2010年12月15日(水) 12月議会一般質問
青字は答弁
質問テーマ [東三河のリーダー都市としてのあり方の認識]

東三河のリーダー都市としてのあり方の認識

 市民が安心して暮らし、子育てをし、自己実現ができる機会の多いまちを作ることは、行政に対して市民が期待する、大きな役割の一つと言える。このようなまちとなるために欠くことのできない重要な必要条件は、多様な産業が活発に活動を行っていることであるはず。  そこで、豊橋が東三河と共に地域の経済活動を活性化するために、この地域のリーダー都市としてのあり方について、質問をさせていただく。

【1回目質問】

  1. 経済活動の活性化に向けた東三河の一体的発展について
     東三河各地は古くから豊川の水の恩恵を受け、人々の暮らしや産業活動において、深い結びつきを持ち、これまで一体となって発展を続けてきた。地方分権の進展の中での地域間競争の激化に対して、本市が東三河の各自治体と今後どのように連携していくかを考えるため、その必要性や課題などについて、以下の2点について認識を伺う。
    1. 経済活動の活性化にむけて、東三河が一体的に活動をしていくことの必要性の認識について
    2. 経済活動活性化のため東三河の一体的活動の概要と課題認識について
  2. 東三河のリーダー都市の役割について
     本市は東三河において人口が最大の都市であり、これまでは東三河のリーダーとして認められる存在だった。しかし、そのことだけをもって、今後も引き続き他市からリーダーと認められことにはなり得ないはず。しかしながら、他市がリーダーとなることはなかなか容易ではないことを考えた時、東三河全体の持続的発展を可能にするために、本市が他市からしっかり信頼されて、ゆるぎないリーダーと認知されることが極めて重要なことと考えられる。そこで、次の2点について認識を伺う。
    1. 他市からリーダーとして認められるために必要な要件について
    2. その要素を満たすための、これまでの活動と課題認識について
【答弁要旨】
  1. 経済活動の活性化に向けた東三河の一体的発展について
    1. 東三河地域は経済活動からみても、これまで機能的な結びつきがなされた地域であり、経済がグローバル化する中、より連携を深め、広域での生産性や経済効率の向上というスケールメリットを出していくことが必要であると考えています。
       そのためには、地域の多様な強み、特色や潜在力の積極的な活用、また、市域を超えた連携による、地域が一体となった自律的な発展が可能となる環境づくりが必要となってきます。
       これらの対応といたしましては、今後も、機能的な結び付きの強い東三河のネットワークを広げることで、企業連携等の可能性の幅も広がり、地域全体として特徴のある産業集積、新規産業の創出にもつながり、本市産業も活性化していくものと考えております。
    2. 一体的な活動については、東三河地域における産学官連携活動に取り組むサイエンス・クリエイト21計画の推進や農工商連携による新商品開発などを目指す食農産業クラスターの活動、また、東三河5市での企業誘致活動や東三河広域観光協議会による東三河が一体になったPR活動、さらに東三河の各商工会議所を中心とした東三河産業創出協議会による東三河広域での産業支援活動などに取り組んでまいりました。
       課題といたしましては、この地域全体で、様々なテーマの結び付きによる連携の強化が必要であり、そうすることで、更に枠を広げた三遠南信の取り組みが充実してくるものと考えております。 また、経済の低迷で経営の効率化から事業所の統廃合が進む中、企業の流出を防止するという課題も各市共通のものでありますので、これについても東三河が一体となり、積極的な誘致活動を行うなど、認識を共有した取り組みが必要であると考えております。
  2. 東三河のリーダー都市の役割について
    1. b. 合わせてお答えします。東三河は、これまで様々な点で連携・協力し今日に至っております。昭和38年の「工業整備特別地域」への指定をはじめ、39年の三河港の重要港湾への昇格、平成5年の東三河地方拠点都市地域の指定、さらには豊川総合用水事業や二期事業の推進、東三河縦貫道路など広域幹線道路の整備促進、また、多様な産業の集積など、東三河市町村の期待に応えるべく中心都市としての「本市の役割」を果たしてまいりました。
       現在におきましても、消防通信指令業務の広域共同運用、第3次救急病院である豊橋市民病院での地域周産期母子医療センターや新生児医療センターの設置、東三河5市が連携しての企業誘致活動など、様々な課題に対し声掛けや調整等の役割を果たす中で、東三河が連携・協調して取り組んでいるところです。
       今後におきましても、新しい時代を切り拓き、東三河の将来を「ともにつくる」気概と先見の意識、共通した課題解決への先導力、さらには住民・市民の安心を培う努力をもって、他市町村からの期待に応え、信頼される地域のまとめ役という役割をきちんと果たしていくことが本市に求められているものと考えています。

