2009年3月11日(水)〜23日(月) 予算委員会
青字は答弁
☆総務費 職員研修費について

【質疑1回目】

  • 市単独研修として、40コース、2,400人が予定されている。有意義な研修であるためには、何を身に付ける研修であるのか、実施者、受講者、受講者の上司が把握していることが重要。それぞれの研修について、習得すべきスキルやマインドの具体的目標(到達レベル)は明示されているのか

【答弁1回目要旨(人事課長)】

  • 研修の実施に当たっては、研修意図や習得すべき能力について、あらかじめ受講対象者には明示しており、さらに受講前には所属長と職員との面談を通してどのような能力習得を期待しているのか伝達を行っている。また、研修受講後には研修内容を踏まえた能力開発目標を設定し、実際の仕事の中で計画的な取り組みを進め、目標設定期間の終わりには自己評価と合わせ、所属長の意見を伝達する機会を設けている。
     しかしながら、個別・具体的な目標設定から研修後の効果測定に至るまでのプロセスを再度検証し、改善や見直しを一体的に進めながら組織の要請に応え得る効果的な研修実施に努めてまいりたい。

【質疑2回目】

  • 市職員に必要なスキルやマインドなど、職種職位に応じた必要項目は体系化し公表されているのか
【答弁2回目要旨(人事課長)】
  • 今年度、改定した「人材育成基本方針」では、分権時代に相応しい自律型プロフェッショナル職員を目指し様々な職員育成の取り組みを進めていくこととしている。方針には、部長や課長といった職位ごとに求められる「仕事の役割と求められる能力」が示されており、年度当初の説明会や研修会など機会あるごとに職員への周知に努めているが、基本方針に掲げた基本的なスキルやマインドを職員に浸透させるためには、方針を更に具現化していく必要があると考えている。
     しかしながら、職位はもちろんのこと、それぞれの業務分野において求められるスキルは必ずしも一様とはいえない。今後は、集合研修やOJTなど様々な機会を捉え、それぞれの職位や業務の特性を踏まえた、より実践的な能力開発を進めてまいりたい。

【まとめ】

  • 研修あるいは人事制度の中で、目指すべきものは仕事の進め方における文化と言えるのではないか。あるいはプラットフォームとも言えるかもしれない。たとえば、論理的問題解決手法とか、経営戦略のあり方など様々仕事をする上での手法の共有ということで、コミュニケーションが飛躍的に円滑になる可能性もある。自治体間競争の時代へと進みつつある中、本市の強力な強みを作ることになるはず。積極的な取り組みを期待する。

☆総務費 広域推進費について

【質疑1回目】

  • 先頃、東三河広域協議会広域合併・道州制研究会により「広域合併・道州制に関する研究報告書」が公表され、広域合併の有意性が示された。この研究成果は21年度の広域連携の推進にどのように生かされ、どのような取り組みを実施される予定か?

【答弁1回目要旨(企画課主管)】

  • 東三河地域における広域連携、さらにはその先にある東三河地域の一体化については、各市町村の立場や抱える課題も様々であり、住民の意識にも大きな違いがあることから、各市町村の認識の共有と住民意識の情勢を図ることが何よりも大切であると認識している。
     そこで、平成21年度は、東三河広域協議会でまとめた「広域合併・道州制に関する研究報告」を踏まえ、首長会議などを通じて各市町村の認識の共有化を図るとともに、「広報とよはし」に特集を組むなどして市民との情報の共有化にも努めたい。さらには、産業界や市民団体などとの意見交換を積極的に行うとともに、これからの基礎自治体のあり方や将来の東三河の姿を考えるシンポジウムを開催するなど、市民意識の醸成を図りながら、東三河一体化を視野に入れた取り組みを進めていきたいと考えている。

【質疑2回目】

  • 市民の関心を高めるためには、市民にいくつかの選択肢を示していくことがより具体的に考えるための補助となり、有効な方策。広域合併などについて一つではなく、いくつかの意義を示しその比較を行うことなどで市民の意見を喚起していくことも可能なのではないか。その必要性について、認識を伺う。
【答弁2回目要旨(企画課主管)】
  • これからの基礎自治体の姿を見据えた広域連携のあり方はさまざまあり、合併も選択肢の中の一つであると認識している。また、合併にもさまざまな形があることから、市民の皆さんに対しては、それぞれの目的や意義について、きちんとお示ししながら意見を伺い、認識の共有化と意識の醸成を図っていくことが重要であると認識している。
     いずれにしても、東三河の一体化が東三河全体の発展にとって必要なものであり、私たち下流域の住民にもメリットをもたらすものであるという認識と理解をいただくことが重要であると考えている。

