2012年9月13日(木)〜19日(水) 決算特別委員会
青字は答弁
質問テーマ [浜松・東三河地域産学官連携拠点事業][市営住宅入居率][学校図書館司書][若い世代の個人市民税]
[住宅使用料][競輪事業から一般会計への繰り出し金][総合動植物公園の入園者数]

浜松・東三河地域産学官連携拠点事業

【1回目質問】
 この事業に関する予算審議における説明は、浜松・東三河地域の産学官が連携して、高度なポテンシャル持つ「光・電子技術」を展開し、新産業創出と基幹産業化の実現を目指すもの、ということだった。
 本市としては、10年かけて地域の農工商連携、医工連携に重点を置きながら新産業の連鎖的創出を目指す初年度として、23年度は、次世代自動車への対応などを検討する研究会の設置、中小企業やベンチャー企業のネットワーク化に向けたコーディネーターとしての活動が中心になるとのことだった。23年度の事業の進捗と成果について伺う。

【答弁要旨】
 進捗につきましては、平成21年8月に発足いたしました「浜松・東三河地域産学官連携ネットワーク協議会」におきまして、地域の強みを活かした「光・電子イノベーション創出拠点」を目指し、「輸送機関連次世代技術」、「新農業」、「健康・医療関連産業」、「光エネルギー」の分野において産学官連携によるプロジェクトの推進を図ってまいりました。
 この枠組みの中で本市の取り組みとして予定していました次世代自動車に関する検討については関係企業等にヒアリングを重ねましたが、具体的な目標や研究会活動に対する認識に乖離があり、再度、企業連携の方法について協議を進めているところでございます。
 また、コーディネーター活動の推進につきましては本地域にてコーディネータネットワーク会議を設置し、その枠組みでの浜松地域との情報交換やセミナーの開催などに取り組みました。
 こうした取り組みの成果といたしまして、各機関に属するコーディネーターのスキルアップと連携強化が進んだことに加え、相互の地域産業に対する理解が深まったものと認識しております。

【2回目質問】
 23年度に予定されていた事業については、様々な努力をされたが、必ずしも当初予定通りに進捗しなかった部分もあるとのことだった。
 このような23年度の事業進捗状況が、今後の計画推進に及ぼす影響あるいは課題をどのように認識されているのか伺う。 また今後、浜松地域との連携をどのように進めていくのかということについての認識についても伺う。

【答弁要旨】
 23年度における事業進捗の影響と課題についてでございますが、計画推進にあたっては地域プロジェクトを専門的に推進するコーディネーターの不足が大きな課題と考えており、このことが研究開発に関する産学連携ユニットの形成に影響を与えているものと考えております。
 特に、各機関に属するコーディネーターでは分野が固定化する傾向にあり、広域的な産業創出の先頭に立って、戦略的なマッチングに取り組むまでの経験やノウハウが十分ではないものと考えております。
 こうした状況下で浜松・東三河地域産学官連携の取り組みについてですが、23年度初めに国の支援施策を優先的に獲得できる「地域イノベーション戦略推進地域」の指定を受け、更に24年度より文部科学省の「地域イノベーション戦略支援プログラム」の国際競争力の強化地域に採択されました。
 これにより、国の支援(2億円×5カ年)を受け、プロジェクトマネージャーを頂点とした専門知識を持つ選任コーディネーター(全17名+2名の予定者)の人的な体制が確保されたことなどから、今後においては地域プロジェクトの形成が加速されるものと考えております。
 またこのことにより、本市企業が「健康・医療関連産業」や「光エネルギー」分野のプロジェクトへ加わることも充分に想定されますので、今後の課題といたしましては、浜松地域との連携を進める中で、当地域における新たな産業創出についても積極的に取り組む必要があるものと考えております。

