2018年3月7日(水) 一般質問
青字は答弁
質問テーマ [ユネスコスクール豊橋大会の成果と今後のユネスコスクール活動の在り方][新公会計制度における純資産変動額の改善]

ユネスコスクール豊橋大会の成果と今後のユネスコスクール活動の在り方

【1回目】
 本市においては、平成27年3月までに市立の全小中学校のユネスコスクールへの加盟がなされたことと合わせ、県立の豊橋聾学校、私立の豊橋中央高校がユネスコスクールとなったことで、国内のどの市よりもユネスコスクールが多い町ということになった。このことを契機として、ESD活動の成果発表と今後の展望を考え全国に発信する場として、ユネスコスクール豊橋大会が、昨年11月24日と25日の二日間にわたり、市内4つの小中学校と愛知大学を会場として開催された。市内外から多くの参加者があり、大変有意義な大会になったものと感じている。
 この大会が行われることになった経緯を考えれば、この大会を今後の本市のユネスコスクール活動の新たな出発点とすることが重要であり、そのためには今、大会の成果と課題を確認し、確実に今後のユネスコスクール活動の充実に向けて活かしていくことが必要なことと考える。
 また、平成29年3月に公示された新学習指導要領では、その前文に「持続可能な社会の創り手となることができるようにすることが求められる」という記述が含まれている。この思想が新学習指導要領作成の底流となっていることは、本文の各章においても繰り返し持続可能性という言葉が使われていることからも明らかであり、国として日本各地における地域の持続可能性への危機感が高まっていることが推察される。
 ユネスコスクールであるかどうかに関わらず、ESDの取り組みが全ての小中学校で活発になることが予想されるが、その中で本市のユネスコスクール活動をどのようにするかを考えておく必要があると考える。
 そして、ユネスコスクール豊橋大会における主題は「人をつなぎ、未来へつなぐ、豊橋の教育」であり、副題は「地域とともに創るESD活動の推進」ということだった。
 ユネスコスクールが持続的に、ESD、つまり持続可能な開発のための教育、を行う学校であることを考えれば、ユネスコスクール活動が、校内の活動にとどまらず、校外を含むより多くの人の参加により、「地域の持続可能性」を高めることにつなげていくことが望ましいと考える。正に副題に示されている「地域とともに創るESD活動の推進」ということが重要な視点である。このことについて、どのように進めていくのかについても確認したい。 そこで、以下の点について質問する。

  1. ユネスコスクール豊橋大会の成果と大会から見えてきた課題について
  2. 新学習指導要領を踏まえたユネスコスクールとしての活動の活かし方について
  3. 今後のユネスコスクールとしての活動のあり方ついて
    1. ESDの理解を促進するための方策について
    2. 地域も含めた活動へ広げるための方策について

【1. 1回目答弁要旨】
 ユネスコスクール豊橋大会の成果と大会から見えてきた課題についてですが、成果としては、大会のねらいであった「本市の全小中学校がESD活動の意義を子どもや教職員、地域が共有すること」が、十分達成できたものと認識しています。とりわけ、実践発表やポスターセッションの場において、地域課題を自分たちの切実な問題としてとらえ、その解決に向けて考えを出し合う子どもたちの姿が見られたことは、大きな成果であったと言えます。
 その一方で、持続可能な社会づくりの考え方を一時的なものに終わらせず、子どもたちの毎日の生活の中に広く浸透させていくことや、学校間及び関係機関とのネットワークを日常的に活用していくことの必要性が、今後の課題として浮かびあがってきました。

【1. 2回目質問】
 ユネスコスクール豊橋大会の成果と課題についてお答えいただいた。
 まず、成果としては、ESD活動の意義を子どもや教職員・地域が共有することができたことなどがあげられた。確かにそういうことだとは思うが、いずれも豊橋市の参加者に関することである。
 豊橋大会は全国大会ということにはならなかったものの、市外からも多くの教育関係者が集まったと聞いている。そのほとんどは、ESDに高い関心を持つ人達であったはず。そういう人達の存在を知り関係を持つことができたことこそ、大きな成果と考えるべきではないのか?
 それが間違いでないのであれば、これから、この市外から参加してくれた人達との関係をしっかり持ち続け、ESDの充実のために協力し合える体制を作ることが課題と言えるのではないか? このことこそが、市内大会ではなく豊橋大会としたことの最も重要な意味なのではないのか? 認識を伺う。

