2015年6月16日(火) 6月議会一般質問
青字は答弁
質問テーマ [ユネスコスクール数日本一の都市として目指すもの][近年の人口動態の分析と対応][校区市民館のコミュニティセンター機能の充実]

ユネスコスクール数日本一の都市として目指すもの

 ユネスコスクールとは、日本ユネスコ国内委員会の定義によれば「ユネスコの理念を実現するため、平和や国際的な連携を実践する学校」ということであり、具体的に言えば、ESD教育(持続可能な発展のための教育)を継続的に行っていることが、国連の専門機関であるユネスコに認められた学校、ということになる。
 本市においては約2年前から全ての市立小中学校で加盟の準備をはじめ、昨年から順次加盟が承認されることとなり、現時点で74の全市立小中学校と豊橋中央高等学校そして県立豊橋聾学校の計76校がユネスコスクール加盟の承認をされている。
 この76校というのは国内では第2位金沢市の47校を大きく上回る第1位ということになる。「平和・交流・共生の都市宣言」を行っている豊橋市として、大変適切であり誇るべき取組であると思う。
 加盟の審査はパリのユネスコ本部で行われるため、申請書類は全て英文で書かなければならないことなど、多くのご苦労があったことが想像でき、関係された皆さんのご努力には心から敬意を表したい。
 このことの成果を確実にあげていくためには、ユネスコスクール加盟承認をゴールではなく出発点と考え、改めて何を目指すかを明確にして取り組むことが重要となる。
 そこで、以下の点について認識を伺う。

  1. ユネスコスクール加盟推進のねらいについて
  2. ユネスコスクール活動充実の方策について
【答弁要旨】
  1. 本市では3年前、ESDユネスコ世界会議の地元愛知県開催の決定を受け、ESDの理念や推進拠点となるユネスコスクール加盟後のメリット等を総合的に判断し、これまで本市の全小中学校が取り組んできている「特色ある学校づくり」をより一層深化拡充させることができるとの認識に立ち、全校加盟を呼びかけました。
     各学校においては、これまで取り組んできた活動が、世界機関としてのユネスコ協会本部の加盟認定を受けたことにより、子どもや教職員一人一人が、今までの教育活動の意義・価値を再認識することができ、さらなる充実に向けた取り組みへの積極的な姿勢につながるものと考えています。あわせて、加盟認定を保護者や地域へ発信することで、学校の取り組みへの理解を促進するとともに、ユネスコスクールとしての自覚と誇りをもって、発展させようという機運の高まりが期待できると考えています。
  2. 議員ご指摘のように、市内全小中学校のユネスコスクールへの加盟はゴールではなく、各学校のESD活動充実への契機とするものと位置づけており、「地域住民参加による活動」と「質を高めるシステムづくり」の2つの視点から考えています。
     1つ目についてですが、各学校の「特色ある教育活動」は、地域の教育的資源を活用した学びへと広がっており、地域住民との連携が不可欠であります。全校加盟を契機に、地域住民参加による活動をより発展させるために、全小学校区に導入している地域教育ボランティア制度の調整役であるコーディネーター対象の研修会を開催し、ユネスコスクールへの意識啓発を図るとともに、地域が学校のESD活動にかかわるべく、そのリーダー的な役割を果たしていただくよう働きかけていきます。
     2つ目は、各学校のホームページにESD活動の内容を掲載し、市内外の加盟校や豊橋ユネスコ協会等の関係諸機関との情報交換をはかるツールを立ち上げることを考えています。また、教育委員会が、全校の活動を環境や国際理解などの分野ごとに整理して体系化し、各学校においてESD活動の評価を行い、発展させることができるような、質を高めるためのシステムづくりを考えていきます。