【まとめ】
 コーディネーターの確保と経験の蓄積などが課題としてあり、一方で新たな国の支援策も得られたということ、また、本市企業の「健康・医療関連作業」や「光エネルギー」分野への参入に向け、浜松地域との一層の連携を進めるとのことだった。
 他地域との連携、産学官の連携など、様々なセクターとの連携事業であることから、その足並みを揃えていくには、相当な努力を要するということが垣間見えたように感じる。是非、緊密なコミュニケーションに努めていただきたいと思う。
 長期の目標を目指す事業であるだけに、その過程において様々な状況変化に遭遇することになると思われるが、「新産業の連鎖的創出」という大きな目標を見失うことなく、臨機応変かつ着実に事業を進めていただくことを期待する。

市営住宅入居率

【1回目質問】
 「市営住宅入居率」を見ると、平成22年度から21年度にかけて2%程下がっており、23年度にはさらに0.4%程低くなり95.6%となっている。あらかじめ伺ったところでは、23年度中の退去戸数は198戸であり、入居戸数が178戸だったことによるとのことだった。
 一方、一年を通して入居希望があり、入居の順番待ちをしている方は絶えないということも聞いている。入居率が低いということは市の財産が有効活用されていないということにもなると思う。本来、回復すべき時期が来ているのではないかとも思われるが、なぜ入居率が低下しているのか、認識を伺う。

【答弁要旨】
 入居率低下の理由ですが、平成20年度の経済不況以降、海外出国による退去者が増加し、住宅内に家財を残したまま無断退去した住宅が多数残っていること、また、単身入居者の死亡後、残された家財の処分が進んでいない住宅が増えていることにより、新たに入居させることができない部屋が多数存在することが、最も大きな理由であると考えております。
 また、昨年度も入居の順番がきたにもかかわらず、辞退された方が130名ございました。辞退されますと、次に入居されるまで、半月から3カ月の空きが生じてしまいますので、このことも入居率が低下している要因の一つと考えております。 ご指摘のとおり、入居率が低いということは市の財産が有効活用されていないと認識しておりますので、現在、無断退去の部屋については、立入検査による残存家財の把握を、死亡退去の部屋については、相続人の調査を行い、家財処分方法について一つひとつ検討を進めているところです。

【2回目質問】
 入居率の低いことについて、原因をいくつかあげていただいた。それぞれについてさらに確認させていただく。
 まず、無断退去者、単身入居者の死亡などによる残された家財の処分ができずにいる部屋がまだ多くあるとのことだった。これらの家財について、どのような手続きでどの程度の時間をかければ、処分できるのかを伺う。また、長期に保存しなければならないのであれば、住宅の家賃より安く保管する方法は考えられないのか、ということについても認識を伺う。
 次に、抽選により入居順が来た人で辞退するケースがあり、空き部屋が宙に浮くということも言われた。入居案内後何日以内にキャンセルしない場合は、キャンセル料が発生するなどのペナルティなどにより、辞退による空き部屋をなくす方法など様々な方法があると思われるが、どのような努力をし、課題をどのように認識しているかについて伺う。
 次に入退去修繕の面から伺う。あらかじめ伺ったところによれば、修繕戸数は平成21年が243戸、22年が237戸、23年は195戸となっている。本来、入居率を改善するためには修繕戸数を増やさなければいけないはずだが、この3年間減少を続けているのはなぜか。その理由と課題認識を伺う。
 次に、つい先日、大岩住宅で白骨化した遺体が発見されるということがあった。この入居者については、家賃は収められていたものの平成21年には長期不在ということで退去条件に該当することから、24年2月に強制執行することとなり、今回はその塵芥処理の過程で遺体が発見されたということと聞いている。平成23年度中にどのような措置を行ったのか、課題として何を得たのかについて伺う。