【1. 2回目答弁要旨】
 市外からも多くの学校関係者の参加を得て、互いのESD活動を交流することができ、ネットワークの広がりにもつながったことは、成果の一つであると認識しており、今後そのネットワークは、様々な面で活かすことができると考えています。
 しかしながら、豊橋大会は、本年度大牟田市で行った「協力し合える体制づくり」を目的にした全国大会とは違い、全国に送付した案内にも書いたように、「発信・交流とともに、内外からのご意見やご助言を幅広くいただく機会」と位置付けた大会です。したがいまして、本市の小中学校において、子どもたちの日常にESDを浸透させ、全ての小中学校にESDを根付かせていくことが、現在やるべきことの一番の課題であるととらえています。

【1. まとめ】
 わざわざ市外からこの大会に参加してくれた人の中にも、今後の連携への期待はあったのかもしれないと思う。(答弁は)今一つ理解しにくい話ではあるが、ここではこれまでとし、(2)で触れさせていただく。
 市内の学校間でも、あるいは一つの学校内でも、ESDへの取り組みに温度差はあると思う。豊橋大会に参加し、気付きを得た人、やる気スイッチが入った人達が、その輪を広げられるように努めていただくことを期待する。 1については終わる。

【2. 1回目答弁要旨】
 新学習指導要領の前文で述べられている「持続可能な社会の創り手」の育成を目指し、これまで積み重ねてきたESD活動を、各学校が総合的な学習の時間だけでなく教科や教科以外の特別活動等全ての教育課程に反映させることが、極めて大切なことであると考えています。
 また、そのために豊橋大会で発表した4校の先進的な取り組みについては、研究紀要を今一度紐解き、それぞれの学校における発表までの具体的な営みを市内の小中学校へ広め、各校のESD活動につなげるよう働きかけていきます。

【2. 2回目質問】
 新学習指導要領との関係について、お答えいただいた。
 これまでユネスコスクールとしてESDの取り組みをしてきたアドバンテージとしては、研究活動の実績があるのは間違いないので、先進的な活動を市内全般に周知していくことは理解できる。他都市の学校より経験があるわけで、それを活かすことは、是非、進めていただきたい。
 そして、もう一つ言えることは、(1)で申し上げたように、一番大きな課題ではないと言われたが、ESDに取り組む他都市との関係を持っていることも大きなアドバンテージなのだと思う。特に、豊橋大会に参加してくれた他都市の方々と、ESD充実のためにどのような体制を作っていくのかを考えることは重要なのではないのか? その方策について考え方を伺う。

【2. 2回目答弁要旨】
 本市教育委員会としては、豊橋大会に参加された他都市ESD関係者と市内74小中学校とをつなぐ役割を担い、学校からの交流等の要望を受けた際には、迅速に情報提供のできる体制を整えていきたいと考えています。

【2. まとめ】
 お答えいただいたが、消極的な答弁であるという印象を受けた。志を同じくする他都市の教育関係者との連携は、市内の交流だけでは得難い様々なヒントや気づきを与えてくれる可能性があると思う。今後も大切にすべきだと考える。 以上で2については、終わる。

【3.a 1回目答弁要旨】
 ESDの理解を促進するための方策についてですが、2つの方策により、子ども達や保護者、地域に対して理解を深めていきたいと考えています。
 1つ目としては、本市が進めている、子どもの問題意識からスタートする問題解決的な学習において、「自分たちが取り組んでいることが、ESDそのものである」ということを、子どもたちに自覚させるように、教師が子どもたちに語り、日々の授業とESDをつなげるための意識づけを行っていくことです。
 2つ目としては、子どもたちが取り組んでいることが、未来につながるESD活動であることを、機会あるごとに学校から保護者や地域に発信し、子どもたちが通っている学校がESDを推進するユネスコスクールであることを伝えていくことです。
 こうした取り組みにより、ESDの理解が着実に浸透し、深まっていくものと確信しています。