【2回目質問】

  1. 加盟推進のねらいについて、特色ある学校づくりの一層の深化拡充につなげること、保護者や地域への発信により理解を促進することなどがあげられた。
     ただ、特色ある学校づくりの深化拡充ということについても、保護者や地域の理解促進ということについても、大きな障害となるのは「ESD」ということばの意味がわかりにくいということなのではないか。
     短い言葉で説明することはできるものの、なかなか腹に落ち着くということにはなりにくい。ESDを関係者の多くが腹の底から理解できるようにすることが、このねらいを結果として出すためには不可欠なのではないか。
     ESDの理解ということは、ユネスコスクール活動における他地域との交流をしていく上でも、大切にしなければならないことと言える。
     そこで2回目として、「本市におけるESDが目指す姿」を明確にするということを、多くの関係者により進めることが必要ではないかと考えるが、このことに対する認識を伺う。
  2. 活動充実の方策について、地域住民参加による活動の促進、各学校のホームページへのESD活動の掲載による情報交流や教育委員会による各活動の評価・質の向上に向けたシステムづくりなどの取組を考えるとのことであり、是非進めていただきたいと思う。
     特に市内外の加盟校との情報交換は、子ども達にワクワクする気持ちを持たせることになると同時に、子ども達の視野を広げることが期待できる。海外との交流ということになれば英語学習のモチベーションを高めるということの可能性もある。
     しかし、現在はまだ一部での情報交流はあるものの、グローバルでの意見交換ができるプラットフォームはない。このことも含め、ESDの推進に悩みを抱える加盟校は多数あることが考えられる。
     今年、本市はユネスコスクール数において日本一になったわけで、国内のESD推進の中心的存在になることを考えてもいいのではないかと考える。豊橋がESDの先進地ということになれば、子育てに適した町としての魅力向上にもつながる。
     ネットワークづくりとか全国規模の研究会開催などについては、ユネスコ国内委員会が行うユネスコパートナーシップ事業の委託を受ければ、経費の負担は少なくて済む。
     そこで2回目として、ユネスコスクール数日本一の都市としてどのような活動を考えていくのかについて伺う。
【答弁要旨】
  1. 現在各学校が推進している「特色ある教育活動」は、環境や人権、平和といった現代社会の抱える課題に対して、総合的な学習をベースとし、子どもたちの身近に学びのフィールドを求める学習活動であります。これらの課題を自らの問題としてとらえ、身近なところから取り組むといった解決へのプロセスを通して、生活実践に関する知識を得たり、自己の生き方を巡る思考力・判断力を高めていくという本市の取り組みは、まさに、ESDがめざす姿そのものであると考えます。
     今回、全校加盟を契機に「特色ある教育活動」のねらいや展開を、あらためてESD活動として見直し、再構築することを各学校に求めるとともに、あわせて、保護者や地域住民とも、ESD活動としての意義や価値を共有しなければなりませんし、本市が全校あげて取り組んでいるESDの方向性や具体的な活動を、広く市民に理解していただく必要もあります。
     そのためには、各学校の取り組みを学校新聞やホームページへ掲載するなど、保護者や地域住民への啓発に努める一方で、教育委員会の広報紙やホームページで各学校の取り組みを紹介したり、本市が進めるESD活動の方向や具体的な取り組みを、「広報とよはし」にシリーズとして連載するなど、広く発信していきたいと考えています。
  2. 市内の全小中学校が、ユネスコスクールとしてESD活動の深化拡充をめざして踏み出した今、国内外の加盟校とのネットワークの広がりや関係機関からの教材提供といったサポートを受けられる体制が整ったととらえております。本市としましては、各学校のESD活動を今以上に支援しながらも、さらなる深化拡充に向けて、活動を推進していく必要があると考えています。
     今後は、全小中学校あげてESD活動に取り組む本市としまして、子どもたちによる実践発表会やパネルディスカッション、さらには、一昨年度実施した英語教育の全国大会のような、本市のESD活動の成果発表と今後の展望を考える研究大会の開催など、全国に発信していくことも検討していきたいと考えております。

