2012年3月12日(月)〜23日(金) 予算委員会
青字は答弁
質問テーマ [機構改革][「ともに生き、ともにつくる」][地域産業支援機能強化補助金][中心市街地活性化社会実験]
[豊橋総合動植物公園整備基金条例][余裕資金の活用]

機構改革について

 「豊橋市の政策推進における部等の役割を定める条例の一部を改正する条例」の「第3条2項(12)総合動植物公園部」に、「自然史博物館における教育普及活動及び学術活動の推進により、自然科学の振興を図る」が追加されることについて質疑する。
【1回目質問】

  1. 自然史博物館は博物館法の規定に基づく自然史博物館条例の定めに従って設置されたものである。博物館法第十九条では「公立博物館は、当該博物館を設置する地方公共団体の教育委員会の所管に属する。」と定めている。この条文に抵触することはないのかということについて認識を伺う。
     また、このような定めがあるということは、教育委員会が所管することの意義を認めているからこそであり、その意義をどのように考え、今回の統合ではその意義を喪失しないためにどのような措置を考えているのか、についても伺う。
  2. 今回の機構改革により組織統合を行い、総合動植物公園と自然史博物館が連携を強化することで、それぞれの特性を活かした他に見られないユニークな展示を行うことができるとすれば素晴らしいことであると考える。
     この組織統合の意義をどのように考え、具体的にはそれぞれの特性をどのようにして発揮していくことを考えているのか、ということについて認識を伺う。
【答弁要旨】
  1. 公立博物館である自然史博物館が機構上市長部局となることで、博物館法に規定されている教育委員会の所管に属することに抵触するのではないかとの質疑ですが、地方自治法第180条の7では、教育委員会はその権限に属する事務の一部を市長と協議をすることにより、市長の補助機関である職員に補助執行させることができるとされています。
     従って今回の自然史博物館の機構改革に関しましては、教育委員会と市長が協議をし、市長の補助機関となる職員に自然史博物館の管理及び教育普及活動を補助執行させるものです。
     こうしたことは、条文にも抵触しないと考えています。
     後の教育委員会が所管することの意義が喪失するのではないかとの懸念ですが、自然史博物館と教育委員会と引き続き蜜に連携を図るため、教育委員会と総合動植物園部長等と定期的に協議・調整を行いつつ、予算や教育振興基本計画などの進捗について意見交換を行いながら適切に進めて参ります。
  2. 動物園・水族館には、教育、レクリエーション、自然保護、調査研究の4つの社会的役割があると言われていますが、レクリエーションを除く3つの役割について、当園を含め国内の多くの施設が欧米のレベルには達していないと言われています。その原因としては、教育専門の部署がない、教育専門のスタッフがいないことと言われています。
     今まで動物園の獣医師、飼育員が行ってきた教育普及活動や調査研究などを、今後は自然史博物館の学芸員とともに知識、情報、施設、標本等を共有しながら行うことで、今まで以上の活動ができるようになると考えています。
     植物園は、熱帯の景色、生活の景色などをテーマに、園芸植物などを取り入れながら全体の景観から伝わる雰囲気や季節感により、やすらぎを提供する「見せる」役割が主体でした。 しかし、近年では(社)日本植物園協会において「地域の植物を守ろう」というスローガンが掲げられ、地域の固有種や希少種を守っていく役割が求められています。
     このことは郷土の自然を研究する自然史博物館においても共通の課題であり、自然史博物館が持つ知識やネットワークと植物園が持つ栽培技術を相互に活用することにより、地元の固有種や希少種を保全しながら、必要であれば植物園で保護する取組みなど、新たな社会的役割を担うことが可能になると考えています。