【3.a 2回目質問】
 ESDの理解促進の方策については、問題解決的な学習がESDであることを、子供たちや保護者、地域に伝えることで、ESDの理解が着実に浸透するとの認識だった。
 ESDが何なのかということをいくら言われても、あるいは、ESDとは持続可能な発展のための教育であると言われても、腹に落ちないというのが、これまでの現場の問題だったではないのか? むしろ、ESDということを腹に落ちる日本語に翻訳することが重要だと考える。そのことを検討すべきだとう思うが、認識を伺う。

【3.a 2回目答弁要旨】
 ご指摘のように、確かに子どもたちには理解しづらい言葉だと思いますが、「ESD」という言葉は世界の共通語であるので、本市が独自の言葉に言い換えて、子どもや保護者、地域の理解促進を図ることは、今は考えていません。
 今後、各学校で取り組んでいる学習や活動が、持続可能な社会の担い手を育む教育であることを伝え、ESDという言葉と結びつけることで、理解できていくものと考えています。

【3.a まとめ】
 地域の持続可能性が危惧されるようになっているが、それは次の世代が、さらにその次の世代を、その地域において産み育てていくことが難しくなっている、ということであると思う。
 このことに対して、市長部局においては「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を建てるなど、若い世代がこの地域で暮らすことができ、暮らしたいと思える環境づくりの取り組みをしている。それも成果を出すのは容易でないが、ただ、それができただけでは持続可能性は維持できないと思われる。
 若い世代がこの地域で暮らしたい、地元に貢献したい、という気持ちがなければ、どんな環境を作っても、よそに行って勉強してから、地元に帰ってくるということにはならない。地域の持続可能性を確かなものにするためには、この地域で産まれ育った子ども達が、地元を愛する気持ちを持つことが不可欠であり、それを育てることがESDなのではないか。
 今申し上げたのは私の考えだが、ESD理解促進には持続可能性を阻害するものは何かということについての議論をすることも重要だと考える。
 以上で3.a については、終わる。

【3.b 1回目答弁要旨】
 学校行事や授業などにおいて、子どもたちが地域に出かけ、自然保護や防災等の活動を展開することを通して、これがESD活動であることを、保護者や地域へと発信し、地域全体を巻き込んだ活動へと広げていくよう働きかけていきます。
 また、豊橋ユネスコ協会との連携を強めていくことも、重要であると考えています。例えば、市役所市民ギャラリーなどに展示しましたユネスコスクールESD写真パネルの作成においては、従来、豊橋ユネスコ協会が主催で、本市教育委員会が後援という立場をとっていました。しかし、今後は、共催という立場で加わることで、パネルを今以上に展示する機会を設け、地域の人々の理解につなげ、地域とともにESD活動が一層推進されるようにしていきたいと考えています。

【3.b 2回目質問】
 地域も含めた活動へ広げるための方策について、保護者や豊橋ユネスコ協会との関係の在り方ということでお答えいただいた。
 この他にも、地元の、歴史、風習、生物、地形などを研究する人の協力を求めることも、ESDを充実させるとともに地域にも広げていく有効な方策になると思われるので、是非、考えていただきたい。
 一方、他都市を見ると、大牟田市、気仙沼市、岡山市などではESDに関して先進的な取り組みが行われている。
 例えば、大牟田市では、教育委員会が中心となり、大学や企業、ユネスコ協会などとESDコンソーシアムを作っている他、ユネスコスクール支援センターも設置している。気仙沼市では、ESDカリキュラム・ガイドを作成している。
 岡山市ではESDプロジェクトを行っている。これは、ESDに関する様々な取り組みを行っている関係機関や組織等の連携を強化して、岡山地域の特性に応じた効果的なESDを推進する活動であるとのこと。
 いずれも教育委員会による事業である。本市においては、ユネスコスクールの活動は各学校の主体性に任せており、教育委員会はそれを支援するという関係になっているものと思われる。しかし、市立の全小中学校がユネスコスクールになっていることの強みを活かすには、今紹介したESD先進都市に見られるような、教育委員会が先導的に行う事業があるべきではないのか? 認識を伺う。