【まとめ】
 ESDが目指す姿の明確化ということについては、広報誌やホームページにより広く発信していきたい、また、ユネスコスクール数日本一の都市として、子どもたちによる実践発表会やESD活動の研究大会などを検討していきたい、などの答弁をいただいた。それぞれ有意義な取り組みだと思う。
 ただ、ここまでは教育委員会からの呼び掛けというある意味外発的動機付けにより、ユネスコスクール加盟が進んできたという経緯がある。外発的動機による動きである限り、外部からの刺激がなくなればその動きも伸び悩むということになりかねない。今必要なのは、ESDを実践することの内発的動機付けということなのではないか。
 答弁で答えていただいたことに対して、現場が積極的に取り組む姿勢を持つためには、その活動の効果としてどのようなことが期待できるかを明らかにし、ワクワクする気持ちを育てていくこと、そのことが内発的動機付けということになると考える。
 「特色ある学校」とユネスコスクールの大きな違いは、世界的なムーブメントに加わっているかどうかにある。このことにワクワクする気持ちを起こさせるヒントがあるのではないか。また、豊橋はこの世界的なムーブメントをけん引できるポジションにもあるということになったと考えていい。世界的なムーブメントをけん引できることにも大きなワクワクがあるのではないか。
 豊橋はユネスコスクール数日本一と申し上げたが、世界一かもしれない。ユネスコスクールを大切に育ててほしい。

近年の人口動態の分析と対応

【1回目質問】
 豊橋版まち・ひと・しごと創生総合戦略の策定に向けて、豊橋市人口ビジョンの策定が進められている。そこで今回は、その出発点となる近年の本市人口動態について議論したい。
 平成22年から26年までの人口動態の推移を見ると、出生・死亡に伴う自然動態については22年の480人増から26年の48人増へと、増加数は減少したもののプラスの状態にある。
 転入・転出に伴う社会動態については、22年度の1,719人減から26年度の740人減へと推移しており、マイナス幅は減少したとはいうものの転出超過が続いている。
 人口問題への対応は容易でないことは想像できるが、自然動態と社会動態を比較した時に、まず、自然動態の改善には時間が掛かるとともに急激な変化は考えにくいが、社会動態の改善は比較的短い期間で劇的に変わることもあり得ると考えられる。このことはその逆もあると考えなくてはならない。
 社会動態の値は、魅力のあるまちはプラスとなり、魅力の乏しいまちはマイナスになると見ることもできる。住みたいまちとしての本市の魅力を向上させることが、社会動態のプラスを大きくすることとなり、まち・ひと・しごと創生総合戦略の目指すべきところであると考える。
 そこで、以下の点について認識を伺う。

  1. 社会動態推移の分析と今後の見通しについて
  2. 人口動態がマイナスであることの影響について
    1. 社会動態が転出超過であることの自然動態への影響
    2. 地域内産業とりわけ第三次産業への影響
    3. 財政への影響