【答弁要旨】
 家財の処分については、無断退去者や相続人の所在を調査し、処分の依頼をしていきますが、相手方が処分しない場合や、所在不明の場合には、最終的に訴訟を提起することとなります。その後、強制執行により家財の処分を行っていきますので、半年から2年ほど時間を要するものと考えられます。安く保管する方法については、家財の量によっては可能であると思われますので今後勉強してまいります。
 次に、辞退による空き部屋をなくす方法についてでございますが、辞退の理由としては、必要書類の未提出、金銭的な理由、収入超過、住戸不満、保証人がいないなどとなっておりますので、入居申込相談の際には、必要書類等丁寧に説明するなど、努力しているところですが、入居案内したものの4割近くが辞退する現状については課題であると認識しておりますので、ペナルティ等効果的な方法について勉強していきたいと思います。
 次に修繕戸数の減少でございますが、退去者数の変動による影響もあるものの、平成23年度につきましては、柳原住宅と西部住宅において給排水管の老朽化による漏水被害を防ぐため空家修繕時に給排水管の改修を実施する必要が生じ、それを優先したため修繕戸数としては減少してしまったものでございます。
 最後に、大岩住宅における平成23年度の措置でございますが、長期不在を理由として住宅明渡し請求の訴えを名古屋地方裁判所豊橋支部に提起し、勝訴判決を得た後、強制執行により住宅の明渡しを受けております。 また、課題として何を得たのかでありますが、長期不在の状況を確認してから、明渡しを求めるまでに数年間要してしまったことにつきまして、その間の対応についてしっかりと検証し、今後の住宅管理の適正化につなげていければと考えております。

【まとめ】
 家財の処分については、保管場所について勉強するとのことだったので、期待し注視したい。さらに、処分の依頼や法的措置については、とにかく早く着手するということに努めていただきたい。
 辞退による空き部屋対策として、ペナルティ等効果的な方策を勉強するとのことだったので、これについても期待し注視したい。
 修繕戸数の減少については、給排水管の老朽化対策を優先するためとのお答えだった。給排水管の老朽化は突然起こるわけではない。平成22年度の退去戸数が203戸、23年度の退去戸数が198戸ということを考えれば、23年度の修繕戸数が195戸というのでは入居率の改善ができるはずはないと思う。老朽化対策と並行して、入居率改善に向けた計画的な修繕の実施に努めていただくことを期待する。
 大岩住宅の問題からは、長期不在者に対する明け渡し請求に要する時間があまりにもかかり過ぎていることが判明した。この間の対応についてはしっかり検証し今後の管理の適正化に努めるということだったので、この点についても今後注視していきたい。
 今回、入居率の問題から市営住宅の管理に関する様々な問題について指摘させていただいた。印象としては、管理状況の変化に対して適応に要する時間がかかり過ぎていると感じる。あるいは原状復帰に要する費用を支出することを躊躇して遅れることにより、大きな機会損失をしていることが意識されていないように思われる。市営住宅という市の財産の有効活用に向け、迅速かつ的確な管理により入居率の早期の改善を期待する。

学校図書館司書

【1回目質問】
 学校図書館活動振興事業は小中学校に学校図書館司書を配置するものと伺っている。平成22年度までは、22名体制だったものを23年度には25名体制に拡充した。増員の成果について、どのように評価しているかについて伺う。

【答弁要旨】
 学校図書館司書増員の成果についてでございますが、まず平成22年度の中学校22校を拠点とした配置体制から一人当たり3校を担当する体制としたことにより、多くの小学校で前年度より業務に従事する時間が増加しました。
 図書館司書の勤務時間が増えた学校からは、環境整備や蔵書整理、図書ボランティアとの連携などの点で、図書館環境の充実が図られたという報告を受けております。さらに、授業での図書館利用や図書の貸し出し数が増加したり、選書や授業で使う図書資料などの相談等もしやすくなったという声も届いております。

【2回目質問】
 学校図書館司書の増員により、教育的効果は向上したものと理解したが、その効果を一層向上させるためには、人員の増強と合わせて、その活動の質の向上も重要なことと考える。活動の質の向上に向けた課題について、複数校兼務ということの管理面も含めどのように認識しているのかを伺う。