【3.b 2回目答弁要旨】
 教育委員会としてできる学校への支援については、他都市の事例を参考にしながら、勉強していきたいと考えていますが、本市のユネスコスクールは、元々各学校で独自性を活かして行ってきた「特色ある学校づくり」をベースにしています。
 したがいまして、本市のESD活動の充実のためには、各学校の求めて応じた個別の支援をすることが望ましいと考えています。

【3.b 3回目質問】
 これまでの答弁では、市外関係者とのネットワークづくり、教育委員会の先導的な取り組みなど、ほとんど全てについて消極的な姿勢を感じてしまった。
 豊橋市は市内に76ものユネスコスクールが存在しており、ユネスコスクールの数で言えば、圧倒的に日本で一番のまちであるのは間違いのない事実である。既にそうなってから3年の経験をも積み重ねてきている。そして今後、新学習指導要領の実施により、全国の小中学校でESDへの取り組みが始まる。
 これらのことを考えれば、もっと自信を持って、日本の国のESDをリードしていくという気概を持つべきではないのか? そのために他の先進都市との連携についてももっと進めるべきではないのかと考える。
 ユネスコスクール豊橋大会のパンフレットに記載された教育長の挨拶には、「本会(豊橋大会)が、豊橋市のESDにとって、大きな一歩となることを願っています」と書かれている。
 教育長の認識を聞かせていただきたい。

【3.b 3回目答弁要旨】
 本大会におきましては、子どもたちに、持続可能な社会の担い手になるという思いや、保護者・地域に学校とともに持続可能な社会の担い手を育てようという思いが醸成できた点において、大きな一歩が踏み出せたものと考えております。
 現在は、ユネスコスクールの全校加盟という枠組みがあるものの、学校現場で自分たちの活動とESDの理念が十分に結びついていないという現状も否めません。
 したがいまして、長年積み重ねてきました、学校の地域性と独自性を大切にした特色ある学校づくりと、問題解決的な学習をもとにした学習を地道に実践していくことが、ESDを根づかせていく上で、遠回りのようでも一番の近道であると考えております。
 あわせまして、本大会で得られました他都市とのつながりを大切にしながら、他の先進都市との連携についてもさらなる高みを目指して勉強してまいりたいと考えております。

【3.b まとめ】
 特色ある学校づくりをベースにし、そして問題解決の考え方を積極的に取り入れていく、そのことが遠回りではあるけれども結果的には早く目的地に着く道であるというお答えであったと思う。
 今、日本の全ての小中学校で、ESDへの取り組みが始まろうとしている。これまでの本市のユネスコスクールへの取り組みが間違っていなかった、他に先駆けて全市の小中学校がユネスコスクールに登録してきた、この方針というのは間違っていなかった、そのことの証明であると思う。
 そして、もう一つ思ったのは、これまでESDについては、なかなか、先生方も忙しい中ではありながらも、率先して取り組んできてくださった先生方もある。
 ぜひ、私はここで留意していただきたいと思うのは、そういう方々がさらにやりやすくなって、その輪を広げていくことができるような、そういう雰囲気をつくっていくこと。豊橋市内の先生方、子どもたちの中に、やる気スイッチが入る人が段々ふえていく、そういう雰囲気をつくっていくことをぜひ取り組んでいただきたいと思う。
 ユネスコスクールへの取り組みが、地域の持続可能性に大きく寄与する活動になることを祈念し、ユネスコスクールに関する質問については終わりたい。