【答弁要旨】

  1. 本市では長らく、転入者数が転出者数を上回る転入超過の状況が続いていましたが、平成21年に大幅な転出超過に陥って以降、現在までマイナスの状況が続いています。
     平成21年の大幅転出超過は、リーマンショックの影響で景気が急激に悪化し、雇用が縮小したことによるものでしたが、景気の回復の兆しが見られる現在においてでもなお転出超過が続いているのは、本市を離れた外国人労働者が戻ってきていないこと、あるいは、依然として地方から大都市圏へという全国的な人の流れが続いていることなどによるものであると分析しています。
     このように社会動態は、景気動向や人の移動傾向に大きな影響を受けるものであり、今後の見通しとしても、未だ不安定な景気動向に加え、東京一極集中の流れはにわかには変わらないと考えられることから、社会動態も多少の変動はあっても急速に回復することはないと考えています。
  2. 人口動態がマイナスであることの影響について
    1. 社会動態が転出超過であることの自然動態への影響についてです。
       本市の社会動態を年齢階級別で見ますと、とりわけ20代から30代を中心とした方々の転入・転出数が多く、かつ、近年では転出者の数が転入者の数を上回る状況が続いています。
       こうしたことから、本市における転出超過は、大学等の卒業者や働き盛りの方など、比較的若い世代の方々が流出傾向にあるものと分析しています。
       言うまでもなく、若い世代は、これから子どもを産み育てていかれる方たちです。このため、転出超過の社会動態は、出生数の減少という形で、この先の自然動態にもマイナスの影響を及ぼすものと認識しています。
    2. 地域内産業とりわけ第三次産業への影響についてです。
       社会動態の多くを占める20代から30代を中心とした世代は、経済活動の担い手として、日々の仕事や消費生活を通し、地域内産業の振興発展に大きく貢献しています。人口動態のマイナスは、こうした担い手が減少することでもあるため、それが長引きますと、地域内産業の活力減退につながる恐れがあると考えています。
       とりわけ、第三次産業は個人消費に支えられているところが大きく、人口の減少が市場の縮小に直結する懸念があります。さらに本市では、第三次産業の従業者が全従業者の約6割を占めることから、雇用の確保の面でも影響が大きいと考えています。
    3. 人口動態がマイナスであることによる財政への影響についてです。
       歳入面においては、その中心となる市税収入では、まず個人市民税の減収が生じ、産業構造の変化などが生じる段階では法人市民税などへも影響が及んでくることが考えられます。また、地方消費税交付金や地方交付税をはじめ、歳入科目の中には人口に応じて算定基礎や配分が変動するものもあることから、歳入額を減少させる要因という形での影響が懸念されます。
       一方、歳出面では、人口の減少に伴い歳出額が減少する分野もありますが、少子高齢化の進行等による社会保障費や過去に整備を行ってきましたインフラ等の維持管理・更新経費など、当面増加が続くと見込まれる経費や放置すれば今後増加する恐れがある経費などもあります。
       歳出額があまり変わらない一方で、歳入額が減少することによる財源不足の拡大は、健全な財政運営の上で大きな困難を招くことにもなりますことから、あらかじめ対策を講ずる必要があるものと考えています。