【2回目質問】

  1. 地方自治法第180条の七では補助執行だけではなく、「委任することができる」、ということも示されている。補助執行と委任について、大きな違いはどういうものであると考えているのかについて、また、なぜ委任ではなく補助執行を選択しようとしているのかについて認識を伺う。
  2. 2月15日の建設消防委員会では、「豊橋総合動植物公園再整備の概要」が示されたところだ。今、答弁のあった動植物公園と自然史博物館との連携強化による、それぞれの特性を活かしたユニークな施設運営については、再整備構想のコンセプトではどの部分に表現されているのか、について伺う。
【答弁要旨】
  1. 「補助執行」と「委任」の違いということですが、まず、「委任」については、事務の権限の一部を他の執行機関またはその補助職員等に委ねることをいい、委任が行われると、その権限は受任者のものとなる。
     次に、「補助執行」については、先ほど答弁したように、権限についてはあくまでも自己に残して、事務のみを執行させるということになる。
     委任または補助執行できる事務については、両者に違いはないが、権限が自己に残るか、受任者に移るかが違いとなる。
     なぜ「補助執行」を選択したかということについてですが、総合動植物公園の一体的な整備・運営とプロモーション活動の重点的な展開を効果的に推進する一方、教育施設としての性格を保持する必要性から「補助執行」という手法を選択したものです。
  2. 再整備構想、動物園ゾーンの整備を中心としてのコンセプトですが、本園を訪れる来園者一人ひとりが自然とともに生きることの意義を体感できる場となるよう、「自然の大切さを感じ、学び、楽しむ」ことを再整備基本計画の理念としています。
     この理念に基づく「再整備の4つの柱」のひとつとして「動植物を守る取組」を掲げ、次世代に動物、植物を継承できる環境づくりとそのための教育プログラムの充実に取組む上で、動物、植物、自然史のプロが語るイベントやプログラムの充実を図ることが、連携強化による特色を活かすことと考えています。

【まとめ】

  1. 市長部局に事務のみを執行させることが、動植物公園との統合の成果を十分に発揮できるかについては、十分検討しなければならない。教育施設としての性格を保持ということに関しては、委任であっても可能なことと考えられる。権限を教育員会に残すことが、統合の成果を出すことに与える影響をしっかり考える必要がある。統合効果を最大限に発揮するために、このことについては今後も引き続き検討を期待する。
     また、他市事例なども調査する中で、運用状況も検証しながら、一般質問等でさらに議論させていただくこととしたい。
  2. 今回の組織統合の意義は「動植物公園が教育専門の部署を持つこと」とすることであり、動植物公園の再整備における自然史博物館の役割は「次世代に動物、植物を継承できる環境づくりとそのための教育プログラムの充実」ということでは、自然史博物館の実力があまりにも矮小化されているのではないか?
     自然史博物館には古生代、中生代、新生代、郷土の自然に関する膨大な展示資料があり、それらを有効活用できる学芸員の豊富な知識があるわけで、動植物公園との統合ではこれらを存分に活用すべき。そのためには、動植物公園の再整備構想の手直しということも検討すべきだと考える。
     自然史博物館の持つ資源と動植物公園の資源を、効果的に組み合わせるための、新しいコンセプトを作り実践すれば、旭山動物園を上回る魅力を持つことも不可能ではないと考える。再整備構想の再検討に期待する。
「ともに生き、ともにつくる」について

【1回目質問】
 豊橋市第五次総合計画はまちづくりの基本理念として「ともに生き、ともにつくる」を掲げて平成23年度からスタートしている。この中では共助の推進ということが重要な課題として認識されているものと考えられる。しかしながら近年は、地域活動の担い手が減少傾向にあり、自治会をはじめ様々な地域団体において後継者の問題を抱えているという現状にある。
 地域活動を担う人材の育成は、第五次総合計画の推進には極めて重要な課題であるはずだが、「地域コミュニティ推進事業費」は平成22年度1億4,400万円、23年度も24年度も1億4,400万円であり変わっていない。地域活動を担う人材育成をどのように行おうとしているのか、ということについて伺う。

【答弁要旨】
 地域活動を担う人材をどのように育成していくのかについてでございますが、まずは、住民の参加意識の向上を図り、活動の担い手となる人材の裾野を広げるとともに、信頼性の高い住民自治組織を運営していく地域リーダーを育成するためには、専門家などによる講習会などが効果的であると考えています。さらに、日頃から地域と連携を密にすることで、会議などで中心的な役割を務め、市との情報共有を図ることができる人材を発掘していくことも可能ではないかと考えます。その他、地域活動の担い手不足の原因のひとつになっている「負担感」を軽減するため、補助金や交付金など活動支援制度を含めた、行政と住民の役割分担を整理することが必要であると考えます。
 地域コミュニティ推進には、地域特有の様々な課題に目を向け、意見交換を通して丁寧に解決策を協議していくことが重要であると認識しております。