【答弁要旨】
 学校図書館司書の資質向上につきましては、平成23年度は31名の応募者の中から25名の図書館司書を採用しており、一定の資質・能力を備えた司書を配置していると考えております。しかしながら、図書館司書の業務を円滑に、かつ充実したものにするためには、互いに情報交換したり、研修の機会を持ったりすることの必要性は認識しております。
 また、図書館司書が複数校を兼務する体制や一校当たりの勤務時間数、それに伴う人員等については、活動の質を高めるために常に検証していかなければならない課題だと考えております。

【まとめ】
 図書館司書の教育的効果への期待は大きいと思う。体制の充実、質の向上など、引き続き取り組んでいただくことを期待する。

若い世代の個人市民税

【1回目質問】
 あらかじめお伺いしたところによれば、23年度個人市民税の滞納率は20代が7.51%であり、他の世代と比べて最も高い値となっている。このことをどのように分析し、課題をどのように認識しているか、伺う。

【答弁要旨】
 若年層の滞納率の高いことの状況認識と23年度の対応についてのおたずねでございますが、平成23年度の個人市民税の年代別人口に占める滞納者及び滞納率の状況を調べてみますと、年代が低くなるにしたがって滞納者の割合が高くなっていることから、昨今の若者を取り巻く社会環境の厳しさに加え、若い年齢層の納税に対する意識の変化が見てとれます。
 そこで要因分析ですが、一つは、若者の税制度に対する知識不足、意識の低さがあります。二つ目は、個人市民税は所得に応じて課税されるため、景気の動向、経済状況が低所得者にとりましては、特に影響が大きいものと見ています。 とりわけ平成20年秋のリーマンショックで問題となった派遣切り等、非正規雇用による雇用の不安定化も若年層の滞納率が相対的に高くなっている原因であると認識しているところです。
 そこで、平成23年度の対応ですが、税の重要性の理解と納税への意識喚起を促し、納税意識の向上につなげる啓発として、広報とよはしで「税を考える週間」の特集を掲載するほか、小学校6年生を対象とした租税教室を開催するなどの取り組みを行い、将来納税者となる子供たちに対して、正しい納税知識の普及と啓蒙に努めました。

【まとめ】
 20代はこれからの社会を担っていくべき世代であり、今から納税習慣をきっちり身につけてもらうことが大切。そのためには、従来のような全ての世代向けのアピールばかりではなく、若い世代に届きやすいアピールの仕方も考えるべき。
 また、このような若い世代の滞納率が低い状況は、市民税課、納税課だけで対応できるものではない。全市的な取り組みを要する問題も含むので、データの推移を全庁に示すことにより全庁的に対応していくことも考えていくことを期待する。

住宅使用料

【1回目質問】
 従来、市営住宅家賃の滞納に対して法的措置を講じる必要がある場合には、議会の承認を必要としていた。しかし、平成23年6月議会において市長専決事項の変更が行われたことにより、この手続きが市長専決事項となり議会に対しては報告するものとされた。このねらいは、家賃の滞納に対して迅速に対応することで滞納額の抑制を図るものであると考えるが、どれ程の成果につながったのかについて伺う。

【答弁要旨】
 市長専決事項となった成果ですが、法的措置のうち明渡請求訴訟の基準であります家賃滞納12カ月以上または20万円以上の対象者10名、滞納金額の合計2,191,600円に対して、全額回収したもの6名、金額にして1,431,100円、家賃の回収はできていないものの、明渡訴訟により退去したもの1名、自主退去したもの3名でございます。
 市長専決事項となる前と後を、全額徴収した人数の割合により比較しますと、平成22年度28.8%から60%へと増加し、一定の成果が得られたものと認識しております。 これは、市長専決事項となったことで、滞納がさらに累積される前のより早い段階で滞納者への法的措置を行うことにより回収を進めることができたためと考えております。