【2回目質問】

  1. 社会動態の分析と今後の見通しについて、本市においては、平成20年度までは転入超過の状況が続いていたが、リーマンショックの影響により21年度から転出超過となった。景気回復の兆しが見られるようになったが、今後も東京一極集中の流れはなかなか変わらないと考えられ、急速な社会動態の回復は難しいとのことだった。
     また2.の答弁では、比較的若い世代の流出傾向が見られるとも言われた。
     将来人口の推計を行う際は、出生、死亡、人口移動の三つの要素を計算して行われる。国立社会保障・人口問題研究所では平成22年の国勢調査を基に各市町村の人口推計をしており、その根拠となったこれらの値が示されている。
     人口移動を示す「純移動率」については、本市の男性は15歳から39歳の年齢層では平成22年からの5年間を含め、平成52年までの各5年毎の値は全てプラスとなっている。これはこの期間転入超過であることを意味している。
     女性については、15歳から19歳と35歳から39歳の年齢層がマイナスであるものの、20歳から34歳の年齢層ではプラスとなっている。男女ともに、人口問題研究所の推計では若い世代は転入超過を見込んでいるということになる。
     答弁は若い世代は転出超過であるという趣旨であり、人口問題研究所の将来人口推計根拠とは矛盾する。
     答弁で言われたことは日々更新される住民基本台帳を基に分析されたものであり、人口問題研究所の推計根拠より現実に近いものと考えるべき。つまり、社会動態については人口問題研究所の推計根拠数値より、現実は厳しい状況にあると考える。
     このことから、本市の社会動態がこのままで推移すると、人口問題研究所が推計する将来人口を大幅に下回ることになるのではないかということが予想される。
     にもかかわらず、2月18日の議員総会で示された第五次総合計画後期計画策定に向けた基礎調査における、本市人口の推計値は平成47年に人口問題研究所の推計とほぼ同じ34万9千人となっている。
     そこで2回目として、第五次総合計画後期計画に向けた基礎調査のような将来人口になるために、社会動態の推移をどのように予測したのか、またその妥当性の根拠について認識を伺う。
  2. 人口動態がマイナスであることの影響について
    1. 社会動態が転出超過であることの自然動態への影響ということについて、本市では若い世代の流出傾向があり、出生数の減少という形で影響があるとのことだった。人口の社会減は自然減を促進するという認識を示していただいた。
    2. 地域内産業とりわけ第三次産業への影響ということについて、人口の減少が市場の縮小に直結する懸念があること、雇用の場が減ってしまう恐れがあることなどを言われた。
       先ほど社会動態のマイナスは、「町の魅力が他の町に負けていることによる」と申し上げたが、働く場が減ることに加え、ショッピングや様々なサービス業も増えることが期待できずむしろ減るということになれば、町の魅力はさらになくなってしまうことになる。
       c.で答えていただいたように、財源不足により財政の硬直化が進み住民福祉施策の充実に支障をきたすようになれば、町の魅力づくりも容易ではなくなる。
       これは人口の社会減を加速することを意味し、人口減少速度を上げることになる。常識的に考えて、速度の遅いものを停止させることより速度の速いものを停止させることの方が、より大きな力を要するはず。
       そこで、a.とb.をまとめて2回目を伺う。本市人口は減少を始めたとは言えまだ横ばいに近い。今後、人口減少が加速する前に人口減少策を講じることが、より少ないエネルギーで人口安定させることになると考えが、このことについての認識を伺う。
    3. 人口動態がマイナスであることによる財政への影響について、歳入面では市民税などの減少をもたらし、歳出面ではインフラ等の維持管理・更新などすぐには減らせないこと、高齢化の進行などによる社会保障費の増など、横ばいもしくは増加が予想されるとのことだった。このことについては、あらかじめ対策を講ずる必要があるとも言われた。
       本市において平成20年度から作成している行政コスト計算書で20年度と25年度の比較をした時、普通会計純経常行政コストの総額は853億円から1,082億円へと229億円、率にして26.8%の増加をしている。
       この間は、人口減少を始めたとはいうもののまだ横ばいに近い状態であり、なおかつ行財政改革プランにより行政コスト縮減に取り組んできた時期でもある。
       行財政改革プラン等により人件費はこの6年間で30億円減少したものの、物件費、減価償却費、社会保障給付、他会計への支出額、その他の行政コストなどが大幅に増加している。答弁で言われたように少子高齢化の影響が大きいと思われる。
       そこで2回目として、このような行政コストの推移を見た時、一定人口が減少した状況の中で、財政規模を縮小することによる収支均衡の実現可能性について認識を伺う。

【答弁要旨】

  1. 社会動態の分析と今後の見通し2回目について。
     長期の人口推計においては、近年の社会動態の推移を踏まえつつも、短期的な変動が将来人口へ過度に反映されないよう、過去の一定期間の移動実績を踏まえる必要があります。
     そこで、後期基本計画策定に向けた基礎調査の将来人口推計におきましては、国勢調査を基に、平成12年から17年まで、及び17年から22年までの移動率の平均を将来の移動率として推計しています。その結果、将来の移動率はプラスの値となりました。
     確かに、近年の住民基本台帳によれば転出超過すなわちマイナスの状況となっておりますが、これは、リーマンショック後の急激な転出超過の影響によるものであることに加え、住民基本台帳は登録人口を示したものであり、必ずしも実態を表しているとは言えない面もあると考えています。
     そのため、今回の将来推計に当たっては、国調データを使い、リーマンショック前を含む期間の平均的な移動傾向を採用いたしました。こうしたことから基本調査における社会動態の見込みは妥当なものと認識しています。
  2. 人口動態がマイナスであることの影響について。
    1. b.に統合
    2. 人口減少への対応につきましては、ご指摘のとおり、その取組が早いほど効果が高いと言われています。
       本市は人口減少局面に突入したばかりであり、また、幸いにも本市の合計特殊出生率は全国値に比べれば高い水準にあります。このように減少の初期段階にある今こそ、機を逸することなくスピード感をもって取り組まなければならないと認識しています
    3. 国の試算をベースとした本市の一般会計中期財政見通しは、緩やかな景気回復基調のもと2%の成長が続くものとして算定しており、期間内における財政規模についても緩やかに拡大していくものと見込んでいるところであります。
       しかし、景気の低迷による経済成長率の下振れや、予想を上回る人口減少の進展などによる歳入の減少に伴っての財政規模の縮小といったことが、将来的に起こることも想定しなければならないものと考えています。
       そのような場合において、短期間に歳出抑制による収支均衡を図ることは非常に困難であると思われることから、人口減少が財政に与える影響を十分に把握し、将来に対する投資としての地域雇用創出による税源涵養の取組や、医療費抑制を図る健康づくりなどの予防的事業にこれまで以上に積極的に取り組むとともに、コンパクトシティに向けた公共施設再配置・統廃合など、市民にとって痛みを伴う事業の推進なども含めた対策を講じていく必要があるとの認識を持っています。
       本市の人口はマイナスへと転じて間もなく、今は早期にこれらの取組を進め、将来の社会経済の変化への着実な対応を図る、先見性と足腰の強さを持った財政運営が求められているものと考えています。