新公会計制度における純資産変動額の改善

【1回目】
 豊橋市は他の多くの自治体と同様に、生産年齢人口の減少と合わせ、少子高齢化が進むことにより、行政経営における収入増加が難しくなるとともに、支出の増加を見込まなくてはいけないという、困難な時代に直面している。だからこそ、行政経営について長期的な目標を持ち、合理的にその目標に到達するための戦略を持つことが必要だと考える。
 このような時代背景もあり、総務省は地方自治体に対して、発生主義による統一的基準に基づく財務諸表の作成の要請を行った。本市においては平成28年度決算からこの財務諸表の作成を行っており、平成28年度純資産変動計算書によれば、一年間に、一般会計等の純資産は4,100億円から4,000億円へと、100億円も減少したことが示されていた。先人が長年をかけて積み重ねて来た純資産を、1年で2.5%も減少させたということは、重大な事態であることを認識する必要があると思う。
 しかしながら、純資産減少の大きな要因の一つが、減価償却費という現金移動を伴わない経費であることなどから、これまで豊橋市役所内では純資産の減少には大きな関心が持たれているとは思えない印象がある。
 持続的な行政運営を可能とするためには、純資産の変動が将来の行政運営にどのように影響してくるのかしっかり把握し、それを踏まえた行政経営戦略の確立により、純資産を確保することを考えていくべきと考える。また、その実現のためには財務分析と行政経営戦略策定の体制について現状と課題を把握し、適切に対処すべきと考える。
 一方、新たな行政経営戦略の策定を待たずにすべきこともあると思われる。時期を逸してしまうことで実現が困難になることについては、早急に対応しなければならない。適切なタイミングを逸することなく、急いで財源確保の方策と、行政コスト縮減の方策について実施していかなければならないことについても、対応方策を確認したい。
 以上のことから、純資産変動額の改善方策について、以下の点について質問する。

  1. 財務分析と行政経営戦略策定のあり方について
    1. 純資産変動額と行政経営戦略の関係の認識について
    2. 財務分析と行政経営戦略策定の体制について
    3. 純資産変動額の目標設定の考えについて
  2. 市政を取り巻く状況変化の認識と必要とする職員の知識・能力の認識について
    1. 高額納税者(法人、個人)確保の方策について
    2. 学校大規模改修を活用する公共施設の複合化推進について

【1.a 1回目答弁要旨】
 財務諸表における純資産額の減少は、現金の支出を伴わない減価償却費などを含む1年間の行政コストに対し、税金などその年の財源が不足していたことを示しています。
 財務分析により純資産が減少する要因を明らかにし、それを踏まえて必要に応じた対策を講じていきたいと考えていますが、純資産については、変動額だけではなく、資産に対する純資産の割合を示す純資産比率も重要だと考えています。
 また、純資産額の増加については、事業の重点化や効率化によるコストの縮減と財源の確保、そして老朽化した公共施設への対策を図ることが重要と認識しています。
 議員がおっしゃる行政経営戦略の取組みとしましては、現状としては、行財政改革プランや公共施設等総合管理方針などに基づく施策を着実に推進することが必要と考えています。

【1.b 1回目答弁要旨】
 財務諸表の分析につきましては、9月の決算特別委員会でお答えしましたとおり、統一基準に基づく他都市の財務諸表との比較をしてまいりたいと考えています。現在は、本市を除くと中核市で5市、県内でも5市がホームページで公表している状況です。今後、他都市の財務諸表の公表が一定進んだ段階で詳細な比較分析をおこない、本市が現状としてどういう状況にあり、それは全国的にみてどうなのか、また、本市における問題点は何なのかなどを明らかにしてまいりたいと考えているところです。
 その体制につきましては、情報の収集や分析などは財政課で行ってまいりますが、分析にあたっては、新年度において監査法人と財務諸表作成・活用支援の業務委託を結ぶ中で、専門的な意見も聞きながら進めてまいりたいと考えております。

【1.c 1回目答弁要旨】
 平成28年度決算においては純資産が減ったわけでありますが、法に基づき地方公共団体の財政の健全度を測る財政健全化判断比率などが大きく悪化しているわけではなく、財政面において明らかな支障がでているという状況ではございません。
 この純資産の減少が、将来的な行政運営にどのような影響を及ぼすのか、また、どの程度の純資産額が本市にとって適正なのかについては、財務分析を進めていく中で課題を見極め、それに対応していくことが重要と考えています。
 なお、地方公共団体は、利益を追求する民間企業とは異なり、市民福祉の増進が目的であることから、純資産の増加とともに、行政サービスの質の維持・向上を図ることが必要であると考えております。