【まとめ】

  • 広域連携、ましてや広域合併については市民の意識を喚起していくことが大変重要。そのためにシンポジウムのテーマ設定などについて、様々な工夫をしていただくことを期待する。同時に本市の施策は東三河の各市町村に対するメッセージとなることもあり得る。21年度から次期総合計画の検討がスタートすることとなる運びだが、この総合計画の策定にあたっても、東三河地域におけるリーダーシップを発揮し得るものであることを念頭においていただくことを期待する。

☆総務費 国際交流振興費について

【質疑1回目】

  • この多文化共生モデル地区は、いつ、どのような基準で、どこを指定することになるのか? また、多文化共生推進員はどこに配置されることになるのか?

【答弁1回目要旨(国際交流課長)】

  • 多文化共生モデル地区は、新年度早々に、自治会との連携・調整を図る中で、(行政の町を単位とし)外国人集住地域での外国人世帯の多い多米と岩田の中から2地区を考えている。また、多文化共生推進員は国際交流課に配置をする。

【質疑2回目】

  • 多文化共生推進員は市役所に配置されるとのことだが、現場を離れたところにいる共生推進員が、どのようにして共生に貢献することができるのか?
【答弁2回目要旨(国際交流課長)】
  • 多文化共生推進員は、国際交流課に配置するが、外国人集住地域である現場にも出かける。それぞれの地域で、状況や取り組みの違いはあるが、顕在化している様々な問題や課題がある。そこで、多文化共生推進員の効果的な活用を図り、行政、市民活動団体、地域との連携・協働を進めながら、地域の実情を十分に把握し、現場での声をお聞きする中で、(回覧板の翻訳などを始め)地域で実施される様々な事業に対する通訳や翻訳なども含め、いろいろな角度から地域、自治会活動の支援をしていくことで、共生に貢献することができると考えている。

【まとめ】

  • 多文化共生推進員配置など多文化共生モデル地区事業は、外国人集住地区における自治体活動を強力に支援するものであろうと理解した。外国人と共生をしていくためには自治会を支援するだけでは解決できない問題がある。子弟の不就学の問題、就職の問題、社会保障未加入の問題など。これらはモデル地区内だけでは解決できない問題であり、多文化共生推進連絡協議会などを通じ、共生を全市的な課題として関連各部署においても一層の取り組みをしていただくことを期待する。

☆教育費 放課後子ども教室運営費について

【質疑1回目】

  • 20年度より豊橋市放課後子どもプランに基づき、モデル事業として嵩山・つつじが丘・岩田の3校区で「放課後子ども教室」が実施・検証された。平成21年度予算案では、新たに2校区が追加されたが、20年度実施した結果をどのように反映されたのか

【答弁1回目要旨(学校教育課主幹)】

  • 本年度より実施された3校区の放課後子ども教室は、昨年4月から2月までの期間に延べ約17,000人の児童が利用し、安全・安心な居場所として保護者からも喜ばれた。この内、特認校区である「嵩山放課後子ども教室」については、地域主体の運営により、他の特認校への導入モデルとして、先駆的な役割を果たすことができた。その結果を踏まえ、21年度については、賀茂・下条校区において開設する。
     一方、大規模校区での実施となった「つつじが丘放課後子ども教室」、外国人児童を対象とした「岩田放課後子ども教室」については、運営面において地域だけでは担えきれない課題等もあり、来年度、実施を継続する中で、今後のあり方について研究していきたい。

【質疑2回目】

  • 5校区以外でも、「放課後子ども教室」の開催の期待はあると思われるが、今後の展開を見据えて、21年度はどのような取り組みを考えているのか?
【答弁2回目要旨(学校教育課主幹)】
  • 放課後子ども教室の今後の展開については、地域の実情に沿った実施が基本になるものと考えている。特に、外国人集住地域である本市の実情を踏まえた外国人児童への支援、場所や人材の確保等、地域で担える放課後子ども教室の実施を目指していきたい。
     よって今後の開設については、地域のニーズや開催への気運の高まりに応じて、展開が図られることとなる。開催方法や内容などについて、地域との協議を進めながら、市民協働による放課後子ども教室の展開に努めていきたいと考えている。

【まとめ】

  • ボランティア中心の運営スタッフの確保、会場の確保、備品の問題など、正に地域との協働が重要な事業であろうと思われる。保護者の方々からの期待も大きく、かつ多様となっている。様々な事情で共稼ぎをする保護者が増加傾向にある一方で、団塊の世代の定年到達に伴い、多くの人材が地域ニーズの担い手となることも期待できる。引き続き、積極的に市内各地域の状況把握に努め、積極的な取り組みを期待する。

☆水道事業会計 営業外収益について

【質疑1回目】

  • 昨年本市では、「豊橋市資金管理並びに運用指針」が示された。運用方法が従来と変わる可能性があるのではないか。21年度予算における預金利息1,803万2千円となっているが、どのような資金運用を考えられての予算なのか?

