増して必要となってくる、こんな「思い」を持っている。

【質問3回目】
 地球温暖化の影響は全国一律に現れるわけではなく、地勢により多様な出現形態が考えられる。独自のデータ把握による、自立的な状況判断が問われるところとなる。差し迫る地球温暖化時代への適応に向け、決意を伺う。

【答弁3回目要旨(環境部長)】
 次世代への継承や持続可能な社会の構築が、従前にも増して希求されている今日、地球温暖化に対し危機的な意識をそれぞれが持ち、夫々の立場で使命や役割を果たすことが第一義的であると思っている。そして、一つの情報発信が輪となる体系づくりや広域的観点などが、ますます意義あるものとなってくる、そして、行政の役割も重みを増す、こんな認識をいたしている。東三河5市での環境部課長会議を始め、あらゆる機会を捉え、地球温暖化の問題について積極的に発揚してまいりたい。

【まとめ】

  • 気象観測データの把握、市民生活や産業への危惧など、本市への影響についての研究はまだ不十分と感じる。今後の取り組みを期待する。(1回目の答弁終了時に)
  • 地球温暖化による影響は、積極的に取り組むことで市民生活の充実、産業の発展、地域間競争での優位の獲得などを得られる可能性がある。受身ではなく、前向きにとらえることが重要。(1回目の答弁終了時に)
  • 強み、弱みについては、まだまだあるはず。今後の行政経営の課題を探るための経営環境分析という意味においても、さらに検討していただくことが必要。(2回目の答弁終了時に)
  • 強みを活かし、弱みを克服すべく戦略的に取り組むことが必要。(2回目の答弁終了時に)
  • 気候変動への対応については、長期的に見通すと同時に、不足する資源を補い合うために広域的に考える必要もある。東三河広域協議会の「道州制及び合併についての研究会」では、既に顕在化している問題ばかりでなく、地球温暖化のような数十年先には大きな問題となる可能性を持つ課題についても検討していただくことを期待する。
  • 数十年先の市民の安心のため、Think global & local, Act local、”世界を見て地域を考え、地域のために行動する”、の実践をしなければならない時は既に来ている。

1月4日東愛知新聞掲載記事

以上


戻る