【1.abc 合わせた2回目質問】
 aでは、純資産が減少する要因について財務分析により明らかにし、必要に応じた対策を講じていくとのことだった。bでは、新年度からは監査法人に財務諸表の活用支援の委託をする、ということも言われた。cでは、財政面において明らかな支障が出ているという状況ではない、ということなどの答弁だった。
 総務省の統一的基準による地方公会計マニュアルによれば、「発生主義会計では、減価償却費等といった見えにくいコストも含む正確なコストの認識が可能となり、経済的事実の発生に基づいた『適正な期間損益計算』を行うことができる」との説明がある。
 つまり、行政コスト計算書や純資産増減計算書は、その年の特別要因を除いた経常的な行政コストと、経常的財源の状態が把握できるものであると言えると思う。経常的な行政コストや財源が把握できるということは、その改善目標が明確になり、戦略的な対策も可能になるということになる。
 現在が好ましい状態にないのであれば、その分析を行い、目標を明確にして改善を行うべきであるし、それが行政経営戦略ということになると思う。
 現時点では、減少したとは言うものの、純資産はまだ約4,000億円あるので、直ちに財政面の支障が出るということはないと思われる。しかし、この純資産減少傾向が続けば、いつかは財政面の支障がでるのは明らかである。
 今、本市においては、新アリーナの検討が行われている。このような大きな投資判断を行うには、今後の純資産変動にどのような影響を与えるのかを明確にする必要がある。戦略的判断をしなければならない。
 このことも含め、長期的視点に立った行政経営戦略の策定は急ぐべきであり、その策定体制についても明確にしていく必要があると考える。監査法人のアドバイスを求めることは適切だと思うが、行政経営戦略の策定を第三者に委ねることはできない。
 行政経営戦略の策定の必要性、その戦略策定の体制づくりの必要性について、認識を伺う。

【1.abc 合わせた2回目答弁要旨】
 新基準としての財務諸表は今年度初めて作成し、先程申し上げたとおり、まだ比較できるようなものも少ない状況ですが、既に公表を行った他の中核市との比較では、本市の純資産比率は高い水準にあります。一方、純資産の減少額は他の中核市と比べて大きい状況となっていましたので、その要因を分析してみますと、純資産の構成要素である地方交付税や国県補助金が少ない状況であり、このことは、本市が自立した財政運営を行っていることを示すものでもあると認識しています。
 これは、一つの例ではありますが、今後は各市の現況や特性を考慮する中で、まずは他都市比較や経年比較などについて、専門家の意見も聞きながら財務分析を行い、本市の状況や課題・問題を明らかにすることが必要であり、その取り組みをしっかり進めていきたいと考えています。そして、状況を踏まえた上で、行政経営戦略の策定や、その体制づくりの必要性を見極めていきたいと考えています。

【1.abc 合わせた3回目質問】
 状況を踏まえた上で、行政経営戦略の策定やその体制づくりの必要性を見極めていきたいとのことだったので、今後の推移を注視していきたいと思う。
 そして、この検討を進めていただく上で、一点、確認させていただきたい。
 先ほどの財務部長の答弁で、「純資産が減ったが、財政面において明らかな支障がでているという状況ではない」という趣旨のことを言われている。この点に少し不安を感じている。純資産は先人が築いてくれた大切な正味の財産であり、行政運営を安定して行うためのバッファー(緩衝力)となるストックである。
 できるだけ減らさずに、次の世代に引き継ぐために最大限の努力をすべきものであるという認識をお持ちであるか、認識をお聞かせいただきたい。

【1.abc 合わせた3回目答弁要旨】
 最初に申し上げますが、先程の財務部長の答弁趣旨は、決して純資産を減らしてよいということではございません。純資産は、将来世代にも利用可能な資源であり、重要なものと認識しています。
 純資産の減少対策として、行政コストの縮減が有効ではありますが、その一方、コストをかけて現世代の市民へのサービス向上に努めることも行政の目的であり、これには純資産を減少させる側面もあることから、双方のバランスが大切であると考えています。こうした視点を持ち、行財政改革プランや公共施設等総合管理方針に沿った取組みを着実に進める中で、業務の効率化や公共施設の最適化などによるコスト縮減を図ってまいります。
 今後におきましては、純資産が減少する要因を明らかにし、それを踏まえた対策をしっかりと講じるとともに、財務諸表を活用した予算編成や資産管理を取り入れながら、将来を見据えた財政運営を行ってまいりたいと考えております。