【まとめ】
 市民協同推進課では、地域活動を担う人材の育成、発掘、そして、行政と住民の役割分担の整理による負担感の軽減などに取り組んでいることについては理解した。
 東日本大震災以後の一年間は、防災への備えが問われ続けてきた。共助のまちづくりの必要性の認識も高まっている。しかし、現実には依然として地域活動の担い手が増える兆しはない。それだけ難しい課題であるとも言える。
 この状況を打開するために、市民協同推進課ばかりでなくあらゆる部署の活動で、地域活動を担う人材の育成、発掘に取り組み、人材に関する情報の共有を進めるなども必要。愛知大学地域政策学部との連携も考えられるのではないか。
 こういった地域活動を担う人材育成や発掘に、市役所はもちろんのこと、地域の総力を動員するという取り組みに期待する。

地域産業支援機能強化補助金について

【1回目質問】
 この補助金は、地域産業支援の機能強化のため、サイエンス・クリエイトの事業推進にかかる経費の一部を助成するものとの説明がなされている。
 円高の進行、技術革新の進展により、産業構造の変化も危惧されるところであり、産学官連携による産業振興の重要性は高まっている。産学官連携を推進していくために、その中核となる組織であるサイエンス・クリエイトの活動を市として積極的に支援していくことは大変重要なことであると考える。
 産業振興の拠点機能を十分に発揮していくためには、補助金ばかりでなく運営体制や経営基盤の強化に向けた、官民の一体的な協力体制づくりが必要なのではないか?

【答弁要旨】
 サイエンス・クリエイトは産学官の連携拠点として、官民の支援により株式会社としてこれまで運営してまいりました。このような経過から、まずはサイエンス・クリエイト自らが拠点機能の再構築に際し、経営基盤強化の観点から、経営の効率化のために減資や人員体制の見直しを行い、さらなる経費削減に取り組むなど、地元経済界の理解・協力を求めて、これまで以上に経営体質の改善に取り組むこととしております。
 こうした状況を踏まえた上で、本市といたしましても体制強化のための人的支援や新産業創出などの機能強化に向けての助成など、拠点機能強化の検討に係る中で経営や事業運営に一定の役割を担ってまいりたいと考えております。

【まとめ】
 新産業創出などの機能強化に向けた今回の助成に加えて、体制強化のための人的支援などを通じて、産学官交流の拠点機能強化を進めていただけるとのことだった。
 減資ということについては、欠損金の処理ということで止むを得ないと考えるが、欠損金を上回る減資が行われるとすれば、会社法上の大会社からはずれることのメリットもある。サイエンス・クリエイトは大会社と位置づけられていることのために、監査法人契約をしたり大きな事務処理負担があり、大変だということを聞いたことがある。減資により、それらから解放されることのプラス効果も期待できる。
 今後、欠損金を生じることなく、産学官連携の拠点機能をしっかり発揮できるように、官民の緊密な連携をとっていただくことを期待する。

中心市街地活性化社会実験について

【1回目質問】
 まちなかの賑わい創出に寄与する事業を検証するため、市と商業者が共同して各事業を展開するとして、「歩行者天国の実施」「まちなかイルミネーション装飾」などがあげられている。ここで、「おかえり切符の拡充」「公共駐車場料金の見直し」の二つが並んで掲げられているが、どのような考え方によるものであるのかについて、伺う。

【答弁要旨】
 中心市街地活性化社会実験の組み合わせの考え方についてですが、中心市街地を訪れる機会を増やす取り組みとして求められている歩行者天国や集客イベントは、来街者や歩行者を増やすことにより、まちなかのにぎわいや商業の活性化を期待するものですが、中心市街地への多くの方の来街手段となっている自家用車での来街者に対しては、より訪れやすく、少しでも長く滞在してもらえるよう公共駐車場料金の見直しが求められており、また、鉄道やバスなどの公共交通での来街者に対してのお帰りキップの拡充や自転車の駐輪スペースの確保など来街環境の向上も求められています。
 こうしたことから、今回の社会実験は、歩行者天国の実施を中心に、自家用車や公共交通、自転車での中心市街地への来街環境を整える事業などを同時に実施することでまちなかのにぎわい創出に向けての相乗効果が期待できるものと考えております。

