2015年11月17日(火) 環境経済委員会
青字は答弁
質問テーマ [豊橋市環境基本計画改定版(案)について][豊橋市廃棄物総合計画改定版(案)について]

豊橋市環境基本計画改定版(案)について

  1. 環境目標1 低炭素社会の実現により保全する地球環境について
     この目標は地球温暖化による気候変動を抑制するため、本市としてすべきことの方向性を示している。これは地球温暖化について加害者とならないように、あるいはその影響をできるだけ小さくすることを目指すものと理解している。
     一方、豊橋市民は地球温暖化ということについて、加害者であると同時に被害者でもあるはずである。ところが、毎年発行している「とよはしの環境」を見ても気候の推移については1ページのみの記載があるだけで、影響を受けているのかどうかよくわからない。本市における地球温暖化に伴う気候変動の影響が市民生活や産業活動にどれほど出ているかということについて、どの程度把握しているのかについて伺う。

    【答弁要旨】
     気候変動の影響が及ぼす市民生活や産業活動への影響については、本年3月の国の影響評価報告では、日本の年平均気温の上昇率は100年あたり1.14℃となっていることにより、長期的な視点で見た全国の状況として、水稲の品質低下や野菜、果樹での育成障害の発生頻度等の増加が見られる他、大雨事象の発生頻度や降水量の増などにより洪水氾濫が発生しているとされています。
     名古屋地方気象台による本市のデータ分析はありませんが、豊橋市統計書によると年平均気温が60年間で約1℃上昇している傾向が見られることから、影響についても、全国的な動向と同様であるものと認識しています。

    【2回目質問】
     気候変動の影響について、全国的には年平均気温が上昇していること、大雨の発生頻度が増えていること、水稲の品質や野菜・果樹の育成に問題が出ていることなどをあげていただいた。本市に関しては、年平均気温の上昇傾向が見られることのみをあげていただいた。
     今後、市民生活や産業活動への気候変動による様々な影響に対して、適応策を考えなければならない事態が起こることは十分あり得ると考えなくてはいけないのではないか? その適応策はタイムリーに、必要な事態に効果的に行われることが望まれる。
     そのためには、本市では気候変動の影響がどこにどんな形で顕在化してきているのかを把握することがまず必要となるはずである。影響としては、農作物の品質・生育や病虫害、人の病気、洪水や渇水などが考えられる。 そこで、産業部、健康部、防災危機管理課などとの連携により、気候変動の影響によると思われる事象について、その発生数などの数値を環境部として継続的に把握し公表していくことが必要と考える。このことについて、認識を伺う。

    【答弁要旨】
     本市においては、これまで担当部局において、一部の項目については、個別の状況把握の取組みをしておりますが、気候変動への適応策を進めるため、影響のモニタリングが必要であると認識しています。
     今後、モニタリングの実施項目やその方法などについて関係部局と検討を行うとともに、気候変動による中長期の影響など、市民生活や産業活動に係る関連情報の提供についても方向性を定めていきたいと考えています。

    【まとめ】
     気候変動の影響について、モニタリングの必要を認識しており、モニタリングの実施や市民への情報提供について検討していただけるとのことであり、期待する。

  2. 環境目標1.(3) 基本施策の推進に向けた施策について
     ここでは、低炭素社会の実現に向けて、市民生活や公共施設の面からエネルギー消費と再生エネルギーについてCO2の排出抑制策を示している。ところが、製造業、農業、商業などの産業については、CO2の排出抑制策がわずかしか示されていない。なぜなのか、考え方を伺う。

    【答弁要旨】
     産業におけるCO2排出抑制策についてですが、国は、省エネ法により一定規模以上の事業者について、年平均1%以上のエネルギーの削減に関する計画書を作成義務付け、取り組みを進めているところです。また、愛知県は「あいち地球温暖化防止戦略2020」において、産業・産品の低炭素化の推進を掲げ、事業者の自主的な取り組みを促進しているところです。
     本市においては、国や県と連携し、事業活動における自主的な取り組みを進めるため、環境施設に関する補助制度や融資制度などを通じた支援の他、農業分野においては、環境基本計画の基本施策U-4農地の保全として、農業分野へのクリーン技術の導入を掲げ、CO2排出抑制を進めていきます。