【2回目質問】
 市長専決事項の変更による、家賃滞納への対応状況については、一定の成果をあげているものと理解した。 次に、決算付属書の収入未済額135,246,325円となっており、調定額921,376,437円の約14.6%にもなっているし、あまりにも金額が大きい。
 23年度4月には債権管理条例が施行され、12月には消滅時効が完成したものなど合計6,672,049円の債権放棄をしている。にもかかわらず、なぜこんなに多額の収入未済額があるのか、また、未済額の内、現年度分、過年度分はそれぞれどの程度で、近年の増減の傾向がどうなっているかについて伺う。

【答弁要旨】
 収入未済額につきましては、それを減少させる取組みとして、督促状、催告書の送付の他、電話催告や夜間訪問による納付指導を実施し、また平成23年度にはこれまで年1回行っていた連帯保証人への催告を年3回に増やすなど努力をしているところでございます。
 未済額の内訳ですが、現年度分が26,480,947円、過年度分が108,765,378円となっており、近年の傾向として、現年度分については、平成21年度をピークに未納額は年々減少しており、平成23年度の収納率は前年度比で1.4%改善しています。一方、過年度分については、年々増加している状況でございます。

【3回目質問】
 現年度分については、若干改善したが、過年度分については年々増加しているとのことだった。
 この収入未済額の縮小に向けた課題を、現年度分・過年度分につきそれぞれどのように考えているか伺う。

【答弁要旨】
 収入未済額の縮小に向けた課題です。収入未済額の58.4%は既に市営住宅を退去した者にかかる滞納分ですので、退去者に対する催告や法的措置など、効果的に行う体制を整える必要があるものと認識しています。

【まとめ】
 答弁にあったように、市長専決事項の変更によりより早い段階での法的措置が滞納額の縮小に効果があることがわかった。これまで収入未済額は増加の傾向にあり、23年度減少したもののまだ大きな金額になっている。現在滞納期間12カ月または金額20万円という法的措置の明渡請求訴訟基準の見直しを含め、積極的な法的措置の活用などにより、一層の縮小を期待する。大きな金額であり、しっかり取り組んでいただきたい。

競輪事業から一般会計への繰り出し金

【1回目質問】
 23年度における単年度収支は202,611千円の黒字であり、 一般会計への繰り出し金は10,000千円となった。22年度は黒字額が23年度の半分以下の70,015千円に対して繰り出し金は200,000千円、21年度は黒字額が23年度とほぼ同じ192,261千円に対して繰り出し金は100,000千円だった。
 繰り出し金の額は予算時点で収支を予想し算出されているということだが、その結果、23年度末の、財政調整基金582,828千円、繰越金956,795千円となっている。23年度の財政調整基金への積立額は872,389円で、これは既に積み立てられている財政調整基金の運用果実であるとのことであり、政策的に積み立てたものではない。そこで、財政調整基金や繰越金の金額は安定経営に必要な適正額に達しているのかどうか、認識を伺う。

【答弁要旨】
 最近の競輪業界の状況ですが、ここ3年間で花月園、大津びわこ、観音寺競輪が相次いで事業撤退するなど、売上額は平成3年度をピークに減少に歯止めがかかっておらず非常に厳しい状況は依然として変わっておりません。
 また、豊橋競輪といたしましても22・23年度で選手宿舎改築を行いました。今後も事業を続ける限り、お客様のために他にも多くある老朽化した施設等の改修に引き続き、取り組んでいかなければならないと考えております。
 このような状況下ではありますが、委員ご指摘の財政調整基金及び繰越金に関しましては、私どもは一定、安定経営に必要な適正額に達していると考えております。