【2回目質問】
 昨年11月19日(土)に豊橋市主催のシンポジウムが市役所で行われた。テーマは「明日の豊橋の公共交通を考えるシンポジウム」というもので、有安副市長もパネリストとして出席されていた。
 その基調講演で京都大学の藤井聡教授がおっしゃるには、「シャッター街に象徴されるように、傷ついているまちは多い。その大きな原因は、皆が公共交通を使わずにクルマを使うから。公共交通は大量の人を運ぶものであり、大きなエネルギーをまちに注入することになる。傷ついたまちをいやすにはクルマで運ぶ人の量ではなく、公共交通による大量の人の導入が必要」ということだった。
 中心市街地への車の進入を許容すると、公共交通の繁栄は難しいということは理解できるところです。また、車で来る人たちは駐車料金が心配だから、予定の買い物を済ませば、町をそぞろ歩くこともなく、さっさと帰ってしまうということになりがち。とはいうものの、車の進入規制というのはなかなか難しいことでもある。
 このような公共交通の活性化で中心市街地を活性化しようという考え方と、車で来る人のために駐車料金を安くしようという今回の社会実験とには、やや考えのずれが感じられる。中心市街地活性化の方策についてどのようなコンセプトを持っているのかお伺いする。

【答弁要旨】
 本市の中心市街地は、豊橋駅を中心に鉄道、路面電車、バス路線が広がっており、公共交通ネットワークの拠点となっており、公共交通の利用促進は、本市の中心市街地の集客力向上にとって重要なものとなっております。
 しかし、昨年行いました市民アンケートにおいては、中心市街地へ行く場合の交通手段としては、回答者の6割が自家用車、3割が公共交通の利用となっており、現状としては自家用車の利用割合が非常に高くなっております。
 こうした状況から、中心市街地の活性化を図るためには当面は公共交通だけでなく多様な交通手段により中心市街地への来街を促すことが必要であろうと考えております。

【まとめ】
 様々な交通手段の利用者への便宜を図るという考えは理解できる。しかし、その結果、まちに来る人達が用事を済ませたらさっさと帰ってしまい、ゆっくり食事をしたり、まちをそぞろ歩いたりすることがないとすれば、11月のシンポジウムで言われていたようにまちのにぎわいは失われかねない。公共駐車場の料金見直しは中心市街地活性化に対して、アクセルとブレーキを同時に踏むことになる恐れがある。
 公共交通の活性化と自家用車による来街者の増加を両立させる方策としては、パーク&ライドの充実ということも考えるべき。今後、税金を無駄にすることがないように十分検討していただくことを期待する。

「豊橋総合動植物公園整備基金条例」について

【1回目質問】
 条例の第2条によれば、豊橋総合動植物公園の動物展示施設等の整備及び動物の確保をはかるため、基金を設置するとなっている。
 そこで1点目として、なぜ今、この基金を設置することが必要なのか、認識を伺う。
 次に2点目として、第2条によれば、動物展示施設等の整備及び動物の確保を図るため、と基金の使用目的が示されているが、なぜ動物関連だけなのか、植物のためあるいは遊園地のためとか、自然史博物館の関係に使えるものとならないのか、その理由について伺う。
 3点目として、この基金を設置するからには、目標額に応じて寄付の要請活動も変わってくると思われるが、目標額をどの程度と考えているのかについて伺う。

【答弁要旨】
 今後の動物確保が大変難しくなることが予想されます。このことに伴う購入費やブリーディングローンの輸送費必要となるため、今回「マーラ」の誕生を一つの契機として、一般市民及び企業などから寄附を受けるため基金を設置し、対応したいと考えています。
 今回、動物基金としたことは、一定の範囲における寄附とすることが寄附する方にとって理解されやすいと考えました。今後の動物基金の状況を踏まえたうえで、他の施設については検討していきたいと考えます。
 動物基金条例を設置している他園の状況を参考として目標額を1億円としました。

【2回目質問】
 まず、「なぜ今」ということについては、「マーラが誕生したことを契機に」ということであり、目標金額については「他園の状況を参考として1億円」ということだった。他の動物園での基金の設置状況を見てみたところ、いくつかの動物園で基金が設置されている。
 浜松市の動物園では「浜松市動物園サポーター制度」というものがあり、餌の購入や施設整備の資金を募集している。釧路市動物園には、「釧路市動物園基本計画」に基づき動物展示施設等の整備や動物購入のために「ZOOっといっしょ基金」というものがある。旭山動物園には「あさひやま”もっと夢”基金」があり、基金の目的として「新施設の建設,大規模な修繕,新しい動物の購入等」となっている。さらに、「当面,基金の運用が想定される獣舎」として「大型草食獣館(仮称)(約10億円)」「ゾウの群れ(仮称)(金額未定)」と用途が具体的に示されている。
 基金を設置するのであれば、釧路市や旭山のように用途を明確にしてからの方が、効率よく集められるのではないか。用途を示すことなく1億円と言われても、わかりにくいのではないかと思われる。寄付が集まりにくいとか、勘違いして寄付したが期待通りの利用がされない、などの心配があるのではないか。どのようにお考えか伺う。これが1点。
 また、動物関連だけに限定した基金とすることについては、「動物基金としたことは、一定の範囲における寄附とすることが寄附する方にとって理解されやすい」という考えによるとのことだった。
 しかし、自然史博物館はこれまで古生代、中生代と整備を進めており、今後はゾウの進化の過程も見られる新生代のリニューアルが当面の課題になっていると聞いている。また、収蔵スペースの確保ということについては大変困っているということも言われている。動物関連より、自然史博物館の施設整備の方が差し迫った課題ではないかと考えるが、このことに関する認識を伺う。