【3回目質問】

  1. 終了
  2. 人口動態がマイナスであることの影響について。
    1. b.c.をまとめて
      人口減少が加速する前に対策を講じることの大切さをお答えいただいた。また、人口減少による歳入減少下での収支均衡が困難であること、そのような事態にならないために、地域雇用創出や、医療費抑制のための予防的事業、公共施設の統廃合などへの取組の意欲を示していただいた。
       人口減少下での財政規模の縮小による収支均衡、いわゆる縮小均衡が難しいこと、人口減少が加速した状態ではその減少を食い止めることは一層困難であること、この二つの認識を示していただいたと思う。
       また(1)の答弁で示されたように、本市には社会動態を転入超過にすることができるポテンシャルがある。積極的な産業振興策の実現によりこのポテンシャルを顕在化することは十分に可能であると考える。
       第五次総合計画後期計画策定に向けた基礎調査での平成47年に34万9千人という予測はあるものの、今後の本市の目指すべき人口の状態として、短期的にはともかく、中長期的には「現状より少ない人口を目標とすべきではない」と考える。
       そこで3回目として、目標とすべき将来人口の考え方についての認識を伺う。

【答弁要旨】

  1. 終了
  2. 現在、豊橋市まち・ひと・しごと創生総合戦略の策定に当たり、将来人口の推計を行っています。本市の人口はこのままで行けば、2060年には、30万人を割り込み、28万7千人まで減少する見込みです。
     仮に、今後の人口減少対策の効果を大きめに見積もったとしても、我が国全体の人口が減少する中にあって、国の長期ビジョンや、愛知県の人口シミュレーションと同様に、本市の将来人口が現在の人口を上回ることは難しいものと考えています。
     しかしながら、現在本市が有するような医療、介護、教育などにおける高度な都市機能を維持し続けるためには、30万人程度の人口は必要だと言われています。
     そのため、様々な人口減少対策を速やかに実施することで、2060年において少なくとも人口30万人を維持するとともに、継続的な政策の相乗効果によって、出生率の一層の改善を図り、さらなる人口の上積みを目指した目標人口を掲げていきたいと考えています。

【まとめ】
 将来の目標人口について伺ったところ、2060年において少なくとも人口30万人を維持し、さらなる上積みを目指した目標人口を掲げていきたいとのことだった。是非、積極的な目標としていただくことを期待する。その実現はいかに転入者を増やすかにかかる。
 本市は豊かな自然条件や社会条件に恵まれてきたことから、比較的閉鎖的な風土があると言われている。まずは野心的な人口目標を立てること、さらに転入者にやさしく、転入者が活躍できるまちにしていくことが必要と考える。そして、転入してきた野心的な人たちが成功できるチャンスの多いまちになることで、さらに人と財源を呼び込むことになる。これからの人口減少時代におけるまちづくりの上で、もっとも重要な視点だと考える。