【2回目質問】

  1. 経済活動の活性化に向けた東三河の一体的発展について
     現在、豊橋がこれだけの発展を遂げ38万人もの人が生活できるようになっている。その大きな礎となっているのは、東三河として一体的に建設推進に取り組んできた三河港であり、豊川用水であるということが言える。三河港にしろ、豊川用水にしろ、複数の市町村にまたがる資源を、広域で有効に活用することができるようにしたというものであり、このことについては日々、先人の先見の明と努力に対して敬服し感謝の気持ちを持っている。
     課題としては、お答えにあったように、経営の効率化を求めての、企業の拠点集約などの動きへの対応ということもあるが、今、本市にとって忘れてはならない大きな問題は、本市の主要な製造業である自動車関連産業がどうなるかということなのではないか。ガソリンエンジンなど内燃機関を動力とする自動車から電気自動車への転換が急速に進もうとしている。自動車関連産業のウェイトが高い本市の産業界にとっては重大な転機が訪れていると言える。これは本市ばかりでなく、東三河の多くの市にとっても大きな問題となっているはず。
     そこで、今こそ、東三河地域が力を合わせ、地域内の資源をしっかり見直し、それらを有効活用する道を探ることが必要ではないのか? 認識を伺う。
  2. 東三河のリーダー都市の役割について
     かつて行われた、三河港や豊川総合用水事業の整備促進は、ともに日本でも有数の成功事例と言える。これらが進められていた頃は、東三河におけるリーダー都市として本市はだれもが疑問をはさむ余地のない、確固とした存在であったと感じている。しかし、昨今では、その認識が危うくなっているという印象を持っている。東三河各市が必ずしも豊橋だけを見ているのではなくなっている。東三河の外の市との連携を模索しているところがあるということも耳にすることがある。本市のリーダーとしての信頼が揺らいでいるということなのではないか。
     そこで、今後、本市が東三河における、信頼される地域のまとめ役という役割を、きちんと果たしていくことができるために、具体的に何が必要なのかについて、認識を伺う。
【答弁要旨】
  1. 経済活動の活性化に向けた東三河の一体的発展について
     東三河の産業は、三河港を始めとしたインフラ、地域で育ってきた技術、また、これらの多様な「つながり」によって発展してきました。
     地域の基幹産業である自動車関連産業におけるコスト削減や技術革新の要求などの厳しい環境に対応していくためには、東三河の共通のインフラを活かす、また、「つながり力」を活かすことが、大切なことであると考えております。
     地域内の資源につきましては、資源は、地域の強みであるという認識に立ち、東三河の「つながり」を強化し、あるいは東三河が一体となって、強みを引き出していく取り組みが必要になってくるものと考えております。
  2. 東三河のリーダー都市の役割について
     現在、国では「国と地方の役割」や「新しい広域制度」の検討が進められています。合併特例法の終了に伴う、定住自立圏構想の展開も新しい広域政策の一つでありますが、残念ながら本市は昼夜間人口比率要件を満たしていません。
     東三河におきましても、こうした大きな視点での広域制度につきましては、定住自立圏構想の要件緩和などを見極めていくなど、国の動向を注視する中で、東三河広域協議会において研究、検討しているところです。
     同時に地域医療や水資源対策の問題など、東三河の共通した課題や住民・市民の広域化に伴うサービスの共通化など、東三河市町村で連携、協調を深め、解決に結びつけていくことが重要であると認識しています。
     今後も、東三河広域協議会では、地域で連携すべき事柄の積極的な抽出、次々と出現する多様な課題等に対し、検討の広域テーブルをつくり、協調を強化していきたいと考えています。 いずれにしましても、それぞれ自立した行財政運営の上にたち相互補完による地域力の向上を図っていく方向で、東三河の将来を「ともにつくっていきたい」と考えています。