【答弁要旨】
 今回の基金条例は用途を限定するのではなく、動物や展示施設整備全般として、広く考え対応したいと考えています。
 自然史博物館の再整備については、来年度から総合動植物公園部となりますので、来年度以降基金等に関しましても、内容について調整を図っていきたいと思います。

余裕資金の活用について

【1回目質問】
 市民病院の平成24年度末予定貸借対照表によれば、流動資産における現金預金が39億4千万円となっている。23年度末の予定額は30億5千万円であり、24年度中に約9億円が増加するということである。どのような事情で現金預金が9億円も増えることになるのか、認識を伺う。

【答弁要旨】
 現金預金の増加の要因につきましては、24年度の収入のうち、入院収益と外来収益を併せまして6億6千4百万円の増額を予定して予算計上しておりますことから、24年度中に収納する現金も収入予算の増に伴って増加するものと見込んでおります。
 また、支出においては、23年度に支払いました22年度未払い金と比較して、24年度において支払予定の23年度未払い金が、給与費や資産購入費などの減少に伴って抑制されることから、現金ベースでの支払資金の減少を見込んでおり、収支の状況を踏まえまして、24年度末には現金預金が約9億円増加するものと考えております。

【2回目質問】
 資金に余裕ができたということであり、また、流動資産に計上されているということは銀行預金など短期の運用がなされているということだと思う。しかし、もっと有効にこの資金を活用するためには、中長期の運用ということも考えるべきではないのか。認識を伺う。
 次に、他会計では起債も予定されている。一般会計の臨時財政対策債50億円の他、総合動植物公園会計や地域下水道事業会計でもそれぞれ3億円程度の起債が予算に計上されている。市民病院の資金を融通することができれば、起債による利息を市外に出す必要がなく、市トータルとしては利益が生まれるはずだが、このことについてはどのように考えているのか、について伺う。
 また、1回目の質疑で9億円が余裕資金としてあるのは理解した。資金計画を立てられていると思うが、その計画から見た場合もっと多いことも考えられ。年度末の資金の余裕はどの程度になると考えているのか伺う。

【答弁要旨】
 1点目の中長期の資金運用につきましてですが、病院事業会計におきましては、平成16年度までは一般会計からの一時借入を行うなど、資金的に余裕がない状況でしたが、収益の確保、費用の抑制に継続的に努めてまいった結果、現在のように安定的な資金運用が可能な状況となったものと認識しております。短期的に必要となる運転資金を確保したうえで、まずは中期的な資金運用も視野に入れてまいりたいと考えております。
 2点目の他会計との資金の融通につきましては、市全体での調整が必要になると考えますが、病院建設から15年が経過し、今後、施設や設備において大規模な更新・改修工事が予想されますので、慎重に対応してまいりたいと考えております。
 最後の年度末における資金の状況ですが、23年度末での企業債の借入などにより一時的に資金に余裕があるものの、退職給与金や病棟改良工事をはじめとした未払い金の支払い時期である4月末には収入を差し引いても10億円程度マイナスになると想定しています。年間を通じて資金残高の上下はありますが、24年度末には20億円程度の運用がなされているものと考えております。

【まとめ】
 24年度末には運用可能な資金が20億円程度になることが予想されるとのことだった。中期的な運用については、考えていただけるものと理解した。他会計への資金融通については全市的な問題であり、財務部で検討していただくことを期待する。
 企業経営においては、一度状態が悪くなると悪循環が起こりがちである。今回、予算では当期純利益が4,800万円といういい状態になっており、余裕資金の有効活用により、いい循環を作ることを考えて欲しい。20億円と言えば、利率が1%違うことで、運用益の差は1年で2千万円にもなる。しっかり研究していただくことを期待する。


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