校区市民館のコミュニティセンター機能の充実

 平成22年9月議会の一般質問において、「地域活動の活性化に向けた課題と対応策」ということについて議論させていただいた。平成20年に閣議決定された国土形成計画では、多様な民間主体による「新たな公」を基軸とする地域づくりの必要性が掲げられており、本市としてどのように地域活動の活性化を進めていくのかを論点としたもの。
 この質問に対する答弁の中で、「今年度から、校区市民館を地域コミュニティ活動の拠点施設『コミュニティセンター』として位置づけ、その機能の強化について検討している」というお答えがあり、さらに「情報発信の機能を高めるような検討をしていきたい」とも答えていただいている。
 また、その翌年の23年3月に示された「第五次豊橋市総合計画」では、基本計画の「分野3の8」「市民協働の推進」の中で、「校区市民館を自治会活動をはじめとした様々な地域コミュニティ活動の拠点施設(コミュニティセンター)と位置づけ、その機能の充実に取り組んでいます」と記している。
 校区市民館のコミュニティセンター化への取組が始まってからほぼ5年が経過したことになる。そこで、その一層の推進に向けて以下の点について認識を伺う。

  1. 校区市民館がコミュニティセンターとして必要と考える機能について
  2. 校区市民館のコミュニティセンター化に向けた取組における課題認識と今後の方向性について

【答弁要旨】

  1. 校区市民館は、地域コミュニティの交流・活動の拠点として、また、災害時には避難所としての機能も有しており、地域のまちづくり、地域住民の安全安心を担う施設として、大きな役割を担っていると考えています。
     特に、地域のコミュニティづくりの視点からみますと、地域の人々が、集い、活動し、交流することで、人と人とがつながり、地域の活性化を促進する「場」であると考えています。
     現在、校区市民館では、地域住民が主体となり多種多様な活動が展開されていますが、これまで以上に、校区市民館がコミュニティ活動の拠点として活用されるためには、より多くの方に地域のことに関心をもっていただき、様々なコミュニティ活動に参加していただく仕掛けが必要と考えています。
     地域の特性を活かしたイベントや行事など魅力ある企画立案への支援をはじめ、地域の様々な手段を用いた情報発信に対し支援していくことが必要と考えています。
  2. まず、これまでの取組としては、利用者の利便性を高めるための施設整備をはじめ、まちづくりを担う人材育成のための講習会や地域スタッフを対象とした様々な研修会の開催、加えて、地域が主体的に取り組む「住みよい暮らしづくり計画」の作成支援などを行ってきました。
     こうした取組みを通して、一部の校区ではホームページやフェイスブックを開設して情報発信に取り組むなど地域活動の活性化が図られているところです。
     しかしながら、価値観の多様化や高齢化などにより、地域によっては、コミュニティ活動の「担い手」を如何に確保していくのかが大きな課題となっています。
     地域には、豊富な知識や経験を持つシニア層をはじめ、活動的な若い世代など、これからのまちづくりを担う有為な人材が多数おみえになります。こうした人々が地域に目を向け、地域デビューを果たすための仕組みづくりが、今後必要であると考えています。