    【2回目質問】
     産業におけるCO2排出抑制策として、省エネ法、あいち地球温暖化防止戦略2020、農業分野へのクリーン技術の導入などの取組を行っているとのことだった。
     この環境基本計画が環境基本条例の基本理念に基づくものであるなら、一般市民や行政ばかりでなく、事業者の省エネルギーや再生可能エネルギーの利用を促進する施策も記載すべきではないのか。
     さらに、一般市民、事業者の自主的な取組みの方向性を示す将来像が必要なのではないかと考える。既に、浜松市をはじめ多くの市でエネルギービジョンが作成されている。燃料電池自動車の市場投入など水素の利用が現実的になってきた今、本市として省エネルギーや再生可能エネルギーに関する目指すべき将来像の作成について、考え方を伺う。

    【答弁要旨】
     1点目の事業者の促進施策についてですが、国・県の施策動向、関連補助金など、事業者の事業展開の進展に資する情報の普及啓発といった項目の記載を検討していきたいと考えています。
     2点目の目指すべき将来像の作成についてですが、エネルギー利用と関連が深い「豊橋市地球温暖化対策地域推進計画」の見直しにおいて、中長期の目標設定や、低炭素社会実現のための取組を検討していきます。そこでは、家庭・事業所などにおける省エネ技術の有効活用によるエネルギー利用の抑制のあり方、運輸部門などにおける化石燃料の削減手段や方法、再生可能エネルギーの利用推進などエネルギーに関する様々な取組みの方策などをお示ししていく予定であります。

    【まとめ】
     環境基本計画への事業者の省エネルギーや再生可能エネルギーの利用を促進する施策の記載については、事業者の事業展開の進展に資する情報の普及啓発といった項目の記載を検討していただけるとのことで、理解した。 省エネルギーや再生可能エネルギーに関する目指すべき将来像については、「豊橋市地球温暖化対策地域推進計画」の見直しにおいて、中長期の目標設定や、低炭素社会実現のための取組を検討するとのことだったので期待する。今後、エネルギービジョンのような形での将来像を明確にすることが、この地域の環境関連産業等の振興にもつながるはずであり、産業振興という視点も持っていただくことを期待する。

豊橋市廃棄物総合計画改定版(案)について

  1. リサイクル率について
     本市のリサイクル率について平成26年度の速報値18.3%であるものを32年度には28%まであげるという高い目標を掲げている。
     そこで、平成32年度におけるリサイクル率の計算式における分母即ちごみ排出量をどの程度とし、分子即ち資源化量の合計をどの程度にすることを考えているのか、また平成29年度からはバイオマス資源利活用施設が稼働する予定となっており、このことにより生ごみが資源化量に組み込まれることになるが、その資源化量をどの程度になると見込んでいるのかについて伺う。

    【答弁要旨】
     リサイクル率については、平成32年度におけるごみ排出量は約135,000t、資源化量は約37.500tを想定しています。
     次に生ごみ等の資源化量について、生ごみを1日当たり約59t取集し、バイオマス資源利活用施設でメタン発酵処理により発生するメタンガスが約2,200t、メタン発酵処理後の汚泥を水分除去して製造する炭化燃料が約800tと想定しています。
     これは、生ごみの成分の約80%が水分で、残った有機物がメタンガスや炭化燃料になると想定したもので、得られた資源は発電や石炭代替の燃料として有効活用するものです。

    【2回目質問】
     平成32年度のごみ排出量が約135,000tということで、これはこれまでのトレンドから見て実現可能性は高いと考えられる。
     しかし、資源化量想定値37,500tは26年の値の約42%11,000t強を資源化して行こうというものであり、容易ではないと感じる。バイオマス資源利活用による生ごみの資源化分が約3,000tあるが、それを差し引いても8,000tの資源化量の増加が必要になる。
     そこで、さらに4点についてお伺いする。

    1. 生ごみの資源化量3,000tの根拠となる、生ごみ日収集量59t/日は、生ごみがもえるごみの37%を占めており、その7割を生ごみとして分別収集できるという計算によるとのこと。もえるごみ全体の26%ということになる。先日の新聞報道によれば、既に生ごみの分離収集バイオマス資源利活用を行っている長岡市では、この数値が18%にとどまっているとしている。生ごみの日収集量59t、即ちもえるごみ全体の26%をどのようにして実現するのか、その方策について考えを伺う。
    2. P.15の表でこれまでの資源化量の増減推移を見てみると、その合計増減はほとんどスラグの増減に左右されている。25年度26年度とスラグの活用量が減少してきているが、その原因と活用量増加に向けた取組の考え方について伺う。
    3. スラグ以外のごみについては、平成21年度以降資源化量について大きな変化はなく、ほぼ横ばいとなっている。生ごみ資源化分を除く8,000tをどのごみをどの程度資源化していくかということについて、考えを伺う。
    4. スラグ以外のごみの資源化が進まない大きな理由は、市民による分別が頭打ちになっていることが大きな原因と考えられるが、その原因、そして分別を進める方策をどのように考えているのか、考え方を伺う。