【1.abc 合わせたまとめ】
 純資産は将来世代も利用可能な資源であり、重要なものという認識をお聞かせいただいた。
 先ほども申し上げたが、これまで先人が積み上げてくれた純資産を、次の世代にしっかり引き継いで行くことができるように、最大限の努力をしていただくことを期待する。
 1.については以上で終わる。

【2.a 1回目答弁】
 高額納税者(法人・個人)確保の方策についてです。
 純資産を増加させる要因の一つであります、財源確保のうち市税につきましては、中小企業の設備投資に対する後押しや、人材採用活動の支援などにより企業活動を活性化させることで、企業収益の増加や雇用に伴う個人所得の増加を図り、個人や法人の担税力を高めていきたいと考えています。
 また、子育てサービスの拡充や教育施策の推進による定住人口の増加、工業団地の整備等による市外企業の誘致、さらに、女性が輝くまちづくりの推進へ向けての取組みなど、選ばれるまちを目指す豊橋の魅力を市外へ発信し、人や企業を本市へと呼び込む施策を推進することが必要であると考えております。

【2.a 2回目質問】
 法人・個人の高額納税者確保の方策について、考えを聞かせていただいた。それぞれ必要なことと思われる。ただ、お話いただいたことより、もっと早急な対応が必要と思われる部分についてさらに伺いたい。
 一つは、個人の高額納税者の確保について。個人の場合、住民票を移すことで簡単に市民税はその移転先の自治体に納められることになってしまう。その逆の事態も起こり得る。
 本市だけではないと思うが、どんなに高額の納税をし、市政に大きな貢献をしても、だれかに感謝の言葉をかけられることすらない。財政的な面で市政に貢献してくれた方にも、何らかの形で感謝の気持ちを伝えるのは大切なことなのではないか?
 例えば、本市ではふるさと寄付に対しては、返礼品として「牛川の渡しの操船体験」とか、「のんほいパークでのセグウェイとバックヤードツアー」などを実施している。こういうものでもいいし、のんほいパークの定期入園券ということでもいい。一定額以上の納税をしてくれた方に、こうした新たな費用の発生しない「お礼」をしていくことを考えるべきではないか?
 個人の高額納税者を確保するための方策について、認識を伺う。

【2.a 2回目答弁要旨】
 税金は、法令等の定めに基づき、公的サービスの費用をそれぞれの負担能力に応じて等しく分かち合うものであり、公平、中立、簡素といった税の三原則があります。
 公平の原則は、その中でも最も大切な原則であり、負担能力の大きい方にはより大きな負担をしてもらう垂直的公平の考え方に基づき、高額納税者の方もそれ以外の方も、公平に税金を負担していただいております。
 高額納税者に対するお礼は、この公平性を損なうこととなりますことから考えていません。
 今後につきましては、先程申し上げたような税源涵養に資する施策を推進することで、さらなる税収確保に努めたいと考えています。

2.a 3回目質問】
 税の公平性を損なうこととなるので、高額納税者へのお礼は考えていないとのことだった。
 かつて、長野県知事が過疎の村に住民票を移すということがあった。近年は、ふるさと寄付が拡大傾向にあり、納税先を選択するという発想が珍しくなくなってきている。そのことを考えたら、高額納税者を確保する方策については、柔軟な発想での対応を考えていただきたいと思う。
 次に、法人の場合、事業拡大のために設備投資しようとしても、適当な用地が見つからずに市外に設備投資したという話を聞いたこともある。誠に残念なことと思える。
 北九州市では、組織横断的に対応する「地元企業支援本部」という組織を設置し、地元企業の情報収集に努め、庁内の各部署が情報を共有し、企業の要望の実現や課題の解決を図ることとしていると言う。本市においても、既存の立地企業を大切にするために、北九州市のような取り組みをすべきではないのか? 考えを伺う。