【2回目質問】

  1. コミュニティセンターとして必要と考える機能について、コミュニティセンターの意味として、地域の人々が集い、活動し交流する地域活性化促進の場という考えを示していただいた。
     そして、その機能として、イベントや行事などの企画立案を支援できる能力、地域の活動を様々な手段で情報発信を支援する能力をあげられた。
  2. コミュニティセンター化の課題認識と今後の方向性について、コミュニティ活動を推進する「担い手不足」を課題としてあげられた。また今後については、地域にはまちづくりを担う有為な人材にあふれていると考えており、これらの人々が地域に目を向け、地域デビューを果たすための仕組みづくりが必要とのことだった。
     先ほど申し上げた平成22年9月議会での一般質問では、「コミュニティセンター機能の強化においては人材の確保と育成は必要不可欠であると認識しております。」という答弁をいただいており、それから5年近くが経過しておりこれまでの取組を見直す必要があると思う。
     そこで、(1)(2)を合わせて2回目として2点について伺う。
  1. イベントの企画立案・運営を支援できる能力をどのように育成していくかについて伺う。これは校区市民館の地域スタッフに過大な負担をかけることはできないので、地域スタッフの育成と合わせ、市民協働推進課がどのような支援体制をつくるか、についても考えを聞かせていただきたい。
  2. 情報発信力の支援と育成ということについて伺う。情報発信手段としてはいろいろあるが、今、最も低コストで、早く広く伝えることができるものとしてはフェイスブックをはじめとするSNSがあげられる。地域事情もあるので全ての市民館というわけにはいかないものの、長期的な計画の中でモデル地域を指定しながら、フェイスブック等による情報発信基盤づくりや、その効果の検証と改善を進めることが考えられるのではないか。町に多くいると言われた有為な人材に、地域づくりに関心を持ってもらうために有効な方策となる可能性がある。情報発信力の育成の方策について、考えを伺う。

【答弁要旨】

  1. はじめに、「地域イベントの企画立案、運営における人材育成への支援について」でございます。 それぞれの地域では、現在も工夫を凝らした様々なイベントが行われておりますが、より魅力的で地域住民に参加を促すものとするためには、より専門的な企画立案能力が必要となります。こうしたことから、魅力的なイベントづくり研修として、先進事例から学んだり、アドバイザーからの助言を参考に、地域の特性を活かした企画立案を目指すとともに、イベント終了後は検証を通し、次回に向けて改革改善を進める「体験型研修」を考えているところです。
     研修対象としては、校区自治会やPTA、子ども会、地域スタッフなど幅広く参加者を募り、皆さんで知恵を出し合い、それぞれが持つ能力を生かすことができる仕組みとしていきたいと考えています。
     こうした取り組みにより、地域の人々が相互に学び、教え合う活動につなげることで、人材育成が図られると考えています。市としても、今後、先進的な事例の蓄積を図り、適切なアドバイスができる体制を検討していきます。
  2. 地域における情報共有の推進は、地域活動への参加を含め、地域のことに関心を持っていただく視点からも重要であると考えています。これまで、地域情報は主に回覧板、掲示板などで周知しているところですが、情報技術の進展に伴い、近年急速に普及しておりますSNSの活用は、情報の一斉配信や情報の受け手がいつでも確認できるといった利点があり、第二の回覧板として魅力的なツールであると考えます。
     SNSを含めたICTの活用については、既にこうした情報発信に取り組んでいる校区の方や大学、NPO等とも連携し、モデル地域での実施、検証を通して、段階的に全市への普及に取り組んでいきたいと考えています。

【まとめ】
 地域イベントの企画立案、運営における人材育成への支援については、自治会などの地域団体や校区市民館の地域スタッフを対象とした研修の充実、さらに市として、先進的な事例蓄積によるアドバイスできる体制づくりを検討していただけるとのことだったので、期待する。
 地域の情報発信力育成の方策については、SNSによる第二の回覧板など、モデル地域での実施・検証を通して段階的に全市への普及に取り組んでいきたいとのことだった。
 今まで、地域情報の伝達は主に回覧板に依存していたが、例えば、フェイスブックが第二の回覧板としての役割を果たすことになれば、地域情報の伝達は格段に進むことが考えられ、コミュニティセンター機能の充実につながると考える。地域内の情報交流の活性化につながるばかりでなく、地域外への魅力の発信手段にもなる。
 豊橋市が各地域の情報をフェイスブックで発信するという認識が広まれば、一層その効果は高くなると考えられる。パソコン購入やネットワークへの接続などの費用については、まち・ひと・しごと創生総合戦略の施策の「ICT等の利活用による地域の活性化」などの施策活用も考えられる。積極的な取り組みを期待する。


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