    【答弁要旨】

    1. 生ごみを確保するためには、市民の皆様が生ごみの適正な分別にご協力をいただくことが重要であると考えます。
       先進都市の長岡市の分別を見てみると、あさりの殻やタケノコの皮など発酵に適さないものを生ごみとして扱わないこととしていますが、本市の生ごみ分別については、市民の皆様方に協力が得られやすく、かつ、負担が少なくわかりやすいものにすることで、より多くの生ごみを収集できるものと考えています。
       なお、長岡市については実績値が報道されており、本市の計画値とは単純に比較できませんが、他都市での事例を踏まえ、より多くの生ごみという資源を回収できるよう検討していきたいと考えています。
       また、市民の皆様への分別方法の周知ですが、今後、市議会や自治連合会への説明を行うとともに、パブリックコメントにより市民意見を把握したうえで、来年度も指定ごみ袋制度と同様に地域説明会を実施する予定です。
       この他、啓発チラシの配布やごみガイドブックの改訂、映像を用いた視覚に訴える啓発をはじめ、ファミリー層や主婦層などターゲットをしぼった啓発により、きめ細く、また、幅広く周知を行ってまいりたいと考えています。
       周知にあたっては、生ごみ分別により得られる環境負荷低減やコスト削減など様々な効果も十分に説明し、より多くの協力が得られるよう努めてまいります。
       これらに加え、事業者にも協力を得る中で、事業系生ごみも獲得し、生ごみの収集予定量を確保してまいりたいと考えております。
    2. スラグの活用量の減少の原因については、県・市における公共工事でのコンクリート2次製品・再生コンクリート及びアスファルト混合物への再骨材利用の利用量の減少、また民間利用としては駐車場を整備する場合のアスファルト混合物への再骨材利用等の利用量の減少によるものが主な原因です。
       次に活用量増加に向けた取組の考え方についてですが、スラグの利用促進を図るため、これまでの利用用途として、コンクリート2次製品・再生コンクリート及びアスファルト混合物への再骨材利用に加え、新たに道路埋設物などのクッション材として利用出来るようにガイドライン等を整備する中で利用率の向上に努めております。
       また、本市が発注する公共工事のみでなく、あらゆる機会をとらえて国及び県が発注する公共工事に利用してもらえる様に働きかけを行い、幅広い利用先の確保に努めてまいりたいと考えております。
    3. 生ごみを除いた資源化の考え方としては、現在、もやすごみの中にリサイクルできる古紙が26%、18,900tが含まれています。このうちのおよそ半分を資源化させる考えです。
       そのためにも、古紙の回収拠点であるリサイクルステーションを積極的に活用してもらうよう啓発を図るほか、商業施設などで民間が行っている拠点回収も併せて周知することで古紙をリサイクルしやすい環境づくりに努めていきます。
    4. 資源化が進んでいない要因として古紙の回収量の鈍化があります。このことはペーパーレス化が進んだことで紙の量が減ってきたということがありますが、多くの古紙が再利用されずに捨てられているという現実もあります。引き続き豊橋市のごみの状況を市民の皆様に知ってもらい、「捨てればこみ、分ければ資源」という家庭における分別意識を持ってもらうよう啓発を進めていきます。
       なお、平成28年度4月から始まる指定ごみ袋制度を機にごみに対する認識を高め、分別意識の向上を図ってまいります。

    【まとめ】
     バイオマス資源利活用における生ごみの量の確保については、長岡より生ごみを出しやすい条件にするとのことだった。
     生ごみ収集量1日当たり59tは長岡の実績と比べて相当高い目標であることを認識すべき。バイオマス資源利活用事業の収支に係ることでもあり、確保の方策についてはさらに検討し、計画実現に備えていただくことを期待する。
     スラグについては、道路埋設物などのクッション材としての新たな利用も考えているとのことだが、リサイクル率に大きくかかわるものであり、新たな需要等さらに検討することを期待する。
     古紙の資源化を進めるとのことだが、分別とともに言えることは、これまでの方策だけではこれまでと同様に資源化率が横ばいになってしまうということ。主な方策は啓発ということになるが、本当に市民にメッセージが届いているのか、市民の立場で考えることが必要。また、分別の方法については工夫している市民も少なからずいるはずで、その方法の紹介なども考えられる。とにかく、今までの方法を点検し、効果をあげることを考える必要がある。


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