【2.a 3回目答弁要旨】
 本市では立地企業との意見交換を行うため、明海地区や神野地区といった地区ごとの立地企業情報交換会や個別の企業訪問などを通して、事業の様子や困りごと、さらには行政に対する要望など生の声をお伺いし、関係部局と情報共有しその対応委努めています。また、企業活動に関する様々な相談ごとを、まずは産業政策課が窓口となってお伺いする「ワンストップサービス」を設置し、相談しやすい環境づくりも行っています。
 しかしながら、企業の皆様からの様々なニーズに応えきれているとは思っていませんし、もっと能動的に取り組む必要もあると考えています。
 いずれにしても、社会経済状況の変化などに伴い、企業の要望や課題も移り変わることから、今後は、これまでの取り組みにおいて、庁内での情報共有体制の一層の強化を図ることにより、課題を的確に把握し、効果的な産業振興施策につなげるとともに、既存企業の流出防止や再投資の促進につなげていきたいと考えています。

【2.a まとめ】
 立地企業情報交換会の開催、企業訪問、相談しやすい環境の整備などを行っているとのことだった。
 しかし、現実には市内立地企業が設備の拡張希望をしたいと思いながら、市内でできずに市外に立地したという事例があるのは間違いない。また、本市は市の規模から事業所税を課さなければならないという事情もあり、企業誘致という面では劣位にある。
 今、最善を尽くしているということだったと思うが、現時点でも拡張しようという意思がありながら、市内での拡張に目途が立っていないというところがあるという話も聞く。北九州市の取り組みについてはよく研究していただき、不足している部分については対応策を考えていただくことを期待する。
 2.aについては終わる。

【2.b 1回目答弁要旨】
 公共施設の複合化については、施設の大規模な改修や更新の際に複数の施設を一つにまとめることで、それぞれを個別に更新した場合に比べて、イニシャルコストやランニングコストが縮減できることから、純資産変動額の増加につながるものであると考えられます。
 公共施設等総合管理方針では、施設の最適化を実現するため、統廃合等の推進、遊休空間等の有効活用に取り組むこととしています。特に小中学校につきましては、学校規模の適正化に関する基本方針を踏まえた計画により、現在大規模改修を進めておりますが、児童・生徒数の減少に伴って普通教室として使用しなくなった遊休空間を活用した複合化等の実施により、時代のニーズに合った有効活用を図ることとしております。
 なお、平成32年度までには、既存の施設保全計画を、廃止や複合化等を踏まえた個別施設計画に改訂してまいりたいと考えております。

【2.b 2回目質問】
 平成32年度までには、既存の施設保全計画を、廃止や複合化等を踏まえた個別施設計画に改訂していくとのことだった。
 近年、小中学校の大規模改修は大変積極的に行われている。財源の問題もあるので、個別施設計画を待つというわけにもいかないことは理解できる。
 しかしながら、もし、老朽化した市民館が近くにあるのであれば、その機能を取り込むとか、避難所としての機能を高めるための工夫を盛り込むなどについては、個別施設計画の改訂を待たずに進めるべきことではないのか?
 そういう意味で、小中学校の大規模改修の検討にあたっては、教育委員会と建設部の考えだけでなく、市民協創部や福祉部などの意見を聞くことが必要と思われる。小中学校の大規模改修の検討における、庁内の横の連携による検討ということについて、考え方を伺う。

【2.b 2回目答弁要旨】
 庁内の横の連携については、これまでも資産経営課が中心となり、施設のあり方や方向性についてとりまとめています。
 校舎を改修するにあたっては、現在においても可能な限り調理室を1階に配置するなど、避難所機能や地域コニュミティ空間の確保に努めています。
 今後、複合化等を推進していくことについては、行政一辺倒にならないよう、平成30年、31年の2か年をかけて地域の住民の方と、施設のあり方について意見交換会を行う予定であり、この意見交換会での意見を踏まえ、庁内の各部局との連携を図りながら、個別施設計画の改訂を行っていきたいと考えています。

【2.b まとめ】
 資産経営課が中心となり、校舎改造に際しての庁内の横の連携を行っているとのことだった。後戻りできないことなので、十分に確認していただくことを期待する。
 今回は豊橋市の持続可能性ということについて、ESDという観点、そして行政経営という観点から質問させていただいた。
 以上で今回の全ての質問を終わる。


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