【まとめ】
 今回は、幸いにも予想に反して2億円を上回る黒字を出すことができた。しかし、答弁にもあったように、競輪事業は引き続き厳しい状況にあると思う。いつこの逆の事態がおこるとも限らない。ファンの期待に応えるためにも、繰り出し金による一般会計への貢献をするためにも、安定経営が期待される。合わせて、競輪事業の必要性のわかりやすさも求められる。
 そのために財政調整基金や繰越金の残高をどの程度にするかは、大変重要な課題と言える。その方策として、繰り出し金の算出にあたって、予算ではなく決算に基づき、財政調整基金や繰越金の状況との関係中で計算する方法について、今後検討していただくことを期待する。

総合動植物公園の入園者数

【1回目質問】
 平成19年度以降の1日当たり入園者数の推移を見てみると、21年度までは徐々に増加しているが、22年度に約8%減少している。この時の減少の理由は酷暑と説明されている。23年度は酷暑ということはなかったと思われるが、なぜ、入園者数が回復しないばかりか更に0.3%減少したのか、東日本大震災の影響がどの程度かということを含め、その理由を伺う。
 一方、自然史博物館の入場者数は22年度やや横ばいになったものの、23年度には約4%増加した。その結果、総合動植物公園と自然史博物館の入場者数の差は、20年度に1日当たり668人あったものが徐々に縮まり、23年度にはその差が405人まで縮小している。このことをどのように分析しているのか伺う。
 また、入園者数の増加が0.3%であったのに対し、入園料収入については2.2%の増加となっているが、どのような事情によるものか伺う。

【答弁要旨】
 1日当たりの入園者数の減少についてですが、東日本大震災後の自粛などが影響していると考えています。例えば震災直後となります5月の入園者数は対前年比15%の減で、上半期ではマイナス4.4%の状況となっています。
 しかしながら潮目が変わり、本園にとって追い風ともいえるマーラ誕生などの要因で下半期ではプラス6.7%となっています。なお、民間リサーチ会社の政策研究レポートにおいても、震災による自粛が前半の集客者を減少させた主な要因になったと報告されています。
 動植物公園と自然史博物館の1日当たりの入園者数が縮小していることをどのように分析しているかについてですが、本来動植物公園へ入園された方がすべて、自然史博物館へ入館されれば同数となります。しかしながら、園内には自然史博物館を始め多数の施設があり、1日だけでは見ることができないため、来園される方の目的によるものと考えていますが、自然史博物館では昨年大型映像のシステムの更新が入園者数に大きく影響していると考えています。
 一方、動植物公園においては、マーラ誕生という慶事はあったものの、注目を集める、あるいは大きな話題提供がなかったことなどもあり、結果として両者の差が縮小となったのではないかと考えております。そこで、これからの教訓として随時、適時、適切な付加価値の高い話題提供ができるよう腐心する必要があるものと認識しております。
 また、入園料収入の増加は、どのような事情によるものかについてですが、有料入園者数の増加によるものであり、マンモス展が開催された年度の有料入園者が60%を越えるなど、魅力あるイベント開催などが新たに来園する機会になっていると考えています。
 今回は、国内で4例目となるアジアゾウの赤ちゃんゾウ「マーラ」誕生したことで大変多くの情報発信が出来たことも少なからず影響していると考えておりますし、有料入園を期待できる東部地域からの来園、さらには、22年度から取り組んでおります広域的なプロモーションも入園料増の要因ではないかと考えております。