【答弁1回目要旨(料金課長)】

  • 本市の資金運用の原則は、「豊橋市資金管理並びに運用指針」や「豊橋市金融機関選定並びに預託基準」等に基づいて行うこととしている。水道事業会計の平成21年度予算については、この基準に基づき、安全・確実性を重視した3か月の債券による運用を計画したものだが、年間の資金計画を十分勘案し、6か月あるいは1年ものの債券運用も視野に入れていきたいと考えている。

【質疑2回目】

  • 3カ月から1年ものの債権による運用を計画されているとのことだった。そこでさらに二点伺う。
    1. 1年以内の短期債券のみによる運用を計画されているとのことだった。「資金管理並びに運用指針」では、長期の運用を制限することはしていない。にもかかわらず、なぜ長期の運用を検討されないのか?
    2. 債券による運用を考えているとのことだったが、もっと有利になる可能性のある方法として、他会計への長期貸付も考えられる。国債よりも有利に運用することができる方法であり、資金調達する側からすれば起債するよりも安くできる。たとえば、21年度予算案には、下水道会計では15億円の起債を計上しており、市民病院でも起債の計画がある。上水道会計から下水道会計や市民病院会計に長期貸し付けを行えば、お互いに利益になる可能性がある。そこで、本市他会計への長期貸し出しについては検討されなかったのか、また、今後、検討する考えはないか、伺う。
【答弁2回目要旨(料金課長)】
    1. 金融危機等の影響から、短期市場のみならず、長期市場も利率が流動的であり、資金計画から資金需要が明確な3か月間の運用を基本に運用を計画した。
    2. 一般会計と企業会計間における長期貸付については、基本的には、貸付金等事務取扱要綱に沿った取扱いとなっている。それには、安全かつより効率の良い運用方法の範囲で、双方の会計のメリットが合致する場合に実施されるものと考えるが、平成21年度予算では、他会計からの要請は特になかったため、検討しなかった。今後の一般会計と企業会計間における長期貸付等につきましたは、余裕資金の見定め等の会計上の課題もあるかと思われるが、私どもとしては、企業会計としての独立採算制を踏まえる中で、課題整理や条件が整えば、実施することも必要だと考える。

【質疑3回目】

  • 「他会計からの要請は特になかった」とか、「課題整理や条件が整えば、実施することもやぶさかではない」など、消極的なお答えだったが、個々の会計責任者の判断では、会計間長期貸し付けは進まないと思われる。より有利な資金の運用や調達をするためには、各会計責任者が一同に会して、資金に関する打ち合わせの場を持つ必要性があるのではないか
【答弁3回目要旨(料金課長)】
  • 水道事業会計は、公営企業会計であり、「企業の経済性の発揮と公共の福祉増進」に向けた運営が求められている。この基本原則をしっかりと認識する中で、資金運用についても水道事業の安全性・確実性を見据えながら、効率的な運用に努めているところである。
     経済性の発揮という面では、各会計の貸し手と借り手のルールに基づく合意があって初めて実施できるものである。しかし、双方とも長期的に資金需要を見定めることは大変難しい。これまで実際に行われたケースも短期での貸付がほとんどであった。会計責任者による打ち合わせの場については、各会計の責任者がメンバーとなっている公金管理検討会議の場を、必要に応じて情報交換や協議の場として活用していきたいと考えている

【まとめ】

  • 長期の見通しが困難であるとのご答弁だったが、借り手の側は長期の起債をしていることからすると、貸し手側が長期の見通しができていないということだと思われる。今後、精度の高い資金予測を立てられるように研究していただきたい。また、今回の予算特別委員会の中では、何度も「厳しい経済情勢の中、苦しい予算編成となった」というような主旨の発言を聞いた。独立採算で行われている各会計間での資金融通は、比較的容易に利益を産み出すことのできる方法であると言える。各会計間の密接な連携をはかり、合理的な資金運用・調達が行われるべきではないか。積極的に検討されることを期待する。


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