【3回目質問】

  1. 二つまとめて2回目を伺う。
     東三河はこれまで、豊橋の強いリーダーシップの下に様々なインフラを築き、76万人余の人々が暮らすことのできる地域となってきた。しかし、環境意識の高まりや技術革新により自動車を中心とする産業構造の変革が起こりつつあり、東三河に大きな影響を及ぼす恐れが生じているにもかかわらず、東三河の一体感が弱くなっていることが危惧される。
     このような状況への対応としては、ご答弁によれば、「資源は、地域の強みであるという認識に立ち、東三河の「つながり」を強化し、あるいは東三河が一体となって、強みを引き出していく取り組みが必要」ということだった。
     また、豊橋が東三河のまとめ役としてやるべきことは、「広域制度については、定住自立圏構想の要件緩和などを見極めていくなど、国の動向を注視する」「それぞれ自立した行財政運営の上にたち相互補完による地域力の向上を図っていく」ということだった。
     まず、定住自立圏形成ということについては、地方拠点都市より多くの効果が期待できるのではないかと思う。県境を越えた連携ができる点もいい。しかし、地方分権の大きな流れに加えて、産業構造の大きな変化による、地域間競争の激化に対しての決定打にはなり得ないのではないか? また、昼夜間人口比率の問題があることから、本市が中心市宣言をして定住自立圏形成を進めることもすぐにはできない。この重大な問題に直面しながら、未だ問題解決の方向が見えていないということではないか。
     今、市民の間では、東に政令市浜松市があり、西には合併により豊橋より人口の多くなった豊田市があることから、豊橋はその谷間に埋もれ存在が霞んでしまうのではないかという不安を持つ人が多くいる。地域間競争の中で産業の集積と振興をしていくために、まちがしっかりした存在感を示していくことは、大変重要なことと考える。
     平成21年3月の東三河広域協議会の資料「広域合併・道州制に関する研究報告書」によれば、東三河が広域合併すれば合併新市の農業産出額は圧倒的な日本一となるとのこと。2位の宮崎県都城市の約2倍以上というダントツぶりである。
     製造品出荷額も政令市中第1位であり、横浜、川崎、大阪、名古屋、浜松などより上位ということ。これらは東三河に、豊かな経験をもつ人材が豊富であること、蓄積された高い技術があること、三河港や高速道路をはじめとする強力な物流インフラがあることを誇示することにもなる。地域間競争を優位にするためのシティプロモーションとしては、非常に効果の高いものとなることが期待できる。
     一方、これまでの東三河の各市町村では、本市をはじめ各自治体が東三河全体の利益を最大化するということより、自らの利益を最大化することを優先してきたように感じる。それではリーダーとしての信頼は失われる。
     その結果、実際には東三河全体としての利益を最大化し得ない、不合理な均衡に陥っているのではないか? この均衡状態を打破するには、まず、リーダーが自分の目先の利益にこだわることなく全体の利益を訴えるという姿勢を持つことが必要ということなのではないか。それがリーダー都市として他の自治体から認められるためにも必要なこととなるはず。
     以上のことから、東三河としての存在感を高揚することで、東三河全体の利益を最大化することを目指し、本市がリーダー都市としての役割をしっかり果たして、広域合併の推進をすることが必要ではないかと考える。そうすることが、本市が東三河のリーダーとして東三河の生き残りに果たし得る重要な役割ではないのか。この考えに対し、認識を伺う。
【答弁要旨】
  1. 平成11年から進められた市町村合併も合併特例法の打ち切りにより、一つの区切りとなりました。しかし、国と地方の役割とか、広域行政についての議論はこれからも続いていくわけであります。先ほども議員が言われたように、東三河全域を俯瞰した時に、工業力、農業力、技術力、人材などあらゆる面で、政令市や県の規模に匹敵する大きなポテンシャルを持っています。そのことがこの地域の大きな魅力であり、セールスポイントであるということが、共通の認識であると思います。
     その上で、東三河の利益の最大化ということを考えますと、東三河の各市町村が利益の最大化を目指せば結果として東三河全体の利益の増大につながると思いますが、これを一層高めるためには、連携の強化や役割の分担などによる相乗効果が重要であると認識しております。これまで本市は近隣との連携強化をはかる中で産業、地域医療、消防、社会基盤の整備、地域の活性化などさまざまな分野で東三河全体を視野に入れた取り組みを行ってきました。今後においても、東三河の中心都市としての役割を自覚しながら、中長期的な展望に立って一体的な発展を目指した地域づくりに率先して取り組んでまいりたいと考えております。

【まとめ】
 昨日、教育長は答弁の中で、メリット・デメリットの議論のみに終始して、どういう意味を持つかを忘れてはいけないという趣旨の発言をされた。全く同感。まず意義の確認をした上で、メリットを最大化し、デメリットを最小化する方策を考えると言う順番で考えるべき。言い換えれば、戦略と戦術といういことであり、この二つをきちんと分けて考える必要があるということ。
 先ほど申し上げたように、東三河にはすごい資源が豊富にあり、これからの厳しい地域間競争を乗り切るために、それをどう活かすか、ということはしっかり考えなくてはならない。広域合併はそれを実現し得る合理的手段であると考える。
 また、関係者を巻き込んで合併に向けた議論をスタートさせることができるのは、豊橋市長以外にはいないはず。時期を逸することなく、しっかりリーダーシップを発揮していただくことを期待する。


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