【2回目質問】
 23年度入園者数が回復しなかった原因は、東日本大震災後の自粛によるとのことであり、上半期は4.4%もの減につながったとのことだった。自然史博物館入館者数と動物園入園者数との差が縮小した原因は、自然史博物館では大型映像システムの更新があったことの効果が大きく、動物園ではマーラ誕生以外大きな話題提供がなかったこと、教訓として随時適切な付加価値の高い話題提供に腐心する必要があるとのことだった。有料入園者数が増えたのは、マーラ効果によるとのことだった。
 教訓として、随時付加価値の高い話題提供と言われたが、対策を立てる前には、しっかり現状分析を行うことが大切なはず。昨年の決算審査の際には、22年度に行った首都圏等での広報活動の効果について、分析の仕方が不十分なのではないかということを申し上げた。しかし、昨日の答弁を聞く限り、昨年と同程度の分析しかされていないと思われる。せめて居住地とのクロス集計程度はやるべきではないのか?この他、様々な活動により、どんな層の入園者が増え、園内のどんな施設の人気があるのかなど、入園者の動向について分析すべきことは多い。
 23年度には再整備計画検討委員会も行われており、入園者の傾向分析は特に重要な年だったと思われるが、23年度、入園者数の増減に対して、どのような分析をされたのか、方法、主な結果などについて教えていただきたい。

【答弁要旨】
 入園者数の増減に対しての分析についてですが、再整備計画検討委員会からも委員から言われました様な、「園からの情報発信」や「来園される方が求めているマーケティングの重要性」について提言をいただいています。年代、お住まい、交通手段など、今まで継続して調査を進めている項目以外には、指定管理者によるモニタリング、年間を通したアンケートや意見箱、クイズラリーなどのイベント開催時のアンケートなどで様々な意見を確認し、施設整備や日常管理への対応を行っているところです。
 しかしながら、首都圏等での広報活動に関するアンケート調査について、まだ、十分な効果分析が行われていないため、広報活動による来園なのか、また、どこに魅力を感じて来園されたかなど、より効果分析に役立つ調査をすることで、今後の活動に活かしていきたいと考えております。

【3回目質問】
 入園者の傾向分析について、方法や主な結果をお聞きしたが、方法については、アンケート、指定管理者によるモニタリングなどを行っているとのことだったが、結果についてはお示しいただけなかった。マーラの誕生で職員の皆さんが忙殺されていたことが想像されるが、だからと言って入園者100万人達成を考えなければならない重要な時期に、いつまでも現状把握をおろそかにすることはできないはず。であるなら、マーケティング活動の指標とすべきことをどんな要素と考え、その要素の現状をいつまでに把握しなければならないと考えることはなかったのか、伺う。

【答弁要旨】
 現在継続しているアンケートは、年齢、入園回数、満足度、印象、ホームページなどについての項目を行っています。その他として、いろいろな意見を伺っているところです。すぐ対応できる内容については行っていますが、「動物のエサやりがしたい」「ふれ合いをしたい」「臭いが気になる」「食事のできるところを増やして」など、個々の意見として承っています。
 このような意見の中から、多い項目をアンケート項目として考え、改めて御意見を伺うことで平成24年度100万人プロジェクトを推進するための取り組みに反映させていきたいと考えています。

【4回目質問】
 今、お答えのあったことは今まで既に行われていた程度のこととしか思われない。まずは、現状認識を今まで以上に緻密に行ってこそ、効果が期待できる入園者増加への対策ができるのではないかと考える。このような現状把握の方法からの対策では100万人プロジェクトの達成は危ういと思われるが、入園者の傾向把握の状態について、課題を認識しておられないのか伺う。

【答弁要旨】
 議員ご指摘のとおり、物事を進める上では、まず現状を分析してそれをできるだけ多角的な面から捉えた上で、そこで当然改善点が見える訳ですので、それをどういう手法でもって、あるいは時間軸を認識しながらやるかということでございますので、そういったことで意を用いながらできる限り100万人プロジェクトに向けた形で取組みを進めていきたいと考えています。

【まとめ】
 ものづくりの現場では、KKD、つまり勘と経験と度胸ではダメだと言われる。毎年多くの税金を投じている事業であり、確実な成果につながる改善を行うことが求められるものである。100万人入場計画と言われるが、机上の議論だけで実現できるものではないはず。論理的に確実に成果があげられるように、現場をしっかり見て、現状分析を行うことの重要性を改めて認識していただくことを期待する。


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